Trademark Appeal Case
「ビジネス」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−21962(T2005−21962/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ビジネス」の文字を標準文字で表してなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成17年3月10日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、同17年8月31日付け手続補正書により、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,乗馬靴」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『ビジネス』の文字からなるものであるが、この『ビジネス』の文字は、『事務。実務。実業。商業上の取引』などの意味を有し、『ビジネス・スーツ』等の使われ方がされているところからすると、これを指定商品に使用してもビジネス向けの商品を想起し、商品の品質を認識させるものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、この「ビジネス」の文字は、「事務。実務。実業。商業上の取引。」(岩波書店「広辞苑第5版」)を意味する語であり、本願の指定商品との関係においても、「ビジネススーツ(ビジネス・スーツ)、ビジネスシャツ(ビジネス・シャツ)、ビジネスシューズ」のように、「ビジネス(仕事)をする際着用するのに適した商品」を指称する語として、一般に理解、認識されているものである。
(2)そして、「ビジネス」の文字は、被服及び履物について、上記のとおり商品の用途、品質等を表示する語として広く使用されているものであることは、例えば、以下の書籍の記載及び新聞記事などからも明らかである。
ア)「新・田中千代服飾事典」(著者 田中千代、2004年4月1日第一版新訂第7刷発行、株式会社同文書院発行)840頁
「ビジネス・シャツ」ワイシャツ、カッター・シャツなどのことで礼装用のドレス・シャツと区別する意味でこのよび名がある。
「ビジネス・スーツ」保守的な三つ揃いの紳士服のこと。
イ)「服飾辞典」(編者 文化出版局、発行者 大沼 淳、昭和63年9月5日第10版発行、文化出版局発行)694頁
「ビジネス・ウェア」オフィスで職務につくときの服装。(略)スーツ、スカートにブラウスとカーディガン、ツー・ピース、ジャンパー・スカートとジャケットなどの組み合わせがある。男子では一般に背広型三つぞろいか、上衣とズボン、また替え上衣とズボンなどであり、シャツとタイをつける。
「ビジネス・シャツ」事務用シャツ。ビジネス・スーツの下に用いるコットンやテトロン・コットンのシャツのこと(略)。
「ビジネス・スーツ」ホワイト・カラー(事務系労働にたずさわる人)のユニフォームとされている背広(上下または三つぞろい)のこと。
「ビジネス・ドレス」オフィスに通勤のため、また勤務中にも便利であるようにデザインされた服のこと。(略)また、ユニフォームにもビジネス・ウェアとしてファッションがとり入れられるようになった。
ウ)「繊維総合辞典」(編著者 繊維総合辞典編集委員会、発行所 繊維新聞社、2002年10月10日初版第1刷発行)543頁
「ビジネスシャツ」背広に組み合わせるワイシャツ。(略)
「ビジネススーツ」背広。
エ)2007年5月12日 繊研新聞 8面
「〈売れてる店の売れてる10点〉名鉄百貨店メンズ館1階 名古屋 ギア集めた男の書斎 靴、バッグ、万年筆にブリーフ」のタイトルの下、
靴はSKU(在庫最小管理単位)で1181を揃える。カジュアルシューズの売れ筋は「ルーディックライター」のレザースニーカー。デザイン性で人気だ。ビジネスシューズは「リーガル」が強いが、スペインの「JAラミス」も売れている。
オ)2007年3月30日 繊研新聞 21面
「〈連載〉秋冬靴トレンド ミラノの展示会から−4 メンズからのアプローチ」のタイトルの下、
「ジョン・ガリアーノ」のイメージソースはギリシャ神話。半人半獣の男でもない女でもないファウヌスをヒントに、奇妙なエロチシズムを漂わせた。紳士のビジネスシューズを思わせるオックスフォードタイプは、馬の尻のようなアウトソールで馬の足のようなヒールが付いている。
カ)2007年1月30日 繊研新聞 3面
「三陽商会 銀座に『三陽山長』日本の職人による革製品」のタイトルの下、
三陽商会はメンズ・レザートータルブランド「三陽山長」で4月19日、東京・銀座2丁目に開業する商業施設「ベルビア館」2階に直営店を開く。(略)
ビジネスシューズ(既製)が5万円台中心に、2万8000円からプレステージの12万円まで。革かばんが9万〜21万円、パターンオーダーシューズが8万円から。
キ)2006年8月16日 繊研新聞 9面
「秋冬は半端丈ブーツ 婦人靴のプリティ メンズもスタート」のタイトルの下、
メンズの新ブランドは、合皮のビジネスシューズからキャンバス地のスニーカーまで幅広い商品構成。メンズ雑誌『レオン』や『オーシャンズ』を購読する客層をターゲットにする。
ク)2006年7月24日 繊研新聞 8面
「【ファッショングッズ】メンズも高級化、上質化 バッグもカラー提案 クールビズも追い風 カジュアル靴は“脱ベーシック”」のタイトルの下、
高島屋東京店は昨年秋以降ビジネスシューズでも黒のベーシックなタイプより茶系のスタイリッシュなデザインの紳士靴が動いている。
ケ)2007年6月5日 読売新聞 5頁
「男性用レインシューズ スーツ姿にもマッチ」のタイトルの下、
人間工学に基づいて「履き心地の良さ」を追求するエコーのビジネスシューズも、ゴアテックスを使用。かかと部分には、雪道でも滑らない工夫を凝らしている。
コ)2005年11月29日 産経新聞 25頁
「もうすぐボーナス、クリスマス 男性も『自分へのご褒美』」のタイトルの下、
東京・池袋の西武百貨店ではここ数カ月、輸入紳士靴の売り上げが前年同月比で10%の伸びが続いている。最近は、普通のビジネスシューズより、つま先が細く、エレガントに見える「ロングノーズ」の革靴や茶系の靴が人気という。
サ)2005年1月25日 読売新聞 7頁
「[記者が使ってみました]ビジネスシューズ 足型測り、大きさピッタリ」のタイトルの下、
外回りが多い営業マンらにとって履きやすく、疲れにくい靴は心強い味方だ。実際に購入者の足型を測り、左右で別々のサイズを選べるミズノのビジネスシューズ「フリー ウオークNS」(2万4150円=税込み)が人気と聞き、大阪・淀屋橋のミズノ大阪本店に出かけた。
シ)2005年7月10日 読売新聞 21頁
「手探り続く『クールビズ』 課題は『脱・だらしなさ』」のタイトルの下、
高島屋でも6月以降、ボタンダウンシャツを中心にシャツの売り上げが急増、紳士服全体で前年同月比6.2%のプラスに転じた。また、イトーヨーカ堂はクール ビズ対応として全国150店舗でビジネスシャツ20万枚を販売したが、すでに完売、第1ボタンをはずしても下着が見えない襟ぐりの深い肌着などの売り上げも絶好調だ。
ス)1998年7月23日 産経新聞 7頁
「【イブニングマガジン】英国の伝統『バーバリー』 ファンの声」のタイトルの下、
石田耕一さん(食品会社役員) 若すぎず、かといって老けすぎないスタイルが気に入って、二十年ほど前からバーバリーを着ています。スーツ、シャツ、ネクタイなど、ビジネス・ウエアのほとんどがバーバリー。生地も痛みにくく、とても着やすいんです。あつらえもののスーツよりも、着やすいのが不思議ですね。
セ)1987年2月28日 読売新聞 12頁
「ビジネスマンのスーツ 発表会もミュージカル風に」のタイトルの下、
国際化時代を迎えたいま、サラリーマンの仕事着=ビジネス・スーツはどうあるべきか。その理論と実際をシンポジウムとミュージカルで見せる、というちょっと楽しいイベントがこのほど東京都内で開かれた。題して「ザ・モルト・スーツ」。(土方 幸男記者)
◆楽しくシンポジウム◆
イベントはシンポジウムで始まった。出席者は、石津謙介、出石尚三、大石尚、大内順子、林邦雄、フランソワーズ・モレシャンさんの六人。いずれ劣らぬ当代切ってのファッション評論家。まず司会役の石津さんが「今回は五、六十人のデザイナーのコレクションより面白いはず」とユーモラスに口を切る。モレシャンさんが会社勤め十一年の体験をふまえて「アメリカのビジネス・ウエアは保守的で、五十年前と変わらない」と生まれ故郷のフランスを棚に上げれば、林さんは「男の生き方とビジネス・スーツは密接な関係。服装に無関心な男は仕事も出来ない」と耳の痛い発言。
これに対して石津さんは「でも、ビジネスマンは着るものを見せる必要はない」と一歩後退。
これには、今回のプロデューサーを務めた出石さんが立ち上がって、自分の選んだちょっと派手めなビジネス・スーツを説明。会場は笑いに包まれた。
◆ショーも手がこんで◆
大内さんは議論を戻して、ビジネスマンの服装調査をもとに「平均八着のうち一着でいいから、個性豊かなものを」。また大石さんは「結局、ビジネス・スーツは仕事で失敗しない服。でも無難だけでは不満で、いまはセクシーさをどう表現するかが大きなテーマ」と、議論が新たな展開を見せたところで、まずは第一部の終わり。
第二部はミュージカル仕立て。大、小二つの証券会社を舞台に女優前田美波里さんふんする美人社員と三人の男性がラブストーリーを展開する。見せるのは女性のユニホーム、男性のビジネス・スーツだ。
(3)さらに、「ビジネス」の文字が、被服及び履物について、商品の用途、品質等を表示する語として広く使用されているものであることは、以下のインターネット検索情報(平成19年6月28日に検索実施。)に認められ、その数は枚挙に暇がない。
ソ)レディーススーツ「YOROZU」のホームページ(http://suit.e-kagawa.info/)において、「手荒い可能! 女性用スーツ」の見出しで、「リクルートスーツに、ビジネススーツに、デートスーツとしても最適。」の記載がある。
タ)カタログ通販セシールのオンラインショップ(http://www.cecile.co.jp/)において、「ビジネススーツ」の見出しで、「ビジネススーツカタログ通販のセシールのオンラインショッピングサイトへようこそ!こちらはビジネススーツのコーナーです。ごゆっくりご覧下さい。」の記載がある。
チ)Men’sShopKOKUBOのホームページ(http://www.rakuten.ne.jp/gold/kokubo/pr/05awbiz12600.html)において、「スーツにうるさいビジネスマンも納得!素材仕立てにもこだわった本格ビジネススーツが12,600円で郵送無料」の記載がある。
ツ)日経BP総合のホームページ(http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/topic/fashion/050804_ferragamo/)において、「この秋、日本市場で販売強化 フェラガモのビジネススーツ」の見出しで、「メディアに溢れるファッション情報のなかから、ビジネス・エグゼクティブ必見の旬の話題を厳選してお届けします。今回は、今秋より日本市場で販売が強化されているサルヴァトーレ フェラガモのビジネススーツにフォーカス。靴からスタートした歴史あるブランド、フェラガモが、日本の消費者ニーズに合わせて本格的に展開する上質かつオーソドックスなビジネススーツをご紹介します。」の記載がある。
テ)ビジネスシャツ専門店「セルスコット」のホームページ(http://www.rakuten.co.jp/selscot/)において、「価値ある、一枚。日清紡グループ、ナイガイシャツの製造販売!」の見出しで、各種ビジネスシャツの通信販売をしている。
ト)有限会社タツミシャツのホームページ(http://www.tatsumi-order.com/index.html)において、ビジネスシャツの販売をしている。
ナ)「夢隊WEB」(http://www.yumetai.co.jp/items/it_20057.html)において、ビジネスシャツの販売をしている。
(4)してみれば、「ビジネス」の文字よりなる本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「ビジネス(仕事)をする際着用するのに適した商品」であることを認識するのみで、単に商品の用途、品質等を表示したものと理解するにとどまるものであり、よって、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。そして、このような標章は、指定商品との関係において、当該商品の用途、品質等を表示するために、取引において必要適切な標章として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当ではないというべきである。
また、これを上記に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
(5)なお、請求人は、他の登録事例を引用して、「いかなるビジネス向けの商品であるのか不明瞭である。「ビジネス」の語を有する商標の登録例が多数有り、本願商標のみが拒絶される理由はないといわざるを得ない。」旨主張している。
しかしながら、「ビジネス」の文字が、指定商品中の被服及び履物等の実際の取引きにおいて「ビジネス(仕事)をする際着用するのに適した商品」の意味合いで広く使用されている事実は前記のとおりであるから、請求人の主張は認められない。また、出願された商標の登録の可否は、個々の商標ごとに個別具体的に検討、判断されるものであり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについての判断が、他の登録例に拘束されるものではない。
(6)以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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