Trademark Appeal Case
記述的複合語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−5912(T2005−5912/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「ユビキタスAVセキュリティ」の文字を標準文字により表してなり、第9類「カメラとモニタからなる監視装置,虹彩個人認証又は顔個人認証等の生体認証による入退室管理装置,非接触型ICカードを用いた入退室管理装置,監視カメラ装置・映像符号化伝送装置・監視映像蓄積装置・センサ機器類・ネットワーク制御装置・サーバ装置及び監視映像モニタ端末装置からなる、IPネットワークに接続されるIPベース監視システム,監視カメラ装置より送信される画像信号から人物・車両等の映像信号の分離・識別・照合を行う、監視カメラ装置を含んだ画像センサー装置,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成16年3月8日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「1.本願商標は、「ユビキタスAVセキュリティ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、構成中の「ユビキタス」の文字は「ubiquitous:同時に至る所に存在する」の意味を有するラテン語の表音と認められ、本願指定商品との関係では「あらゆる機器にコンピュータ若しくはその操作が可能な装置が組み込まれ、相互にデータを交換し合い、情報を利用できるネットワーク環境を指す。」(『日経パソコン用語辞典2003年版』日経BP社)ものとして知られ、本願指定商品との関係で「AV」の文字は「audioーvisual:視聴覚の、音響・映像システム」の略語として、「セキュリティ」の文字は、「安全保護」の意味あいで良く知られている語であり、コンピュータウィルス対策などの「セキュリティソフトウェア」など数多く製造販売されていることよりすれば、本願商標よりは「時間、場所を問わず、どのような時にも音響・映像システムを安全保護するための商品」程の意味あいを理解させるにとどまり、その指定商品中該文字に照応する商品に使用しても単に商品の品質、機能、用途を表したにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。2.本願商標が自他商品の識別標識として機能し得るとするならば、本願商標は、登録第4419815号商標及び同第4419816号商標と「ユビキタス」の称呼を同一にし、並びに同第4624409号商標と「ユビキタスセキュリティ」の外観において類似の商標であって、かつ、同一又は類似の商品について使用するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、「ユビキタス」及び「AVセキュリティ」の文字について下記の事実(インターネット情報及び新聞記事情報等)がある。
したがって、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知した。
記
1.各種情報
(1)1988.04.05 日刊工業新聞 8頁には、「富士通ゼネラル、米向けホームセキュリティーシステムを開発」の見だしのもと「本格的AVシステム『ホームシアター』と家庭監視用CCDテレビカメラ『ガードアイ』などセキュリティー機器をシステム化した。・・・AVテレビをモニターとして部屋に居ながら来訪者の確認、老人や子供部屋の監視ができる。」との記載
(2)1999.10.22 日刊工業新聞 11頁には、「日本ビクター,AV機器用通信技術を米フェニックスと共同開発」の見出しのもと「日本ビクターは21日、デジタルAV機器向けの通信・セキュリティー・機器設定機能を低価格で実現する。」との記載
(3)2002.05.21 日刊工業新聞 13頁には、「東芝とソニー、ブロードバンド戦略を加速」の見出しのもと「東芝のブロードバンド戦略のコンセプトは、『いつでも、どこでも、モバイルブロードバンド』。ワイヤレスネットワークやセキュリティー、デジタルAVなどの技術をベースとして、家庭内やオフィスでのライフスタイルやビジネススタイルを提案していく。・・・ノートパソコンとテレビなどAV機器をワイヤレスLAN接続。これにより、テレビ放送をリアルタイムでパソコンに無線AV伝送し、家中どこでもテレビを視聴できるうえ、外出先からパソコンやiモードを使ってインターネット経由で録画予約も可能となる。」との記載
(4)2002.12.04 日刊工業新聞 6頁には、「デジタルデザイン、ユビキタス対応の高速データ通信ミドルウエア発売」の見だしのもと「・・・高速データ通信ミドルウエア『ファスト・コネクターV3』を発売した。ユビキタスコンピューティング市場の拡大に対応する。」との記載
(5)2003.01.19 毎日新聞大阪朝刊 7頁には「外出先からパソコンで録画番組の視聴可能 家庭用サーバーで家電各社が競争」の見だしのもと「シャープは、外出先からパソコンを使って自宅で録画したテレビを見ることが出来るなど『ユビキタスネットワーク』に対応したパーソナルサーバー・・・発売する。」との記載
(6)2004.01.27 日刊工業新聞 15頁には「富士通、ユビキタス対応の『インターステージ』を追加」の見だしのもと「富士通は26日、IT基盤『トリオーレ』の中核を担うミドルウエア『インターステージ』の新機能として、ユビキタス(いつでもどこからでもネットに接続できる)環境に本格対応する『リアルタイムコミュニケータ』を追加したと発表した。」との記載
(7)2004.02.26 読売新聞大阪朝刊 32頁には「大学院生らベンチャー企業 高機能端末など開発へ 社会人学生を採用=高知」の見だしのもと「・・・個人認証方式を組み合わせたユビキタス対応の高機能小型端末などの開発を手がけ、システムや知的財産権ライセンス販売などを行う。」との記載
(8)2004.03.03 毎日新聞地方版/高知 20頁には「[ひと]『ネックスカードシステムジャパン』発起人、加納剛太・高知工科大教授/高知」の見だしのもと「ベンチャー企業はユビキタス対応の高機能端末・情報セキュリティーシステムの販売などが主な内容。」との記載
(9)2004.08.27 電気新聞12頁には、「[ホームネットワーク特集]めざす『快適な住環境』」の見出しのもと「◆関西電力『AIGIS』初の実用化 06年に竣工予定全電化集合住宅 オプションで提供・・・『SOSマンションセキュリティ ひかりモ』は、携帯電話を使って外出先から(1)侵入検知センサーの作動・停止(2)異常発生を通知するメールの受信(3)照明、エアコン、電気床暖房、電気式給湯機の操作(4)ドアの施錠−−などを可能にするホームネットワークシステム。侵入検知センサーの作動や停止は、宅内に置かれたコントローラーでも可能だ。集合住宅の共用部分を監視できるのも特徴で、キッズルームで遊ぶ子どもの様子や、留守時に来訪した人物の画像などを携帯電話から閲覧できる。」との記載
(10)2004.11.09 日刊工業新聞 9頁には、「ITワイド・そこが知りたい/IT住宅、実用化を模索」の見出しのもと「ネットワークにつながる家電は『ネット家電』と呼ばれている。ネット家電を制御するソフトとしては、冷蔵庫や洗濯機など白物家電系の『エコーネット』、テレビなどのAV機器系の『UPnP』がある。エリフェスは白物、AVに加え、セキュリティー機器の制御ソフトも統合した初めてのシステムだ。」との記載
(11)2005.06.29 日刊工業新聞 3頁には、「社説/ユビキタス社会−セキュリティー対策が急がれる」の見出しのもと「『だれもが、いつでも、どこからでも、何でも』アクセスできるユビキタスネットワーク社会では、セキュリティー対策がより重要になる・・・今年の情報通信白書でも夢のユビキタス社会を描く。障害者や高齢者がどこにいるかをリアルタイムで確認する。不審者の侵入を探知して知らせたり、自宅内の映像を離れた場所からチェックできる。」との記載
(12)電通大・船井デジタル情報家電プロジェクト(http://www.funai.is.uec.ac.jp/2005-6-7_2.pdf)には、「(3)FUN−Xとは:9種の家電」の頁の製品の欄に「ホームAVセキュリティサーバ」との記載
(13)株式会社稲沢商会(http://www.inasho.com/php/avs/02/avs-s.php?no=3)のホームページには「AVセキュリティ」の見出しのもと「デジタル音響システム」の紹介
(14)2000年版 パチンコ産業白書(http://www.yano.co.jp/mrnew/mr0010/03pachinko.htm)のホームページには、「第7章 AV/セキュリティ機器・システム業界」の見出しのもと「2.(2)音響・セキュリティシステム市場の方向性」との記載
(15)CHINA SUPERCiTY(http://www.chinasupercity.com/1439.html)のホームページには、「2006.05月掲載」に「『抑止』と『確認』在華事業所向け セキュリティ強化への取り組み−松下電器(中国)有限公司」の見出しのもと「オフィスや公寓、さらに工場の入り口で不審者の侵入に目を光らせる監視カメラ。『AVセキュリティ』と呼ばれ、『Panasonic』は中国市場でトップシェアを握っている。・・・『中国のAVセキュリティ市場は・・・』」との記載
2.本願商標は、「ユビキタスAVセキュリティ」の文字よりなるところ、前後に片仮名文字を配した中央に「AV」の文字を配してなるから、視覚的に「ユビキタス」の文字、「AV」の文字及び「セキュリティ」の文字との結合よりなるものと容易に認識されるものである。
そして、その構成中、「ユビキタス」の文字は、例えば、「現代用語の基礎知識1999」(1999年1月1日 自由国民社発行)の1383頁の「ユビキタス」の項には「遍在する。あちこちにある。」との記載、「現代用語の基礎知識2007」(2007年1月1日 自由国民社発行)の732頁には「わかる/進むユビキタス化とデジタル・デバイド」として「ユビキタス/『いつでも、どこでも、何でも、誰でも』ネットワークにつながり、情報の自在なやりとりを行うことができる」との記載、「2005−’06年版 最新パソコン用語事典」(平成16年11月1日 株式会社技術評論社発行)の「ユビキタス」の項には「語源/どこにでもある、遍在する(ラテン語)。」、「いつでもどこでも情報にアクセスできること。」との記載、「imidas2007」(2007年1月1日 株式会社集英社発行)の1298頁の「ユビキタス インターネット」の項には「いつでもどこでもインターネットを利用できる環境.」との記載がある。
また、「AV」の文字は、「映像や音声を扱う機器をシステム化して接続した機器。これらの機器はデジタル化が進み、コンピュータで制御されている。」(前出、最新パソコン用語事典)、「(audio‐visual) 視聴覚。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有し、映像機器や音声機器をAV機器と称し、また、インターネットやホームネットワークに接続された家電機器においては、外出先で、インターネットを通じ、自宅におけるAV機器の映像・音声をモニターする技術等の各種開発がなされているところであって、本願商標の構成中「AV」の文字は、映像・音声機器を表示するものとして取引上普通に使用されているものと認められる。
さらに、「セキュリティ」の文字は「安全。保安。防犯。担保。証券。」(前出、広辞苑第五版)の意味を有するものと認められる。
ところで、最近の情報化社会において、総務省は、少子化・高齢化社会の進展や生活の安心・安全レベルの低下などに対する解決手段として情報通信技術を位置づけ、2010年にユビキタスネット・ジャパンの実現をめざしており、ユビキタス対応のセキュリティ機器を初めとする各種の機器が開発されている実情が、上記の各種情報等から裏付けられるものである。
以上のような実情を総合的に勘案すると、本願商標「ユビキタスAVセキュリティ」の文字からは、ユビキタス(いつでもどこでもアクセスできる)対応の映像や音声のセキュリティ機器程の意味合いを認識するものと認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品中、監視装置等のセキュリティ機器に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記意味合いを理解するにとどまり、該商品の品質、機能等を表示するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当であり、前記「セキュリティ機器」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので同法第4条第1項第16号に該当するものである。
第4 請求人は、上記第3の「職権証拠調べ通知書」に対して、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「ユビキタスAVセキュリティ」の文字を表してなるものである。
そして、「ユビキタスAVセキュリティ」の文字については、平成19年3月29日付け証拠調べ通知書により通知したとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、ユビキタス対応のセキュリティ機器が開発されている実情より、「ユビキタス(いつでもどこでもアクセスできる)対応の映像や音声のセキュリティ機器」程の意味合いを認識するものと認められる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、前記意味合いを認識、理解するというべきであり、その指定商品の品質、機能を表示し、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、前記「セキュリティ機器」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものとするのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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