Trademark Appeal Case
「かけるだけ」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−20618(T2005−20618/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「かけるだけ」の平仮名文字を標準文字で書してなり、願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年12月2日に登録出願され、その後、指定商品については、同17年9月12日付けの手続補正書により、第5類の商品について補正された結果、最終的に、第3類「消臭芳香剤,その他の芳香剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類「芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),その他の消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液,食餌療法用食品,食餌療法用飲料」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「かけるだけ」の文字を書してなるものであるところ、例えば、芳香剤、消臭剤の類の商品には、トイレ、洗面所、部屋の壁等に掛けて使用する商品が数多く市場に出回っていることよりすれば、本願商標の指定商品中「消臭芳香剤、その他の芳香剤、芳香消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。),その他の消臭剤(工業用及び身体用のものを除く。)」に使用した場合は、「(トイレや洗面所の壁等に)掛けるだけ」といった商品の用途、使用方法を表示し、自他商品の識別標識としての機能はなく、また、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、判断し、本願を拒絶したものである。
3 請求人への審尋
平成19年2月7日付け審尋書をもって通知した審尋の理由の要旨は、次のとおりである。
以下の証拠によれば、本願商標「かけるだけ」の文字は、その指定商品中、例えば「せっけん類、芳香消臭剤(工業用)及び身体用のものを除く。)、薬剤」等に使用するときは、単に、商品の使用方法等を表示するにすぎないものといわなければならない。
したがって、本願商標を、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は、免れ得ないものである。
(1)「不快害虫液」の商品を紹介する頁において「液体タイプなので、かけるだけで、不快害虫をすばやく退治」(http://www.sumika-takeda-engei.co.jp/guide/guide11.html)との記載がある。
(2)「アブラムシなど 害虫の予防・駆除に殺虫剤」の見出しのもと、「かけるだけでノックダウン!コバエ退治スプレー 450ml」 (http://72.14.235.104/search?q=cache:8dp3u7BYQRAJ:www.rakuten.co.jp/gardensk/436158/430119/684801/+%E3%80%8C%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%A0%E3%81%91%E3%80%8D%E5%89%A4&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=4)との記載がある。
(3)清掃用品を紹介した頁において「かけるだけで排水口やトイレもきれいスッキリ! かけるだけでトイレや排水口などの汚れ・悪臭・バイ菌もスッキリきれいにします。」(http://www.monotaro.com/etc/popup/ebk/rb2/rb2_0545.pdf)との記載がある。
(4)「天然由来成分だからお尻にやさしい!」の見出しのもと、「シュっとかけるだけでカンタンに衛生的!温水便座のノズル洗浄剤」 (http://store.yahoo.co.jp/otakaracom-shopping/0z01ya1001008.html)との記載がある。
(5)「業務用強力パイプ洗浄剤”ピカットロン”」の見出しのもと、商品、洗浄剤に「例えば排水管なら原液を流し込み、短時間放置して水で流すだけで汚れも詰まりもスッキリ。髪の毛やアカでドロドロの浴室の排水口も、台所の三角コーナーのヌルヌルも原液をかけるだけ。しかもこすらずキレイにできるのですから、こんなうれしいことはありません。」(http://www.dinos.co.jp/s/p349236/)との記載がある。
4 請求人の回答(要旨)
上記3の審尋書に対し、請求人は、回答の要旨を以下のように述べ、証拠方法として第1号証ないし第9号証を提出している。
(1)意見書でも述べたように、「かける」という語は、壁に「掛ける」のほか、「欠ける」、「架ける」、「懸ける」、「駆ける」、「賭ける」等の漢字が想起され、必ずしも「掛ける」に限定されるものではない。
そうして、壁などに掛けて使用する芳香消臭剤等は、以下の証拠からも明らかなように、極めて少ない。インターネットの医薬品通販のホームページにおいて消臭芳香剤等を検索したところ、壁に掛けて使用される消臭剤は、売れている順上位40件中1件)、芳香剤は40件中2件(1件は本体、1件は付替え用の商品)のみであり、他は全て置くタイプのものと、スプレー式タイプのものである。また、大手ドラッグストアー「マツモトキヨシ」のホームページでは、30個の消臭剤が通信販売されているが、壁などに掛けて使用する消臭剤は一つもない。
以上のことから、本願商標から、『(トイレや洗面所の壁等に)掛けるだけ』という意味が一般的に想起されるとは考え難い。
また、添付の資料において明らかなように、消臭芳香剤等には、粉末状・ムース状・スプレー式・据え置式・コンセントに差し込むプラグ式等、様々なタイプのものがある。そして、これらの消臭芳香剤のタイプによって、上述した「かける」という語の意味合いが異なっている。すなわち、粉末タイプの消臭芳香剤では「ニオイの元に振りかけ、掃除機をかけるだけで、部屋中を清潔なハーブの香りで満た」す。ムースタイプの消臭芳香剤では、「カーペットにふりかけるだけでOK!」である。掃除機用の芳香剤では、掃除機の中にセットし「掃除機をかける度にシトラスの香りがお部屋に広がる」。液状の消臭剤では、「悪臭の元に直接ふりかけるタイプの消臭剤」があります。スプレータイプのものでは「噴きかける」ことで消臭効果を発揮するものとされている。したがって、指定商品との関係からも、本願商標から、『(トイレや洗面所の壁等に)掛けるだけ』という意味が一般的に、あるいは一義的に想起されるとはいい難いということができる。
(2)また、当審において引用された幾つかの例においても、「かける」と言う語の用例が示されているが、いずれも原審が指摘した「(トイレや洗面所の壁等に)掛ける」とは意味が異なっている。このように区々な意味合いが引用されることこそ、原審が誤った認定をしたこと、及び当審における新たな指摘さえもが誤っていることの証左である。
(3)なお、登録第4265689号の商標は、標準文字で「かけるんです」の文字からなるところ、第5類について登録されているのも、上述のような理由によるものと考えられる。
(4)以上のように、本願商標は、原審が言うような「(トイレや洗面所の壁に)掛けるだけ」といった商品の用途、使用方法を表示したにとどまるものではないばかりか、当審の指摘もこれと矛盾するものであって、十分に自他商品識別力を発揮するものであり、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の判断は誤ったものである。
5 当審の判断
本願商標は、上記のとおり、「かけるだけ」の平仮名文字を書してなるところ、前半部分の「かける」の文字は、「撒(ま)きそそぐ。あびせる。」(広辞苑第5版 株式会社岩波書店発行)の意味を有する語であり、例えば、「汚れに直接かける無臭の消臭剤」、「ニオイの元を分解できるようたっぷりかけることが必要」、「トイレをした後にスプレーをかけるようにして。」等のように、普通に使用されている文字と認められ、後半部分の「だけ」の文字は、「それと限る意。のみ。」(広辞苑第5版 株式会社岩波書店発行)の意味を有するものである。
そして、本願商標の「かけるだけ」の文字は、「撒きそそぐだけ」及び「あびせるだけ」の意味合いを認識させるものであり、該文字は、例えば、「かけるだけで排水口やトイレもスッキリ!」、「台所の三角コーナーのヌルヌルも原液をかけるだけで・・・。」及び「シミや汚れにプシュっと直接かけるだけ!ピンポイントの消臭力!」等のように、消臭剤、洗浄剤及び薬剤等を扱う業界においては、日常的に親しまれた語として普通に使用されているということができる。
上記した実情は、以下のような新聞記事情報及びインターネットの情報からも裏付けられる。
(1)2007年5月11日付け日本農業新聞7頁には、「[技術を追う]キウイフルーツの液体授粉/愛媛・JA東予園芸ヘイワード部会」の見出しの下、「■研究者から 確実、丁寧に噴霧/スプレーでかけるだけなので、慣れてくるに従って、つい表面に噴くだけの雑な作業になってしまいがち。柱頭への確実な授粉が目的だということを忘れずに、丁寧な作業を心掛けてほしい。」との記載がある。
(2)2006年6月11日付け愛媛新聞朝刊の見出しに、「生ごみにかけるだけでOK 消臭ウオーター 光触媒利用 松下産業(東温)開発」の見出しの下、「悪臭を放つ生ごみなどに吹きかけるだけで、においが消える。」との記載がある。
(3)2006年3月8日付け産経新聞/東京朝刊の19頁には、「消臭剤 広がる市場 共働き世帯の増加、ペットブーム...」の見出しの下、「消臭剤市場が活況を呈している。特にカーテンやソファなど布製品に吹きかける『スプレー式消臭剤』や、置くだけで室内のにおいをとってくれる『置き型消臭剤』の人気が高く、各メーカーは競って新商品を打ち出している。・・・/≪ひと吹きで≫/シュッと吹きかけるだけで布製品のにおいを取ってくれるスプレー式消臭剤のシェアの大半を占めているのが・・・。」の記載がある。
(4)2005年12月10日付けの西日本新聞朝刊32頁には、「福岡県/福岡農業高 生徒が育てた独自ブランド「福農米」売れ行き好調/低農薬、有機栽培売り物に/ふくおか都市圏南部」の見出しの下、「堆肥(たいひ)は稲わら、籾殻、精米の際に出る米ぬかを発酵させたものを使い、有機栽培に徹している。農薬は除草剤を一回、殺虫剤を一回かけるだけに抑えている。」の記載がある。
(5)2005年10月26日付けの北海道新聞夕刊全道13頁には、「日産化学工業*除草剤価格 不当に拘束*ラウンドアップハイロード*公取委が立ち入り」の見出しの下、「米化学大手「モンサント」が開発、製造する除草剤の商品名。雑草の一部にかけるだけで全体を枯らし、種類に関係なく効果を発揮。」の記載がある。
(6)「ペット用品通販ショップペット健康水」の見出しのウェブサイトにおいて、「ワンちゃんのお散歩 ペットオーナーのエチケット/外出先でのオシッコ跡にかけるだけで、オシッコを消臭、分解!」との記載がある。(http://6822.teacup.com/99islands/shop)
(7)清掃用品を紹介した「株式会社MonotaRO」のウェブサイトにおいて、「日本リーバ/ドメスト」の特長として、「トイレなど家中のハイジーン(強力洗浄+ねこそぎ除菌)に。かけるだけでトイレや排水口などの汚れ・悪臭・バイ菌もスッキリきれいにします。」との記載がある。(http://www.monotaro.com/p/0709/8506/)
(8)消臭剤を紹介した「いぬたま/ねこたまーyahoo!ショップー」のウェブサイトにおいて、「ペットのニオイだけじゃない!/狙いをさだめたポイントを徹底消臭!!/シミや汚れにプシュっと直接かけるだけ!ピンポイントの消臭力!!」との記載がある。
(http://store.yahoo.co.jp/inutama-nekotama/043057.html)
(9)ガーデニング用品を紹介した「花ごころ特許製品」のウェブサイトにおいて、「弱った土の再生液/一度使用した(使用中の)土にかけるだけ再生させます。」との記載がある。(http://www.hanagokoro.co.jp/tuti_catalog/youto.html)
以上よりすると、消臭剤、洗浄剤や薬剤においては、粉末状や液状の商品を直接、そのまままき散らしたり、あびせたりして使用できるものが製造、販売され、それらは、かけるだけで効能及び効果がある商品とされているといえるものである。
そうとすれば、本願商標の「かけるだけ」の文字を、本願指定商品中の「消臭剤」、「洗浄剤」及び「薬剤」に使用しても、これに接する需要者、取引者は、単に、該商品が「かけるだけで効能及び効果がある商品」という意味合いを容易に理解するにとどまるものであり、結局、本願商標は、単に商品の使用方法を表示したにすぎず、自他商品としての識別標識としての機能は認識し得ないものというのが相当であり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
なお、請求人は、審尋書に引用したウェブサイト情報について、原審が指摘した理由とは意味が異なっていることを主張し、当審の判断も誤りである」旨述べているが、本願商標の「かけるだけ」は、原審において、「本願指定商品中「芳香剤、消臭剤」について使用した場合、「(壁等に)掛けるだけ」を意味するから、商品の用途、使用方法を表示したものと認定し、自他商品を識別するための標識は認識し得ないとしている。」旨認定したが、当審において証拠調べを行った結果、「かけるだけ」の文字が、液状または粉末状のものを「撒きそそぐだけ。あびせるだけ。」等の意味を有する「かけるだけ」の文字を普通に使用している証拠を示しているものであり、その証拠を当審の審尋書において通知し、その理由を明らかにしたものであるから、請求人のこの主張に正当性は見出せない。
また、請求人は、「本願商標の構成中の「かける」の文字は、「掛ける」、「欠ける」、「架ける」、「懸ける」、「駆ける」及び「賭ける」等の漢字が想起され、一つに特定できない抽象的な表現であり、商品の用途、品質について具体的な内容を意味するとはいえないから、十分に自他商品の識別力を発揮するものである。」旨主張しているが、上記漢字が想起されることを否定するものではないが、本願商標の構成は、「かけるだけ」の平仮名文字よりなるところ、これを本願指定商品中の「消臭剤」、「洗浄剤」及び「薬剤」等に使用した場合、上記の新聞記事情報及びインターネットの情報からすれば、「直接、そのまままき散らしたり、あびせたりして使用できる効能及び効果」を認識、把握するというのが相当であるから、この主張は採用できない。
さらに、請求人は、登録例等を挙げているが、該登録例は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例によって、上記した使用されている事実が否定されるとはいえないから、請求人のその主張は採用できない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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