Trademark Appeal Case
地名商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−15865(T2006−15865/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ニセコ高原」の文字を横書きしてなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年8月29日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同18年9月22日付け及び同年10月26日付け手続補正書により、最終的に、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『ニセコ高原』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、これは『北海道虻田郡倶知安町。ニセコアンヌプリの南・東麗一帯の高原。代表的なスキー場。』に係る地名と認められ、観光地、スキー場としても良く知られているものであるから、これをその指定商品に使用したときは、ニセコ高原で生産、販売された商品であることを認識するにとどまるものであって、その商品の産地又は販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「ニセコ高原」の文字を横書きしてなるところ、「コンサイス日本地名事典 第4版」(三省堂)において「ニセコ高原:虻田郡倶知安町。ニセコアンヌプリの南・東麗一帯の高原。代表的なスキー場。」との記載が認められる。
一方、本願商標構成中の「ニセコ」の文字は、前記同事典によれば、「北海道南西部、後志支庁。ニセコアンヌプリ火山群を中心にした地域名。・・・観光地として知られるにおよんでニセコが使用されるようになった。1964(昭和39).10.1旧狩太町がニセコ町に改められた。・・・」の記載が認められ、さらに、羊蹄山とともにスキーのメッカとして北海道を代表する観光地を表示するものとして知られている(例えば、株式会社ジェーティービー(http://www.jtb.co.jp/kokunai/Mesh.aspx?mesh=010204)のホームページにおける「国内旅行 北海道」に「ニセコ・羊蹄山」、近畿日本ツーリスト株式会社のホームページにおける(http://yado.knt.co.jp/yadolist/1010101500001/)、「旅館・ホテル予約」において、「ニセコのホテル・宿泊施設・旅館」等の記載)。
同じく「高原」の文字は、「海面からかなり高い位置にあって、平らな表面をもち、比較的起伏が小さく、谷の発達があまり顕著でない山地。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有し、普通に使用されている語であることからすると、本願商標の構成文字全体として、「北海道の観光地の一つであるニセコ周辺の平らな、比較的起伏が小さく、谷の発達があまり顕著でない山地」程の意味合いを、容易に、認識、理解させるものである。
そして、「ニセコ高原」及び「ニセコ」の文字が、地域名、観光地名を表示するものとして、新聞記事情報、インターネットのホームページにおいて、以下のように使用されていることを窺い知ることができる。
(1)「(うまいものが食べたい)ニセコのチーズ 地元生乳の風味凝縮 /北海道」(2006.10.26 朝日新聞 北海道朝刊)の見出しのもと「ニセコ高原の牛乳のよさをフルに引き出した魅力たっぷりの味わいだった。・・・ニセコ駅から道道を倶知安方向に4キロ。東山スキー場のふもとに関規明さん(49)経営のロッジ風の工房「ニセコ・フロマージュ」があった。ミルク缶を利用した看板が親しみを与え、自然にマッチする。」の記載。
(2)「北海道内の自治体、修学旅行誘致競う――体験観光などPR、十勝4町で連携。」(2006/03/23, 日本経済新聞 地方経済面 (北海道))の見出しのもと「ニセコ町 ニセコ高原のペンションなど15軒が「ポテト共和国」を作り、自然体験や手作り体験を売り物に誘致」の記載。
(3)「英国の画家 故マシィーさん作品展*長男 遺志継ぎニセコで*版画や油彩37点展示*「訪問望んでいた」」(2005.08.05 北海道新聞朝刊地方)の見出しのもと「「母国スコットランドにそっくりのニセコ高原で、そこに住む人たちにみてもらいたかった」。・・・羊蹄山やニセコ高原などを巡るうちに、この地方の風景が故郷とそっくりなのに気付いた。」の記載。
(4)「北海道お薦めの自然――雄大さじっくり堪能(何でもランキング)」(2003/08/16, 日経プラスワン)の見出しのもと「3 ニセコ 360 ニセコアンヌプリと羊蹄山のふもとのリゾート地。乗馬や川下りなどアウトドアを体験できる」の記載。
(5)「雪を惜しんで−−北海道・ニセコ高原」(2002.04.19 毎日新聞 北海道朝刊)の見出しのもと「猛スピードで押し寄せる春。後志管内倶知安町ニセコ高原のひらふスキー場では、若者らが名残を惜しむかのようにスキーやスノーボードを楽しんでいる」の記載。
(6)「札幌スキー工業、リゾート型スキー工場、真狩村に建設 一般客、自由に見学。」(1987/09/08, 日本経済新聞 地方経済面 (北海道))の見出しのもと「ルスツ、ニセコ高原など近辺のスキーを中心とするリゾート客を対象に気軽に製造現場を見てもらい、道産スキーの需要を掘り起こす狙いだ。」の記載。
(7)「ゆこゆこネット」の見出しのもと「ニセコアンヌプリ・・・ニセコと羊蹄山の絶景を望む高原温泉リゾート 温泉の概要 羊蹄山から尻別川を挟んだ西側、雄大な峰々が美しく並ぶ緑豊かなニセコ高原南麓に広がる温泉地。」(http://www.yukoyuko.net/onsen/detail/info-spa0674.html)の記載。
(8)「全国旅そうだん 全国地域観光情報センター」の見出しのもと「観光情報検索」に「ニセコ高原 ニセコアンヌプリを中心とした山々とニセコ昆布などの温泉郷,大谷地湿原,神仙沼などが彩りをそえる。標高こそ低いが,緯度の関係から本州の3千m級の山と同じような高地性の植物,動物が見られる。冬のスキー場は深々と粉雪におおわれ,全国スキーヤーのあこがれのまと。」(http://www.nihon-kankou.or.jp/soudan/ctrl?evt=ShowBukken&ID=01401ab2020004220)の記載。
(9)「株式会社 阪急交通社」のホームページにおける「国内旅行」の項に「●ネット限定!さわやかな北海道へ行く ホテル日航アンヌプリ宿泊フリープラン 夏休みにもまだまだ行ける!ニセコ高原に2連泊&朝食・夕食付き」(http://blog.hankyu-travel.com/mail_club/archives/2006/07/post_107.html)及び「関東発 北海道フリープラン」の項に「北海道キャンペーン!ニセコ高原フリープラン3日間」(http://www.hankyu-travel.com/tyo-d/index.html)の記載。
(10)「MSNトラベル」の見出しのもと「1000m台地展望台 概要 ゴンドラリフトで片道10分ほどの、ニセコ高原の澄んだ風を感じられる場所。」(http://travel.jp.msn.com/domestic/guide/detail.aspx/routetype=prefareasubgenre/domesticareaid=1/prefid=1/prefareaid=102/genreid=3/subgenreid=308/guidecode=1000964/guidesort=spottitle/)の記載。
(11)「JAFお薦めドライブコース」の見出しのもと「絶景シーサイドルート 積丹半島とニセコ高原・洞爺・登別」(http://www.jaf.or.jp/dguide/summer/00090055/index.htm)の記載。
(12)「北海道開発局 まちづくりメールニュース 18.4.11(通巻108号)」の見出しのもと「まちづくり事例紹介その45」において「ニセコ町を大きく分けると、中心市街地地区、ニセコ高原地区、田園文化地区と3つのエリアに分かれます。」(http://www.hkd.mlit.go.jp/zigyoka/z_jigyou/sinko/mn108.pdf)の記載。
(13)「旅館・ホテル・ビジネスホテル・温泉旅館の宿泊予約サイト「旅館ホテル温泉得だね情報局」における「北海道の特選旅館・ホテル・ビジネスホテル ニセコ高原・レンタルコテージ ニセコひらふ大神田」(http://www.tokudane1.com/a_hokkaido16/index.html)の記載。
(14)「ニセコひらふ教育旅行協会」の見出しのもと「平成元年10月に東京で実施した「ニセコ高原イメージアンケート」の集計結果、81.8%がニセコを知っている。実際に訪れた人は41.9%に上がり、季節別では夏44.0%、冬40.0%、春26.7%であり、冬より夏の方が多い。」(http://www.nihi.net/area/history016.html)の記載。
ところで、一般に、広く知られた観光地においては、その地域の特産品に限らず、菓子をはじめとする各種の食料品等が土産品として販売されていること、及び、これに当該観光地において取り扱われる商品であることを表示して取引に資することが普通に行われている実情にあり、それに用いられる地名、地域名等の表示は、商品を流通過程に置く場合に必要な表示として何人もその使用を必要とするものであって、その使用の機会を当該地域において商品を生産、販売する多くの事業者に開放しておくことが適当であるというべきである。
してみれば、本願商標は、観光地の一として知られる地域を表示するものとして使用されていることから、これをその指定商品に使用した場合、取引者、需要者をして、商品が、当該地で、生産され、販売されているであろうと認識するとみるのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
なお、請求人は、登録例を挙げるとともに、特定の商品の産地、販売地であるか否かについては現実に指定商品が生産されていない場合において、なおこれを顕著性がないとする場合は、当該地理的名称に対する取引者、需要者の知識による分別、判断の作用の如何を根拠とすべきであって、いたずらに地理的名称であるが由をもって顕著性のないものと速断すべきでない。また、「ニセコ高原」と言う地名は存在しないのであり、出願人がその商品を販売するにあたり、独自に創案したものであり、普通に使用されている事実もない旨主張している。
しかし、本願商標は、通常、使用される行政区画表示としての地名ではないとしても、これが、一般に、観光地、一定の地域名を表示するものとして、現実の商取引、新聞情報等において、普通に使用されている事実がある以上、本願商標をその指定商品に使用すれば、需要者が商品の販売地等を表示したと認識することは明らかであり、このような標章を特定人に独占使用させることは公益上望ましくないというのが相当である。
また、商標登録出願に係る商標が上記条項に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品等の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた商標登録例の存在によってその認定は左右されないというべきである。
したがって、上記、請求人の主張は採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、単に商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと認められるから、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定、判断した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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