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Trademark Appeal Case

著名商標の称呼・外観類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89087(T2006−89087/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4792255号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4792255号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成15年11月11日に登録出願、第9類「デジタルカメラ機能付き望遠鏡」を指定商品として、同16年6月29日に登録すべき旨の査定がされ、同年8月6日に設定登録されたものであるが、商標登録原簿の記載によれば、権利放棄により消滅し、抹消の登録が同18年9月19日になされているものである。

第2 引用商標

1 請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下(1)ないし(7)のとおりである。

(1)登録第655209号商標(以下「引用商標A」という。)は、「VOGUE」の欧文字を横書きしてなり、昭和36年10月23日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同39年10月9日に設定登録、その後、4回に亘り、商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、平成17年4月6日付けで商品の区分第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第967284号商標(以下「引用商標B」という。)は、「ヴォーグ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和43年12月20日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同47年6月7日に設定登録、その後、3回に亘り、商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については、平成14年11月27日付けで商品の区分第6類、第9類、第16類、第19類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

(3)登録第4547685号商標(以下「引用商標C」という。)は、「ボーグ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成11年1月8日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同14年3月1日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

(4)登録第4802292号商標(以下「引用商標D」という。)は、別掲(2)のとおり、「VOGUE」の欧文字を書し、当該「VOGUE」の文字の「O」の文字の内部に「NIPPON」の欧文字を配した構成よりなり、平成16年2月20日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月10日に設定登録、現に有効に存続しているものである

(5)登録第4717026号商標(以下「引用商標E」という。)は、「ヴォーグ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成11年1月8日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」の他、第3類、第9類、第14類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同15年10月10日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

(6)登録第4693538号商標(以下「引用商標F」という。)は、「ボーグ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成11年1月8日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」の他、第3類、第9類、第14類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同15年7月18日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

(7)登録第4679662号商標(以下「引用商標G」という。)は、「ボウグ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成11年2月18日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具」の他、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同15年6月6日に設定登録、現に有効に存続しているものである(以下、一括していうときは「引用各商標」という。)。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第150号証(枝番を含む。以下、枝番のすべてをいうときは、枝番を省略する。)を提出した。

1 理由

(1)商標法第4条第1項第15号について

引用商標Aは、請求人の所有に係るファッション雑誌の題号として、日本を含め世界的に著名となっている商標である。

また、引用商標Bは、引用商標Aのカタカナ表記の「ヴォーグ」であって、我が国においては第二次大戦以前より現在に至る迄、引用商標Aのカタカナ表記として日本国内において使用され、日本国内で周知著名となっている。

さらに、引用商標Cは、引用商標Aのカタカナ表記として、我が国の新聞社をはじめ、辞典,雑誌等の出版業界で「ボーグ」として使用され、本件商標の出願日以前から周知著名性を獲得し、現在に至っているものである。

引用商標Aの称呼に関し、「日本語の感覚からすれば『ボーグ』と『ヴォーグ』の称呼の区別はつけにくいところである」点は、東京高裁によるVOGUE関連判決における認定でも明らかである。

現に、我が国における「VOGUE」誌の説明においても「ボーグ」と表記している例も多くみられている。

しかも、「登録商標の著名度が高い場合には、その著名度の高い部分に世人の注意が集中し当該著名商標の称呼、観念が生じる」ことも裁判所においても明確に認定されているところである。

我が国では、引用商標A及び引用商標Bの専用使用権者である(有)コンデナスト(平成17年10月1日、(有)コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン)により、「VOGUE」誌の日本語版は、「VOGUE NIPPON」誌として平成11年以降発行されている。しかも、「NIPPON」の文字は、「VOGUE」の「O」の中に小さく表示されているにとどまり、「VOGUE」の日本語版であることを示す附記的部分にすぎないから、引用商標A「VOGUE」と、「VOGUE NIPPON」とは、実質的には同一の標章である。

したがって、引用商標Aないし引用商標Dは、本件商標の出願日以前よりファッション雑誌のタイトルとして周知・著名であると共に、本件商標の登録査定時及び現在に至るまで、周知著名性のある商標となっている。

これに対し、本件商標は、肉厚のゴシック体の小文字「digivogue」からなるものである。

このうち、「digi」は、「デジタル」の略語として、日本において通用する語又は文字となっている。

したがって、本件商標と引用商標A及び引用商標Dとは、その要部「vogue」を共通とするものであるから、外観、称呼及び観念が類似する。

また、本件商標と引用商標B及び引用商標Cとは、称呼及び観念が類似する。

さらに、被請求人のホームページによれば、被請求人は、ファッションを追い求めていることが窺われるところ、ファッションを追い求めている被請求人が著名なファッション誌「VOGUE」の存在を知らないはずはない。

ファッション誌「VOGUE」の存在を知りながら、本件商標を取得したとするならば、商標権者にフリーライドの意図があったことは明らかである。

そうとすれば、本件商標は、引用商標Aないし引用商標Dと、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標Eないし引用商標Gとは、称呼と観念において類似し、かつ、指定商品が抵触する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号にも違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、当該審判請求に対して、何ら答弁していない。

第5 当審の判断

1 引用各商標の著名性について

(1)甲各号証を総合すると、以下の事実が認められる。

「VOGUE」誌は、1892年にフランスで創刊され、1915年にアメリカ版、1916年にイギリス版が創刊されたファッション雑誌(甲第55号証ないし甲第63号証)で、我が国(「VOGUE NIPPON」(ヴォーグ ニッポン)、1999年9月1日発刊、甲第70号証)を含めて世界の15カ国から発刊(2001年10月1日現在;甲第66号証)されている。

そして、我が国において、本件商標の登録出願前に発行された百科事典類には、「ボーグ Vogue フランスの服飾雑誌。」(甲第57号証)、「ボーグ Vogue 婦人服飾流行雑誌。・・・ファッション雑誌としては高水準のものを紹介している・・」(甲第56号証)などのように記載している。また、「アメリカ州別文化事典」(甲第60号証)には「Vogue ボーグ。月刊ファッション誌。ファッションマガジンの代名詞と言われる高い評価を獲得した。」と、「アメリカを知る事典」(甲第61号証)には「ボーグ|Vogue 1893年に発刊されたファッション雑誌。・・《ボーグ》は代表的なファッション誌となった。」と、「現代用の基礎知識1980年版」(甲第62号証)には「流行雑誌。外国の代表的なものとしては、『ヴォーグ』(Vogue米、仏、英版)」、「現代用語の基礎知識1980年版」(甲第85号証、甲第63号証と同じ)には「ボーグ(vogue) 流行。服飾雑誌の名。」との記載がある。

また、服飾関係の事典類等にも、「ヴォーグ Vogue」に関し、著名なファッション雑誌である旨の記載がある。

さらに、我が国の著名な週刊誌、全国紙等にも、例えば、「世界的なハイファッション誌、フランスの『ボーグ』が・・〈パリモードを魅惑の日本で・・〉という・・日本特集を企画。」(甲第14号証)、「フランスのファッション誌『ボーグ』の編集長のフランソワーズ・モー夫人が来日した。」(甲第29号証)などのように、その時々の話題として記事が掲載された。 そして、「VOGUE」誌に関する上記事典類、新聞、雑誌等においての掲載は、「VOGUE」、「vogue」、「Vogue」の文字のほか、「ヴォーグ」又は「ボーグ」の文字が併記されていたり、あるいは「ヴォーグ」又は「ボーグ」の文字が単独で使用されていた。

(2)上記(1)の事実からすると、請求人(請求人が合併する前はザ・コンド・ナスト・バプリケーションズ・インコーポレーテッド社)の発行するファッション雑誌の題号である「VOGUE」の表示は、本件商標の登録出願時(平成15年11月11日)においてはいうまでもなく、その登録査定時(平成16年6月29日)においても、我が国の服飾関係のデザイナーをはじめとして、ファッションに関連する商品の取引者、需要者の間で広く知られていたと認められるものである。

2 本件商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり、「digivogue」の欧文字よりなるのであるから、その構成文字に相応して「ディジボーグ」の称呼を生じるものであるが、その構成文字全体として、特定の語意を有するものとして一般に親しまれているものとは認め難いものである。

そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中に請求人の取扱いに係るファッション誌の題号を表示するものとして、我が国において著名な「vogue」の文字部分に注意を強く惹きつけられファッション雑誌「VOGUE」誌を連想、想起するというべきである。

3 出所の混同について

上記1及び2で認定したとおり、「VOGUE」、「vogue」又は「Vogue」の表示は、請求人の取扱いに係るファッション誌の題号として本件商標の登録出願前より、わが国においてファッション関連の取引者、需要者の間で広く認識されているものであり、かつ、本件商標は、その構成中に他人の業務に係る商品を表示するものとして著名な「vogue」の文字を有してなるものである。

また、請求人の業務に係る前記ファッション誌の主たる掲載内容は「婦人服飾関係をはじめ、ファッション全般にわたる記事」であるところ、近時の経営の多角化により、企業が異業種分野に進出する例を参酌すれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者若しくは請求人の承諾を受けた者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

4 むすび

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第4条第1項第11号に該当するか否かについて論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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