Trademark Appeal Case
要部抽出と周知商標の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900005(T2007−900005/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4991745号商標(以下「本件商標」という。)は、「アドバンス・カーライフサービス」の文字を標準文字により表してなり、平成17年8月12日に登録出願、第4類「ガソリンその他の液体燃料,気体燃料,工業用油」を指定商品、第37類「自動車の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備」を指定役務として、同18年9月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3301674号商標(以下「引用商標」という。)は、「ADVANCE」の文字を書してなり、平成6年12月8日に登録出願、第4類「工業用油,工業用油脂,燃料」を指定商品として、同9年5月9日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由の要旨
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、中黒(・)という区切り符号により、「アドバンス」と「カーライフサービス」の語が明確に区切られて構成されるから、前半部分の「アドバンス」の部分が独立して認識される。
本件商標「アドバンス・カーライフサービス」は、12音(長音、促音を除く)という極めて冗長な構成よりなり、簡易迅速を旨とする商取引において商標の一部が省略され、「アドバンス」のみによって簡素化される可能性があるから、「アドバンス」の部分が商標の独立した要部であることは明らかである。
本件商標中の「カーライフサービス」の語は、「車の購入から利用、廃車、乗換えに至る全てのカーライフにおいて提供されるサービス」の普通名称として現実に使用されている。このことは、インターネット検索エンジン「Google」において「カーライフサービス」を検索キーワードとして検索したところ、34,800件ものサイトがヒットしたことからも明らかである(甲第6号証)。
これに対し、引用商標は、「前払い、前渡し金」の意味を有する広く親しまれた外来語である「ADVANCE」の文字を書してなるものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を同一にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品「ガソリンその他の液体燃料,気体燃料,工業用油」と引用商標の指定商品「工業用油、工業用油脂、燃料」は、明らかに同一の商品である。
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、同一又は類似の商品を指定するものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び第15号について
ア 申立人の商標「ADVANCE」について
申立人の商標「ADVANCE」は、エンジンオイル、フォーク用オイル、ブレーキフルード、クーラント冷却液、チェーンスプレー、コンタクトクリーナーなど、モーターサイクル用のさまざまな商品に使用されている世界的に周知・著名な商標である(甲第19号証ないし同第24号証)。
「ADVANCE」オイルの開発には、巨額な投資と多大な労力がかけられた。
現在では、「ADVANCE」オイルは、世界最高峰のバイクレースMotor cupワールドチャンピオンシップに挑戦するレーシングチーム「ドゥカティコルセ」をはじめ、ヨーロッパや日本の数多くのレーシングチームに採用されるに至っている(甲第20号証ないし同第24号証)。
また、我が国においても、「ADVANCE」オイルは、平成10年に発売が開始され(甲第22号証及び同第23号証)、例えば楽天ランキングバイク用オイル部門などでは、「シェルアドバンスウルトラ4」が首位になるなど、我が国の需要者からも強く支持されている(甲第21号証)。
「ADVANCE」は、レースやバイクに興味があれば知らない者はいない程、世界中で有名な存在となっている。
イ 商標法第4条第1項第10号について
上記のとおり、申立人の商標「ADVANCE」は、世界的に周知・著名な商標になっている。
してみれば、本件商標は、申立人にかかる商標「ADVANCE」と類似し、申立人が使用する「オイル、ブレーキフルード、クーラント冷却液等」と同一又は類似の商品第4類「ガソリンその他の液体燃料,気体燃料,工業用油」及び役務第37類「自動車の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備」を指定するものである。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり、申立人の商標「ADVANCE」は、世界的に周知・著名な商標であるから、本件商標が、その指定商品第4類「ガソリンその他の液体燃料,気体燃料,工業用油」及び指定役務第37類「自動車の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備」に使用されたときには、当業者・需要者は、当該商品・役務があたかも申立人の業務にかかる商品・役務であるかの如く、当該商品・役務の出所について誤認混同するおそれが高い。
オ よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、10号及び15号に該当するにも関わらず登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
カ なお、申立人にかかる商品「ADVANCE」は、多くの費用と労力をかけて開発され、申立人の中心的かつ重要な商品として位置付けられる、さらに宣伝、広告活動を行ってきた結果、申立人の商標「ADVANCE」には、多大な業務上の信用が化体するものである。してみれば、申立人の商標「ADVANCE」と類似する本件商標の登録を許すことは、申立人の商標「ADVANCE」の希釈化を招来し、申立人の商標保護に対する努力が水泡に帰すような結果を招く。また、混同を生じさせる商標が存在することにより、申立人が被る経済的損失も無視できるものではない。してみれば、商標法の法目的に鑑みて、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり、「アドバンス・カーライフサービス」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成は「アドバンス」と「カーライフサービス」各文字間に中黒(・)を介してなるものの、全てカタカナ文字をもって、同じ大きさで表されているばかりでなく、構成中前半の「アドバンス」が、「前進、進出」等の意味を有する英語「advance」に由来する既成の外来語であり、また、後半の「カーライフサービス」も、本件指定役務「自動車の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備」との関係では、「車の購入から利用、廃車、乗換えに至る全てのカーライフにおいて提供されるサービス」といった意味合いで使用され、役務の内容を表し、自他役務の識別機能を果たし得ないか極めて弱い部分であるといえるとしても、本件指定商品「ガソリンその他の液体燃料,気体燃料,工業用油」との関係においては、特定の商品又は商品の品質、用途等を表示するものとして直ちに認識できるものとはいい難いところであり、当該文字部分が自他商品の識別機能を果たし得ないとはいえないから、むしろ、その構成全体を一体のものとして認識し、把握されるとみるのが自然である。
してみると、本件商標は、その指定商品「ガソリンその他の液体燃料,気体燃料,工業用油」との関係では、構成全体として一体のものとして認識されるから、その構成文字全体に相応し、「アドバンスカーライフサービス」の称呼のみ生じ、一種の造語よりなるものと判断するのが相当である。
一方、引用商標は、「ADVANCE」の文字を書してなるものであるから、これよりは、「アドバンス」の称呼及びの「前進、進出」の観念が生じるものである。
そこで、本件商標より生ずる「アドバンスカーライフサービス」の称呼と引用商標より生ずる「アドバンス」の称呼を比較するに、両称呼は、「アドバンス」の音を共通にするが、その他の音構成において明らかな差異があるから、十分に聴別できるものである。
また、前記のとおりの構成よりなるから、外観において相異するものであり、観念においても区別できるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第10号及び15号について
申立人が提出した甲第19号証ないし同第24号証によれば、申立人は、「モーターサイクル用オイル」等に、申立人のハウスマークである「shell」、「シェル」の文字又は「貝の図」を付して、「ADVANCE」を使用している事実は認められるものの、「ADVANCE」のみで使用している事実が認められないばかりでなく、新聞紙上において当該商品を紹介する際には、「昭和シェル石油の100%出資会社レッドアンドイエローは、今月からモーターオイル用エンジンオイル『シェルアドバンス』を発売した。」(甲第22号証、同第23号証)のように、「アドバンス」ではなく、「シェルアドバンス」として掲載している。
してみると、上記書証によっては、「ADVANCE」自体が、我が国において申立人の業務に係る商標として広く知られているものと認めるに足らない。
また、前記のとおり、本件商標と引用商標とは十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
そうとすると、本件商標は、これをその指定商品に使用するときには、出願時及び査定時において、需要者をして、前記申立人の使用する商標「ADVANCE」を連想、想起させ、申立人及び申立人と経済的、組織的に関係を有する者の業務に係る商品あるかの如き得く、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれはなかったものとみるのが相当である。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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