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Trademark Appeal Case

称呼類似と語尾音の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89042(T2006−89042/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4721649号の指定商品中、第30類「ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,香辛料及びそれらの類似商品」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4721649号商標(以下「本件商標」という。)は、「Herman」の文字を横書きしてなり、平成15年4月8日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同15年10月24日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2671029号商標(以下「引用商標」という。)は、「ヘルマンズ」の文字を横書きしてなり、平成3年12月27日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同6年5月31日に設定登録、その後、平成15年12月16日に商標権の存続期間の更新登録がされ、平成17年7月13日に指定商品を第29類「食用油脂」及び第30類「ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,香辛料」とする指定商品の書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は、指定商品中第30類「調味料、香辛料及びその類似商品」について、その登録を無効とすべきものとする、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。

(1)本件商標と引用商標とを比較検討してみるに、本件商標は、「Herman」のローマ字より成るが、此の語は格別の語義・観念を生ずる意味合いを想起せしめる語ではないので、これに接する看者をして何ら特別な意味ある語として認められるものではなく、その構成に相応して「ハーマン」「ヘルマン」の称呼を生ずるというを相当とするところである。

一方、引用商標は、片仮名文字5文字「ヘルマンズ」を左横書きして成るものであり、これらの文字は格別の語義、観念を生ずる熟語的意味合いを想起せしめるものではないので、これに接する看者をしてその構成上「ヘルマンズ」の称呼を生ずるものであるというを相当とするところである。

しかして、本件商標より生ずる「ヘルマン」の称呼と引用商標より生ずる「ヘルマンズ」の称呼とを比較するに、両者は語尾において「ズ」の音の有無の微差に過ぎず、しかも、称呼識別上、最も重要な要素を占める語頭音を含む前4音「ヘルマン」を共通にし、ただ語尾音「ズ」の音の有無であって、それとても、語尾にあって、それ自体響きの弱い音であることを併せ考慮すれば、両者は、全体の語調・語感が近似し、いずれをも比較した場合であっても彼此紛れるおそれのあるものといわなければならない。してみれば、両者は改めて外観・観念について言及するまでも無く、称呼上類似の商標であると認められる。

また、本件商標と引用商標の指定商品は、前記のとおりであって、本件商標の指定商品中「ウースターソース、ケチャップソース、しょうゆ、食酢、酢の素、そばつゆ、ドレッシング、ホワイトソース、マヨネーズソース、焼肉のたれ、香辛料」については、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。

更に、本件商標の指定商品中「ウースターソース、ケチャップソース、しょうゆ、食酢、酢の素、そばつゆ、ドレッシング、ホワイトソース、マヨネーズソース、焼肉のたれ、香辛料」を除く残余の商品と引用商標の指定商品とは、生産者・流通経路・取引系統等を同じくする類似の商品と認め得るものであるから、被請求人が上記残余の商品に本件商標を使用すると、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標と言わざるを得ない。

(2)請求人の上記主張理由の正当性を立証すべく、本件事案と同じく、語尾音「ズ」の有無に差異を有する二つの商標の類否を争点とする、過去の審決例・異議決定例を甲第5号証ないし甲第18号証に挙げて、請求人は、これを自己の主張理由に有利に援用することとする。

(3)してみれば、本件商標は、引用商標と前4音「ヘルマン」の称呼を共通にする互いに聞き誤らせるおそれの充分にある、称呼上類似する商標である。また、その指定商品においても、互いに相抵触していること明らかなところであり、また、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標であるので、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法同条同項第15号の規定に違反して登録されたものである。

(4)結論

従って、以上の通りであるから、本件商標は、商標法第46条第1項の規定に基づいて、請求人は、被請求人の商標登録につき、指定商品中第30類「調味料、香辛料及びその類似商品」について、請求の趣旨に記載の通りその登録を無効とすべきものとするとの審決を求める次第である。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の上記主張に対し何等答弁していない。

第5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上記のとおり「Herman」の文字よりなるものであって、その構成文字に相応して「ハーマン」「ヘルマン」の各称呼を生ずるものと認められる。

他方、引用商標は、上記のとおり「ヘルマンズ」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ヘルマンズ」の称呼を生ずること明らかである。

そこで、本件商標より生ずる「ヘルマン」の称呼と引用商標より生ずる「ヘルマンズ」の称呼とを比較するに、両称呼は、通常明確に聴取され難い語尾において「ズ」の音の有無にすぎないから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、外観及び観念について考慮するとしても、引用商標と称呼において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中、第30類「ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,香辛料及びそれらの類似商品」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品と認められる。

しかしながら、本件商標の請求に係る指定商品中、上記以外の指定商品と引用商標の指定商品とは、商品の原材料、製法及び生産系統を異にするものというべきであるから、両者は非類似の商品といわざるを得ない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

商標法第4条第1項第15号は、引用商標が需要者の間に広く認識されていること(著名性)が要件とされているところ、請求人は、引用商標の著名性はもとより、引用商標をその指定商品に使用していることについて何等の証拠も提出していないものであるから、本件商標は、これをその指定商品中、第30類「調味料、香辛料及びその類似商品」について使用しても、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき格別の事由も見出せない。

(3)結び

したがって、本件商標は、その指定商品中、第30類「ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,香辛料及びそれらの類似商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

しかしながら、本件商標は、請求に係る指定商品中、第30類「ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,香辛料及びそれらの類似商品」以外の指定商品については、上記のとおり無効にすべき理由がないものであるから、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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