sokuhyo弁理士法人WATT 監修

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結論

敗訴(請求棄却)

商標「スイスカモミール」の地名と原材料の記述性(第4条第1項第16号・第3条第1項第3号|審判不服2005−22458(T2005−22458/J1))

審判番号
不服2005−22458(T2005−22458/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「スイスカモミール」
争点(論点)
地名と原材料の記述性
適用条文
第4条第1項第16号・第3条第1項第3号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
請求不成立(敗訴(請求棄却))

この審決(審判不服2005−22458(T2005−22458/J1)・不服)は、本件商標「スイスカモミール」について、商標法第4条第1項第16号・第3条第1項第3号への該当性が争われた事例です。主な争点は「地名と原材料の記述性」です。特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」と判断しました(請求不成立)。商品の品質や用途を直接表す語は識別力が否定されやすいため、出願前に造語化や図形との組合せを検討することが有効です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「スイスカモミール」の片仮名文字を標準文字で横書きしてなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,芳香剤(身体用のものを除く。),消臭芳香剤(身体用のものを除く。),その他の香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類「消臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),芳香消臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),防臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),脱臭剤(身体用のもの及び工業用のものを除く。),その他の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成16年6月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『スイスカモミール』の文字を書してなるところ、その構成中『カモミール』の文字は、欧州、西アジア原産(今日では世界中で栽培されている)のキク科の植物でそのエキスや精油は医薬、香粧品、食品等の各種商品に広く利用されていることで知られているので、全体として『スイス産のカモミール』であることを理解させるにとどまるものであるから、これを本願の指定商品について使用するときは、単に『スイス産カモミールの精油(或いはエキス)を添加してなる商品』であるという商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、上記1のとおり、「スイスカモミール」の文字よりなるところ、その構成中の「スイス」の文字は、「コンサイス外国地名事典<第3版>」(株式会社三省堂発行)によれば、「ヨーロッパ中部の連邦共和国。正称をスイス連邦。酪農、時計を初めとする精密機械や化学・繊維工業、金融と保険業、観光業が特色。」などの記載あり、これより、該文字は、スイスの国家名を意味し、該商品がスイス産であることを表示するものとして普通に使用されているものである。

そして、これに続く「カモミール」の文字は、広辞苑第五版(株式会社岩波書店)よれば、「カミルレ【kamilleオランダ・加密爾列】(カミツレとも) キク科の一年草。ヨーロッパ原産の薬用植物。高さ約50センチメートル。全体に芳香がある。葉は2〜3回羽状に分裂。夏、周囲が白く中央黄色の頭花をつける。花は発汗剤。乾燥花を茶のようにして飲む。」の記載が、また、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」によれば、「カモミール(英語:chamomile, 学名 Matricaria recutita、シノニム M. chamomile)は、キク科の耐寒性一年草。英語の発音はカモマイル。 和名のカミツレはオランダ語のカミッレ(Kamille)からで、訛った物と思われる。別名カミルレ。カモミールの語源はギリシャ語で『大地のリンゴ』を意味する『chamaemellon』で、これは花にリンゴの果実に似た匂いがあるためである。」などの記載があり、これより、該文字は、リンゴの果実に似た芳香があるヨーロッパ原産の薬用植物(ハーブ)の一つということができる。

そうとすると、「スイスカモミール」の文字よりなる本願商標は、全体として、「スイス産のカモミール(芳香を有する薬用植物・ハーブ)」を認識するものである。

そして、新聞記事及びインターネットからの情報によれば、以下の(ア)ないし(ク)に示したとおり、「カモミール」は、青リンゴに似たフルーティーな香りがするものであり、例えば、消化を助けると共に安眠を促すハーブティー、「カモミール」の香りのボディソープや芳香剤、「カモミール」のエッセンシャルオイルなどが販売されている実情にあることを窺い知ることができる。

(ア)華やぐハーブ産業 「1000億円市場も目前」 情報誌は4万部(1995.06.08 朝日新聞東京朝刊 19頁)の見出しで、「ここ数年人気のハーブ市場が一段と活気づいている。歴史の長い料理用から香料、化粧品、入浴剤、さらに薬効をうたうアロマテラピー(芳香療法)まで持ち出し、業界は『一千億円市場』とはやしたてる。過熱気味のハーブの世界をのぞいた。東京・銀座にあるデパート『プランタン銀座』は先月末一週間にわたってアロマテラピー・フェアを開いた。集まったお客さんは五千人。ハーブ入りの化粧品、乾燥ハーブが入ったペンダント、部屋で香りを楽しむロウソクなどに、手をのばす姿が目立った。ハーブから抽出してつくる精油を使うアロマテラピーの実演もあり、ハーブの香りが充満した。同デパートは『ハーブコーナーの売り上げは毎月二ケタ増』という。ハーブ商品には『薬効』に類した説明がしばしば添えられる。カモミールには体をリラックスさせる作用が、ラベンダーには肝臓障害に効果的といった具合に。アロマテラピーはそこを強調し、精油を用いたマッサージや沐浴(もくよく)、吸入によって心身をリフレッシュさせる『療法』として売り込んでいる。」などの記載。

(イ)天然ハーブでせっけん/添加物使わず手作り/肌弱い人に好評/白石(1997.08.19 河北新報記事情報)の見出しで、「せっけんはラベンダー2種、セージ、バラ、ローズマリー、カモミールと、配合されたハーブ別に6種類。それぞれのハーブに保湿、整肌、清涼などの効果がある。天然のグリセリンも含まれるため、洗顔後の肌の張りも抑えられるという。」などの記載。

(ウ)【得する情報】化粧品プレゼント(1998.01.08 産経新聞東京夕刊 9頁)の見出しで、「ルドン・ラ・ボーテから、カモミールを配合した基礎化粧品『RBカモミール』の4アイテム(化粧水、乳液、クレンジング、洗顔パウダー)=写真=を10人に。」などの記載。

(エ)心身いやす香りの化粧品を発売へ/アユーラ(1999.10.09 読売新聞東京朝刊 11頁)の見出しで、「アユーラは、ボディーケア化粧品のセット『アロマティックナイト』を11月21日発売する。心と体の疲れをいやす効果があると言われるカモミールなどハーブから抽出した香りの成分を配合した。入浴剤、乳液、パウダー、アロマティックキャンドルの4点セット。」などの記載。

(オ)薬草カミツレの収穫作業が真っ盛り、大垣市薬草組合 岐阜県(2001.06.01 日本農業新聞 42頁)の見出しで、「【岐阜・西美濃】大垣市薬草組合はいま、同市内の休耕田を活用し栽培する薬草カミツレの収穫作業が真っ盛りだ。カミツレは、別名『カモミール』。ハーブの代表品目だ。欧州原産のキク科二年草で、発汗作用があるため、風邪薬をはじめ、化粧品、入浴剤、茶などの原料になる。」などの記載。

(カ)「ハーブ カモミールの育て方」と題するウェブページ(http://www.myherb.jp/main/library/herb/ka/kamiture.html)には、「精油にアズレン、ノニル酸、カプリン酸、テルペンアルコールなどの有効成分が含まれているからです。この作用は、ローマンカモミールよりもジャーマンカモミールのほうが優れています。発汗、駆風剤として感冒、リューマチに煎汁を飲むか浴湯料とされ、炎消作用があるので口腔炎や咽頭炎、痔や腫れ物の家庭薬に配合されています。」などの記載。

(キ)「カモミールローマン エッセンシャルオイル(精油) 」と題するウェブページ(http://www.t-tree.net/essentialoil/chamomileroman.htm)には、「<植物>カモミールローマンはヨーロッパ南部及び西部産の多年草で、ヨーロッパの田舎では、道端や水田のあぜ道などに広く自生しています。<エピソード>カモミールという名前は、ギリシャ語で『地面のリンゴ』という意味の言葉に由来しています。カモミールは最も古くから利用されてきたハーブの1つで、古代エジプトには、既にカモミールのハーブが薬草として使用されていたといわれています。カモミールのエッセンシャルオイル(精油)は、シャンプーなど化粧品の原料としても古くから使われてきました。現在でも、カモミール配合のヘアケア、ボディーケア商品がたくさん販売されています。また、リキュールの香り付けや香水の原料としても人気があります。カモミール・ティーは、消化を助けると共に安眠を促してくれるハーブティーとして、ヨーロッパでは一般に広く親しまれています。(ハーブティーとしては、カモミール・ジャーマンのほうが良い味がします。)」などの記載。

(ク)「カモミールジャーマン-ショップユーン-通販」 と題するウェブページ(http://shop.yuwn.com/sho/chamomile/)には、「<カモミールジャーマン>甘いりんごの香りのカモミールジャーマンティーで、腹痛などの民間薬として代表的なハーブです。抽出液には肌を軟らかく白くする効果があるので化粧水(ローション)にするのもお勧めです。<ハーブバス カモミールジャーマン>カモミールジャーマンは、甘いリンゴの香りが疲れた体をふんわり包んでくれます。カモミールの抽出液は、体を温め、肌をやわらかく、更に白くする美肌効果があると言われており、化粧水などにも使われております。疲れたときに、香りと抽出液で癒されます。」などの記載。

以上のことから、本願商標は、これをその指定商品中、「スイス産カモミールの精油(或いはエキス)を添加してなる商品、例えば、せっけん類、化粧品、芳香剤(身体用のものを除く。)、消臭芳香剤(身体用のものを除く。)、その他の香料類、薬剤」に使用しても、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

なお、請求人は、「スイス」の文字を含む他の登録例を引用して、本願商標も全体として一連不可分の造語商標である旨主張しているが、本願商標がたとえまとまりよく表されているとしても、語頭に位置する「スイス」の文字は国家名を、また、これに続く「カモミール」の文字も薬用植物(カモミール)を表すこと前述のとおりであり、全体として、スイス産のカモミールを表示したものと認識させるにとどまるものであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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