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Trademark Appeal Case

死者名の商標登録と公序

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−12859(T2006−12859/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供」を指定役務として、平成17年8月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その構成中に、スペインの著名な画家『ピカソ(1881−1973)』に通じる『ピカソ』と『PICASSO』の文字を有してなるから、このような国際的にも広く知られた人名を商標として使用・採択することは、国際信義上穏当ではない。さらに、その遺族又は相続人の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第7号について

「世界的に著名な死者の著名な略称を、遺族と何ら関係を有しない者が、遺族等の承諾を得ることなく、商標として登録することは、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものといわざるを得ない。」と解される(東京高裁 平成13年(行ケ)第443号判決 平成14年7月31日判決言渡参照)。

(2)これを本件についてみるに、本願商標は、後掲のとおり、図形と文字との構成よりなり、その構成中に「ピカソ」を看取させるデザイン化され、大きく表した「ピカソ」の文字と、小さく表した「picasso」の文字を有してなるところ、該「ピカソ(picasso)」の文字は、「スペインに生まれ、フランスで製作活動をした画家・彫刻家。キュビスムの創始者であり、20世紀以降で最も有名な芸術家」である「パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、1881年10月25日−1973年4月8日」の著名な略称である。そして、同人は、生涯におよそ13,500点の油絵と素描、100,000点の版画、34,000点の挿絵、300点の彫刻と陶器を制作し、最も多作な画家であるとギネスブックに記されるなど、我が国に止まらず、世界的に広くよく知られているものである。同人の死後、フランス政府は、遺族から相続税として作品を受け取り、1985年に国立ピカソ美術館(一作家の美術館としては世界最大の規模を誇るもので、ピカソの作品だけで油絵251点、彫刻と陶器160点、紙に描かれた作品3000点を所蔵している)を開館。また、2003年には、ピカソの遺族が、彼の出身地であるスペインのマラガにピカソ美術館を開館したことからも、その死亡時から査定時及び今日においても、その著名性が継続しているものと認められる(出典:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia」参照.http://ja.wikipedia.org/wiki「ピカソ」記事検索)。

(3)そこで、本件の請求人(出願人)と前記「ピカソ(picasso)」との関係についてみるに、両者が何らかの関係を有する者であると認め得る証左はなく、また、当該略称の出願や登録に関して、何らかの承諾等を得た者であるともいえないものであるから、本件の請求人(出願人)は、故「ピカソ(picasso)」とは何ら関係を有することのない者といわざるを得ない。

(4)してみれば、本願商標は、指定役務の取引者、需要者に故「パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)」の略称を表す文字よりなるものと容易に認識させるものであるから、遺族等の承諾を得ることなく本願商標を指定役務について登録することは、著名な死者の名声に便乗し、指定役務についての使用の独占をもたらすことになり、故人の名声・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるといわざるを得ないものである。

なお、請求人(出願人)は、登録例を挙げて、本願商標も同様に登録されて然るべきであると主張する。

しかしながら、本号に該当するか否かは、査定時又は審決時において、それぞれ個別具体的に判断されるべきものであり、例えば、登録第2709897号商標及び登録第2711699号商標「picasso」と同様な標章「picasso」(商願平4−34762号)は、拒絶査定不服審判(平成6年審判6837号)によって、商標法第4条第1項第7号に該当するとして、その審決が2000年8月7日に確定していること、及び登録第2685845号商標「ダリ DALI」と同様な標章「ダリ DARI」(登録第3370476号商標)が、前述(1)のとおり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものと判示されていることからも、登録例によって本件の判断を左右され得ないことを窺うことができる。

したがって、請求人(出願人)の主張は採用できない。

(5)以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり、審決する。

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