結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89158(T2006−89158/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4879834号商標(以下「本件商標」という。)は、「クレオパトラアイ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成16年10月5日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同17年7月15日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第142号証(枝番を含む。)及び検乙第1号証を提出した。また、平成19年8月3日に行われた口頭審理において、後述の陳述要領書に基づき陳述し、甲第143号証ないし甲第168号証を提出している。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
請求人が引用する登録第446105号商標(以下「引用商標1」という。)は、昭和28年7月14日に登録出願、「クレオパトラ」の片仮名文字を縦書きしてなり、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、同29年6月12日に設定登録され、その後、平成17年3月9日に指定商品を第3類「化粧品(化粧用染料・化粧用顔料を除く。),香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。),吸香,におい袋」及び第30類「食品香料(香精のもの・精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
同じく登録第1795576号商標(以下「引用商標2」という。)は、昭和57年12月8日に登録出願、「CLEOPATRA」の欧文字と「クレオパトラ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同60年7月29日に設定登録され、その後、平成17年3月16日に指定商品を第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである(以下、上記各商標をまとめていうときは、単に「引用商標」という。)。
(2)本件商標と引用商標の類似について
本件商標は、「クレオパトラアイ」の片仮名文字を横書きしたものであるところ、これは、英語の「cleopatra eye」の字音を片仮名文字で表したものと容易に理解されるものである。
この「クレオパトラ」の文字部分は、古代エジプト王朝最後の王で絶世の美女と云われ謳われる女王を指称するものであり、「アイ」の文字部分は、英語「eye」の字音を表したものであることから、「目」の意味合いが容易に理解されるものである。
そうすると、本件商標の「クレオパトラアイ」の片仮名文字からは「女王クレオパトラの目」の意味合いが看取され得るものである。
ところが、本件商標の指定商品中の化粧品には、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイローションといった目元に使用される化粧品があることは周知の事実である。
例えば、特許電子図書館の「商品・役務名リスト」の検索から、目元、目の周りに使用する化粧品の例が多数抽出されるところであり、これについて甲第4号証の1を提出する。
さらに、商標構成文字中に「アイ」又は「eye」の文字を含む商標がその指定商品を目元に関係する化粧品に限定されて登録されている。その登録例について甲第4号証の2ないし甲第4号証の4を提出する。 これら多数の登録例からして、本件商標の「アイ」の文字部分は、化粧品についてはその用途である「目元用の」の意味合いを表したものと理解され易いものである。
また、上記登録例は「アイ(eye)」の文字が商標の語頭に位置するものが多い。ところが、現実に化粧品メーカーが目元用化粧品に商標を表示する際には、商標文字の末尾に「アイ(eye)」の文字を付加して使用する場合が多く、さらには、その後に「コスメティック、ウオーター、ホワイト、スキン」等の商品の品質・普通名称等を表す自他識別力の無い文字を付加して使用することも一般的に行われている。
例えば、化粧品大手の(株)資生堂が手掛ける化粧品の名称にも、主要な商標文字の後に「アイ(eye)」の文字及び識別力が無い又は弱い文字が付加された次のような商品名のものが見受けられる(甲第4号証の42)。
・「プログラム アイトリートメントカラー」
・「エス・アンド・コー アイカラー」
・「エメルジェ アイカラーN」
・「ピエヌ アイカラーセレクト」
これらの使用例からしても、目元用の化粧品であることを表す目的で「アイ(eye)」の文字を商標の語尾に付加して使用することが一般的に行われている。
また、明化産業株式会社は、「クレオパトラ アイジェル」の文字からなる商品名で目元用ジェル化粧品を販売している(甲第4号証の43)。
これは、上記の化粧品業界で頻繁に採択される商品名の構成手法、つまり、主たる商標に「アイ」の文字を付加し、更に自他商品識別力を有しない文字(この場合、「ジェル」の文字)を付加する手法を探ったものである。
このような化粧品の商品名の構成の実情からしても、本件商標の構成文字「クレオパトラアイ」の末尾に位置する「アイ」の文字部分は、その指定商品中「化粧品」がその用途の「目元用」のものであることを表示したに過ぎないものと理解されるとみるのが自然である。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字より「クレオパトラ」の称呼も生ずるものとみるべきである。
これに対して、引用商標もその構成文字に相応して「クレオパトラ」の称呼が生ずるものであるから、指定商品「化粧品」については、本件商標は引用商標と称呼上類似するものである。
なお、本件商標は、周知著名な引用商標に他の文字「アイ」とを結合した商標であるから、特許庁審査基準からみても、指定商品「化粧品」について、本件商標がたとえその構成文字が一体不可分に構成されたものであったり、「女王クレオパトラの目」の意味合いが理解されるものであったとしても、依然、本件商標は引用商標に類似するものである。
(3)本件商標と引用商標の指定商品の類似について
本件商標は、「化粧品」のほか「せっけん類、歯磨き、香料類」についても、引用商標の指定商品と類似するものである。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は引用商標と称呼上類似するものであり、また、その指定商品中「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」については、引用商標の指定商品と類似するものである。
(1)引用商標の著名性
引用商標は、請求人が1954年(昭和29年)以来、約半世紀にわたって女性用化粧品等に使用した結果、少なくとも、本件商標の登録出願時には、既に請求人の取扱いに係る化粧品を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されるに至っている。
(ア)明化産業株式会社の歴史
1945年9月、創業者の田原梅一郎は、「田原芳香園」の名称で創業し、1951年に株式会社ミドーを設立しており、1953年には、当時としては画期的な美容講習方式による訪問販売を開始した。
田原梅一郎は、化粧品の直販方式(訪問販売)を業界に先駆けて取り入れ、この成功を背景として、1954年2月には「クレオパトラ」または「CLEOPATRA」の商標を付した化粧品(以下「クレオパトラ化粧品」という。)の発売を開始するに至り、社名を「株式会社明化美研」と改称した。
1960年には、クレオパトラ化粧品の販売を目的とする「明化産業株式会社」を設立し、大阪市天王寺区北河堀町に自社ビルを竣工した。同社は、昭和36年(1961年)5月20日に近畿化粧品工業会の会員となり、この当時、既に「クレオパトラ」を使用していたことは、西日本化粧品工業会も証明するところである(甲第9号証)。
昭和45年(1970年)には、関西テレビでクレオパトラ化粧品のスポットCMを放送し、このCMの企画・制作には、著名作家の藤本義一氏が参画している(甲第6号証の38頁、甲第10号証)。
その後、1965年に、大阪府柏原市の新本社工場が竣工し、その5年後には、同地にクレオパトラ中央研究所及び配送センターを開設した。
そして現在、明化産業株式会社は、全国に営業所又は販社を有し、クレオパトラ化粧品の訪問販売活動を行っているのである。
(イ)クレオパトラ化粧品の新商品開発
請求人は、クレオパトラ化粧品について、その誕生当初から現在に至るまで、膨大なバリエーションの商品を開発してきた。
創業35年記念誌「創業35年のあゆみ」(甲第6号証)の各ページの下部には、各時代に発売したクレオパトラ化粧品の一部の製品写真が掲載されている。
(ウ)国際的なブランドと共に注目された例
世界的に有名又は注目を集めて紹介した書籍「世界の化粧品」(甲第55号証)が昭和53年に発行されている。
この書籍には、「クリスチャン・ディオール」、「ゲラン」、「レブロン」、「ランコム」等の有名外国ブランドや「カネボウ」、「クラブ」等の有名国内ブランドの化粧品が紹介されている。
そして、これら有名ブランドと共に明化産業株式会社が手がける「クレオパトラ ダイヤモンドシリーズ」の化粧品が掲載されている。この書籍の発行が昭和53年にさかのぼることから、当時、既に世界に誇ることができる著名な化粧品ブランドに至っていたとみられるのである。
(エ)テレビ又はラジオCM
クレオパトラ化粧品は、訪問販売という販売形態の性格上、あまり派手に広告やCMを行わないが、関西圏から北海道にかけては、20年以上前より、テレビ又はラジオでスポツトCMを放映している(甲第56号証ないし甲第65号証)。これらのスポットCMの音声を納めたCD−Rを検証物として提出する。
(オ)商標の周知証明書
引用商標が明化産業株式会社の取扱いにかかる化粧品を表示するものとして、需要者、取引者の間に広く認識されるに至っていることは、大阪商工会議所が証明するところであり(甲第66号証)、多数の取引先も同様に証明しているところである(甲第67号証ないし甲第96号証)。
(カ)その他
上記のほか、クレオパトラ中央研究所及び本社工場(大阪府柏原市高井田)の最寄駅(高井田駅)のホームにおいて20年以上、「クレオパトラ化粧品」の電飾看板による広告を行い、また、島根県の「島根新聞」へクレオパトラ化粧品紹介記事が掲載されるなどしている。
さらに、明化産業株式会社は、引用商標を「化粧品」に止まらず、「せっけん」についても使用している(甲第47号証及び甲第48号証19頁)。
(キ)以上のとおり、引用商標は、請求人が約半世紀にわたって女性用化粧品等に使用した結果、本件商標の出願時には、既に請求人の取扱いに係る化粧品を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されるに至っているものである。
また、引用商標は、請求人がせっけん類についても18年間継続的に使用した結果、需要者及び取引者の間に一定の周知性を獲得したものといえるものである。
(2)出所の混同について
前記(1)のとおり、引用商標は周知著名な商標であるところ、さらに、本件商標が商品の出所について混同を生ずるものであるとみるべき以下の諸事情が存在する。
(ア)引用商標はハウスマークであること
引用商標は、明化産業株式会社のハウスマークであるから、商品毎に全く異なった商標が使用されるペットマークとは異なって、その自他商品識別力及び出所表示機能は極めて強いものである。
したがって、引用商標は、社会通念上、その出所の混同を生ずる商品の範囲は極めて広いものであるとみるのが妥当である。
(イ)商標登録状況
明化殖産株式会社は、「CLEOPATRA」又は「クレオパトラ」の文字を含む登録商標を24件所有しており、そのうち23件が指定商品中に「化粧品」、「せっけん類」、「歯磨き」又は「香料類」を含むものである(甲第110号証ないし甲第133号証)。
また、絶世の美女「女王クレオパトラ」のイメージから「CLEOPATRA(クレオパトラ)」の文字は、化粧品やせっけんに使用される商標の構成文字中に好んで採択されるであろうことがと推測される。
ところが、「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」を指定商品とする商標の中、「CLEOPATRA(クレオパトラ)」の文字を含む商標登録については、本件商標を除くと第三者の権利の商標は皆無であり、明化殖産株式会社が所有する上記商標群で独占されているというのが現状である。
(ウ)本件商標の構成
本件商標は、8文字で構成されやや冗長であるところ、「クレオパトラ」の文字は、その大部分の6文字を占める極めて顕著なものであり、この称呼部分は聴者に強い印象を与えるものといえる。
(エ)「女王クレオパトラ」と商品「化粧品、せっけん」
女性を綺麗にするための商品である「化粧品、せっけん類」については、本件商標の構成文字中に、絶世の美女の代名詞というべき「クレオパトラ」の文字が含まれている事実には、需要者の注意を大きく惹起するものであり、極めて強い印象を与えるものである。
(オ)商品「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」における混同
引用商標の著名性及び上記諸事情とその商品の性質を考え併せるならば、本件商標をその指定商品中「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について使用するときは、特に商品の出所について混同を生じる可能性が極めて高いものである。
すなわち、「化粧品、せっけん類」と「歯磨き、香料類」とは、その販売店、流通経路、商品の用途等の共通性から、本件商標は、引用商標が永年使用されてきた「化粧品、せっけん類」については、むろん、「歯磨き、香料類」についても、引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるものとみるべきである。
(カ)その他の商品における混同
上記(オ)以外の商品である「かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」については、以下の理由により、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
すなわち、上記商品と「化粧品、せっけん類」とに共通する点は、清浄作用がある、身体を飾る化粧料又は化粧用具であって、きれいにする、艶を出すといった作用のいずれかの点で共通するものであって、昨今のドラッグストア等の同一店舗で同時に販売されている商品も多い。
したがって、引用商標の周知著名度からすると、これら商品についても、十分に出所の混同を生ずるおそれがあるものである。
(キ)結語
以上のとおり、本件商標をその指定商品に使用するときは、需要者、取引者は、請求人の業務に係る商品か、または請求人と経済的に関係のある者に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)不正の目的をもって使用する商標(商標法第4条第1項第19号)
前述のとおり、引用商標は、永年の使用により信用が化体したものであって、周知著名な商標に至っているものである。
このように、引用商標が著名であるにもかかわらず、被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標の出所表示機能を稀釈化させ、商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の希釈化を招くおそれがあるものであるから、本件商標は、商標法第第4条第1項第19号に該当する。
(1)クレオパトラ化粧品の販売網
まず、請求人のクレオパトラ化粧品の販売がある地域に偏ったものではなく、全国的なものであることを説明する。
甲第136号証に示す資料は「クレオパトラ化粧品取扱代理店」の一覧表である。この一覧表は、全ての代理店を網羅したわけではないが、179件の主要な代理店が掲載されているところ、これら代理店は北海道から沖縄まで全国的に分布している。
そして、クレオパトラ化粧品はこれら代理店のもとに販売員として2千数百人が登録されて、全国的に訪問販売活動を行ってきたのである。
(2)目元用化粧品の使用例
被請求人は、答弁書の第3頁ないし第6頁において、本件商標の「クレオパトラアイ」の文字が一体不可分のものと認識されると主張している。
この文字自体は一体に表示されてはいるが、被請求人は化粧品業界の実情をよく理解していないと考えられる。
即ち、化粧品について使用する商標に「eye(アイ)」の文字を顕著に付加されたにもかかわらず、その化粧品が「目元用」のものと全く無関係であるというようなことは、現実の使用実態から乖離したものである。
つまり、目元用の化粧品に「アイ」「eye」の文字がよく使用されるのが実情であって、化粧品業界及びその需要者においては、「アイ」の文字部分が目元用化粧品を表示したに過ぎないものと理解され易いのである。
(3)CM放送
被請求人は、答弁書の第7頁27行目ないし第8頁2行目において、請求人のCM放送が『放送しているのは東北地方の一部の地域にすぎず、20年間継続して行われているわけでもない。関西、北海道ではほんの一時期だけである。』と主張している。
このCM放送は、地域的にはやや北日本に偏りがあるものの、CM放送の総量としてはかなりのものに上っており、放送資料が保管期限切れで既に入手不可能なものもある。
請求人は、上記CM放送のみをもって、全国レベルで引用商標が著名であると主張しているのではない。引用商標の著名度を証する一証拠として、上記放送資料を提出しているのである。
(4)防護商標について
被請求人は、答弁書第9頁の1行目ないし2行目において、引用商標が特許電子図書館の旧本国周知・著名商標検索」で検索しても出てこないと指摘している。
そもそも当該検索頁の「HELP」の説明によれば、検索できる商標は、防護標章として登録されている商標及び異議決定・審判・判決において周知・著名な商標として認定された商標(甲第141号証)である。
防護標章登録出願をするか否かは出願人の自由意思であるし、また、引用商標はこれに関連する異議決定・審判・判決に係る事件が無かったので、当該データベースに蓄積されていないのが当然である。
(5)「CLEOPATRA(クレオパトラ)」の文字の使用
被請求人は、「女王クレオパトラ」のイメージから、「化粧品」関係には好んで使用されると思われるので、造語商標に比較すると、その語自体の識別力が弱く、混同を生ずる範囲は狭いのである。と主張している。
しかしながら、過去に請求人は、引用商標と誤認を生ずる商標の使用に対しては断固たる態度でその使用差止めを行ってきたものである。
つまり、実際は化粧品やせっけん業界の者は、「CLEOPATRA(クレオパトラ)」の文字を含む商標を化粧品やせっけんについて好んで使用或いは登録したいであろうが、引用商標と誤認を生ずるがために使用も登録もできなかった、請求人がそれらの行為を阻止してきた、というのが実情である。
(6)商標の独創性
被請求人は、答弁書の第10頁15行目ないし16行目において、「引用商標1及び2は、周知・著名でないばかりか、何ら独創性もない商標である。」と主張しているが、商標に独創性は必要ない。
また、創造商標であることが著名商標の必要条件ではないのであって、創造商標であるか否かは、混同を生ずるおそれがあるかどうかを考察する上での判断材料の一つに過ぎない。
(7)商標法第4条第1項第19号
引用商標が需要者の間に広く知られている事実を示す資料は、審判請求書及び本弁駁書に添付して提出済みである。
そして、本件商標及びおそらくその使用と推定される甲第138号証に示す商標「CLEOPATRA EYE」は、自ずと「クレオパトラ(CLEOPATRA)」の文字部分に注目が集まるものであって、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあるものといわざるを得ない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番を含む)を提出している。
請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである、と主張している。
しかしながら、請求人の主張は何ら根拠のないものであり、被請求人は以下のとおり答弁する。
本件商標「クレオパトラアイ」は、同書・同大・同間隔に外観上まとまりよく一体的に構成してなり、「クレオパトラアイ」という称呼も冗長ではなく淀みなく一連に称呼できるので、本件商標からは、一体不可分の「クレオパトラアイ」という称呼と、「クレオパトラの目」という観念を生じる。
これに対して、引用商標からは、単に「クレオパトラ」の称呼・観念を生じる。したがって、本件商標は、外観・観念はもちろんのこと、称呼においても、引用商標とは類似しない。
(1)「アイ」、「eye」の文字について
請求人は、本件商標中の末尾に位置する「アイ」の文字部分は、その指定商品中「化粧品」がその用途の「目元用」のものであることを表示したに過ぎないものと理解されるとみるのが自然である、と主張している。
その理由の一つとして、「アイ」又は「eye」の文字を含む商標が、その指定商品を目元に関係する化粧品に限定されて登録されていること(甲第4号証の2〜41)を挙げている。
しかしながら、本件商標と同様に末尾が「アイ(ズ)」「eye(s)」からなる最近登録された商標のほとんどは、目元に関係する化粧品に限定されていない(乙第1号証の1〜8、乙第6号証ないし乙第11号証の各枝番1)。
「アイ(eye)」に文字の後に「コスメティック、ウオーター、カラー」等を付ければ、全体で商品の品質等を表示する語となる場合があることは当然であるが、本件商標や上記の商標は、「アイ(eye)」の後にこのような語が付いているわけではなく、その前の語と結合して一体不可分の語となっているのである。
また、次のような商標が、それぞれ類似しないとされ、別々に登録されているのである。
・「トリニティーアイ」と「トリニティ」(乙第6号証の1,2)
・「ヴィーナスアイ」と「VENUS/ヴィーナス」(乙第7号証の1,2)
・「Happy eye」と「HAPPY」(乙第9号証の1,2)
・「Love eye」と「LOVE」(乙第10号証の1,2)ほか。
本件商標の場合は、片仮名文字だけで一連に書してなるから、上記の登録例の場合以上に、その構成からして「アイ」の文字部分が「目元用」の化粧品を表示したに過ぎないとは言うことができず、構成全体をもって一体不可分のものと認識され、引用商標とは類似しないのである。
(2)引用商標の著名性について
請求人は、引用商標が著名な商標であるから、本件商標は、引用商標と類似するとも主張するが、後述のとおり、引用商標が周知・著名な商標であるとは、言うことができない。
また、本件商標は、8文字中「クレオパトラ」の文字が6文字を占めるものである上、8音の称呼はやや冗長に渡るので、本件商標は、「クレオパトラ」の文字部分が独立して把握され、単に「クレオパトラ」の称呼を生ずる、と主張している。
しかしながら、「クレオパトラ」も「アイ」も、よく知られ使用されている語であるから、容易に結合して、上記のとおり、一体不可分の称呼・観念を生じるので、本件商標は、引用商標とは類似しない。
(3)したがって、本件商標は、引用商標とは外観・観念はもちろんのこと、称呼においても類似するものではなく、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
(1)本号は、「出所の混同のおそれ」を要件として、非類似の商標又は非類似の商品・役務についても適用があることから、引用商標が周知・著名であることを要すると解されている。
特に、「化粧品」は、地域の特産品等の地域的な商品ではなく、全国的に流通する商品であるから、引用商標も当然広い地域で周知・著名でなければならない。
本号に関する審査基準(甲第134号証)の3.によれば、引用商標の周知・著名性の立証方法については、「この基準第2(第3条第2項)の3.(1)及び(2)を準用する。」とされている。
(2)請求人は、引用商標は、請求人が約半世紀にわたって女性用化粧品等に使用した結果、少なくとも、本件商標の出願時には、既に請求人の取扱いに係る化粧品を表示するものとして需要者及び取引者の間に広く認識されるに至っているものである、と主張している。
しかしながら、請求人の立証方法からは、請求人が引用商標を使用している事実は窺えるが、次に示すとおり、「第3条第2項に関する審査基準の3.(1)及び(2)」(乙第19号証)から判断しても、これらの商標の周知・著名性が立証されたとは到底言うことができない。
(ア)売上高や営業の規模等は不明であり、それを裏付ける証拠方法も提出されていない。
(イ)広告宣伝について、請求人は、「関西圏から北海道にかけては、20年以上前より、ラジオ又はテレビでスポットCMを放映している(甲第56号証ないし甲第65号証)」と主張しているが、放映されているのは東北地方の一部の地域にすぎず、20年間継続して行われているわけでもない。関西、北海道ではほんの一時期だけである。
新聞広告(甲第104号証ないし甲第109号証)についても、一地域において単発的に掲載されているにすぎない。
請求人自ら認めるように、訪問販売という販売形態の性質上、広告宣伝は、あまり行われていないのである。
(ウ)請求人は、最寄駅のホームや、工場・研究所等の上部に、「クレオパトラ化粧品中央研究所」「クレオパトラ化粧品」の看板を掲げており(甲第97号証ないし甲第103号証)、それらが、長きにわたって「クレオパトラ化粧品」の宣伝効果を発揮してきたと主張している。
しかしながら、最寄駅、自社ビル、入居しているビル等に看板を掲げ広告宣伝するのは、一般にどこの会社も行なっていることであり、これによってその会社名等が周辺地域の人々に知られるに至ることはあるであろうが、この程度で、本号にいう周知・著名性を獲得するに至ったと言うことは到底できない。
(エ)引用商標が周知であることの証明書(甲第66号証ないし甲第96号証)を提出しているが、これらの証明書は、請求人自身が予め記載した書面に押印したにすぎないものであるし、ほとんどが請求人と取引関係にある大阪市の会社か又は「クレオパトラ化粧品」の各地の販社の証明書であり、信憑性に乏しい。
(オ)「世界の化粧品」(甲第55号)に掲載されていると主張するが、どのような基準で抽出されたのか不明であり、同時に「クレオパトラ化粧品」の広告も掲載されていることからすれば、この書籍に掲載されたことが、果たして周知・著名商標であることを立証していると言えるかどうか大いに疑わしい。
その他、一般紙、業界紙、雑誌、インターネット等に掲載されている記事はほとんどない。
(カ)需要者を対象とした商標の認知度調査(アンケート)の結果報告書等も、提出されていない。
(キ)引用商標は、特許電子図書館中の「日本国周知・著名商標検索」で検索しても、もちろん出てこない。
(3)以上のとおり、引用商標は、周知・著名な商標ではないが、さらに、請求人が主張するような「本件商標が商品の出所について混同を生ずるとみるべき諸事情」も存在しない。
(ア)請求人は、引用商標がハウスマークであるから、ペットマークとは異なって、その自他商品識別力及び出所表示機能は極めて強いものであり、社会通念上、その出所の混同を生ずる商品の範囲は極めて広いものである、と主張している。
しかしながら、「クレオパトラ」という語は、よく知られ日常使用されている語であり、請求人も述べているように、絶世の美女「女王クレオパトラ」のイメージから、「化粧品」関係には好んで使用されると思われるので、造語商標に比較すると、その語自体の識別力が弱く、混同を生じる範囲は狭いのである。
すなわち、造語商標の場合には、特定の意味を持つこともないので、ハウスマークの部分の独立性が高く、著名であれば、それを含む商標は、出所の混同を生じやすい。
これに対して、本件商標の場合は、「クレオパトラ」も「アイ」も、よく知られている語なので、軽重の差なく容易に結合し、全体で一体不可分の「クレオパトラアイ」の称呼と、「クレオパトラの目」という観念を生じるのであり、「クレオパトラ」の称呼・観念を生じる引用商標と出所の混同を生じるおそれはないのである。
(イ)請求人は、「化粧品、せっけん類、歯磨き、香料類」を指定商品とする商標の中、「CLEOPATRA(クレオパトラ)」の文字を含む商標登録については、本件商標を除くと第三者の商標が皆無であるところから、過去において、第三者が上記を含む商標を登録出願した場合、引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるものとして拒絶されてきたのであろうと容易に推測される、と主張する。
しかしながら、被請求人が調査したところでは、引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるとされて拒絶された出願は、皆無であった。
(ウ)さらに、請求人は、クレオパトラの「鼻」は知られているが、「目」は格別有名なものでも特異なものでもなく、これにまつわる話も伝わっていない、と主張している。
しかしながら、いつの時代も、美人の条件の一つは、輝く美しい目であり、いろいろな印刷物等で紹介されている「クレオパトラの目」も特徴的であるし、「クレオパトラの目」と呼ばれる星雲もあるくらいである(乙第20号証の1,2)。
したがって、取引者・需要者は、本件商標から容易に「クレオパトラの目」という観念を想起するのである。
以上のとおり、引用商標は、周知・著名でないばかりか、何ら独創性もない商標である。
したがって、一体不可分の「クレオパトラアイ」の称呼と、「クレオパトラの目」という観念を生じる本件商標は、引用商標と出所の混同を生じるおそれは全くなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
上記のとおり、引用商標は、周知・著名商標ではないので、本件商標は、本号にも該当しない。
さらに、本号に関する審査基準(甲第l35号証)の4.には、「不正の目的」の認定にあたって勘案される資料が例示されているが、請求人は、これらの資料を全く提出せず、本号に該当すると主張するのみである。
引用商標については、被請求人の所在地である福岡県をはじめとして、九州では全く宣伝広告されていないので、被請求人は、これらの商標の存在すら知らなかったのである。九州で唯一周知性に関する「証明書」を提出しているのは、福岡県に所在する「クレオパトラ化粧品福岡販社」(甲第83号証)であり、その証明書は、信憑性に乏しい。
また、引用商標は、日本国内で全国的に知られているとは到底言えないし、本件商標はこれらの商標に類似するものでもない。しかも、造語よるなるものでもなく、構成上何らの特徴も有するものでもないので、本号に関する審査基準(甲第135号証)の5.により、「不正の目的」が推認もされない。
したがって、引用商標が周知・著名でないばかりか、被請求人には「不正の目的」もないので、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものではない。
よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。
本件については、平成19年8月3日に口頭審理が開催され、請求人は、口頭審理陳述要領書に基づき陳述するとともに、証拠方法として甲第143号ないし甲第168号を提出した。該陳述の要旨は以下のとおりである(なお、被請求人及び同代理人は出頭しなかった。)。
(1)請求の趣旨及び理由は、審判請求書及び平成19年8月3日付け口頭 審理陳述要領書に記載のとおり陳述。
(2)請求人は、50年以上にわたり引用商標1及び引用商標2を化粧品、 せっけん等に使用している。
(3)クレオパトラ化粧品は、全国179店の代理店で訪問販売の形態をと っているため、全国的な広告はしていないが、ラジオ又はテレビでスポ ットCMを放映している。
(4)クレオパトラ化粧品の年間売上高は、平成8年から平成17年まで、 各年8億円から4億5千万円で推移している。
(5)書籍「世界の化粧品」への掲載については、掲載基準は不明であり、 また、最新の発行されたものはない。
(6)甲第152号証によれば、化粧品の訪問販売の主なメーカーとして明 化産業(クレオパトラ)が記載されている。
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきである旨主張しているので、以下、これらについて判断する。
(1)引用商標の著名性
請求人より提出された甲各号証によれば、以下のことが認められる。
(ア)引用商標の使用開始時期
請求人は、1945年9月に創業、1951年に株式会社ミドーを設立、1953年に当時としては画期的であった化粧品の訪問販売を開始した。 そして、これが成功すると1954年2月には、引用商標「クレオパトラ」又は「CLEOPATRA」を付した化粧品(以下「クレオパトラ化粧品」ともいう。)の発売を開始した。
1960年には、クレオパトラ化粧品の販売を目的とする「明化産業株式会社」を設立し、大阪市天王寺区北河堀町に自社ビルを竣工した。
その後、1965年に、大阪府柏原市の新本社工場が竣工し、その5年後には、同地にクレオパトラ中央研究所及び配送センターを開設。そして現在、明化産業株式会社は、全国に営業所又は販社を有し、クレオパトラ化粧品の訪問販売活動を行っている。
(イ)使用期間
上記(ア)で述べたように、請求人は1954年2月以来50年以上にわたって、一環して引用商標を付した化粧品の販売を継続して行っていることが認められる(甲第5号証ないし甲第9号証)。
(ウ)使用地域
請求人は、本社を大阪市(明化産業株式会社)、兵庫県尼崎市(明化殖産株式会社)におくものであるが、請求人が提出した甲第136号証によれば、その取扱代理店は全国に179店あり、北海道から沖縄まで全国にわたり網羅されている。
したがって、クレオパトラ化粧品の販売が単に大阪、関西のみという地域的に偏ったものではなく、全国規模にわたるものということができる。
(エ)生産、譲渡の数量等
請求人が提出した口頭審理陳述要領書によれば、クレオパトラ化粧品の売上高は、甲第149号証に示すとおり、出荷額ベースで平成8年から平成17年の間、各年8億円から4億5千万円で推移している。
同期間のわが国化粧品の年間製造出荷額は、1兆4千億円ないし1兆5千億円で推移している(甲第146号証)ことからすれば、むしろ、請求人の売上高は少額といえるし、また、化粧品の訪問販売品の市場規模が3千7百億円規模である(甲第146号証)ことからしても、決して多い金額とはいえない。
しかしながら、国内化粧品メーカー中、大手4社(資生堂、花王、カネボウ、コーセー)のシェアが約50%強を占めていること、及び2000年度における国内化粧品メーカーが約1200社にのぼることなどを考慮すれば、上記の金額は、一化粧品メーカーとしてみれば、決して少ない額とはいえないというべきである。
(オ)広告宣伝の方法、回数及び内容
クレオパトラ化粧品の広告は、その訪問販売という営業形態の特殊性のため、全国的な広告を行っていないものと認られる。
しかしながら、20年以上前より、ラジオ又はテレビでスポットCMを放映した事実がある(甲第6号証、甲第10号証、甲第56号証ないし甲第65号証及び甲第153号証)。
また、2000年以降における新聞広告又は新聞記事として、山陰中央新報(甲第105号証及び甲第106号証)、日本商業新聞(甲第107号証ないし甲第109号証)等が挙げられる。
さらに、全国二千数百人の販売員が商品パンフレットを頒布し、販売員自身が広告となって販売を行ってきたことを窺うことができる。
(カ)その他
請求人は、引用商標が需要者に広く認識された商標であることを証明するために大阪商工会議所の証明書(甲第66号証)、その他同業者等の証明書(甲第66号証ないし甲第96号証、甲第154号証及び甲第155号証)を提出している。
さらに、請求人は、国内外の化粧品メーカー、ブランドを掲載した書籍「世界の化粧品」(朝日新聞社 昭和53年発行)を提出しているところ(甲第55号証)、該書籍の255頁ほかに「クレオパトラ化粧品」に係る商品が掲載されている。
なお、上記書籍については、平成19年8月3日に行われた口頭審理において、原本を確認するとともに、同書籍掲載の基準は不明であること及び最近の発行のものは存在しないことを確認した。
(キ)以上、(ア)ないし(カ)を総合すれば、請求人の使用に係る引用商標「クレオパトラ」、「CREOPATRA」は、1954年2月以来、50年以上にわたり、訪問販売という形態で「化粧品」について永年使用され、関西地域を中心とするも、同地域に止まらず、全国展開した代理店網を通じて販売された結果、本件商標の登録査定時はもとより、登録出願前においても、「化粧品」に使用される商標として、既に需要者、取引者に広く認識されていたと判断しても差し支えないものというべきである。
(2)出所の混同について
商品について「出所の混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示の類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品との性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性、その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁 平成10(行ヒ)第85号 判決言渡日 平成12年7月11日)。
そこで、上記最高裁の判示するところに基づき、以下、本件商標をその指定商品について使用した場合、請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断する。
(ア)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、前述のとおり「クレオパトラアイ」の片仮名文字よりなり、他方、引用商標は、「クレオパトラ」又は「CREOPATRA」の各文字よりなるものである。
そこで、両商標を構成する「クレオパトラ」の文字については、「古代エジプト、プトレマイオス王朝の女王の名。」(広辞苑第五版 株式会社岩波書店 1998年11月11日発行)として、広く一般に知られている人物の名といえるものである。
また、本件商標中の「アイ」の文字は、英語の「目」を意味する「eye」の読みを表したものと容易に認め得るものである。
そうすると、本件商標は、全体として「クレオパトラの目」の観念を生ずることは否定するものではないが、該語は特に親しまれた語でもないことから、本件商標は、「クレオパトラ」と「アイ」の各文字の結合から成るものと理解、認識されるとみるのが相当である。
ところで、本件商標の構成中、「eye」に通ずる「アイ」の文字は、化粧品等との関係においては、「アイシャドー」「アイカラー」など、「目元用の化粧品」として、しばしば使用されている実情にあるといえる。
そうすると、該「アイ」の文字は、化粧品との関係においては、識別力がないか極めて弱い文字部分ということができる。
さらに、前記(1)において認定したように、引用商標は、請求人が化粧品等に永年使用して、需要者に広く認識されるに至った商標といえるから、本件商標に接する取引者、需要者は、「クレオパトラ」の文字部分が自他商品の識別標識として、強く印象に残る部分ということができ、そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「クレオパトラ」の称呼及び観念において、類似性の極めて高い商標であるといわざるを得ない。
(イ)引用商標の周知著名性及び独創性の程度
引用商標の周知著名性については、前記(1)で認定したとおりであり、また、引用商標の独創性については、確かに「クレオパトラ」、「CREOPATRA」の各文字は、前述のとおり、古代エジプトの女王の名前であり、それ自体に独創性が存するわけではない。
しかしながら、独創性は出所の混同を生ずるか否かの判断要素の1つにすぎないものというべきであり、独創性がないことのみをもって、出所の混同を生じないと断定することはできない。
(ウ)商品の性質、用途又は目的における関連性の程度
本件商標の指定商品は、前述の第1に示したとおり「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き・・・(以下、省略)」等であり、他方、引用商標の指定商品は、「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類」等であるから、上記商品において、同一又は類似する商品といえる。
また、それ以外の「かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」については、いずれも、化学的方法により生産される商品が多いことから、化粧品等とは、その原材料、生産者、販売者、取引系統等を同一にする場合のある近似した商品といえるものである。
したがって、本件商標の上記商品と引用商標の指定商品とは密接な関連性のある商品ということができる。
(エ)商品の需要者、取引者の共通性
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品「化粧品」等とその生産者、販売者、取引系統を同一にすることの多い商品であるから、両者は、その需要者、取引者において共通性を有するものということできる。
(3)結語
以上、上記(1)及び(2)のとおり、引用商標の周知著名性、本件商標商標と引用商標との類似性、商品の性質、用途又は目的における関連性及び商品の需要者、取引者の共通性などを総合的に勘案すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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