Trademark Appeal Case
記述的複合語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−8693(T2006−8693/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「Multigateway」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として平成17年7月1日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『多種多様な』の意味を有する一般的に使用されている『Multi』の語と『ネットワーク同士を接続するための装置・機能』等を意味する『gateway』の語を一連にした『Multigateway』の語よりなるものであるからこれを本願の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『多種多様なネットワーク同士を接続するための機能を備えた電子計算機』程の意味合いを認識させるにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができず、自他商品識別標識としての機能を果たすことができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを行ったところ、以下の事実を発見したので、商標法第56条で準用する特許法第150条第5項の規定により請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
記
1.「Multi」及び「マルチ」の有する意味について、辞書等によれば、以下の事実がある。
(1)「マルチ(multi)」の項に、「(接頭語として)『多数の』『複数の』『多方面の』の意を表す。」等の記載がある。(株式会社岩波書店発行 広辞苑第五版)
(2)「multi」の項に、「連結形で『多くの・・・』『種々の・・・』の意。」等の記載がある。(株式会社研究社発行 新英和中辞典第6版)
(3)「マルチ」の項に、「【接頭語】多数、多重、などの意味を表す。」の記載がある。(株式会社三省堂発行 コンサイスカタカナ語辞典初版)
2.「gateway」、「ゲートウェー」及び「ゲートウェイ」の有する意味について、辞書等によれば、以下の事実がある。
(1)「ゲート−ウェイ(gateway)」の項に、「プロトコルの異なるシステムやネットワークを接続し、データを相互に交換できるようにする装置またはソフトウェア。プロトコル変換器の一種。」の記載がある。(株式会社岩波書店発行 広辞苑第五版)
(2)「gateway」の項に、「出入り口、入り口、道」等の記載がある。(株式会社研究社発行 新英和中辞典第6版)
(3)「gateway」の項に、「複数のコンピュータやローカルエリアネットワーク(LAN)などを相互に接続する際に、コンピュータと公衆通信網や、LANと公衆通信網などを接続する装置を示す。」等の記載がある。(日外アソシエーツ株式会社発行 英和コンピュータ用語大辞典第3版)
(4)「ゲートウェー」の項に、「出入り口、通り口」、「異なるコンピュータのネットワークを接続する装置」等の記載がある。(株式会社三省堂発行コンサイスカタカナ語辞典第3版)
(5)「ゲートウェー」の項に、「ネットワークを別のネットワークと接続して相互アクセスをする方法。」等の記載がある。(株式会社集英社発行 イミダス編集部編imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典)
(6)「ゲートウェー」の項に、「複数の異なる通信ネットワークを接続する中継装置。通常は、両方のネットワークに接続されたコンピュータを指す。」等の記載がある。(株式会社三省堂発行 大きな文字で読みやすい三省堂新カタカナ語辞典)
(7)「ゲートウェイ」の項に、「異なる種類のプロトコルを使っているネットワークを相互接続するためのインターフェース装置あるいはプログラム。」等の記載がある。(日経BP社発行 日経BPデジタル大事典2001−2002年版)
(8)「ゲートウェイ」の項に、「異なる種類のネットワーク、あるいはシステム同士を接続する際に、間に立って変換処理を行う機器や機能を指す言葉。」等の記載がある。(株式会社秀和システム発行 通信ネットワーク用語事典2005−2006年版)
3.辞書等によれば、接頭語「multi」及び「マルチ」を含んだ語が以下の通り記載されている事実がある。
(1)マルチ-ウインド−(multiwindow):コンピューターで、ウィンドーと呼ばれる長方形の領域を画面上に複数表示し、個々のウィンドーで同時に複数の表示が見られるようにした機能。(株式会社岩波書店発行 広辞苑第五版、以下(2)ないし(5)について出典同じ)
(2)マルチ-スクリーン(multi-screen):映画で、同時に二つ以上の映像をスクリーンに映写する方法。「―方式」。
(3)マルチ-タスク(multitask):1台のコンピューターで複数の作業を同時に処理するオペレーティング‐システムの機能。
(4)マルチ-メディア(multimedia):情報を伝達するメディアが多様になる状態。また、コンピューターで映像・音声・文字などのメディアを複合し一元的に扱うこと。
(5)マルチ-ラテラリズム(multi lateralism):通商などの国際問題を、当事国である二国間だけでなく、影響を受ける第三国を含んだ多国間で調整しようとする考え方。多角主義。多国間主義。
(6)multi-access:同時共同利用の。(株式会社研究社発行 新英和中辞典第6版、以下(7)及び(8)について出典同じ)
(7)multi-channel:多重チャンネルの。
(8)multi-media:多メディアを用いた伝達方式。
(9)マルチアングル:多角的であるさま。(株式会社三省堂発行 コンサイスカタカナ語辞典初版、以下(10)ないし(17)について出典同じ)
(10)マルチウインドー:通常のディスプレー画面上に、窓枠を切り取るような具合に別の画面を表示する仕組み。
(11)マルチキャスト:多重放送の1方式。
(12)マルチコーディネーション:いろいろなデザインや素材の衣裳をいろいろに組み合わせること。
(13)マルチ・コーティング:レンズの多層コーティングのこと。
(14)マルチスクリーン方式:多数のスクリーンに複数の映写機で映写する方式。またはスクリーンを分割して同時にいくつもの場面を見せる方式。
(15)マルチタスク:コンピュータが複数のプログラムを同時に処理すること。
(16)マルチ・タレント:芸能人で、何でもやる人。
(17)マルチチャンネル:多重チャンネル。多重通信。
(18)マルチアカウント:一人のユーザーが複数のアカウントを持つ場合に、それらの使い分けができるシステムのこと。(株式会社技術評論社発行 2005−’06年版最新パソコン用語事典、以下(19)ないし(24)について出典同じ)
(19)マルチウインドー:ワークステーションやパソコンのディスプレイをいくつかの領域に分割し、複数のジョブ(マルチジョブ)を見ることができるようにしたもの。
(20)マルチジョブ:コンピュータで同時に複数の仕事を行うこと。(類義語)マルチタスク。
(21)マルチドライブ:DVD−R/RWとDVD−RAMの3種類に対応しているDVDドライブのこと。
(22)マルチプロセッサ・システム:複数個のプロセッサを持つコンピュータ・システムのこと。
(23)マルチプロトコル・ルータ:ネットワーク間の速度やプロトコルの違いに対応して動作するルータのこと
(24)マルチメディア通信:電話のような音声通信と、ネットワークなどによるデータ通信以外に、静止画や動画を加えた通信。
4.インターネット情報によれば、以下のとおり「マルチゲートウェイ」の語が使用されている事実がある。
(1)ソフトバンクテレコム株式会社のホームページの、「ULTINA Internet」の説明中の「各種オプション」として、「マルチゲートウェイ」の見出しの下、「『弊社のマルチゲートウェイ』は、既存の回線に2本目の回線を追加してマルチホーミングを実現。」等の記載がある。(http://www.softbanktelecom.co.jp/business/internet/multi_gw_op/index.html)
(2)タカック・システム開発株式会社のホームページに、製品情報として「新世代コミュニティサーバーPOPCHAT」の見出しの下、「従来のホテル/集合住宅用マルチゲートウェイサーバーguestLINKの後継機種として登場。(中略)POPCHATを導入することで、ホテル宿泊客様は客室からパソコン設定を変更することなく、インターネットへの接続が可能になります。」等の記載がある。(http://www.takac.co.jp/product/comserv/index.html)
(3)株式会社北成通信社のホームページの「ITコンサルティング」の項に、「guestLINK」の説明として、「guestLINKは、インターネットホテルやインターネットマンション向けに開発されたLinuxベースのマルチ・ゲートウェイサーバです。専用回線を終端するルータ、xDSLモデム、CATVモデム等と、住宅内配線装置であるHomeRunやVLANスイッチングハブ間でゲートウェイサーバとして機能し、パソコンの自動コンフィグレーションを始め、課金管理、RADIUSサーバによるユーザ認証、メール転送、ポータル大レクション、NAT/DHCP機能など、常時接続インターネット環境を実現するために必要な様々な機能をONE−BOXで提供します。」の記載がある。(http://www.kk-hokusei.com/03Se_02.html)
(4)株式会社Impress Watchのホームページ「INTERNET Watch」に、「JENS、複数のWAN接続を可能にする『マルチゲートウェイオプション』の見出しの下、「JENS株式会社は31日、同社の法人向けインターネット接続会員向けに、複数のWAN接続を可能にする『マルチゲートウェイオプション」の提供を4月3日より開始すると発表した。」、「マルチゲートウェイオプションは、ユーザー側にマルチホーム機器を設置することで、既存のネットワーク構成を変更することなく、複数WAN回線の利用とマルチホーミングを可能にするサービス。」等の記載がある。 (http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0331/jens.htm)
(5)協栄産業株式会社のホームページに、「マルチゲートウェイプラットフォーム」コミュニケーションボックスCB−K150の商品紹介として、「■本装置は、INSネット64回線インターフェイスを2回線もしくは4回線備えた、音声・FAX処理を行うためのユニットです。」の記載がある。また、「VolP対応(SIP)」の見出しの下、「2系統のLANインターフェイスを搭載し、SIPプロトコルをサポートしています。INSネット64回線との相互乗り入れを実現するゲートウェイ機能により、公衆回線網から入ってきた音声(電話)をHUB等を経由してPCやIP電話等へ接続可能です。」の記載がある。(http://www.kyoei.co.jp/cti/pro10.htm)
以上の事実よりすれば、「多数の、複数の、多方面の」等の意味を有し、接頭語として用いられる「Multi」及び「マルチ」の語は、本願指定商品の属する商品分野において、他の語と組み合わされて「マルチウインドー、マルチスクリーン、マルチタスク、マルチメディア、multi-access、multi-channnel、multi-media、マルチアングル、マルチキャスト、マルチコーディネーション、マルチコーティング、マルチチャンネル、マルチアカウント、マルチジョブ、マルチドライブ、マルチプロセッサ、マルチプロトコルルータ」等のように、複数の機能を有する商品であることを表す語として使用されているものである。
そして、本願商標構成中の「gateway」の文字部分は、「異なる種類のネットワーク、あるいはシステム同士を接続する際に、間に立って変換処理を行う機器や機能を指す言葉。」等を表示するものとして一般に知られている。
そうとすると、「多数の、複数の、多方面の」等の意味を有する接頭語「Multi」の文字と「gateway」の文字を連綴してなる「Multigateway」の語は、これに接する取引者、需要者をして、全体として「多数のネットワークを相互接続するためのインターフェース装置」あるいは「異なる種類のネットワークを相互接続するための、多機能なインターフェース装置」程の意味合いを有するものであると容易に認識、理解されるというのが相当であり、これを本願指定商品に使用しても、自他商品を識別するための標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。
また、前記4.(1)ないし(5)のインターネット情報によれば、「マルチゲートウェイ」の語が上記意味合いで使用されている事実があるといい得るものである。
したがって、本願商標は全体として、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるといわなければならない。
第4 請求人の意見の要旨
本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であると認定されているが、過去の登録例、登録第4860026号「ユビキタスゲートウェイ」及び登録第4683874号「セキュアゲートウェイ」は、自他役務の識別力を有していると判断されて登録されたものであり、これらと同様に本願も登録されるべきである。
また、登録第4517926号(「MULTI」)は、自他商品識別力を有する商標として登録されており、本願は、自他商品識別力のある「Multi」と「Gateway」が結合したものであって、当然に自他商品識別力を有している。
さらに、本願商標は商標審査基準に列挙されている商標法第3条第1項第6号の具体例1.ないし7.(審決注:7.の規定は、平成19年4月1日より運用されているものである。)のいずれの規定にも該当しない。
因って、本願は商標法第3条第1項第6号に該当しない。
第5 当審の判断
本願商標は、「Multigateway」の欧文字よりなり、構成文字に対応して「マルチゲートウェイ」の称呼を生ずるものである。
そして、構成中の「Multi」の語は、「多数の、種々の、多重」等の意味を表す接頭語であり、前記第3の証拠調べ中の3.(1)ないし(24)のとおり、「multi」及び「マルチ」の語を、「複数、多様、多重、多角的、多種」等の意味合いで語頭に連結した語が、一般に知られ、用語として用いられているものである。
また、後半の「gateway」の語は、「出入り口」の意味のほか、前記第3の証拠調べ通知のとおり、本願指定商品の分野においては、「異なる種類のネットワーク、あるいはシステム同士を接続する際に、間に立って変換処理を行う機器や機能」を意味する語として一般に知られ、使用されているものである。
さらに、前記第3の証拠調べ中の4.(1)ないし(5)によれば、「Multigateway」に照応する「マルチゲートウェイ」の語が「多数のネットワークを相互接続するためのインターフェース装置」あるいは「異なる種類のネットワークを相互接続するための、多機能なインターフェース装置」等の意味合いで使用されているものと認められる。
してみれば、「Multigateway」の文字よりなる本願商標に接する取引者、需要者は、これより「多数のネットワークを相互接続するためのインターフェース装置」あるいは「異なる種類のネットワークを相互接続するための、多機能なインターフェース装置」程の意味合いを認識させるにとどまり、これを本願指定商品に使用しても、自他商品を識別するための標識としての機能を有しないというのが相当である。
したがって、本願商標は全体として、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるといわなければならない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標が自他商品の識別機能を有するものであるから、登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様、指定商品及び指定役務に基づいて、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得ないものであることは、前記認定のとおりであり、また、請求人の挙げる登録例は本願商標とはその文字構成、指定商品及び指定役務を異にするものであって、同一に論ずることはできないものであるから、請求人の主張はこれを採用することができない。
また、請求人は、本願商標が、商標審査基準に記載されている商標法第3条第1項第6号の具体例のいずれにも該当しないから、本願は商標法第3条第1項第6号に該当しない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第6号には、同法第3条第1項柱書き及び同第1号ないし第5号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標が該当するものであって、同号の規定に該当するものとして具体的に記載されていないものであっても、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標に該当するものは、本号が適用されるものであるから、当該請求人の主張も採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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