Trademark Appeal Case
略称と数字の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−25515(T2006−25515/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「VC-3000のど飴」の文字を書してなり、第30類「のどあめ」を指定商品として、平成17年2月16日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ローマ文字の『VC』と数字の『3000』をハイフンで結合させ、さらに本願指定商品を認識させる『のど飴』の文字とを『VC−3000のど飴』と一連に書してなるところ、構成中の『VC−3000』の文字は、商品の品番、等級等を表示する記号、符号として類型的に取引上普通に採択使用されていることに加え、「VC」の文字部分は「ビタミンC」の略称として使用されている実情にあることよりすれば、「VC」の文字部分が「ビタミンC」を、「3000」の数字部分がその含有量を示す品質表示と認められるから、本願商標は全体として自他商品の識別標識としての機能を有する部分を認めることができず、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断をして、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「VC」の欧文字と「3000」の数字とを「-(ハイフン)」で結びつけた「VC-3000」の文字及び数字と「のど飴」の文字とを一連に書した「VC-3000のど飴」の構成よりなるものである。
しかして、昨今の健康に対する関心の高まりもあって、一定の用法に従ってビタミン類、あるいはその一種としてビタミンCを摂取することが健康に有益であることは、一般に知られているところ、現実に、ビタミンないしビタミンCは、薬剤等、人が摂取して用いる製品において広く用いられているものと認められるものである。
そして、本願指定商品「のどあめ」を取り扱う食品業界においても、そのニーズに応えた「ビタミンCを含有した商品」の開発販売が行われており、「ビタミンC」の略称として「VC」の文字が使用されていることに加え、「ビタミンC」を表す「VC」の文字と数字とを組み合わせた表示が、「ビタミンCが○○ミリグラム(mg)含有」されていることをうたった商品を表すものとして取引上普通に使用されている実情がみられる。
かかる実情は、以下の平成18年5月30日付け刊行物等提出書、新聞記事及びインターネットのホームページ情報からも裏付けられるところである。
(1)原審において提出された平成18年5月30日付け刊行物等提出書
(ア)カンロ株式会社が製造している商品「キシリCのど飴」のパッケージの表面中央下寄りに「
VC3000
」の文字と「1袋にレモン150個分のビタミンC配合」の文字がある。また、その裏面には「ノンシュガー」、「キシリCのど飴」、「
VC3000
」及び「・レモン味・」の文字、「キシリトール&
ビタミンC3000mg
」及び「キシリトールとビタミンCが気持ちいい、すっきりとしたレモン味のノンシュガーのど飴です。」の文字があり、更に「栄養成分表示(1袋73g当たり)」の欄には「
ビタミンC 3000mg
」の文字がある。
(イ)カンロ株式会社の製品カタログ「2006春 カンロ製品ご案内」の7頁、「のど飴」の項目で、商品「75g ノンシュガー キシリCのど飴
VC3000
レモン」及び「75g ノンシュガー キシリCのど飴
VC3000
マスカット」について、「
ビタミンC3000mg配合
でさらにパワーアップ!!」、「
1袋に3000mgのビタミンC(レモン150個分)配合
。」のように商品の特徴が紹介されている。また、同頁には「ビタミンCは、のど飴に配合される成分として高い評価です」との記載がある。
(ウ)三星食品株式会社が製造している商品「キシリサプリCのど飴」のパッケージの表面に「
VC3300
」の文字と「
1袋にVC3300mg
とキシリトールの爽快感!」及び「XYLITOL+
VITAMIN−C
」の文字がある。
(エ)インターネットサイト「楽天市場」において、オムコ医研が販売するビタミンC補給食品「
VC1000
」の紹介において、「
1日1000mg摂取できるビタミンC!
」の記載がある。
(オ)各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長宛の厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長通知「栄養表示基準等の取扱いについて(平成8年5月23日衛新第46号)」において、「(3)表示に用いる名称は、・・・
ビタミンAにあっては、「VA」(その他のビタミンも同様)と表示することができる
ものであること。」及び「(4)
含有量の表示は、
食品単位当たりの栄養成分量及び熱量を、次の単位による一定値又は下限値及び上限値で記載すること。・・・
ビタミンC mg又はミリグラム
・・・」の記載がある。
(カ)東京都福祉保健局・東京都生活文化局編「健康食品取扱マニュアル 〜消費者へのより良い健康食品の提供を目指して〜 第4版」(薬事日報社)
(a)「解説編 第4章 表示・広告に係る規制等」(86頁)の「表1 表示単位・分析方法・誤差範囲・0(ゼロ)と表示できる基準(続き)」中に「栄養成分(第1欄)」の「
ビタミンC
」の項について、その「表示単位(第2欄)」に「
mg又はミリグラム
」の記載がある。
(b)「解説編 第4章 表示・広告に係る規制等」(66頁)の「(ア)添加物の表示方法」中に「添加物の物質名は一般になじみがなく、逆にわかりにくくなることもある。(例えば、「L−アスコルビン酸」より「ビタミンC」と書いたほうが一般にわかりやすい。)そこで、一部の添加物については、物質名ではなく、添加物の名称、別名、簡略名又は類別名のいずれかを表示することができる。」とあり、「添加物の簡略名等の例」として「名称(物質名又は基原物質名) L−アスコルビン酸」は「別名
ビタミンC
」であり、「簡略名又は類別名 アスコルビン酸、
VC
」の記載がある。
(c)「第III章 栄養表示基準Q&A」(73頁)において、「Q65 表示する栄養成分の名称についてどのような表記の仕方が許されているのですか?略称を使うことはできるのですか?」の問いに対し、「A 1.栄養表示基準においては、一般の消費者がわかりやすいように邦文をもって、読みやすく、理解しやすいような用語により正確に記載することが求められています(栄養表示基準第3条第1項第1号)。」、「2.このようなことから、表示に用いられる名称として、次のようなものがあげられます(取扱通知3(3))」として、「
ビタミンA・・・・・・VA(他のビタミンも同様)
」の記載がある。
(2)新聞記事情報
(ア)「「75g ノンシュガーキシリCのど飴」発売(カンロ)
◆会社名=カンロ(東京都中野区、03・5380・8824)
◆商品特徴=キャンデー。リニューアル発売。「キシリCのど飴」の主要コンセプトの一つである、ビタミンCを配合強化した新キシリC。
1袋にビタミンC
680mg
を3,000mgに増量
。ブランドイメージは残しながら
VC3,000
を強調したロゴと、味わいの感じる色調のパッケージデザインに変更。」(2006.04.21 日本食糧新聞)
(イ)「ローヤルゼリー配合 ビタミン飲料発売へ/アサヒフードアンドヘルスケア
アサヒフードアンドヘルスケアは、ビタミン飲料「シーズケース
VC2000
マルチビタミン」を7日に発売する。
レモン100個分のビタミンC2000ミリ・グラム
と、ビタミン4種、ローヤルゼリーを配合した。かんきつ系のさわやかな味わいで、すっきりした後味に仕上げたという。」(2005.11.06 読売新聞 東京朝刊 11頁)
(ウ)「「生活=体にいい。が、おいしい」(1)
VC
で鉄分吸収アップ! ヒジキとキウイフルーツのサラダ 金子ひろみ
・・・ヒジキには鉄分が豊富に含まれていますが、その鉄は非ヘム鉄といって、レバーや赤身の肉に含まれているものに比べると吸収率は劣ります。
しかし、
ビタミンC(VC)
や有機酸とともに摂取することで、吸収率が2−3倍ほど高くなります。・・・」(2003.03.27 共同通信)
(エ)「「シーズケース アセロラ
VC2000
」発売(ポーラフーズ)
ポーラフーズ(東京都品川区、03・3494・7224)は、飲料「シーズケース アセロラ
VC2000
」を4月1日から全国発売する。
ビタミンC2000ミリグラム
に、ビタミンB群・E、ローヤルゼリー配合し、ビタミンB6を強化した飲料。100ミリリットルびん、143円。」(2002.03.15 日本食糧新聞)
(オ)「ハーブ21種類使用「ニッキ黒糖のど飴」新発売(ポーラフーズ)
ポーラフーズ(株)(東京都品川区、03・3494・7131)は、おいしさと機能を追求した「ニッキ黒糖のど飴」と「ローヤルパワー
VC1000
」を11月6日から全国で発売した。・・・「ローヤルパワー
VC1000
」は、美容と健康に良いローヤルゼリーを一〇〇〇ミリグラムと
ビタミンC一〇〇〇ミリグラムを配合
した、カリッとした食感のタブレット。ドリンク剤のような効き目感のある味で、すっきりした甘さと後味になっている。・・・」(2000.11.10 日本食糧新聞)
(カ)「商品ニューフェース=ポーラからシーズケース・シリーズに炭酸飲料
ポーラフーズはこのほど、マルチビタミンタブレット「シーズケース」シリーズから炭酸飲料「シーズケーススーパー
VC2000
」を新発売した。
ビタミンC2000ミリグラム
、ビタミンB1、B6、Eにローヤルゼリー380ミリグラムを
配合
した。・・・」(2000.05.18 静岡新聞朝刊 9頁)
(キ)「
VC
スポーツ選手の守護神 抗酸化で、病気を予防(元気からだ)
やっと涼しくなって、体を動かすのが楽しい季節になりました。これから、スポーツを始めようとするなら、
ビタミンC(VC)
を十分にとって下さい。生活習慣病を防ぐ効果も最近、注目されています。・・・」(1999.10.18 朝日新聞東京朝刊 16頁)
(ク)「名古屋女子大 新現象を発見、ダイコンは切れば切るほど...
ビタミンC
増える
ダイコンなどを切ったままにしておくと
ビタミンC(VC)
が増える−。名古屋女子大学家政学部食物栄養学科の大羽和子教授らのグループは、植物に切断などのストレスを与えたときに
VC
が増加する現象を発見、その増加メカニズムを解明した。従来、新鮮で手を加えない方がいいとされてきた野菜の
VC
摂取の常識が覆る可能性も出てきた。・・・」(1999.05.18 日本工業新聞 1頁)
(3)インターネット情報
(ア)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「ビタミンC」の項において、「
ビタミンC (
Vitamin C、
VC
) は、水溶性ビタミンの1種。生体の活動においてさまざまな局面で重要な役割を果たしている。化学的にはアスコルビン酸のL体のみをさす。・・・多くの食品やサプリメントにおいて、「レモン○個分のビタミンC」という表現が用いられるが、このとき「レモン1個分のビタミンC」は 20mg に換算される。この表記は農林水産省によって昭和62年に制定された「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」によるものであるが、ビタミンCが主成分であるビタミン添加菓子を対象とするものであり、それ以外の食品やサプリメントに対して用いることは適当でない。」の記載がある。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3C)
(イ)農林水産省のホームページにおいて、「食品添加物の表示・・・どのように表示されているの?・・・食品添加物は、次のいずれかの形で表示されています。
・物質名または
消費者にとってなじみのある名前
例:「L-アスコルビン酸ナトリウム」または
「ビタミンC」「V.C.」
」の記載がある。
(http://www.maff.go.jp/syohi_anzen/fs/label/processed/add.html)
(ウ)東京都福祉保健局ホームページにおいて、「食品添加物の表示方法・・・食品添加物は、原則として物質名を表示することになっています。しかし、添加物の化学名では馴染みが無く、逆にわかりにくくなる場合もあります。例えば、
ビタミンCの化学物質名は「L-アスコルビン酸」ですが、一般には、「ビタミンC」や「V.C」と書いた方がわかりやすい
でしょう。そこで、添加物の品名(名称及び別名)、簡略名及び類別名を定め、添加物を表示する場合は、これらの名前を使用することとしました。このリストは、食品衛生法施行規則「別表第1」、「既存添加物名簿」及び「食品衛生法に基づく添加物の表示等について(平成8年5月衛化第56号厚生省生活衛生局長通知)」に記載されています。」の記載がある。
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/shokuten/shokuten6.html)
そうとすれば、本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成中「VC」の文字は「ビタミンC」の意味を有し、「3000」の文字はそのミリグラム(mg)単位での含有量を示し、「のど飴」の文字は本願指定商品を表す語であることから、これらを組み合わせた「VC-3000のど飴」の文字よりは、全体として「ビタミンCを3000ミリグラム含有したのどあめ」程の意味合いを容易に認識するというのが相当である。
してみれば、これをその指定商品「のどあめ」に使用しても、「ビタミンCを3000ミリグラム含有したのどあめ」を認識させるにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
これに対し、請求人(出願人)は、本願商標は、平成8年(1996年)11月から、商品「のどあめ」に継続して使用した結果、自他商品の識別機能を有するに至ったものであるから、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、証拠として、原審において第1号証(これを甲第1号証という。以下同じ。)ないし甲第127号証(枝番号を含む。以下同じ。)及び当審において甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。
確かに、原審にて提出された甲第1号証ないし甲第33号証によれば、本願商標に係る製品(ノーベル製菓のVC-3000のど飴)が、テレビコマーシャルや電車内のステッカー広告において、宣伝・広告され、特に該コマーシャルが人気を博し、該製品が商品「のどあめ」の分野で比較的高い売り上げをあげていることが認められる。
しかしながら、電車内のステッカー広告(甲第33号証)においては、該製品のパッケージ等に「VC-3000のど飴」の文字のみが用いられているのではなく、必ず、該製品の出所を表示したメーカー名(請求人であるノーベル製菓株式会社)を表したと認められる「NOBEL」の文字とともに用いられており、さらに、他にも「1袋に3,000mgのビタミンCと12種類の配合ハーブ入り」等の文字が用いられていることよりすれば、該広告に接する需要者等は、「VC-3000のど飴」の文字部分よりは、単に「ビタミンCを3000ミリグラム含有したのどあめ」であることを認識するにとどまるとみるのが相当であって、該文字部分のみでは自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認めることはできない。
さらに、前記テレビコマーシャルについては、その具体的な内容について、必ずしも提出された証拠によっては明らかでないものの、同コマーシャルに関する記事を掲載した新聞・雑誌(甲第15号証ないし甲第30号証)の内容に鑑みれば、同コマーシャルにおいても、「VC-3000のど飴」の文字のみが用いられているのではなく、該製品の出所を表示したと認められる「NOBEL」(ノーベル)等の文字とともに用いられていることが推認される。
また、甲第34号証ないし甲第127号証の証明書は、そのほとんどが、請求人(出願人)の取引関係者による証明であり、かつ、その様式も、証明を依頼された者が、単に記名・捺印をすれば出来上がるように、予め請求人(出願人)によって準備されていたと認められるものであるばかりでなく、証明書の内容自体、本願商標が「平成9(1997)年10月より製造販売する商品『のど飴』の商標として使用するものであり、その全国的な販売と宣伝広告により、現在では該商品の商標として需要者間に広く認識されていることに相違ない旨を証明する」というに止まるものであって、証明者がいかなる根拠に基づき、需要者間に広く認識されていることを証明したのか、その判断の客観的な過程が明らかでない。
してみれば、請求人(出願人)の提出に係る甲各号証の証拠をもってしては、本願商標が使用により識別力を有するに至ったものということはできないから、請求人(出願人)の上記主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとの原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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