結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89144(T2006−89144/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4518247号商標(以下「本件商標」という。)は、「ISLE」の文字を標準文字で書してなり、平成12年2月1日に登録出願、第38類「インターネットを利用した電子計算機端末による通信,移動体電話による通信,テレックスによる通信,電話による通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,ファクシミリによる通信,無線呼び出し」を指定役務として、同13年11月2日に設定登録されたものであるが、その後、同16年12月27日に商標登録の取消し審判の請求があった結果、同18年4月18日に登録を取り消す旨の審決がされ、同年6月30日に、その確定審決の登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第112号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを引用する場合は、その枝番号の記載を省略した。)を提出した。
(1)請求人使用商標の周知、著名性
(ア)請求人は、平成5年12月14日に「有限会社アイル」の商号にて設立された後、株式会社に組織変更して「株式会社アイル」となった。また、平成15年5月1日には、「株式会社アイル」から「GMOホスティングアンドテクノロジーズ株式会社」へ商号変更した(甲第110号証)。
(イ)請求人は、会社設立以来、自己が提供する「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」サービスについて、商標「アイル」、「isle」、「Isle」及び「iSLE」(以下、これらを一括して「請求人使用商標」という。)を使用している。
(ウ)請求人使用商標の使用状況は、次のとおりである。
(a)甲第1号証「株式会社インプレス発行のインターネットマガジン1996年9月号」においては、「有限会社アイル」の商号にて「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」サービスの広告を行った。
(b)甲第2号証「インターネットマガジン1996年11月号」から甲第6号証「インターネットマガジン1997年3月号」においては、「有限会社アイル」の商号の使用とともに、「Isle,inc.」の表記が使用され、「有限会社アイル」の上部には「バーチャルホスト・サービス」と記載されており、「有限会社アイル」の商号は請求人が提供する「バーチャルホスト・サービス」の役務の識別標章(商号商標)として使用されている。
(c)甲第7号証「インターネットマガジン1997年4月号」においては、「有限会社アイル」の商号の使用とともに、左ページには「Isle,inc.」の表記が、請求人が提供する「レンタルサーバー」の役務の識別標章として使用されている。
右ページには、「アイル・バーチャルホスト・サービス Q&A」と記載されており、「アイル」が「バーチャルホスト・サービス」の役務の識別標章(商号商標)として使用されている。
(d)甲第8号証「インターネットマガジン1997年5月号」においては、「有限会社アイル」の商号の使用とともに、左ページには「isle」「ホスティングサービス」の表記が使用され、「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」役務である「ホスティングサービス」の商標として「isle」が使用されている。
(e)甲第9号証「インターネットマガジン1997年7月号」においては、「有限会社アイル」の商号に代え「株式会社アイル」の商号の使用とともに、左ページには「isle」「ホスティングサービス」の表記が使用され、「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」役務である「ホスティングサービス」の商標として「isle」が使用されている。
(f)甲第11号証「インターネットマガジン1997年10月号」ないし甲第16号証「インターネットマガジン1998年3月号」においては、「株式会社アイル」の商号の使用とともに、「ISLE HOSTING SERVICE」「アイルホスティングサービス」の商標が、「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」役務である「ホスティングサービス」の商標として使用されている。
(g)甲第17号証「インターネットマガジン1998年5月号」ないし甲第21号証「インターネットマガジン1998年9月号」においては、「株式会社アイル」の商号の使用とともに、左ページ上端左には「Isle virtual hosting service」の商標、左ページ中央部には「アイル バーチャルホスティングサービス」の商標が「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」役務である「ホスティングサービス」の商標として使用されている。
(h)甲第22号証「インターネットマガジン1998年10月号」及び甲第23号証「インターネットマガジン1998年11月号」には、「アイルのレンタルサーバーサービスが新しく生まれ変わりました」と「アイル」がレンタルサーバーサービスの商標として使用されており、左ページの中央部には「Isle」が「RENTAL SERVER SERVICE」の役務の商標として大きく表示されている。
(i)甲第24号証「インターネットマガジン1998年12月号」ないし甲第27号証「インターネットマガジン1999年3月号」においては、左ぺ一ジには「アイルWebホスティングサービス」と大きく表示され、右ページの上部右端及び下部右端には「Isle」の商標が使用されている。
(j)甲第28号証「インターネットマガジン1999年4月号」ないし甲第32号証「インターネットマガジン1999年8月号」には、左ページには「QUALITY GUARANTEED」の表記の中央に「Isle」の商標が使用され、右ページの上部右端及び下部右端には、「Isle」がレンタルサーバーの役務の商標として使用されている。
(k)甲第33号証「インターネットマガジン1999年9月号」及び甲第34号証「インターネットマガジン1999年10月号」においては、左ページには「iSLE」の商標、右ページ上部右端には「iSLE」が「ウェブホスティングサービス」の商標として使用されている。
(l)甲第35号証「インターネットマガジン1999年12月号」においては、左ページには「iSLE」の商標、右ページ上部右端には「iSLE」が「ウェブホスティングサービス」の商標として使用されている。
(m)甲第36号証「インターネットマガジン2000年1月号」においては、左ページには「iSLE」の商標、右ページ上部右端には「iSLE」が「ウェブホスティングサービス」の商標として使用されている。
(n)甲第37号証「インターネットマガジン2000年2月号」においては、11ページには上部右端には「iSLE」が「ホスティングサービス」の商標として使用されている。
また、同号証の75ページには上部右端には「iSLE」が「ホスティングサービス」の商標として使用されている。
(o)甲第38号証「インターネットマガジン2000年3月号」においては、左ページには「iSLE」の商標、右ページ上部右端には「iSLE」が「ホスティングサービス」の商標として使用されている。
(p)甲第39号証ないし甲第105号証においては、「iSLE」の商標が使用されている。
(q)請求人は、「iSLE」商標を、自社のサービスを表す商標として、インターネット上のウェブサイト「アイル−国内最大級のレンタルサーバー(ホスティング)サービス」、「アイルホスティングサービス:選ばれる理由TOP」、「アイルホスティングサービス:お申し込みTOP」のウェブページ、「アイルホスティングサービス:サポートTOP」のウェブページ、「アイルホスティングサービス:ドメイン関連情報」のウェブページ(甲第106号証)において、現在も使用している。
(エ)以上のとおり、請求人は、平成8年夏頃から平成12年2月にかけて、請求人使用商標を、「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」に使用した結果、本件商標が出願された平成12年2月においては、請求人の役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至ったものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
(ア)本件商標と請求人使用商標の類否
本件商標は、「ISLE」の英文字を標準文字で書してなるものである。
一方、請求人使用商標は、「アイル」、「isle」、「Isle」、「ISLE」、「iSLE」の文字よりなるものである。
本件商標と請求人使用商標とは、外観及び称呼において類似するから、類似する商標であることは明かである。
なお、「isle」は、英語では、「島」又は「小島」を意味する単語であり「アイル」と発音するものである。
(イ)役務の類似性
(a)本件商標の指定役務と請求人使用商標が使用されている役務の類否
本件商標の指定役務は、「インターネットを利用した電子計算機端末による通信,移動体電話による通信,テレックスによる通信,電話による通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,ファクシミリによる通信,無線呼び出し」である。
一方、請求人は、請求人使用商標(とりわけ「iSLE」)を、「バーチャルホスト・サービス」、「レンタルサーバー」、「ウェブホスティングサービス」などの「インターネットを利用した電子計算機端末による通信」(類似群コード38A01)、「コンピュータサイトのホスティング,インターネット用サーバの貸与,コンピュータソフトウエアの貸与」(類似群コード42X11)と、「ウェブサイトの作成と保守,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」(類似群コード42P02)等に使用している。
したがって、本件商標の指定役務と請求人使用商標が使用されている役務とは同一あるいは類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
(ア)商標法第4条第1項第15号における混同の判断基準
最高裁第三小法廷平成一〇年(行ヒ)第八五号(平成一二年七月一一日判決)において、最高裁判所は、商標法第4条第1項第15号の判断基準について以下のとおり述べる。
「商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解するのが相当である。けだし、同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきであるからである。
そして、「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」
(イ)混同の判断
(a)本件商標は、英文字の標準文字「ISLE」を書してなるものである。
(b)本件商標が出願された平成14年(2002年)7月当時、「アイル」あるいは「iSLE」の商標は、請求人が提供する「インターネットへの接続の提供」、「企業間イントラネット・エクストラネットへの接続の提供」、「電子メールによる通信」(以上、類似群コード38A01)、「コンピュータサイトのホスティング,インターネット用サーバの貸与,コンピュータソフトウエアの貸与」(類似群コード42X11)、及び、「ウェブサイトの作成と保守,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」(類似群コード42P02)の役務の名称として需要者の間に広く認識されたものである。
(c)本件商標と、請求人使用商標は、同一又は類似する商標である。
(d)本件商標の指定役務「インターネットを利用した電子計算機端末による通信,移動体電話による通信,テレックスによる通信,電話による通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,ファクシミリによる通信,無線呼び出し」は、いずれも、インターネットを利用した通信、その他の通信に関連する需要者層を含む一般消費者が直接サービスの提供を受ける役務である。
一方、請求人が使用する「インターネットへの接続の提供」、「企業間イントラネット・エクストラネットへの接続の提供」、「電子メールによる通信」(以上、類似群コード38A01)、「コンピュータサイトのホスティング,インターネット用サーバの貸与,コンピュータソフトウエアの貸与」(類似群コード42X11)、及び、「ウェブサイトの作成と保守,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守」(類似群コード42P02)は、コンピュータに関連する需要者層を含む一般消費者が直接サービスの提供を購買する役務を含むものである。
したがって、両商標が使用する役務は、取引者及び需要者を共通にすることが多いというべきである。
(e)企業経営が多角化する現在、有名ブランドにおいては、著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、商品等を超えていわゆる「広義の混同」を生ずるおそれがある商標をも商標登録を受けることができないものとすべきである。
最高裁判所の判例の趣旨は、「当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず」(狭義の混同)、「当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含む」と、「広義の混同」を含む旨明示するものである。
(f)本件商標と請求人の商標は、取引者及び需要者も共通しているものであり、本件商標に接した取引者及び需要者に対し、請求人の登録商標である「アイル」、又は請求人の商標である「iSLE」を連想させ、商品あるいは役務の出所につき誤認を生じさせるものである。
本件の商標登録を認めた場合には、請求人の周知・著名な商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねないものである。
すなわち、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」である。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであり、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。 また、商標法第4条第1項第10号の該当性が認められない場合は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
被請求人は、請求人の上記主張に対し何等答弁していない。
請求人の提出に係る甲第110号証の「履歴事項全部証明書」(平成18年9月4日発行)によれば、請求人は、平成5年12月14日「有限会社アイル」の商号にて設立され、その後、株式会社に組織変更し「株式会社アイル」となり、平成15年5月1日には「株式会社アイル」の商号から「GMOホスティングアンドテクノロジーズ株式会社」の商号に変更し、平成17年9月1日には、「GMOホスティングアンドテクノロジーズ株式会社」の商号から「GMOホスティング&セキュリティ株式会社」に商号変更したものと認められる。
そして、甲第1号証ないし甲第10号証の「インターネットマガジン」(1996年9月号ないし1997年8月号)及び甲第11号証ないし甲第41号証の「インターネットマガジン」(1997年10月号ないし2000年7月号)によれば、「有限会社アイル」及び「株式会社アイル」の各商号をその広告中に掲載していたことを認めることができる。
また、請求人は、請求人使用商標中「アイル」については、甲第2号証ないし甲第35号証の「インターネットマガジン」(1996年11月号ないし1999年12月号)及び甲第39号証ないし甲第43号証の「インターネットマガジン」(2000年4月号ないし2000年9月号)において、「isle」については、甲第8号証ないし甲第10号証の「インターネットマガジン」(1997年5月号ないし1997年8月号)において、「ISLE」及び「アイル」については、甲第11号証ないし甲第16号証の「インターネットマガジン」(1997年10月号ないし1998年3月号)において、「Isle」については、甲第17号証ないし甲第32号証の「インターネットマガジン」(1998年5月号ないし1999年8月号)において、及び「iSLE」については、甲第33号証ないし甲第43号証の「インターネットマガジン」(1999年9月号ないし2000年9月号)において、請求人の提供する役務「バーチャルホスト・サービス」、「レンタルサーバーサービス」又は「ホスティングサービス」等の標章として使用していたことを認めることができる。
そうすると、請求人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、請求人使用商標は、本件商標の登録出願時ないし査定時には、請求人の業務に係る役務「バーチャルホスト・サービス」、「レンタルサーバーサービス」又は「ホスティングサービス」等を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認められるものである。
してみれば、請求人使用商標「アイル」、「isle」、「Isle」、「ISLE」、「iSLE」とほぼ同一の態様よりなるか、称呼を同じくするか、又は、その綴り字を同じくする本件商標「ISLE」をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これより容易に請求人使用商標を連想、想起し、当該役務が、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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