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Trademark Appeal Case

タイムスタンプメールの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−27417(T2006−27417/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「タイムスタンプメール」の文字を横書きしてなり、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成18年2月28日に登録出願、その後、指定役務については、同19年1月22日付け手続補正書をもって、第42類「電子メールの時刻証明のための電子計算機プログラムの設計・作成又は保守及び電子計算機用プログラムの提供並びに同プログラムを搭載した電子計算機の貸与」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『タイムスタンプメール』の片仮名文字を横書きしてなるものであるところ、その構成中の『タイムスタンプ』の文字部分が情報技術(IT)分野においては『電子データがある時刻に存在していたことおよびその時刻以降に当該電子データが改ざんされていないことを証明できる機能を持つ時刻証明情報。』の意味を有する語として一般に使用されており、同『メール』の文字部分が『電子メール』を意味する語として一般に使用されていることより、本願商標全体として前記時刻証明情報つきのメールの意味合いを認識させ、理解させるにとどまるというのが相当であるから、これをその指定役務中『電子メールの時刻証明のための電子計算機プログラムの設計・作成又は保守及び同電子計算機用プログラムの提供並びに同プログラムを搭載した電子計算機の貸与』等、電子メールの時刻証明に関連する役務について使用しても、単に役務の質(内容)を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、上記1のとおり、「タイムスタンプメール」の文字を書してなるところ、その構成中の「タイムスタンプ」の文字は、請求人も認めるように、「電子データがある時刻に存在していたこと及びその時刻以降に当該電子データが改ざんされていないことを証明できる機能を持つ時刻証明情報」の意味を有する語であり、また、例えば、以下に示すとおり、前記意味を有する語として一般に広く用いられているものである。

ア 「株式会社PFU」のサイトの「タイムスタンプサービス 製品紹介」の項目(http://www.pfu.fujitsu.com/tsa/product/)中に、「電子データ・電子文書に『存在証明』『完全性証明』を! 企業の信頼・安心を高めるPFUタイムスタンプサービス」の見出しの下、「2005年4月に施行されたe-文書法や2006年5月の『会社法』、2006年6月の『金融商品取引法』(いわゆる日本版SOX法)など、電子データ・電子文書を活用するための基盤が整備され、企業におけるタイムスタンプ活用のニーズが高まってきております。当社では、プリペイド方式のタイムスタンプライセンスや、定額(年額)で利用できる定額制サービスなど、お客様に安心してご利用いただけるサービスをご提供いたします。」の記載がある。

イ 「アマノタイムビジネス株式会社」のサイトの「タイムスタンプの役割」の項目(http://www.e-timing.ne.jp/tsa/ts/part.html)中に、「電子データの証拠性確保には、『いつ』『誰が』『どのようなデータを』という情報を必要に応じて後日証明できる仕組みが必要不可欠です。電子データに電子署名を付与する事で、『誰が』『どのようなデータを』作成したかを証明する事は可能ですが、署名した本人の改ざん余地がある以上、『証拠性』『透明性』等の確保は極めて困難です。しかしながら、タイムスタンプは、電子データが『いつ』の時点で存在し、それ以降改ざんされずに証拠性を保っている事を第三者的に証明する事が出来ます。」の記載がある。

(2)また、本願商標の構成中の「メール」の文字は、「郵便、郵便物」等の語義を有する英語「mail」の表音又は外来語として慣れ親しまれているものであるが、近年においては、インターネット等の通信ネットワークの発展に伴う電子メールの普及により、該「電子メール」のことを単に「メール」と称して一般に広く用いられていることは、例えば、「メール→電子メール」(「2005−’06年版 最新パソコン用語辞典」、株式会社技術評論社発行)や「電子メール インターネットなどコンピュータネットワークを介して電子的に手紙(メッセージ)やデータをやりとりできる通信システムのこと。Eメールともいう。日本では単にメールといえば電子メールをさす。」(「現代用語の基礎知識2007」、自由国民社発行)といった記載があるほか、電子メールを送るために使われる「住所」のことを「メールアドレス」、電子メールを利用して発行される雑誌のことを「メールマガジン」と称していることからも明らかである。

(3)そして、電子メールに関するタイムスタンプについては、例えば、「セイコープレシジョン株式会社」のサイトの「時刻認証電子メールソリューション」の項目(http://www.seiko-p.co.jp/systems/time/time_toki.html)中に、「第三者による時刻認証(タイムスタンプ)で、日々やりとりするメールの送信日時と原本性を保証立証可能なメールアーカイブの実現で企業・研究機関の内部統制、知的財産保護の体制を強化します。」との記載があり、同じく、「プロダクト一覧」の項目(http://www.seiko-p.co.jp/systems/product.html)中に、前記認証に用いられる「ネットワークハードウェア」や「ネットワークソフトウェア」が列記されていることからすれば、電子メールについて、タイムスタンプが用いられ、かつ、そのための電子計算機のプログラムの提供等が行われているのが実情である。

(4)そうすると、本願商標をその補正後の指定役務について使用するときは、これに接する需要者等は、その構成全体から、提供に係る役務が「電子メールの原本証明・時刻証明を目的とするもの」であること、すなわち、役務の質(内容)を表してなるものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては理解、認識しないとみるのが相当である。

してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものとすべきであり、また、これを、その指定役務中、電子メールの原本証明・時刻証明を目的とするもの以外の役務に使用するときは、役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

なお、請求人は、本願商標は「タイムスタンプ」と「メール」の名詞を組み合わせたものにすぎず、原査定が認定した「時刻証明情報つきメール」といった意味合いは生じ得ず、自他役務識別機能を有するものである旨主張しているが、ある商標が自他商品(役務)の識別標識としての機能を果たし得るか否かは、該商標に接する我が国の需要者等における理解、認識を基準として判断すべきところ、本願商標「タイムスタンプメール」については、前記のとおり、需要者等をして、役務の質(内容)を表示したものとして認識するにとどまるものであるから、この点についての請求人の主張は、採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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