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Trademark Appeal Case

産地・製法表示と周知商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90187(T2005−90187/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4831810号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4831810号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年12月9日に登録出願され、第29類「納豆」を指定商品として、同17年1月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)である。

(1)登録第3032248号商標は、「朝めしくん」の文字及び「炭火納豆」の文字を2段に書してなり、平成4年5月28日に登録出願され、第29類「納豆」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第3371386号商標は、「ほんこつぶ」の文字及び「炭火納豆」の文字を2段に書してなり、平成6年1月20日に登録出願され、第29類「納豆」を指定商品として、同12年11月10日に設定登録されたものである。

以下、これらを一括して「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由の要点

(1)商標法第3条第1項第3号及び同第6号について

本件商標は別掲のとおりの構成よりなるところ、本件商標構成中の「水戸の」の文字部分は「納豆」の産地として知られている茨城県水戸市を表すものであるから、取引者、需要者は、当該文字を「納豆」の産地、販売地を表示するものであると理解する(甲第2号証−1ないし4)。

また、本件商標構成中の「炭火納豆」の文字部分は、一義的に、「加温に炭火を用いて製造した納豆」と理解されるので、取引者、需要者は、当該文字を「納豆の製造方法」であると理解する(甲第2号証−5ないし8)。

さらに、五弁の輪郭よりなる図形部分は、当業界でも多数使用されているので、自他商品の識別標識とはなり得ないものである(甲第2号証−9)。

以上のとおり、本件商標は、自他商品識別力のない部分のみから成り立っているものであり、また、これらの部分が結合することによって自他商品識別力が生じているということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。

仮に、本件商標が商標法第3条第1項第3号には該当いないとしても、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することのできない商標であるから、同第6号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第7号について

本件商標構成中の「水戸の」の文字部分は、「納豆」の産地として知られている茨城県水戸市を表すものである。

しかしながら、商標権者は北海道にいて「納豆」を生産するのであるから、商標権者の生産する「納豆」は、「水戸産の納豆」ではない。

そうとすれば、本件商標は、「納豆」の名産地とされる「水戸」の名声にあやかろうというものであって、一種の虚偽表示に該当し、商品の産地表示に関する法律に違反するおそれがある。

本件商標構成中の「炭火納豆」の文字部分は、「炭火を用いて製造した納豆」として取引者、需要者に理解される。

そうとすれば、本件商標を「炭火を用いることなく納豆菌を繁殖させた納豆」に使用する場合には、虚偽表示に該当する。

そして、上記のように、他の法律等によって使用等が禁止されている商標を登録することは、公の秩序又は善良の風俗を害する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

申立人は、昭和63年頃から、「納豆」に、「炭火納豆」の文字(以下「使用商標」という。)を商標として継続して使用してきた(甲第4号証ないし甲第14号証)。

その結果、本件商標の登録出願時(平成9年)以前から、使用商標といえば、申立人の製造する「納豆」を指称するものとして広く知られていた。

また、平成10年には、炭火を本格的に使用した納豆の製造方法を完成し、その後、当該方法について独占的に実施するに至ったため、現在でも使用商標の有名性は継続している(甲第15号証)。

そうとすれば、本件商標が使用されれば、出所の混同が生ずることは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

また、本件商標と使用商標は類似する商標であり、本件商標の指定商品と使用商標が使用している商品は、共に「納豆」であるから商品を共通にしている。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標とは、「スミビナットウ」の称呼を共通にする、類似する商標である。

また、本件商標と引用商標は、共に「納豆」を指定商品とするものであるから、その指定商品を共通にしている。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(5)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、その構成中に「水戸」の文字を有している。

しかしながら、本件商標の権利者は北海道の会社であるため、商品の産地を誤認させることにより品質の誤認を生ずるおそれがある。

また、甲第15号証の如き納豆の製造方法で製造した「納豆」でなければ、「炭火を用いて製造した納豆」とはいえないところ、他の製造方法で製造した「納豆」に本件商標を使用する場合には、商品の製造方法を誤認させることにより品質の誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同第6号について

本件商標は、別掲のとおり、五弁の輪郭を描き、当該五弁の輪郭内に「水戸の」の文字及び「炭火納豆」の文字を2段に書してなるものである。

そして、「水戸の」の文字は、本件商標の指定商品「納豆」の産地として知られる茨城県水戸市を表すものであるから、商品の産地・販売地を表示するものであり、自他商品識別標識としての機能を有さないというべきである。

また、「炭火納豆」の文字は、「炭火」の文字と「納豆」の文字とを連結したものであることを認識させるものである。

そして、甲第4号証、甲第9号証、甲第13号証及び甲第14号証によれば、納豆の風味の良さを生みだすために「炭火で発酵させた納豆」が実際に製造、販売されている実情があることが認められる。

そうとすれば、「炭火納豆」の文字は、「炭火で発酵させた納豆」の意味合いを容易に認識させるものであり、本件の指定商品「納豆」の品質、製造方法等を表示したにすぎないものであるから、自他商品識別標識としての機能を有さないというべきである。

次に、五弁の輪郭図形について検討するに、当該図形は、本件商標の指定商品「納豆」の品質等を表示するものとはいえず、また、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章であるとまではいえないから、自他商品識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号の規定に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

申立人は、商標権者の住所が「北海道札幌市」であることを理由として、本件商標が、商標法第4条第1項第7号に該当する旨主張する。

しかしながら、商標権者が、自分の住所でのみ商品を生産、販売するとする証拠又は水戸産の大豆を使用していないとする証拠は、何ら提出されていないし、本件商標が、商標権者によってではなく、使用権者によって、水戸で生産、販売されることもあり得るものである。

してみれば、申立人の主張は採用できない。

また、申立人は、「炭火を用いることなく納豆菌を繁殖させた納豆」に使用する場合には、虚偽表示に該当する旨主張する。

しかしながら、商標権者が、本件商標を「炭火を用いることなく納豆菌を繁殖させた納豆」に使用するという証拠は何ら提出されていない。

してみれば、申立人の主張は採用できない。

さらに、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、これをその指定商品について使用

することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものでもない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものではない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

(ア) 申立人は引用商標の周知性・著名性を立証する証拠として甲第4号証ないし甲第15号証を提出している。

(a)甲第4号証は、申立人の商品カタログ(写し)であるところ、申立人の販売する「納豆」が写っており、当該「納豆」の包装紙には、使用商標が表示されている。

しかしながら、当該カタログが、何時、何処で、誰に対して、何部配布されたのか等について、申立人は、何ら証拠を提出していない。

(b)甲第5号証−1ないし甲第7号証−8は、使用商標が、申立人の製造、販売に係る「納豆」であることを指称するものとして、需要者、取引者に周知されるに至っていること等を証明願で証明しているものである。

しかしながら、当該証明が、どのような事実、根拠又は資料に基づいてなされたものであるのかについて、申立人は、何ら証拠を提出していない。

(c)甲第7号証−9は、使用商標について、継続的に現在まで印刷を行っている旨の「大日本印刷株式会社」の確認書である。

しかしながら、当該印刷物が納豆の包装紙として現実に使用されたという事実については、申立人は、何ら証拠を提出していない。

(d)甲第8号証は、日本パッケージングコンテストのパンフレットの写しと認められるところ、使用商標を付した容器が「一般食品包装部門賞」を受賞したことを伝えているにすぎない。

(e)甲第9号証ないし甲第14号証は、申立人の販売する「納豆」を表示した、パンフレット、雑誌、会報等であり、当該「納豆」の包装紙上には、使用商標が表示されている。

しかしながら、これらのパンフレット、雑誌、会報等の配布量又は販売量等についての証拠は、何ら提出されていない。

(f)甲第15号証は、「納豆製造方法及びシステム」を発明の名称とする特許公報の写しである。

しかしながら、当該特許公報は、使用商標の周知性、著名性を何ら立証するものではない。

(イ)そうとすれば、申立人により提出された上記証拠をもってしては、使用商標が、本件商標登録出願の時に、我が国の取引者、需要者間に申立人の業務に係る商標として、周知、著名であったとは認めることはできない。

また、使用商標「炭火納豆」の文字は、商品「納豆」の品質、製造方法等を表示したにすぎないものであって、自他商品識別標識としての機能を有さないものであることは、上記3(1)で認定したとおりである。

してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用するものであるとはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものではない。

また、使用商標の著名性が認められないこと及び使用商標が自他商品識別標識としての機能を有さないものであることは以上のとおりであるから、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではない。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲のとおり、五弁の輪郭を描き、当該五弁の輪郭中に「水戸の」の文字及び「炭火納豆」の文字を2段に書してなるものである。

そして、本件商標構成中の「炭火納豆」の文字部分は、商品「納豆」の品質、製造方法等を表示したにすぎないものであって自他商品識別標識としての機能を有さないことは、上記3(1)において述べたとおりでありる。

してみれば、本件商標からは、「スミビナットウ」の称呼を生じないものである。

したがって、本件商標構成中の「炭火納豆」の文字部分より「スミビナットウ」の称呼を生ずるとし、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼上類似するとして、本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は、採用できない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。

(5)商標法第4条第1項第16号について

申立人は、本件商標を付した商品は、北海道でのみ生産される旨主張する。

しかしながら、申立人の主張に根拠がないことは、上記3(2)で述べたとおりであるから、本件商標は、産地を誤認させることにより品質の誤認を生ずるおそれがある商標であるとはいえない。

また、 申立人は、特許第3016198号(甲第15号証)の如き納豆製造方法で製造した納豆でなければ、「炭火で製造した納豆」とはいえない旨主張する。

しかしながら、特許第3016198号の製造方法及びシズテムによらなくとも、納豆の製造に炭火を用いることは可能であるから、申立人の主張は採用することができない。

(6)むすび

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号、同法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第16号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、本件商標は商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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