Trademark Appeal Case
称呼類似の判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90672(T2006−90672/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4991598号商標(以下「本件商標」という。)は、「ノトックス」の文字を標準文字により表してなり、平成18年2月28日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品類,歯磨き」を指定商品として同年9月29日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
(1)申立人の使用に係る商標の著名性について
申立人の使用に係る「BOTOX」あるいは「ボトックス」の文字からなる商標(以下、これらを纏めて「引用商標」という。)は、申立人の商標としてわが国はもとより世界中で広く知悉されているから(甲第2ないし第46号証)、これと類似する本件商標がその指定商品に係る商品であるかの如く認識されることとなり、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(ア)申立人は、1989年にボツリヌス毒素を有効成分とする眼瞼の痙攣等の顔面痙攣治療薬(以下「引用商品」という。)を開発し、米国で承認を受けて以来、現在は70ヶ国で承認を受けている(甲第8ないし第10号証)。
(イ)引用商品は、我が国では1995年2月に当時の厚生省により承認され、1997年から販売を開始し、その顧客は全国各地の大学病院や総合病院等の施設に及んでいる(甲第9及び第11号証)。
(ウ)引用商品は、眼瞼の痙攣等の治療に用いられるだけでなく、筋弛緩作用の応用により、しわやたるみの除去などの美容整形目的でも使用されるようになり、2003年には米国において非外科手術的方法による美容整形の第1位を占め、医療専門誌はもとより、最近の美容整形ブームとも相俟って、インターネットにおいては美容整形の関連分野のサイトで紹介記事が多数検索される(甲第12ないし第22号証)。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は「ノトックス」の称呼を生じ、引用商標は「ボトックス」の称呼を生じる。両称呼は、「トックス」の音を同一にする。かかる同一音の部分は両商標の称呼を構成する音の多くの部分を占める。しかも共通部分の「トックス」の「ト」は促音を伴って強く発音される音であるから、「トックス」が特に強調されて発音される。差異音「ノ」と「ボ」は共に母音が「オ(o)」であるが、母音を「オ(o)」にする音は唇をすぼめて口を大きく開けずに発音されることから、こもるような暗めの音感で聴覚される。その結果、「オ(o)」を母音とする「ノ」及び「ボ」の音は比較的おとなしく目立たない音感で聴取され、両称呼を耳にする取引者・需要者にとっては、上記共通する「トックス」が強く聴覚される。また、差異音の第1音「ノ」と「ボ」は、それぞれの子音「n」「b」よりも、共通する母音「o」の方が強く明確に聞き取られ、聴く者の印象に残る。したがって、全体としても似通った称呼として聞き取られる。
また、「化粧品」を初めとする本件商標の指定商品と、引用商標が使用されている引用商品とは、その使用者において少なからぬ関係を有するものといえる。
(3)以上より、本件商標がその指定商品「せっけん類,化粧品」について使用された場合には、当該商品は、申立人の業務に係る商品であるかのごとく認識され、あるいは申立人と経済的又は組織的・人的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認され、その出所について混同を生ずるおそれのあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、前記したとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して、本件商標からは「ノトックス」の称呼を、引用商標からは「ボトックス」の称呼を生ずるものと認められる。
しかして、両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音において、「ノ」と「ボ」の音の差異を有するものであるが、「ノ」の音は鼻腔の共鳴を伴う通鼻音で柔らかな音として聴取されるのに対し、「ボ」の音は有声の破裂音にして、明瞭に発音・聴取されるものであるから、いずれも4音という比較的短い音構成においては、これらの音の差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても、互いに聞き誤るおそれはないものといえる。
また、本件商標と引用商標とは、両商標の片仮名文字部分を比較してみても、印象の強い前半部分において、「ノ」と「ボ」の文字の差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、両者の外観を見誤ることはないものといえる。
更に、両商標は、いずれも造語と認められるものであるから、観念については、比較することが出来ない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標が「眼瞼痙攣治療薬」の商標として医療関係者の間においてある程度知られていたとしても、本件商標の指定商品は一般消費者が化粧品などを取り扱う一般小売店やドラッグストアなどで購入して使用する商品であるのに対し、引用商品は専門性が極めて高く、眼瞼痙攣治療において医師が注射器により患者の目元に数カ所注入する治療方法に用いる「要指示薬品」であって、かつ、ドラッグストアなどの医薬品の取扱が可能な小売店においてさえ販売が禁じられているものであること等の取引の実情からして、商品の出所について混同を生じるおそれは少ないものといえる。
そして、上記したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る商標といえるものであり、申立人の業務に係る薬剤と本件商標の指定商品である化粧品等との商品の差異をも合わせ考慮すれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといえる。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、申立人の提出に係る甲各号証をもってしては、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとは認定できないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。