Trademark Appeal Case
「SWEET」の要部類似と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900002(T2007−900002/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4990916号商標(以下「本件商標」という。)は、平成18年3月9日に登録出願され、「スウィート ヴェイグ」の片仮名文字と「SWEET VAGUE」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、同18年9月29日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立の理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人スイートフェイス ファッション カンパニー エル・エル・シー(以下「申立人」という。)が本件商標についての取消理由に引用する登録第4956883号商標(以下「引用商標」という。)は、「SWEETFACE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年6月16日に登録出願、第3類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年6月2日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「SWEET VAGUE/スウィート ヴェイグ」のローマ文字と片仮名文字からなるが、語頭の前半部の「SWEET」は、取引者・需要者に強い印象を与える。他方、引用商標「SWEETFACE」も語頭に「SWEET」の文字を含み、ここに強い印象を与えるものである。
加えて、引用商標は、本件商標の出願日前の2005年にアメリカの著名人気歌手・女優が立ち上げたブランドであり、我が国においても大変な人気を博しているものである。
このように、本件商標と、引用商標は、「SWEET」の要部において、類似するものであり、かつ、引用商標の著名性を考慮すれば、本件商標は、引用商標の一種のシリーズと誤認されるおそれがある。すなわち、取引の実情を考慮すれば、本件商標は、引用商標とその出所につき誤認混同の生じるおそれがある類似商標というべきである。
加えて、本件商標と引用商標とは、その指定商品において抵触し、かつ、引用商標は先願・先登録である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、米国人の著名人気歌手・女優のジェニファー ロペスが、アンディ ヒルフィガーをパートナーとして立ち上げた会社であり、「J.LO」のブランドをつくり、同ブランドは、初年度から100億円以上の売り上げを挙げるにいたり、ジャケット、コート、パンツ、スカートなどの婦人服はもとより、香水、サングラス、バッグ、水着、ランジェリー等々ありとあらゆる分野にライセンスが拡大し、また、販売網も世界に及んでいる。
このような状況で、引用商標「Sweetface」は、本件商標の出願日前の2005年始めに立ち上げた新ブランドであり、ジェニファーロペスの人気とともに大変な人気を博し、わが国でも婦人のファッション雑誌等で広く紹介され、また、その商品自体輸入販売されて来ている。
これに対して、本件商標は、「SWEET VAGUE/スウィート ヴェイグ」のローマ文字と片仮名文字からなるが、語頭の前半部の「SWEET」は、取引者・需要者に強い印象を与えるものである。よって、本件商標は、引用商標の上記著名性を考慮すれば、本件商標が、その指定商品「香水等化粧品」等に使用されれば、本件商標は、引用商標の一種のシリーズと誤認され、その商品は、ライセンス商品であるかのごとき、取引者・需要者にその出所につき誤認混同の生じるおそれがあるものというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する商標である。
(4)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
上記のとおり、引用商標「Sweetface」は、本件商標の出願日前の2005年に立ち上げた新ブランドであり、ジェニファーロペスの人気とともに大変な人気を博し、わが国でも婦人ファッション雑誌等で広く紹介され、また、その商品自体輸入販売されて来ている。
これに対して、本件商標は、「SWEET VAGUE/スウィート ヴェイグ」のローマ文字と片仮名文字からなるが、語頭の前半部の「SWEET」は、取引者・需要者に強い印象を与えるものである。このように両商標は、商標の要部を共通にするものである。
このような本件商標を、商標登録しようとする行為は、引用商標の人気及び信用を不当にフリーライドしようとするものである。よって、かかる本件商標を登録するのは、国際信義、ひいては公序良俗に反するものである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号にも該当する商標である。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、前記したとおり「スウィート ヴェイグ」の片仮名文字と「SWEET VAGUE」の欧文字を上下2段に横書きしてなるところ、上段の片仮名文字は下段の欧文字の読みを表したものと容易に理解できるものである。そして、その構成に係る上段及び下段の各文字は同じ書体、同じ大きさの文字で、一連に軽重の差なく表されていて、これより生ずる「スウィートヴェイグ」の称呼も格別冗長とはいえず、よどみなく一気に称呼し得るものであって、構成中の「スウィート/SWEET」と「ヴェイグ/VAGUE」の文字部分に分離して称呼、観念しなければならない特段の理由は存しないものであるから、その全体の構成文字に相応して「スウィートヴェイグ」の称呼のみを生じ、不可分一体の造語よりなるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は、「SWEETFACE」の欧文字よりなるところ、構成各文字は、同書、同大、同間隔にまとまりよく一体的に表されているものであるから、その構成文字に相応して「スウィートフェイス」の称呼のみを生ずる特定の語義を有しない造語よりなるものとみるのが相当である。
しかして、本件商標より生ずる「スウィートヴェイグ」の称呼と引用商標より生ずる「スウィートフェイス」の両称呼は、両者の後半部において「ヴェイグ」と「フェイス」の4音に明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、十分に聴別し得るものである。また、両商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるから、外観上、十分に区別し得る差異を有するものであり、さらに、観念においては、両商標は共に造語と認められるから、両者は比較し得ない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれからみても、類似しない商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
引用商標の周知・著名性を立証するためのものとして、申立人から提出された甲第3号証ないし甲第14号証は、いずれも本件商標の出願後に検索し打ち出されたインターネット情報であって、2005年に立ち上げたと申立人が主張する新ブランド(引用商標)が婦人服、婦人靴等に使用されていることは認め得るとしても、本件商標の出願時(2006年3月)に我が国の需要者の間に広く知られるに至ったとする証左は見当たらない。加えて、本件商標は、前述のとおり、引用商標とは明らかに区別できる別異の商標といえるものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号該当について
本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものではなく、また、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会ひいては国際信義に反するものでなく、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとは認められない。
また、本件商標は、前記(1)のとおり、引用商標とは明らかに区別し得る別異の商標といえるものであるから、商標権者が本件商標を採択使用する行為に、引用商標に化体した信用にフリーライドするなど不正の目的があったものということはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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