Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900030(T2007−900030/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4998662号商標(以下「本件商標」という。)は、「ボトチャージセラム」の片仮名文字と「BOTO CHARGE SERUM」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、平成16年11月12日に登録出願、第3類「美容液」を指定商品として、同18年10月27日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)登録異議申立人の使用に係る商標の著名性について
登録異議申立人 アラーガン インコーポレイテッド(以下「申立人」という。)は、1989年に眼瞼の痙攣等の顔面痙攣症状を治療するための薬剤を開発し、該商品に「BOTOX」の商標を付しアメリカ合衆国において承認されて以来、世界各国で承認され、現在では70カ国以上で承認されている。
そして、申立人は、商標「BOTOX」を世界各国で出願し、160件を超える登録を得ているものであり、2003年には「BOTOX」商標を付した商品は世界で5億6300万米ドルの販売高を記録している。
このように、「BOTOX」及び「ボトックス」商標(以下「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、わが国はもとより世界中の取引者・需要者の間に広く認識されている著名商標になっている。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、片仮名文字「ボトチャージセラム」と欧文字「BOTO CHARGE SERUM」を二段に横書きした構成よりなるから、「ボトチャージセラム」の称呼が生じるほか、下段の「BOTO」、「CHARGE」及び「SERUM」のそれぞれの語の間にスペースがあり、「SERUM」が英語で「美容液」の意味を、「CHARGE」が英語で「満たす、詰める、加える」の意味を有することから、その指定商品との関係においては識別力が低い部分となり、「BOTO」の部分が本件商標の要部となり、「ボト」の称呼をも生ずる。
他方、引用商標は、欧文字「BOTOX」と片仮名文字「ボトックス」を二段に横書きした構成よりなるから、「ボトックス」の称呼が生じる。
そこで、両称呼を比較すると、両称呼は語頭の「ボト」の音を同一にするが、かかる同一部分は両商標の称呼を構成する音の約半分を占め、しかも、商標を識別する際に最も重要な語頭部分を同一にするものであるから、近似した称呼として聞き取られる。
さらに、申立人の引用商標は、世界的な著名性を認識していることも相俟って、「ボト」の音から申立人商標を想起・連想して両称呼を一層近似したものと認識しうる。
そうすると、本件商標と引用商標とは称呼上類似する。
また、本件商標の指定商品は、「美容液」であって、「化粧品」の概念に含まれ、まさしく「BOTOX」の商標を付した商品と極めて近似した商品である。この点、他の異議申立事件(異議2004−90287においても)商品「化粧品」と「眼瞼痙攣治療薬」とは、その使用者において少なからず関連性を有するものと認められる旨認定されている。(甲第43号証)
してみれば、本件商標がその指定商品について使用された場合、本件商標は「BOTO」の部分に着目して認識され、「BOTO」の部分が強い印象を与え、申立人の引用商標と関連づけられて認識され。申立人の業務に係る商品との混同を招く蓋然性は高いということができる。
以上より、本件商標がその指定商品「美容液」について使用された場合には、当該商品は、申立人の業務にかかる商品であるかのごとく認識され、あるいは申立人と経済的又は組織的・人的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認され、その出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、前記したとおり「ボトチャージセラム」の片仮名文字と「BOTO CHARGE SERUM」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるところ、上段の「ボトチャージセラム」の片仮名文字は間隔を空けることなく一連に表示されているものであり、下段の「BOTO CHARGE SERUM」の欧文字の読みを特定したものと看取し得るものであるから、「ボトチャージセラム」の一連の称呼を生ずるものとみるのが自然であるが、本願の指定商品である「美容液」との関係において「SERUM」の文字が「美容液」を意味することからすると、構成中の「セラム」及び「SERUM」の文字を省略して「ボトチャージ」、「BOTO CHARGE」の文字部分のみに着目して、これより生ずる「ボトチャージ」の称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないとみるのが相当である。
他方、引用商標は、前記のとおりであるから、「ボトックス」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「ボトチャージセラム」又は「ボトチャージ」の称呼と引用商標から生ずる「ボトックス」の称呼を比較すると、両称呼は、音構成、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標と引用商標の外観を比較してみても、何ら相紛れるおそれのないものということができる。
更に、両商標は、いずれも造語と認められるものであるから、観念については、比較すべくもない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記したとおり、本件商標と引用商標とは、判然と区別し得る別異の商標というべきものであるから、たとえ、申立人の引用商標が顔面痙攣症状を治療するための薬剤の商標として著名であったとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。
なお、申立人は、本件商標と引用商標とはいずれも語頭の「ボト」の称呼を同一にし、引用商標が著名であることも相まって、本件商標の構成中の「BOTO」、「ボト」の文字から生ずる「ボト」の音から申立人の引用商標を想起・連想する旨主張しているが、引用商標が「ボト」と略されて、取引者・需要者に認識されていると認め得る証拠は見当たらない。また、申立人は、審決例・審査例を挙げて、本件商標は、申立人の業務に係る商品との混同を生ずるおそれがある旨主張しているが、それら審決例等で争われている商標は、いずれも、構成中に引用商標「BOTOX」又は「ボトックス」の文字を含むもので、本件とは商標の構成を異にするものであり、事案を異にするものというべきであるから、いずれの主張も上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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