sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名商標と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900031(T2007−900031/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4999021号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4999021号商標(以下「本件商標」という。)は、「NOEVIR」と「NOTOX」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、第3類「化粧品,香料類,せっけん類,歯磨き」を指定商品として、平成18年3月3日登録出願、同18年10月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

(1)登録異議申立人の使用に係る商標の著名性について

登録異議申立人 アラーガン インコーポレイテッド(以下「申立人」という。)は、1989年に眼瞼の痙攣等の顔面痙攣症状を治療するための薬剤を開発し、該商品に「BOTOX」の商標を付しアメリカ合衆国において承認されて以来、世界各国で承認され、現在では70カ国以上で承認されている。

そして、申立人は、商標「BOTOX」を世界各国で出願し、160件を超える登録を得ているものであり、2003年には「BOTOX」商標を付した商品は世界で5億6300万米ドルの販売高を記録している。

このように、「BOTOX」及び「ボトックス」商標(以下「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、わが国はもとより世界中の取引者・需要者の間に広く認識されている著名商標になっている。

(2)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、「NOEVIR」と「NOTOX」の欧文字を二段に横書きした構成よりなり、しかも上段の「NOEVIR」と下段の「NOTOX」との間には1行分程度の間隔が空いているから、各構成文字は、外観上分離して認識されるのに対し、引用商標は、欧文字「BOTOX」と片仮名文字「ボトックス」を二段に横書きした構成よりなるものである。

そうすると、本件商標の下段に書された「NOTOX」は、引用商標の上段に書された「BOTOX」と5文字中、4文字が構成文字及び語順において同一であるから、本件商標と引用商標とは外観上類似する。

また、本件商標からは「ノエビアノトックス」の称呼も生じうるが、前記のように上段と下段とで分離して認識されることから、本件商標に接する取引者・需要者は「ノトックス」の称呼をもって本件商標を認識するとみるのが自然であるのに対し、引用商標からは、「ボトックス」の称呼が生じる。

そこで、本件商標から生ずる「ノトックス」の称呼と引用商標から生ずる「ボトックス」の称呼を比較すると、両称呼は、「トックス」の音を同一にするが、かかる同一音の部分は、両称呼を構成する音の多くの部分を占め、しかも、共通部分の「トックス」の「ト」は促音を伴って強く発音される。 また、差異音「ノ」と「ボ」は、共に母音が「オ(o)」であって、唇をすぼめて口を大きく開けずに発音されることから、こもるような暗めの音感で聴覚される。

そうすると、両称呼を耳にする取引者・需要者にとっては、全体として似通った称呼として聞き取られるから、本件商標と引用商標とは称呼上も類似する。

さらに、本件商標の指定商品「化粧品」は、まさしく「BOTOX」商標を付した商品ときわめて近似した商品である。

この点、他の異議申立事件(異議2004−90287においても)商品「化粧品」と「眼瞼痙攣治療薬」とは、その使用者において少なからず関連性を有するものと認められる旨認定されている(甲第43号証)。

また、本件商標の指定商品「せっけん類」も、顔を含む肌の手入れや肌の状態の改善を目的として使用される商品である点において、申立人の商標を付した商品と強い関連性がある商品である。

してみれば、本件商標は構成中の「トックス」の部分に着目して認識され、「トックス」の部分が強調されて、これが本件商標の外観、称呼及び観念上、取引者・需要者に強い印象を与え、そこから容易に周知著名な引用商標を認識し、申立人の業務に係る商品との混同を招く蓋然性は高い。

以上より、本件商標がその指定商品「化粧品,せっけん類」について使用された場合には、当該商品は、申立人の業務に係る商品であるかのごとく認識され、あるいは、申立人と経済的又は組織的・人的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認され、その出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、前記したとおり「NOEVIR」と「NOTOX」の欧文字を上下2段に横書きしてなるところ、これらを常に一体不可分のものとして認識しなければならない特段の理由は見いだせないものであるから、かかる構成においては、構成文字全体に相応して生ずる「ノエビアノトックス」のの称呼のほか、構成中の「NOEVIR」の文字に相応して「ノエビア」の称呼及び「NOTOX」の文字に相応して「ノトックス」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。

他方、引用商標は、前記のとおりであるから、「ボトックス」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標から生ずる「ノエビアノトックス」又は「ノエビア」の称呼と引用商標から生ずる「ボトックス」の称呼を比較すると、両称呼は、音構成、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼した場合においては、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。

次に、本件商標から生ずる「ノトックス」の称呼と引用商標から生ずる「ボトックス」の称呼を比較すると、両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部分において、音質の異なる「ノ」と「ボ」の音に明らかな差異を有するものであるから、該差異音が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するも、語調、語感が異なるものとなり、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。 この点について、申立人は、両称呼中の「トックス」の音部分が特に強調されて発音される旨主張しているが、確かに、「ト」の音は、促音を伴っていることから、やゝ強めに発音されることを否定するものではないが、上記した語頭音部分における顕著な差異こそが聴者に強い印象を与えるものというべきである。

また、本件商標と引用商標の外観を比較してみても、何ら相紛れるおそれはないものということができる。

更に、両商標は、いずれも造語と認められるものであるから、観念については、比較すべくもない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

上記したとおり、本件商標と引用商標とは、判然と区別し得る別異の商標というべきものであるから、たとえ、申立人の引用商標が顔面痙攣症状を治療するための薬剤の商標として著名であったとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。

なお、申立人は、審決例・審査例を挙げて、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合には、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある旨主張しているが、それら審決例等で争われている商標は、いずれも、その構成中に「BOTOX」又は「ボトックス」の文字を含むもので、本件とは商標の構成を異にするものであり、事案を異にするものというべきであるから、上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。