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Trademark Appeal Case

称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900235(T2007−900235/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5026123号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5026123号商標(以下「本件商標」という。)は、「クラレス」の文字を標準文字で表してなり、平成18年4月17日に登録出願、第5類、第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月11日に登録査定され、同19年2月16日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 引用商標

登録異議申立人である「大正製薬株式会社」(以下「申立人」という。)の引用する登録第2310216号商標(以下「引用商標」という。)は、「クラリス」の片仮名文字と「CLARITH」の欧文字とを上下二段に書してなり、昭和62年10月12日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月31日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品について、平成14年4月17日に第1類、第2類、第3類、第4類、第5類、第8類、第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされているものである。

2 理由の要点

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標及び引用商標は、それぞれ「クラレス」、「クラリス」の称呼を生ずる特定の観念を生ずることのない造語であるところ、両者はともに4音構成よりなり、「ク」「ラ」「ス」の各音を共通にし、異なるところは第3音目において「リ」と「レ」の音に差異を有するのみであり、該差異音「リ」(ri )と「レ」(re)の音は、舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音(r)を共通にするものであって、母音(i)と(e)においても、その音質が近似するものであるから、「リ」と「レ」音とは、近似した音として発音、聴取されるものであり、両者の称呼をそれぞれ全体として一連に称呼するときは、該差異音の差が全体の称呼に及ぼす影響は小さく、その語調、語感が近似したものとなり、時と処を異にして称呼した場合、これに接する取引者、需要者は、互いに相紛れるおそれがある。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する商標であり、指定商品についても抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

同様の相違を有する商標についての審決、平成6年審判第13750号「VARION(バリオン)」=「バレオン」外4件がある(甲第3号証ないし甲第7号証)。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、申立人の業務に係る「抗生物質製剤」に平成3年の発売以来使用され、その売上高は2002年度が259億円、2003年度が271億円、2004年年度が276億円、2005年度が274億円、そして2006年度が275億円(甲第8号証)であり、マクロライド系抗生物質における市場占有率37.7パーセン(2004年)と第一位(甲第9号証)であり、少なくとも本件商標の登録出願時である2005年10月には我が国代表する抗生物質製剤として取引者、需要者に広く知られているところになっていた。

したがって、本件商標がその指定商品である第5類の「薬剤」に使用された場合には、これに接する取引者及び需要者をして、その商品が申立人の取扱い係る商品と誤認し、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれの充分ある商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項第1号により取り消されるべきである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上記のとおり、「クラレス」の文字を標準文字で表してなるものであるから、構成文字に相応して「クラレス」の称呼を生ずるものである。そして、該文字は、特定の語義を有さないから、一種の造語を表したものと認められる。

他方、引用商標は、前記のとおり「クラリス」の片仮名文字と「CLARITH」の欧文字とを上下二段に書してなるものであるが、上段の片仮名文字は下段の読みを表したものと容易に理解できるものである。そうすると、引用商標は、下段の「CLARITH」の読みを表したものと認められる上段の片仮名文字「クラリス」の文字に相応して、「クラリス」の称呼を生ずるものというのが相当である。そして、該文字は特定の語義を有さないから、一種の造語を表したものと認められる。

そこで、本件商標から生ずる「クラレス」の称呼と引用商標から生ずる「クラリス」の称呼を比較すると、両者は、共に4音により構成され、第3音目において「レ」と「リ」の音を異にし、他の3音を同じくするものである。

そして、差異音である「レ」と「リ」の音は、五十音中の同行音に属するものの、両音は、語頭にあって強く発音される「ク」の音に吸収されるように弱く発音される第2音目「ラ」の後に位置するために、弾音である上にアクセントが置かれて強く明確に称呼されるから、該差異音が4音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、本件商標と引用商標をそれぞれ一連に称呼しても、語調・語感を異にし、互いに聴別し得るものというのが相当である。

また、本件商標と引用商標は、それぞれ前記の構成に照らし、外観上区別し得るものであり、さらに、ともに特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、観念において、比較できないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても、非類似の商標というべきである。

おって、申立人は、過去の審決例(甲第3号証ないし甲第7号証)を添付し、これらと同様に本件も判断されるべきである旨主張しているが、申立人の提出に係る甲第3号証ないし甲第7号証を徴すると、本件商標とは商標を全く異にする審決例であるから、請求人の主張は、採用できない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号について

申立人の提出した甲第8号証「薬事工業生産動態統計年報(平成16年度・概要)」には、「市場全体」として「346,141百万円」の記載及び「クラリス売上高(億円)」として2002年3月期から2006年3月期の各期の売上高の記載、その下に「シェア(2004年)」「10.0%」の記載がある。

また、甲第9号証「2006.7.10」の日付が記載された「国際医薬品情報」の45頁の写しには、「〈マクロライド系抗生物質主要製品売上げランキング〉」の表があり「順位1(1)」の「製品名」の欄に「クラリス」と記載がある。

以上、申立人の提出した甲第8号証及び甲第9号証から、申立人が引用商標を商品「抗生物質製剤」に相当程度使用していることは認められるが、証拠はこの2件のみであり、それ以外に引用商標を使用した商品の生産又は販売数、使用期間、使用地域及び宣伝広告の方法・回数・内容等を記載した証拠は提出されていないから、これらの証拠をもって、引用商標が、本件商標の登録出願時に需要者の間で広く知られるに至っていたと認めることができない。

前記1のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものであるばかりか、上記のとおり、引用商標が周知、著名となっていたとまでは認められないから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議申立てに係る指定商品である第5類の「薬剤」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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