Trademark Appeal Case
地名と自動車の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90287(T2006−90287/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4938856号商標(以下「本件商標」という。)は、「INDIANAPOLIS」の欧文字を横書きしてなり、平成15年4月16日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」及び第28類「乗物の小型模型おもちゃ」を指定商品として、同18年3月24日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、「INDIANAPOLIS」の欧文字を普通に用いられる方法で表示してなるから、これをその指定商品に使用しても、商品「自動車並びにその部品及び附属品」については、その商品の産地、販売地を表示するのみであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、商品「乗物の小型模型おもちゃ」については、需要者が何人かの業務に係る商品か認識できないから、同第6号に違反して登録されたものである。
さらに、本件商標は、登録第1988657号商標と商標が類似し、その指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」とは指定商品が同一であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、本件商標は、同法第4条第1項第15号及び同第19号にも違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号商標(枝番号を含む)を提出している。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、申立人に対し、平成19年1月18日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたところ、該取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)本件商標は、アメリカ中北部に位置するインディアナ州の州都「Indianapolis」を大文字で表した「INDIANAPOLIS」の文字よりなるものである。そして、該都市は、「商業・金融業の中心地。工業都市としても大きく発展。フォードがここで最初の自動車を作った記念の自動車レースの開催やスピードウェイ博物館は自動車ファンに有名」であることが認められる(三省堂「コンサイス外国地名事典」第3版 1998年4月20日発行)。
また、申立人の提出に係る甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む)によれば、該都市について、以下の事実を認めることができる。
(ア)2004年の人口は約79万人。外資系を含めた自動車工業の成長によって、五大湖周辺の都市にしては人口増加を続けており、今日では郊外に点在する自動車工業が市況を牽引している(甲第2号証)。
(イ)500マイル自動車レースで有名な商工業都市、自動車、航空機などの企業が数多くある(甲第3号証)。
(ウ)最近は新しい自動車工場などが誕生したことで、勢いはデトロイトよりも活気だっている(甲第4号証)。
(エ)カーレースの伝統を生かして自動車産業が盛ん。近年はデトロイトに代わって業界を牽引している(甲第5号証)。
(オ)自動車工業や機械工業を中心とした産業が盛ん(甲第6号証)。
(カ)全米第12位の人口を有し、州内にはSIA(スバル・いすず)を始めとして日本企業の進出も多い(甲第7号証)。
(キ)(インディアナ州について)自動車・同部品関連の事業所が集中しており、従業員数の分布ではその集中度合いがさらに顕著であり、日系自動車産業が同州にもたらす雇用効果が如何に大きいかが分かる(甲第8号証)。(ク)(インディアナ州について)2003年10月1日現在の日系事業所数は208で、自動車・同部品製造業が多いのが特徴(208のうち83)。日系事業所の総従業員数は38,100人(前年比1%減)。このうち自動車・同部品製造業の総従業員数は28,390人(甲第9号証)。
(ケ)(インディアナ州について)自動車関連産業が中心を占めており、特に自動車はインディアナ州とは切っても切れない存在(甲第10号証)。
(コ)(インディアナ州について)主な産業は自動車産業(甲第11号証)。
(サ)(インディアナ州について)日本の自動車メーカーや部品メーカーの工場をアメリカに建設するには、カーレースの伝統を持つ、この州が最適だという結論をだすところもある(甲第12号証)。
(シ)(インディアナ州)自動車製造、鉄鋼業などの工業、大豆・トウモロコシなどの農業や商業がバランスよく発達している(甲第13号証)。
(ス)(インディアナ州について)数多くの日本企業が事業所を置いており、日本の有力な自動車メーカーも進出又は進出を予定している(甲第14号証、甲第17号証ないし甲第20号証)。
(2)上記の甲第2号証ないし甲第20号証は、インターネット上の各ウエブサイトのページに掲載された情報を出力したものであって、出力した時期は本件商標の登録査定後であるが、その情報の内容からすると、これらの掲載内容は、登録査定時の実情を示していると推認することができる。
(3)上記(1)及び(2)の各事実を総合すれば、我が国において、「Indianapolis」は、インディアナ州の州都であり自動車レース「Indy500」を開催する都市として知られているのみならず、自動車産業などの工業や農業、商業の盛んな都市としても一般に知られているものといわなければならない。
そうとすれば、該都市名を大文字で表した「INDIANAPOLIS」の文字よりなる本件商標は、これをその指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」に使用した場合、該商品の産地・販売地を表示するものと判断するのが相当である。
また、指定商品中、第28類「乗物の小型模型おもちゃ」は、土産品として販売されることも多く、また、自動車レースなどの催物が開催される場合、その会場あるいはその周辺の地域においては、その催物に関連するグッズが販売されることも多いのが実情である。
してみれば、該都市が全米第12位の人口79万人の商業・工業の盛んな都市であることを併せ勘案すると、本件商標が付された「乗物の小型模型おもちゃ」に接する取引者、需要者は、これを同地域で製造・販売されたものであろうと認識するに止まるというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品の産地・販売地を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由の通知に対し、本件商標権者は何ら意見を述べるところがない。
5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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