Trademark Appeal Case
品質表示の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−3720(T2005−3720/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「HI−MAIZE」の文字で標準文字よりなり、第1類、第5類及び第30類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成15年10月17日に登録出願されたものである。その後、同16年8月19日付け手続補正書において、第1類「とうもろこしを原材料とする食品及び飲料製造に使用する化学剤,その他のとうもろこしを原材料とする化学品,とうもろこしを原材料とする食品及び飲料製造に使用する抵抗性澱粉,とうもろこしを原材料とするその他の工業用粉類」、第5類「とうもろこしを原材料とする医療用澱粉,とうもろこしを原材料とする食餌療法用飲料,とうもろこしを原材料とする食餌療法用食品,とうもろこしを原材料とする食餌療法剤,栄養添加剤又は栄養補助剤として使用するとうもろこしを原材料とする食物繊維及び抵抗性澱粉,胃腸機能改善の治療目的で使用するとうもろこしを原材料とする食物繊維及び抵抗性澱粉,とうもろこしを原材料とするその他の薬剤」及び第30類「とうもろこしを原材料とする食用でんぷん,とうもろこしを原材料とするその他の食用粉類,とうもろこし粉,ひき割りとうもろこし,炒ったとうもろこし,コーンフレーク,とうもろこしを原材料とする穀粉加工品,とうもろこしを原材料とするその他の穀物の加工品,とうもろこしを原材料とする抵抗性澱粉を含む食物繊維,とうもろこしを原材料とする菓子及びパンなどの食品及び飲料の成分材料」に補正されたものである。
2 原査定における拒絶理由の要点
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『HI−MAIZE』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、『HI』の文字は、『高い、高級な』等を意味する英語の『HIGH』と同義の語として、また、商品の品質を表すものとして広く使用されており、『MAIZE』の文字は、『とうもろこし』等を意味する英語として広く知られており、全体として、『高級なとうもろこし』等の意味合いを容易に看取させるものである。そうとすれば、本願商標をその指定商品中のとうもろこしを原材料とする商品、例えば、『とうもとこし製の澱粉,とうもろこしの粉類,とうもろこしを原材料とする各種の食品』等に使用するときは、単に商品の品質を誇称するにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「HI」(ハイ)の語について
該語は、「高級、高品質など」の意味を有する語であって、食品の分野においては、例えば植物油では、「オレイン酸の多いものをハイオレイン酸」、「リノール酸の含有量が高いものをハイリノール酸」、大豆には「タンパク質を豊富に含むハイプロテイン」、とうもろこしでは「アミロース含量が高くものをハイアミロースコンスターチ」などと語に冠して採択使用されている事実がある。
(2)「MAIZE」(メイズ)の語について
該語は、英語で「トウモロコシの実」(米国ではコーン)を意味する語であり、飼料用・乾燥とうもろこし粒に「メイズ」が使用されている(例えばhttp://www.geocities.jp/lanna_thai_chiangrai/toumorokosi/toumorokosi.htm)。その他、「トウモロコシ澱粉」を意味する語でメイズスターチなどが挙げられる。
なお、缶詰用には「ベビー・コーン」を、ステーキの添えものや、「コーン・スープ」には「缶詰用スイートコーン」を使用している。
(3)メイズ(トウモロコシ)とレジスタントスターチについて
1999.01.29 日本食糧新聞によれば、「食物繊維は、心臓病、糖尿病、高血圧などの生活習慣病に有用であることが認められており、これらの生活習慣病を予防するという観点から、食物繊維を摂取することの必要性が高まっている。日本人の食生活が欧米型に変わってきたため、日常の食生活の中で食物繊維を十分に摂取することが難しい状況となっている。そのため、食物繊維を効率的に摂取できる食品素材が注目されており、それらを豊富に含んだ食品が数多く市販されている。その主なものは、小麦ふすま、トウモロコシふすまなどの農産物外皮の精製粉砕物、グアガム分解物などの植物種子多糖分解、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなどの化学的に合成された多糖類等々、そのほとんどが多糖類である。一方、同じ多糖類であり、セルロースに次いで生産量の多い澱粉は、従来から生体内でほぼ一〇〇%消化・吸収され栄養源になると信じられてきたが、一九八〇年代にヒトの小腸内でも分解されないような澱粉成分が発見されてから、レジスタントスターチ(酵素抵抗性澱粉)として知られるようになった。一九九一年には、レジスタントスターチとは「健康な人の小腸内で消化・吸収されない澱粉およびその分解物の総称」として定義されるに至った。天然澱粉であるハイアミロースコーンースターチを湿熱処理するとレジスタントスターチすなわち食物繊維含量が顕著に増加することを見出して商品化されたものである。(中略)。一般にコーンスターチというとウルチ種トウモロコシ(アミロース含量二五%)から生産されるが、ハイアミロースコーンスターチは、品種改良によって生み出された高アミロース種トウモロコシ(アミロース含量七〇%)から生産されたものである。」と記載されている。
このように、近年、植物繊維量を多く収穫できる高アミロース種トウモロコシが注目されている事実がある。
(4)まとめ
以上の(1)ないし(3)を総合的に検討すると、
本願商標の指定商品中には「とうもろこしを原料とする抵抗性澱粉、とうもろこしを原料とする抵抗性澱粉を含む食物繊維」などが含まれており、そして、上記(3)に記載のとおり抵抗性澱粉(レジスタントスターチ)とは、難消化性のでんぷんであり、腸の中で消化されないので、不溶性の繊維として便の量を増やす働きがあったり、腸内細菌の食料となり腸内環境を整える効果があると考えられている(例えばhttp://www.yukkou.com/sup/2006/05/post_117.html、http://www.fsc.go.jp/iinkai/i-dai10/dai10kai-siryou3.pdf「ファイバー食パン」の項など参照)。
また、含まれる澱粉が通常のウルチ種とうもろこし(アミロース含量25%)に比べてアミロース含量が多いハイアミロース種とうもろこし(アミロース含量70%)を使用した場合、おのずと抵抗性澱粉を多く生産できることが理解できる。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品との関係で「高品質なトウモロコシ(例えば、高アミロース種とうもろこし)を原料とする商品」の意味を容易に認識、理解させるものであるから、本願商標をその上記に照応する指定商品に使用するときは、単に商品の品質を表示したものと認識、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認識し得ず、また、上記に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
なお、請求人は過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、本願商標と請求人の挙げた登録例は、これらを構成する文字、またはその文字から生ずる意味合いにおいて異なり、さらには使用する商品も異なるものも存在するものであり、出願された商標が商標法3条1項3号に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた登録例は、本願商標と事案を異にするものといわざるを得ない。
そして、本願商標は、商品の品質を表示するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないことは上記のとおりであり、請求人の挙げた登録例の存在によってその認定が左右されるものではない。
さらに、請求人は、パンフレットなど(資料3ないし6)を提出し、本願商標が我が国において商標として認識されている旨主張している。
しかし、使用に係る商標は「ハイメイズ」「ハイメーズ」であって、本願商標と構成態様が相違するから、請求人の主張を採用することはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。