結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2006−31178(T2006−31178/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4576349号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATO」及び「アト」の文字を上下二段に横書きにしてなり、平成13年6月14日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同14年6月14日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標を取り消す、審判の費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、「化粧品」についてあらゆる方向から調査しても、継続して3年以上日本国内において被請求人により使用された事実を見いだせない。
さらに、被請求人以外の者が、被請求人から本件商標の指定商品について専用使用権または通常使用権の許諾を受けて、本件商標を本件審判請求前に継続して3年以上日本国内において使用した事実も認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品について取消されるべきである。
(2)弁駁
ア 使用商標は、以下に述べるように、本件商標と社会通念上同一と認められるものではない。したがって、被請求人の使用商標は本件商標の使用とはいえず、他に使用している証拠もないから、被請求人の答弁は理由がない。
イ 社会通念上同一と認められない理由
(ア)使用商標は図形商標である。
使用商標を構成するアルファベット「A」「T」「O」は、全て互いにつながって図案化されたものであり、モノグラムを形成しているといえる。モノグラムを形成している商標は、通常の意味と異なる印象を与えるため、文字列としての性格を失っている。したがって、使用商標は、文字商標ではなく図形商標である。
一方、本件商標は文字商標であるので、図形商標である使用商標と外観上大きな相違が生じる。
(イ)称呼の相違
使用商標はモノグラムの中央部に「atocure」という小さな文字を配したものであり、この前半の「ato」は、モノグラムの縦書き「ATO」と一致することから、全体として、「アトキュア」と称呼されるものである。また、乙第1号証のパンフレット中にも「アトキュア」と称する呼び方で統一されている。
したがって、使用商標の称呼は「アトキュア」以外にはありえない。そして、本件商標の称呼は「アト」の2文字だけであるので、称呼上両商標が相違することは明らかである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び注文書、納品書、請求書を提出した。
(1)本件商標は、被請求人(商標権者)自身によって、出願前の平成12年10月26日から現在に至るまで、途中使用を中断することなく継続的に、指定商品「化粧品」に使用している。
その事実を示す証拠として、継続的に配布している、同社製品「アトキュアシリーズ」の三つ折パンフレット(乙第1号証)を提出する。
ア 同パンフレットを折り畳んだときに表となる面のほぼ中央には、「ATO」と明確に読める縦書きの文字がある。
イ パンフレットを広げたときの見開き3面には、実際の化粧品の容器が写真により多数示されているが、すべての容器のほぼ正面に、やはり「ATO」と明確に読める縦書きの文字がある。本件商標は「ATO」及びその読み「アト」を横書きにしたものであるのに対して、実際の使用に係る商標「ATO」は縦書きであるが、同一の称呼及び観念を生ずる社会通念上同一と認められる商標である。また、実際の使用に係る商標「ATO」は、その近傍に「atocure」なる文字を伴った商標となっているが、本件商標「ATO」の部分は、「atocure」の文字よりも文字自体が大きく且つ濃度が濃く非常に目立つ態様となっていることに加えて、「atocure」とは綴りの上からも完全に分離したものとなっているため、需要者は、「ATO」の商標として明確に認識できることは明らかである。ちなみに、本件商標「ATO」と併用している「atocure」も、被請求人が所有する登録商標(商標登録第4498749号)である。
ウ パンフレットを折り畳んだときに裏となる面の下方部には、被請求人がパンフレットの商品の製造販売元であることが、明確に記載されている。
(2)上記パンフレットを折り畳んだときに裏となる面の下方部には、さらに、インターネットWeb(http://www.green−kanpou.co.jp)の記載がある。このWebを見ると、グリーン漢方製薬株式会社が、上記パンフレットに記載の商品と同一の商品をインターネット販売していることが分かる。グリーン漢方製薬株式会社は、被請求人の関連企業である。グリーン漢方製薬株式会社の本件商標の使用に関しては、登録原簿に通常使用権の登録は特に行っていないが、商標権者からグリーン漢方製薬株式会社に対してその使用を許諾し、通常使用権者の使用であることになる。
(3)審尋書において提出を求められた、審判請求の登録前3年以内での使用を証明する書面として、答弁書と同時に提出した三つ折仕様のパンフレット(乙第1号証)を印刷した際における印刷業者との取引書類として、注文書と納品書と請求書のそれぞれ原本を提出する。
注文書、納品書、請求書に記載の日付は、それぞれ、平成18年7月3日、同年7月31日、同じく同年7月31日であり、何れも審判請求の登録前3年以内のものであることは明らかである。注文書に記載の発注者及び請求書に記載の請求人宛先であるグリーン漢方製薬株式会社は、答弁書に記載の、被請求人から商標の使用許諾を得て使用している関連会社(通常使用権者)である。
これら注文書等により、本件取消審判に係る商標が、乙第1号証に製造販売元と記載されている被請求人自身により又は通常使用権者であるグリーン漢方製薬株式会社によって、審判請求の登録前3年以内に実際に使用されていることは明らかである。なお、請求書の品名に“改訂”と記載されていることは、本件商標が同パンフレットにより継続的に使用されていることを示すものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、本件審判請求前3年以上はおろか、商標出願前から現在に至るまで継続して、商標権者自らによって、又は通常使用権者によって継続的に実際に使用されているものであるので、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものではない。
(1)被請求人提出の証拠(乙第1号証(パンフレット)、注文書、納品書、請求書)によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、三つ折りになった商品のパンフレットの現物と認められるところ、その表紙に当たる頁の中央には、別掲に示す標章(以下「使用標章」という。)が表示されている。
イ 同パンフレットの見開き頁の右2葉には、商品「スキンローション」「ヘアリンス」(以下「使用商品」という。)の表示とともに、その現物写真が掲載されている。そして、それら商品の容器には、それぞれ、使用標章が表示されているのが認められる。
ウ 同パンフレットの裏表紙に当たる頁の下部には、「製造販売元」として、被請求人の名称及び住所が記載されており、また、その上部に、「http://www.green−kanpou.co.jp」の記載がある。
エ 注文書(平成18年7月3日付け)、納品書(同年7月31日付け)、請求書(同年7月31日付け)2通によれば、被請求人が通常使用権者と主張するグリーン漢方製薬株式会社が、株式会社アドハウス宛てに「アトキュア 3つ折パンフレット3000枚」を同年7月3日に注文したこと、同月31日に後者が前者に納品し、同時に代金の請求(105,000円税込み)をした各事実が認められる。また、請求書に押印された内容からすると、当該代金105,000円が振込銀行(みずほ銀行浅草支店)の指定口座へ、同年8月31日に振込まれたことが推認し得る。
(2)本件商標は「ATO」及び「アト」の文字からなるものであり、使用標章は、別掲のとおり、縦書した「ATO」部分と横書きした「atocure」部分が縦横に交差するような位置関係にはあるが、その大きさや書体の相違からしても、決して、両文字部分が融合し一体となった態様で表されものとして看取されるものではなく、「ATO」と「atocure」とは、それぞれが独立した標章として看取され得るものである。そして、当該「ATO」は、本件商標の欧文字部分とその構成を同じにし、これより生ずる称呼も同一のものと認められるから、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
なお、請求人は、当該「ATO」が図形商標であり、本件商標と社会通念上同一の商標の使用ではない旨主張しているが、表示形態において各欧文字が一部で連結するが如くに表され、「T」が右側にずれるなど、やや図案化されてはいるとしても、上記のとおり、その構成欧文字及び称呼を明確に確認し得るものであるから、社会通念上同一の商標と認めて差し支えないというべきである。
(3)前記(1)及び(2)で認定した事実を総合すれば、本件商標の通常使用権者と認め得る(この点について、請求人は弁駁において積極的に争っていない。)グリーン漢方製薬株式会社は、使用商品及び本件商標と社会通念上同一と認められる使用標章を掲載した三つ折りの商品パンフレット(乙第1号証)を本件審判の請求の登録(平成18年10月10日)前3年以内である平成18年7月31日に注文先の株式会社アドハウスから納品を受け、これを通常使用権者若しくは被請求人において展示し、又は頒布したことが推認することができる。また、使用商品は、「スキンローション」「ヘアリンス」であって、これらが「化粧品」の範疇に属することは明らかである。
(4)以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品に含まれる「スキンローション」「ヘアリンス」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品の「化粧品」について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。