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Trademark Appeal Case

産地・品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−27556(T2006−27556/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類に属する「そうめんのめん」を指定商品として、平成17年9月13日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『島原の糸』の文字を普通に用いられる方法で縦書きに書してなるところ、本願指定商品との関係においては、その構成中の『島原』の文字部分は、『長崎県南東部雲仙岳周辺の地域』を指称するものであって、同地域において、商品『そうめんのめん』が製造、販売されている。また、くずし字の『の』の文字は、場所を示す助詞『の』を意味し、さらに、『糸』の文字部分は、株式会社岩波書店発行広辞苑第5版によれば『細く長くて糸のような線状のもの。比喩的にも使う。』と記載されており、また、そうめんの生産工程で天日乾燥する様相が恰も『糸』のような感覚を生じさせることから、そうめんを形容するものとして慣用されているので、これよりは全体として、『長崎県南東部雲仙岳周辺地域のそうめん』程度の意味合いを認識・理解させるにすぎず、これを本願指定商品中、『長崎県南東部雲仙岳周辺地域で製造されたそうめんのめん』に使用しても、単に商品の産地、販売地、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人は、本願商標を昭和28年から約53年間にわたり、商品「そうめんのめん」について使用し、商標法第3条第2項に該当する旨主張し、証拠方法として参考資料1乃至11を提出しているが、これらの証明書に書された証明事項は、実際に使用している商標の態様を証明するのみで、使用期間、生産及び譲渡量等が証明されていない。さらに、実際に使用している商標は、扇型の図形と共に使用されているものが多く、本願商標と態様を異にするので、これら証明書のみによっては、本願商標が、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認めることができない。したがって、本願商標が商標法第3条第2項に該当するという出願人の主張は認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)「島原乃糸」について(ウィキペディア(Wikipedia)の素麺の項http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%A0%E9%BA%BAによれば)

「島原素麺」は、「長崎県南島原市などが産地。全国で二番目の生産量。品質に優れ、古くから三輪に供給されていた。そのため、知名度は低かったが、近年になってブランド力を高めている。」と記載されている。

そして、「糸」の文字は、原審説示のとおり、糸の如く細くて長い「素麺」を比喩して使われているものと認められる。

そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用したときは、取引者、需要者をして長崎県南島原市などで生産された素麺であることを認識するにすぎないともと認められる。

(2)本願商標の使用時期について

請求人は、「昭和28年から使用を開始し、使用して53年間になる」と述べているが、これを裏付ける証左がなく、この主張のみによっては、本願商標の周知性を認めることができない。

(3)過去の登録例(登録第4271573号及び4951173号)と本願商標の使用態様について

請求人が所有する上記の2つ登録商標は、その構成中に本願商標の構成文字「島原乃糸」の文字を有するが、図形要素を含み構成態様を異にするから、本願商標の周知性を立証する証拠としては認めることができない。

(4)商標の使用形態について

請求人は、製品パンフレット(甲第3号証ないし甲第5号証)、製品チラシ(甲第6号証)、請求人の使用商標を付した封筒(甲第7号証)、使用商標のシート(甲第8号証)、請求人のホームページのハードコピーの写し(甲第9号証)、食品新聞広告頁の写し(甲第10号証)、インターネットの検索結果のハードコピー写し(甲第11号証)「大丸」のホームページのハードコピーの写し(甲第12号証ないし甲第16号証)を提出しているが、使用に係る商標は、その構成中に扇(図形)中に「島」の文字と出島の地図(図形)を含むもの、「島原の糸」の文字を含むもの、などであって本願商標のみを使用している証左は見当たらない。

そして、当該証拠中には、販売数量、売上高などの販売実績を示すものは見当たらない。

そうとすれば、提出に係る証左をもって、本願商標の周知性を立証するものとは認められない。

(5)周知性について

請求人が提出している島原手延素麺組連合連絡協議会のホームページの写し(甲第16号証)には、「島原手延そうめんは、長崎県島原半島に位置する西有家町(にしありえ)・有家(ありえ)町両町で約370業者、80億の出荷高で全国2位の生産量を誇っています。」と記載されているが、「参加組合名簿」によれば、請求人の他に島原手延素麺協同組合、西有家手延素麺協同組合など同様な団体が多数有ること、請求人の組合に参加している業者数が不明であること、等が把握できるものの、請求人の使用に係る本願商標の周知性を判断するために必要な出荷高、販売数量など販売実績を確認することができない。

また、西有家町商工会の商標周知証明書の写し(甲第17号証)を提出しているが、周知性を判断できる理由、根拠が記載されていないものであるから、これだけでは周知性を立証したものと認めることはできない。

さらに、請求人は、「本願商標を付した包装袋を1年間(平成16年9月から平成17年8月まで)で23万袋使用し、53年間で1千万袋使用したことになるから、本願商標は周知である」旨述べているが、当該包装用袋の使用数量を証明する証左がないので、請求人の主張を採用することができない。

(6)まとめ

以上の(1)ないし(5)からすれば、

(ア)商標法第3条第1項第3号について

「島原乃糸」の文字よりなる本願商標は、これをその指定商品中「そうめんのめん」に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、単に商品の品質、産地を表示したものと認識させるにとどまるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録の要件を具備しないというべきである。

(イ) 同第4条第1項第16号について

また、本願商標をその指定商品中「南島原市産のそうめんのめん」以外の商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するというべきである。

(ウ)同第3条第2項

使用商標は、図形商標との結合商標であったり、「島原の糸」の文字を含むものであり、大多数の使用商標は、本願商標と構成態様を異にするものであるから、本願商標が使用されていないばかりでなく、周知性を判断するうえで必要な販売数量、売上高等の販売実績が証明されておらず、本願商標に接する取引者、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものであるとする証拠が提出されていないから、商標法第3条第2項に該当するものとは認められない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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