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Trademark Appeal Case

「SILK TOUCH」の品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−28761(T2006−28761/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「SILK TOUCH」の文字を書してなり、第3類に属する「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成17年2月7日に登録出願されたものである。

第2 原査定における拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『シルクのような感触』の意味合いを認識させる『SILK TOUCH』の文字を標準文字により書してなるものであるから、これをその指定商品中、上記意味合いに照応する商品、例えば『シルクの感触のせっけん,シルクの感触の化粧品』に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

第1 「SILK TOUCH」の語に関連して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。

1.「シルクタッチ」について

(1)「粉おしろい」(クリスタルジェミーのウェブサイト:http://crystaljemmy.com/onlineshop/detail_powderwhite.html)において

「こだわりのポイント」の欄には、「シルクタッチの粒子がお肌にフィットし、繊細でキメ細やかに仕上げます。」、同じく「配合成分」の欄には、「シルク」と記載されている。

(2)「美容原液」(銀座セルクブランのウェブサイト:http://www.ginzacellcureblanc.com/html/cosme.html)において

「美容原液」の商品説明では、「お肌にしっとりと潤いを与えるのにベタつかず、お肌にスッとなじみ、サラサラとしたシルクタッチの使用感。美容成分が効果的に広く、深く浸透・吸収されるよう処方されています。」と記載されている。

2.シルクパウダーに関して

(1)「シルクパウダー」(きのままのウェブサイト:http://www.kinomama.jp/lohas/yogo/2006/03/post_888.html)において

「シルクパウダー」の項には、「カイコの絹繊維を構成している繊維状タンパクの粉末。アミノ酸組成が人間の皮膚や毛髪を構成するアミノ酸組成比と類似しているので、皮膚や毛髪に対して高い親和性を有する。グリシン、アラニン、セリンなどのアミノ酸から成り、光をソフトに反射し肌の表面をきめこまかく仕上げる効果がある。「用途・効用」の項には、「ファンデーション、パウダー、眉ずみ、アイシャドー、クリーム、乳液、洗顔料、化粧石けん、シャンプー、リンスなど、幅広く使用されるシルクの持つ肌触り、色調、光沢などが化粧品の柔軟性、滑沢性、皮膚に対する展着性を向上させる。」と記載されている。

(2)「商品ニュース 20−30代向け化粧ブランド」(2006.02.23付け共同通信の新聞記事)において

「カネボウ化粧品は20代半ばから30代半ばをターゲットにした化粧品の新ブランド『ラヴーシュカ』23品目を発売した。シルクパウダー、真珠エッセンスなどの高級素材を用い、セルフ化粧品としては価格を高めに設定した。店頭ではリキッドリップスが1680円程度、パウダーファンデーションが1995円程度。」と記載されている。

3.「シルク」について

(1)商品「クレンジング、洗顔クリーム、ローション」(アーダン化粧品のウェブサイト:http://www.w-mama.com/ami/SEIKATU/adan.html)において

「シルクが肌に良い理由は?」の項には、「皮膚の構成成分と似ている。:シルクの成分は、アミノ酸をはじめ私たちの皮膚の構成成分ととてもよく似ています。そのため、お肌への浸透性に優れ肌に馴染みやすいのです。また、外界から肌を守っている角質とPHが弱酸性という点でも似ています。紫外線をカット:シルクはお肌の大敵である紫外線をカットする作用もあります。含まれるたくさんの有効成分:シルクには、お肌の貼りと弾力性を保ち、小じわやたるみなどを防ぐ作用をする成分も豊富に含まれています。」、「クレンジングの成分」の欄には、「加水分解シルク」の語が記載されている。

4.「シルクパウダー」の特許文献について

(1)「特開2006-290859」「シルクパウダー入り米ぬか洗顔絹つつみ」において

「課題」の項には、「美容効果を高めるために加熱殺菌した米ぬかにシルクパウダーをまぜて、洗顔することで、米ぬかの有効成分とシルクパウダーの化粧用としての有効成分により人体の肌に自然な潤いを与え、肌を滑らかにする効果のある洗顔料を提供する。」、「解決手段」の項には、「玄米を精製する際にできる米ぬかを、75度以上で数分間炒めて殺菌した米ぬかに化粧品として効果のあるシルクパウダーを10〜20%混ぜ、絹の布袋に挿入したことを特徴とする粉末状洗顔料。」と記載されている。

(2)「特開2004-250432」「化粧料」において

「課題」の項には、「シルクパウダーを配合しても、さらさら感の強いつけ心地を持ち、かつ夏場の暑い中でもべたべた感を感じにくい化粧料を提供する。」、「解決手段」の項には、「α構造のフィブロインを有する再結晶化シルクパウダーを低級アルコール及び/又はアセトンと接触させることにより、少なくともパウダー表面をβ構造に転換するとともに、クランベリー果実エキスと、溶媒からなるスラリーを噴霧乾燥して得られる改質シルクパウダーおよび該パウダーを含有する化粧料。」と記載されている。

第2 以上の事実によれば、本願商標を本願の指定商品に使用するときは、「シルクのようにさらさらした肌触りの商品」の意を認識させるものであるとともに、近時の化粧品に係る取引分野においては、前記第1のウェブ上での商品説明、特許文献、新聞記事にみられるように、「シルクタッチ」の語が普通に採択使用されていること、「シルク」はそれ自体に肌によい成分を含むこと、「シルクパウダー」を化粧品に配合することによりシルクの持つ肌触り、色調、光沢などが化粧品の柔軟性、滑沢性、皮膚に対する展着性を向上させる効果があること、以上の事から、実際にシルクタッチの化粧品が取り扱われていることを窺い知ることができる。

してみれば、請求人(出願人)が、これをその指定商品中、前記文字に照応する商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表示するにすぎないものと認識し、把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないというのが相当であって、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというべきである。

第4 職権証拠調べに対する意見の要点

本願商標の構成は、「SILK TOUCH」の文字を標準文字により書してなるものである。

(1)そこで、本願商標について検討してみるに、本願商標は「絹、絹糸、シルク」の意味を有する「SILK」の文字と、「感触、手触り」の意味を有する「TOUCH」の文字とを結合したものであることを容易に認識し得ることを否定するものではないが、それぞれの語は、「絹、生糸」を意味する「シルク」及び「さわること、(ピアノやオルガンなどを弾く時の)指づかい、(絵画の)筆づかい、技法」等の意味の「タッチ」という外来語として親しまれているものである(資料1および資料2)。

一方、本願商標「SILK TOUCH」なる語は、辞書においてもその記載のない造語であるため、かかる観念の認定は語義本来の意味に留まらず、構成される単語の意味を必要以上に探求し、また商品との関係をも必要以上に追求した結果によるものであり、現実に本願商標を見た需要者・取引者の想起する観念とは全く遊離しているものである。

本願商標を見た需要者・取引者は、特に意味合いを追求することなく単に「SILK」「シルク」と「TOUCH」「タッチ」を結合した程度の、たとえば「絹の筆づかい」、「シルク技法」、「生糸の指づかい」等、様々な観念を生ずるに過ぎないものと推察する。

そもそも、文字からなる商標にあっては、それが従来から存在する言語によらない全くの造語でない限りは、それらを構成する文字の意味を探求すれば何らかの意味を有する語であるのは当然であって、このような文字からなる商標が、その指定商品について、登録要件を具有するものであるか否かの認定に際しては、該語が、その商品を端的に表示するためのものとして、その商品の商取引業界において、商取引上、普通に用いられているものでなければならないとするのが、過去における審決例及び判決例の示すところであるばかりでなく、従来からの商標審査の経験則でもある。

しかして、商品の説明文に本願商標を使用する例があるとしても、これはあくまでも、前後の文章との関わりにおいて商品を説明していることが理解されるにすぎず、近時の化粧品に係る取引分野において「シルクタッチ」の語が普通に採択使用されているとは到底言い難いものである。

(2)また、前記第3に記載のとおり「『シルク』はそれ自体に肌によい成分を含むこと、『シルクパウダー』を化粧品に配合することによりシルクの持つ肌触り、色調、光沢などが化粧品の柔軟性、潤沢性、皮膚に対する展着性を向上させる効果があること」については、何ら否定するものではないが、その事実から、「SILK TOUCH」の語が、化粧品業界において普通に使用されていると結論するのは、あまりにも飛躍した論理といわざるを得ない。

上記意見を裏付ける思料として、「シルク」または「SILK」が自他商品識別力を生ずると判断され、登録になった例を示す。

(3)以上述べたように、本願商標は、商品の品質、効能を表示したものとして理解されるものではなく、全体としての自他商品識別力は十分有するものであるから、商標法第3条第1項第3号及び、同法第4条第1項第16号の規定に該当するものではない。

第5 当審の判断

上記第3の証左よりすれば、次のとおり認められる。

(1)「SILK TOUCH」の語について

本願商標は、「SILK」及び「TOUCH」の文字を結合し標準文字で書してなるところ、両語は、請求人が述べているようにそれぞれ多義語であるとしても、その指定商品「化粧品」との関係では、「シルクタッチ」の語が新聞紙上等に限らず業界において、「シルクのような感触」の意味合いをもって一般に使用されていることが認められる。

(2)シルクタッチとは

化粧品の扱う業界では、ベタ付かず、肌にフィットし、きめ細かく仕上げることが消費者ニーズとして求められていること明らかである。

そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者が、「さらさらした感触」としての意味合いを想起すると判断するのが自然である。

さらに、次の(3)で記載のとおり、化粧品中にはシルクパウダーを配合したものが多数取引されている実情にあるから、本願商標に接する取引者、需要者は、絹素材がもつ本来のさらさらした感触を意識して商品を購入すると判断するのが相当である。

(3)シルクパウダーがもたらすシルクタッチ

ファンデーション、アイシャドー、パウダー、化粧せっけん、シャンプー、リンス等の化粧品には、シルクパウダーと称して絹繊維を構成している繊維状タンパクの粉末を配合させていることが認められる。

そして、シルクパウダーの特性として、化粧品に使用することによりシルクの持つ肌触り、色調、光沢、滑沢性、皮膚に対する展着性を向上させること及び紫外線をカットする効果が認められている。

(4)以上のとおり、本願商標をその指定商品中「シルクパウダーを配合したせっけん類・化粧品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして「シルクのようにさらさらした肌触りの商品」の意を容易に認識させるものであることは明らかである。

してみれば、請求人(出願人)が、これをその指定商品中、前記文字に照応する「せっけん,化粧品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表示するにすぎないものと認識し、把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないというのが相当であって、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというべきである。

(5)ところで、請求人は、「シルク」「SILK」の文字を冠した登録商標を引用して本願商標が登録要件を具有するものであると主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は,各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張は、採用することができない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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