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Trademark Appeal Case

商標使用の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300529(T2007−300529/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1040398号商標(以下「本件商標」という。)は、「NSK」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年9月22日に登録出願され、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品及び附属品、写真材料」を指定商品として、同48年10月25日に設定登録されたものであり、その後、3回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、また、指定商品については平成15年10月29日に、第1類「写真材料」、第5類「医療用腕環」、第9類「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」を指定商品とする書換登録がされ、さらに、商標権一部取消し審判により、指定商品中第10類「医療用機械器具」について登録を取り消すべき旨の審決がされ、同18年8月3日にその確定審決の登録がされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中、第9類『測定機械器具』についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、これを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。

1 請求の理由

被請求人は、本件商標は、その指定商品中の第9類「測定機械器具」について、継続して3年以上、被請求人により使用されていない。また、本件商標について、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在せず、また、現在においても使用されていない。

したがって、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は「測定機械器具」について取消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙各号証について

(ア)被請求人は、「照度計」、「レベルメーター」及び「方向コンパス」について本件商標を使用している旨主張し、乙各号証を提出しているので、この点について検討する。

(イ)乙第1号証は、「『NSK』なる文字が表されたシール」(以下「NSKシール」という。)が発注された資料等である。

同号証によって、「NSKシール」が発注された事実を窺うことができる。

(ウ)乙第2号証ないし乙第15号証は、「NSKシール」が貼付された「照度計」、「レベルメーター」及び「方向コンパス」の写真である。

しかしながら、同号証によっては、「NSKシール」が貼付された状態の製品が実際に取引に資されているか否かは不明である。

(エ)乙第16号証ないし乙第20号証は、「照度計」 、「レベルメーター」及び「方向コンパス(方向磁石)」の文字が記載されている販売伝票等であり、被請求人が、「照度計」、「レベルメーター」及び「方向コンパス(方向磁石)」を販売した事実を窺い知ることができる。

しかしながら、当該販売伝票等には、「NSK」なる文字は記載されていないから、当該製品が販売される際に、当該製品に「NSKシール」が貼付されていたか否かは不明である。

(オ)商標を製品の包装等に直接印字するのではなく、本件のように、商標が表されたシールを製品の包装に貼付するような場合には、シール自体が簡単に取り外し可能であることから、その商標の使用の立証にはシールを貼付した状態の製品が確実に販売されたことを証する証拠が提示される必要がある。

しかしながら、上記(イ)ないし(エ)で述べたとおり、乙各号証によっては、「NSKシール」が貼付された状態の「照度計」 、「レベルメーター」及び「方向コンパス(方向磁石)」が販売されているという事実を確認することができない。

したがって、本件商標の指定商品中「照度計」 、「レベルメーター」及び「方向コンパス(方向磁石)」についての本件商標の使用は立証されていないものである。

(2)本件商標の使用の時期について

乙第1号証をみると、3種類の「NSKシール」の印刷費用が記されており、これより、2005年11月に上記各シールが印刷されたと思われるが、上記証拠には、これらのシールに関する「型代」 「版代」の費用も記されていることから、上記各シールは、この時に初めて印刷されたという事実が確認できる。

しかしながら、「NSKシール」が初めて印刷された、2005年11月は、請求人が、被請求人に、本件商標に係る商標権の譲渡交渉等を試みた時期と深く関連するものである。

請求人は、2005年9月7日付けの書簡にて、被請求人に対して、本件商標に係る商標権の譲渡交渉を試みており(甲第1号証)、これについては、被請求人の代理人より、同年10月19日付けの書簡にて、本件商標に係る商標権の譲渡には応じられないが、使用許諾であればよいとの回答を得ている(甲第2号証)。

すなわち、「NSKシール」は、請求人が譲渡交渉の書簡を送付した2005年9月7日よりも後である2005年11月に初めて作成されたものである。

そうとすれば、請求人が本件商標の権利取得を望む被請求人の存在を認知し、被請求人が、請求人から本件審判(不使用取消審判)請求がなされる可能性があることを知った後に、「NSKシール」を作成していることは明らかである。

また、「NSKシール」が貼付されている製品は、乙第2号証の3を見る限り、包装の裏面の下部に、「発売元 新潟精機株式会社」の文字が表わされたシールも貼付されており、製品の製造元と販売元が異なる所謂OEM生産による形態がとられているように見受けられる。

仮に、OEM生産による場合であっても、製品(包装を含む)を製造する際には、その製品に係る商標が既に採択されており、製品の包装等には予め製品に係る商標等が印字されているのが一般的であると考えられるところ、本件においては、製品の包装の印刷が行われた後に、その包装に製品に係る商標を表わしたシールが貼付されていることになり、商標の使用態様が極めて不自然である。

以上の諸点を総合的に勘案すると、被請求人は、本来、本件商標を使用する意思はないものの、請求人の譲渡交渉の申し込みに触発されて、防衛的に、いわゆる、駆け込み使用をしたということができる。

してみれは、被請求人の使用は、商標法第50条の不使用に基づく取消審判の趣旨に反するものということができる。

(3)「照度計」についての本件商標の使用の時期について

上記(2)で述べたように、請求人は、2005年9月に、被請求人に譲渡交渉を試みている。

また、被請求人は、製品「照度計」についての商標の使用に関し、「東急ハンズ北千住店」、「東急ハンズ札幌店」及び「高森コーキ株式会社」への納入伝票等(乙第16号証及び乙第19号証の9)を提出しているが、これらは2007年(平成19年)2月6日より同年同月13日までの伝票等であり、いずれも本件審判の請求された日である2007年4月27日より前3月以降に製品が販売されたことを示すにすぎないものである。

なお、被請求人は、答弁書において、「東急ハンズ北千住店」での受注・納品については、平成17年2月6日付けをもって、「東急ハンズ札幌店」での受注・納品については平成17年2月6日及び同年同月12日付けをもって、と述べているが、実際には、いずれも平成17年ではなく、平成19年(2007年)の受注・納品に関する伝票であることは、乙第16号証に示されている受信記録等から明らかである。

このような状況を勘案すると、仮に、本件商標を貼付した状態の「照度計」が販売されていたとしても、上記証拠に示された商標の使用は、商標法第50条第3項に規定する、いわゆる、駆け込み使用の期間である「審判の請求前三月からその審判の請求の登録の日までの間」の使用に該当し、かつ、本件商標について不使用取消審判が請求される可能性があることを知った後に商標の使用を行なっていることは明らかである。

したがって、被請求人が提示した証拠は、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用に該当しないものであり、ゆえに、「照度計」についての使用の立証はなされていないものである。

(4)まとめ

以上の諸点からすると、乙第1号証ないし乙第20号証によっては、被請求人は、商標権者等が本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品、第9類「測定機械器具」について使用された事実を何ら立証するものではない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第21号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。

1 使用の事実

(1)本件商標を「照度計」に使用した事実について

被請求人は、平成17年2月6日付けで、「東急ハンズ北千住店(所在地 東京都足立区千住3−92 北千住マルイ6階及び7階)」より、「照度計」を受注し、納品した事実がある(乙第16号証の1「発注書兼納品書」)。

また、被請求人は、平成17年2月6日付け及び同年同月12日付けで、「東急ハンズ札幌店(所在地 北海道札幌市中央区南1条西6丁目4−1)」より、「照度計」を受注し、納品した事実がある(乙第16号証の2及び3「発注書兼納品書」)。

さらに、被請求人は、平成17年2月13日付けで、「高森コーキ株式会社(所在地 新潟県三条市南四日町4−8−18)」に、「照度計」を販売した事実がある(乙第19号証の9「売上伝票、受領書」)。

(2)本件商標を「レベルメーター」に使用した事実について

被請求人は、2006年7月24日より2007年1月5日まで、「角利産業株式会社(所在地 新潟県三条市東本成寺3−3)」に、本件商標を付した「レベルメーター」を販売した事実がある(乙第17号証の1ないし4)。

また、被請求人は、2006年7月6日より同年10月2日まで、「株式会社坂井商会流通センター(所在地 新潟県三条市大字塚野目字花立722番1号)」に、本件商標を付した「レベルメーター」を販売した事実がある(乙第18号証の6、7、10、13及び14)。

さらに、被請求人は、2006年7月5日より同年11月21日まで、「高森コーキ株式会社(所在地 同上)」に、本件商標を付した「レベルメーター」を販売した事実がある(乙第19号証の2ないし5及び7)。

加えて、被請求人は、2006年7月21日より2007年2月21日まで、「光星株式会社(所在地 新潟県三条市直江町4丁目2番10号)」に、本件商標を付した「レベルメーター」を販売した事実がある(乙第20号証の7、13、15、19及び29)。

(3)本件商標を「方向コンパス」に使用した事実について

被請求人は、2006年1月6日より2007年3月8日まで、「株式会社坂井商会流通センター(所在地 同上)」に、本件商標を付した「方向コンパス」を販売した事実がある(乙第18号証の1ないし5、8、9、11及び12、15ないし21)。

また、被請求人は、2006年1月31日より2007年4月26日まで、「高森コーキ株式会社(所在地 同上)」に、本件商標を付した「方向コンパス」を販売した事実がある(乙第19号証の1、6、8、10、11及び12)。

さらに、被請求人は、2006年1月27日より2007年4月21日まで、「光星株式会社(所在地 同上)」に、本件商標を付した「方向コンパス」を販売した事実がある(乙第20号証の1ないし6、8ないし12、14、16ないし18、20ないし28、30ないし37)。

(4)「NSKシール」の印刷発註等について

上記(1)の「照度計」(乙第2号証)に貼付使用した「NSKシール」は、仕入一覧表(乙第1号証の1)中、2005年11月29日付けで仕入た「NSKブランドシール5.5×18.5(5.5mm×18.5mmの意)」である。

当該「NSKシール」は、平成17年11月21日に、伝票NO.8631として、1,000枚を、富士印刷株式会社(所在地 新潟県三条市西本成寺2−7−11)に印刷依頼をしたものである(乙第1号証の2及び3)。 また、上記(2)のレベルメーター(乙第3号証)に貼付使用した「NSKシール」は、仕入一覧表(乙第1号証の1)中、2005年11月29日付けで仕入た「NSKブランドシール9×31(9mm×31mmの意)」である。

当該「NSKシール」は、平成17年11月21日に、伝票NO.8631として、5,000枚を、富士印刷株式会社(所在地 同上)に印刷依頼をしたものである(乙第1号証の2)。

さらに、上記(3)の「方向コンパス」(乙第3号証)に貼付使用した「NSKシール」は、仕入一覧表(乙第1号証の1)中、2005年11月29日付けで仕入た「NSKブランドシール8×26(8mm×26mmの意)」である。

当該「NSKシール」は、平成17年11月21日に、伝票NO.8631として、35,000枚を、富士印刷株式会社(所在地 同上)に印刷依頼をしたものである(乙第1号証の2)。

(5)営業活動について

被請求人は、支店(所在地 新潟県三条市林町一丁目22番17号)にて、営業活動を行っている(乙第21号証)。

そのため、「NSKシール」を貼付使用した「照度計」(乙第2号証)、「レベルメーター」(乙第3号証)及び「方向コンパス」(乙第4号証ないし乙第15号証)の包装パッケージを構成する台紙の表面部に付されている社名、所在地は支店の住所と同じである。

これによって、被請求人の活動が支店でなされていることが証明できる。

2 むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、その請求に係る指定商品、第9類「測定機械器具」について使用されているものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。

第4 当審の判断

1 乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第10号証の1は、前面が透明になっている包装箱の写真(写し)と認められるところ、内部には「方向コンパス」と認められる商品が入っている。

そして、当該包装箱の上部には「方向コンパス」の文字が大きく表示され、当該文字の右側には「品番」の文字及び「No.880」の文字・番号が2段に表示されている。

また、当該包装箱の下部には本件商標と社会通念上同一と認められる「NSK」の商標が表示されている。

(2)乙第10号証の3は、前面が透明になっている包装箱の裏面の写真(写し)と認められるところ、当該包装箱の下部中央にバーコードが表示され、当該バーコードの下に「4975846827325」の数字が表示されている。

また、当該包装箱の下部右側には、「発売元 新潟精機株式会社」の文字及び「新潟県三条市林町1丁目22番17号」の文字が表示されている。

(3)乙第20号証の3は、「売上伝票」及び「受領書」の写しであるところ、「売上伝票」の上部左側には「三条市直江町4丁目2番10号 光星(株)」の文字が表示され、上部右側には「新潟精機株式会社」の文字が表示され、日付欄には「2006年4月21日」と表示されている。

また、当該「売上伝票」の「品名・サイズ」の3段目には、上記2で述べた乙第10号証の3に表示されている数字「4975846827325」と同じ数字が表示されている。

さらに、当該「品名・サイズ」の3段目には、上記1で述べた乙第10号証の1に表示されている品番「No.880」と同じ文字・番号が表示されている。

加えて、当該「売上伝票」の「品名・サイズ」の3段目には、「数量」として「6」、「単価」として「414」及び「金額」として「2484」の表示がなされている。

(4)乙第21号証は、被請求人の平成19年5月25日付けで証明された「履歴事項全部証明書」(登記簿謄本)の写しであるところ、これには、他の記載事項と共に、「商号 新潟精機株式会社」、「目的 2.度量衡器及び測定工具の製造及び販売」及び「支店 新潟県三条市林町一丁目22番17号」の記載がなされている。

2 前記1で認定した事実を総合すると、商標権者の新潟支店は、本件審判の請求の登録日(平成19年5月18日)の前3年以内である平成18年(2006年)4月21日に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を附した「方向コンパス」6個を、単価414円で、光星株式会社(所在地 三条市直江町4丁目2番10号)に販売したことが認めらる。

したがって、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品「測定機械器具」に包含される「方向コンパス」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたというべきである。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、「商標を製品の包装等に直接印字するのではなく、本件のように、商標が表されたシールを製品の包装に貼付するような場合には、シール自体が簡単に取り外し可能であることから、その商標の使用の立証にはシールを貼付した状態の製品が確実に販売されたことを証する証拠が提示される必要がある。」と主張する。

しかしながら、商標権者が商品を販売する際に、包装箱に附されたシールを剥がす必要性及び必然性を見いだすことができない。

そうとすれば、本件の使用商品「方向コンパス」は、「NSKシール」を附した包装箱と一緒に販売されたと解するのが自然であるから、請求人の主張は採用できない。

(2)請求人は、「被請求人は、本来、本件商標を使用する意思はないものの、請求人の譲渡交渉の申し込みに触発されて、防衛的に、いわゆる、駆け込み使用をしたということができる。」と主張する。

しかしながら、本件商標の商標登録原簿によれば、本件審判の請求は、平成19年4月27日であり、その登録は、同年5月18日にされている。

そうとすると、本件において商標法第50条第3項でいう、いわゆる駆け込み使用というためには、本件審判の請求日である平成19年4月27日の3ヶ月前である同年1月27日より本件審判の請求の登録日である同年5月18日までの間の期間での使用でなければならないところ、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されたのは、上記2で認定したとおり、平成18年(2006年)4月21日であるから、その使用の期間は、同項でいう、駆け込み使用と認められる期間には該当しないものである。

したがって、請求人の主張を採用することはできない。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人は、商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を、本件審判の請求に係る指定商品、第9類「測定機械器具」に包含される「方向コンパス」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたことを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものではない。

よって、結論のとおり審決する。

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