Trademark Appeal Case
「蘭亭」の要部認定と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−23211(T2006−23211/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成17年7月25日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3142569号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用を主張して(以下「特例商標として」と略称する。)平成4年9月30日に登録出願、第42類「懐石料理を主とする飲食物の提供,てんぷら料理を主とする飲食物の提供,鉄板焼料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年4月30日に設定登録、その後、同18年4月18日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第3142572号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ホテル嵐亭」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に特例商標として登録出願、第42類「宿泊施設の提供,懐石料理の提供,フランス料理の提供,アルコ―ル飲料の提供,茶・コ―ヒ―・ココア・清涼飲料又は果実飲料の提供,婚礼のための施設の提供,衣服の貸与,展示施設の貸与,会議場の貸与」を指定役務として、同8年4月30日に設定登録、その後、同18年4月18日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第3170716号商標(以下「引用商標3」という。)は、「嵐亭」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に特例商標として登録出願、第42類「懐石料理を主とする飲食物の提供,てんぷら料理を主とする飲食物の提供,鉄板焼料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年6月28日に設定登録、その後、同18年6月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第3170717号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に特例商標として登録出願、第42類「宿泊施設の提供,懐石料理の提供,フランス料理の提供,アルコ―ル飲料の提供,茶・コ―ヒ―・ココア・清涼飲料又は果実飲料の提供,婚礼のための施設の提供,衣服の貸与,展示施設の貸与,会議場の提供」を指定役務として、同8年6月28日に設定登録、その後、同18年6月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第3170719号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,日本料理の提供,西洋料理の提供,アルコ―ル飲料の提供,茶・コ―ヒ―・ココア・清涼飲料又は果実飲料の提供,婚礼のための施設の提供,衣服の貸与,展示施設の貸与,会議場の提供」を指定役務として、同8年6月28日に設定登録、その後、同18年6月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第4788800号商標(以下「引用商標6」という。)は、「藍亭」の文字を標準文字で書してなり、平成15年9月18日に登録出願、第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,料理弁当,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議のための施設の提供,展示施設の提供」及び第45類「宴会のための施設の提供」を指定商品及び指定役務として、同16年7月23日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていう場合には、単に「引用各商標」という。
3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなるところ、その構成中、直ちに如何なる表示か判然としない他の部分に比し、極めて顕著に表示され、肉太に縦書きしてなる「蘭亭」の文字部分は、その構成中にあって、最も看者の注意を惹く部分として認識されるというのが相当であるから、該文字部分は、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
してみると、本願商標からは、該文字部分に相応して、「ランテイ」の称呼を生ずるものといわなければならない。
また、「蘭亭」の文字は、我が国において親しまれた語とはいえず、これに接する本願指定役務の取引者、需要者は、該文字部分について、特定の意味合いを生じない一種の造語として認識するというのが相当である。
これに対し、引用商標1は、別掲(2)に示すとおり、スクリプト風の筆記体の「RanTei」の欧文字を横書きしてなるから、該文字に相応して、「ランテイ」の称呼を生ずるものである。
次に、引用商標2は、「ホテル嵐亭」の文字を横書きしてなるところ、その構成中、前半の「ホテル」の文字部分は、役務の提供場所等を表示するものとして普通に用いられるものであるから、自他役務の識別力を欠くのに対し、後半の「嵐亭」の文字部分は、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものであるので、全体称呼とは別に、該文字部分に相応して、「ランテイ」の称呼をも生ずるというべきである。
また、引用商標3は、「嵐亭」の文字を横書きしてなるから、該文字に相応して、「ランテイ」の称呼を生ずるものである。
さらに、引用商標4は、別掲(3)に示すとおり、黒塗りした八角形の図形に内接するかのように略正方形輪郭を白抜きし、該輪郭内の右上に地名を表す「京都嵐山」の文字を小さく横書きする一方、左上から右下にかけて「嵐亭」の文字を極めて大きく草書体で横書きした構成よりなるものであるから、該「嵐亭」の文字部分は、その構成中にあって、最も看者の注意を惹く部分として認識されるというべきであり、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものであるので、該文字に相応して、「ランテイ」の称呼をも生ずるというべきである。
なお、さらに、引用商標5は、別掲(4)に示すとおり、スクリプト風の筆記体の「Hotel RanTei」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中、前半の「Hotel」の文字部分は、役務の提供場所等を表示するものとして普通に用いられるものであるから、自他役務の識別力を欠くのに対し、後半の「RanTei」の文字部分は、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものであるので、全体称呼とは別に、該文字部分に相応して、「ランテイ」の称呼をも生ずるというべきである。
加えるに、引用商標6は、「藍亭」の文字を標準文字で横書きしてなるから、「ランテイ」の称呼をも生ずるものである。
しかして、引用各商標は、本願商標と同様に、いずれもその全体から特定の観念を生じないとみるのが相当である。
そうすると、本願商標と引用各商標とは、「ランテイ」の称呼を共通にし、いずれも特定の観念を有しない一種の造語として認識されるものであるから、観念上比較できず、外観において差異を有するとしても、本願商標と引用各商標との称呼における共通性を凌ぐものではなく、両商標は、称呼上互いに紛れるおそれある類似の商標といわざるを得ず、かつ、本願商標に係る指定役務は、引用各商標に係る指定役務と同一又は類似の役務を含むものと認められる。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
これに対し、請求人は、本願商標が著名な高僧による「蘭亭」の揮毫や落款等と相俟って一体のものとして認識されるので、引用各商標とは混同を生ずることなく、別異のものと解される旨主張する。
しかしながら、本願商標は、たとえ、著名な高僧による揮毫等であったとしても、上記したとおり、顕著に表示された「蘭亭」の文字以外の部分については、直ちに如何なる表示か判然としないものであるから、本願商標の全体が一体として認識されるものではない。
したがって、本願商標は、その構成中、顕著に表示された「蘭亭」の文字部分が要部であって、引用各商標とは、上記認定のとおり、称呼上類似の商標といわざるを得ないから、請求人の主張は、認めることができない。
また、請求人は、本願商標と引用商標2ないし4及び引用商標6の各商標中、「亭」の文字が「料理屋などの屋号につける語」であって、業種を示すものとして認識されるものであり、商標として機能しにくい部分であるから、これを除外した前方の漢字部分をもって、本願商標と上記引用各商標との類否判断をすべき旨主張する。
しかしながら、「亭」の文字が、上記意味合いや業種を示すものとして認識されるとしても、「亭」の文字を除外して商標の類否判断をすべきものとまで解すべきでなく、その主張を認めることはできない。
さらに、請求人は、引用商標1ないし5に対し、後願の引用商標6が登録されたことは、取引の実情等に照らし、その出所について誤認混同を生ずるおそれがないと判断されたからであり、その判断は本件にもあてはまる旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用各商標との類否判断は、それぞれについて、個別具体的に行えば足り、過去の登録例の判断に拘束されることなく検討されるべきものであって、本件については、上記のとおり判断するのが相当というべきであるから、その主張を認めることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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