Trademark Appeal Case
称呼の弱音と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900138(T2007−900138/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5010530号商標(以下「本件商標」という。)は、平成18年6月14日登録出願、「フェティーナ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第14類「身飾品」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定商品及び指定役務として、同18年12月15日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人フェスティナ・ロータス・ソシエダッド・アノニマ(以下「申立人」という。)は、本件商標についての取消理由に、申立人が時計に使用している「FESTINA」の構成文字よりなる商標(以下「申立人商標」という。)を引用している。
(2)申立人商標の周知、著名性について
申立人であるFESTINA LOTUS S.A.(フエスティナ・ロータス・ソシエダッド・アノニマ)が提供する時計のブランド「FESTINA」は、1902年スイスのラ・ショードフオンに誕生した。現在では、年間400万本が生産され、世界66カ国で販売されており、スウォッチ、ロレックスに続くヨーロッパ最大級の時計ブランドである。「FESTINA」のコレクションは400モデル、2000種以上のバリエーションを持つところ、スイス、フランス、スペインの自社工場で生産していることから、高品質の商品を低価格で提供することを可能にしている。
また、「FESTINA」は、「ツール・ド・フランス」、「ツール・ド・スペイン」といった自転車ロードレースを中心に、数多くのスポーツのスポンサー及びオフィシャルタイマーを担当するブランドでもある(甲第2号証ないし甲第12号証)。
我が国においても、FESTINAウオッチは、丸井、ロフト、東急ハンズ、小田急百貨店をはじめとした全国の小売店、及びインターネットのウエブサイト等において盛んに販売されており、2004年には、世界の有名ブランドを取扱っている平和堂貿易もFESTINAウオッチの輸入を開始している(甲第13号証ないし甲第19号証)。
また、FESTINAウオッチは、今年だけを取り上げてみても、各種雑誌において大々的な宣伝広告を行っている(甲第20号証)。更に、FESTINAウオッチは、多くのテレビドラマにおいて、その出演者(主として女優)が着用しているものであって、その人気の高さがうかがわれるものである(甲第21号証)。
以上述べたように、申立人が100年以上にわたって使用しているFESTINAブランドは、本件商標が出願された2006年当時、既に我が国において周知・著名性を獲得していたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記のように、申立人の「FESTINA」ブランドは、商品「時計」を中心に周知・著名性を獲得していたものであるところ、本件商標は、同じくファッション性、デザイン性が重視され、女性を主たる需要者とする、イヤリング、ネックレス、ブローチ等の「身飾品」を指定商品に含むものである。
そして、両商標を比較してみると、本件商標より生ずる称呼「フェティーナ」と、申立人の周知・著名商標「FESTINA」から生ずる称呼「フェステイナ」とは、第2音における「ス」音の有無といった差異を有しているものである。
しかして、この「ス」音は、それ自体、舌端を前硬口蓋に寄せて発せられる弱音であるところ、その前の音である「フェ」音が、両唇の通路を狭め、その狭い隙間から無声の呼気を摩擦させて発せられるものであることから、元々、両唇を狭めた窮屈な配置から「ス」音を発しなければならず、したがって、当該「ス」音はより弱く発音されるものである。
さらに、当該「ス」音に続く「ティ」音が破裂音であって強音であることから、「ス」音はより聴取し難くなるものである。
そうとすれば、第2音における「ス」音の有無は、ほとんど聴取できないものであって、当該差異が両称呼に与える影響は非常に小さいものである。
そして、本件商標の称呼が、「ティ」の後に長音が続くものであっても、当該差異は微々たるものであるから、これによって、両称呼が聴別されるという程ではないこと明らかである。
よって、両商標は称呼上類似と言い得る程に相紛らわしいものであって、
これに上記した「FESTINA」ブランドの周知・著名性、および共にフ
ァツンョン性・デザイン性が重視される商品に使用されるものであることを
加味して考えれば、本件商標が、その指定商品について使用された場合、需要者をして、それを申立人の製造・販売に係る商品、あるいは申立人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如くに、出所の混同を生じさせるおそれが客観的に存するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記のように、申立人が使用する周知・著名商標「FESTINA」は、本件商標の出願日において、既に我が国のみならず世界的に周知・著名性を有していたものであるところ、「FESTINA」ブランドが周知・著名性を有する商品「時計」と、本件商標の指定商品である「身飾品」中、イヤリング、ネックレス、ブローチ等は、ファッション性・デザイン性が重視されるものであって、女性を主たる需要者とする点において共通するものである。そうとすれば、本件商標の商標権者は、本件商標の存在を認識していたものと考えるのが自然である。
そして、上記のように、本件商標は、申立人が100年以上の長きにわたって使用する周知・著名ブランド「FESTINA」と類似性を有するものである。
以上より、本件商標は、他人が多大な努力の上構築した業務上の信用にただ乗りせんとする等の不正な目的のもとに出願され、使用されるものであることは明らかであって、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(5)以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記1のとおりであるところ、その構成に係る各文字は外観上まとまりよく一体的に表されていているものであるから、これより「フェティーナ」の称呼を生じ、特定の語義を有しないから造語よりなるものと認められる。
他方、申立人商標は、上記したとおり「FESTINA」の欧文字よりなるから、これより「フェスティナ」の称呼を生じ、特定の語義を有しないから造語よりなるものと認められる。
しかして、本件商標より生ずる「フェティーナ」の称呼と申立人商標より生ずる「フェスティナ」の両称呼を比較しても、本件商標は長音を伴ってよどみなく一気に称呼し得るのに対し、申立人商標は、中間の「ス」の存在により「フェス」・「ティナ」と2音節風に発音され、聴取されるといえるものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼したときは、語感・語調が異なるものとなり、互いに聞き誤るおそれのないものといわざるを得ない。
また、両商標は、上記の構成よりみて、外観上明確に区別し得るものであり、観念においても、共に造語であることから、比較することができない。
さらに、申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第21号証によれば、その大半が日付の不明なもの及び本件商標の出願後の申立人企業グループ又はその関連会社のウェブサイトであって、これらの証拠からは、申立人商標が商品「時計」について多くのバリエ−ションをもった時計に使用されていることは認め得るとしても、本件商標の出願時に需要者の間に広く知られるに至ったとする証左は見当たらない。
加えて、本件商標は、前述のとおりであって、申立人商標とは十分に区別できる別異の商標といえるものであり、かつ、両者の取り扱う商品及び業種が相違すること等を勘案すると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、申立人商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記(1)のとおり認定・判断し得るものであり、申立人商標とは相紛れるおそれのない別異の商標といえるものであるから、商標権者が本件商標を採択使用する行為に、申立人商標に化体した信用にただ乗りするなど、不正の目的があったものということはできない。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。