Trademark Appeal Case
図形商標の外観類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900232(T2007−900232/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5024161号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成18年6月26日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年11月13日に登録査定、同19年2月9日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人リーバイ・ストラウス・アンド・カンパニ(以下「申立人」という。)は、以下(a)及び(b)の登録商標を引用している。
(a)登録第1592525号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和46年2月24日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年5月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらに、指定商品については、平成16年9月8日に第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(b)登録第2205094号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和55年9月30日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後、同11年12月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標は、5角形の幾何図形を、そのほぼ外形線上及び内側に2重の点線をもって書し、さらに、上下間の中央に外形の五角形を横断するように、2本の点線で描かれた弓形の図形を2つ横に並べて配し、右2つの弓形が中央部で結合する部分に点線で描かれた短い横線を配してなるものである。
引用商標1は、本件商標と同様の5角形の図形を、そのほぼ外形線上及び内側に2重の点線をもって書し、小さな縦長の長方形の図形を上下中央部のやや上部の左外側に付し、かつ、上下間中央に本件商標と同様に左右に並んだ2本の弓形の点線によって描かれた図形を描いてなるものである。
本件商標と引用商標1は、その外周を構成する 5角形が、(a)最外周が実線で描かれ、(b)そのわずかに内側及び少し距離を開けた内側に点線で同様の5角形が描かれ、(c)上部の2本の点線と両側に描かれた2本の点線は交差しているという点、及び(d)5角形の縦横の比率、南側の傾斜の角度及び底部の突出の角度が同じである。両商標の基本的構成にこのようなほぼ同一と評価しえる図形が使用されていることにより、本件商標と引用商標1との間には非常に強い共通性が認められる。
なお、本件商標と引用商標1における5角形の図形には、様々なバリエーションが考えられるものであるから、商標の比較においても当該部分の共通性は両商標の類似性を強める方向に作用することは明らかである。
このように考えれば、本件商標と引用商標1がほぼ同一の形状の5角形の外周を有している点は、両者の類似性を強く印象付けるものであることが明らかである。
さらに、本件商標に描かれた横に並んだ2つ弓形の図形は、引用商標1に描かれた横に並んだ2つの弓形との共通性を非常に強く印象付ける作用をもっている。したがって、この部分が類似していることは明らかである。
このように、5角形の図形がほぼ同一である点と、2つ並んだ弓形の図形の強い共通性に照らすならば、本件商標が引用商標1に類似していることは明らかというべきである。
たしかに、本件商標は、引用商標1に比して、2つの弓形を構成する点線の形状の湾曲の度合いが大きいなどの微細な相違点は存在する。しかし、商願平成6−3468号に対する平成10年3月19日付け異議申立ての決定外3例において、全体として観た場合の外観上の紛らわしさを認定し、混同のおそれがあると述べている(甲第82号証ないし甲第85号証)。
また、引用商標1には、2つの弓形の図形に挟まれた中央部に「ダイヤモンドポイント」と呼ばれる菱形の図形が存在するところ、本件商標においては、右「ダイヤモンドポイント」と同様の位置に、二つの弓形の曲線をつなぐ形の斜線が形成されており、2つの弓形の図形に挟まれた中央部に図形が存在するという点においても共通性があるものといえる。
イ 本件商標と引用商標2との類否について
引用商標2は、二つの弓形の図形と、その中央にある「ダイヤモンドポイント」と呼ばれる菱形の図からなる。
本件商標に描かれた横に並んだ2つ弓形の図形は、引用商標2に描かれた横に並んだ2つ弓形の図形との共通性を非常に強く印象付ける作用をもっている。したがって、この部分が類似していることは明らかである。
そして、前述のとおり、2つの弓形の図形が存在するという強い共通点があるために、本件商標は、引用商標2に類似している。
ウ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号について
申立人は、引用商標1及び引用商標2を100年以上も前から申立人を表示する商標として、申立人商品に使用しており、引用商標1及び引用商標2は、本件商標の指定商品の需要者において、申立人の商品を表すものとして広く認識されており、その周知著名性の程度は高いものである。
引用商標1及び引用商標2を用いた商品は、少なくとも昭和40年代より現代に至るまでの長年にわたって、男性誌、女性誌を問わず各種雑誌記事等に記載され、テレビにおいてコマーシャルフィルムが放送され、膨大な量の商品が購入されており、申立人が用いた宣伝広告費も高額に上り、その中でも申立人は、引用商標1及び引用商標2を強調した宣伝広告を続けていたものである。
そして、遅くとも本件商標の出願日である平成18年6月26日までには、申立人の取り扱うジーンズパンツに限られず、スカート、シャツ、ジャケット等、申立人が取扱うあらゆる商品を表示するものとして周知著名になっていたものである。
以上のとおり、本件商標は、申立人の商標の周知著名性により、また、商品の特性及び取引の実状により、具体的な商品において使用された場合には、申立人の商品と混同を生じ、又は申立人ないしは申立人と関係のある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがあるものであって、商標法第4条第1項第10号ないしは同第15号に違反して登録されたものである。
申立人は、本件商標が上記条項に該当する証拠として、甲第4号証ないし甲第81号証(枝番を含む。)を提出する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上記のとおり、2つの弓形の図形からなる後ろポケットのステッチは申立人を示すものであるということは需要者にとって常識ないしは周知著名となっており、無数にある後ろポケットのステッチの態様から、商標権者はあえて申立人所有のステッチを採択しており、本件商標が、かかる申立人の著名性を利用して自己の商品に消費者を誘導し、販売することによって不当に利益を上げる目的を有していることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1との類否
本件商標の構成は、別掲(1)のとおり、左右対称の横広の野球のホームベース状で、底辺部分が鈍角な五角形を実線で描き、その各辺の内側に沿って二重の破線を配し、該五角形図形の中央部に、筆記体の丸い「M」字状で重なり合う中央と、2つの山の内側が途切れている二重の破線からなるものであり、全体として、横広の安定感のある図形といえるものである。
これに対して、引用商標1の構成は、別掲(2)のとおり、左右対称の野球のホームベース状の五角形を実線で描き、その各辺の内側に沿って二重の破線を配し、この五角形図形を上下に二分するように二重の破線をもって、左右二つの緩やかなアーチ形状の図形を描いてなり、この五角形図形の左辺の左外側部分に、縦長の四角形を配し、該図形内に縦書きで「LEVI’S」の欧文字を書してなるものである。
本件商標及び引用商標1はともに、ジーンズパンツにおける後ポケット(以下「バックポケット」という。)の形状を表してなるとみられるところ、申立人が提出した甲第11号証ないし甲第13号証、特に甲第13号証の87頁に申立人以外の各社それぞれのバックポケットが多数採用されていることが認められる。
そうすると、ジーンズパンツを取扱う業界においては、バックポケットの外周部の該五角形の形状そのものは、ありふれて使用されているといえるものである。
しかしながら、 各社それぞれが採用している多数のバックポケットが掲載されていること自体、各社製品がバックポケットの内部に現されたステッチ(縫目)(以下単に「ステッチ模様」という。)の形状が自他商品を識別する際の重要な要素になるというのが相当である。
そこで、本件商標のステッチ模様と引用商標1のステッチ模様とを対比するに、上記のとおり、本件商標のそれは、筆記体の丸い「M」字状で重なり合う中央と、2つの山の内側が途切れている二重の破線からなるものであり、全体として、横広の安定感のあるステッチ模様といえるものであるのに対し、引用商標1のそれは、左右二つの緩やかなアーチ形状がバックポケットの中央部分で交差し、全体として、すっきりした感のあるステッチ模様といえるものであるから、両者は印象が異なり、時と所を異にして観察しても、互いに紛れるおそれのない外観上明らかに類似しないものというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観上類似しないものであり、かつ、両商標からは、特定の称呼、観念を生ずるとはいえないものであるから、本件商標と引用商標1とは、称呼及び観念については比較することができないものである。
(2)本件商標と引用商標2との類否について
別掲(1)及び(3)の本件商標と引用商標2の構成についての対比は、前記(1)で示したステッチ模様の対比のとおり、ステッチ模様部分において明らかに非類似の商標である。さらに、本件商標と引用商標2とは、この相違点に加えて、本件商標はバックポケットの外周部の五角形の形状を有しているのに対し、引用商標2はバックポケットそのものでもないという顕著な差を有し、明らかに別異の商標というべきである。
したがって、本件商標と引用商標2とは、外観上類似しないものであり、かつ、本件商標からは、特定の称呼、観念を生ずるとはいえないものであるから、本件商標と引用商標2とは称呼及び観念については比較することができないものである。
(3)以上のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでない。
2 商標法第4条第1項第10号、同第15号について
引用商標1及び引用商標2が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「ジーンズパンツ」を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、上記1のとおり、商標において明らかに区別し得る別異のものというべきであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標1及び引用商標2を連想又は想起させるものとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないといわざるを得ない。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記1及び2のとおり、引用商標1及び引用商標2と類似しない別異の商標であり、引用商標等の出所表示機能を希釈化させたり、又は、その名声を毀損させるなど不正の利益を得る目的をもって登録出願されたものとはいえないものである。
4 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。