Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−4595(T2005−4595/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「クラゲ身入りのアイスクリーム,クラゲ身入りのアイスキャンディー,クラゲ身入りのシャーベット,クラゲ身入りの氷菓子」を指定商品として、平成16年5月20日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、3つのくらげの図形と、『クラゲ』の文字と『アイス』の文字を二段に横書きし、その下に、『Jelly Fish Gelato』の欧文字を横書きしてなるところ、3つのくらげの図形は、写実的に描かれているもので、自他商品の識別標識としての機能が弱いと認められ、『クラゲ』の文字部分は、『ビゼンクラゲ、タコクラゲ、ミズクラゲなどの鉢虫綱の刺胞動物の総称』の意味合いのある語を、『アイス』の文字部分は、『氷、アイスクリーム、アイスキャンデーの略』等の意味合いのある英語『ice』の表音を連綴したものと認められ、また、『Jelly Fish Gelato』の文字部分は、『クラゲのアイスクリーム』の意味合いのある英語と認められるから、本願商標全体としては、指定商品との関係において、『クラゲを加味したアイスクリーム・アイスキャンデー』程度の意味合いを理解、認識させるものであるから、これを本願の指定商品中、『前記に照応する商品』に使用するときは、単に、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
(1)本願商標は、別掲のとおり、図形と文字とを組み合わせた標章からなるものであるところ、本願商標を構成する図形部分は、近接する大小3匹のクラゲが傘状の部分を上向きにして浮遊している様子を写実的な筆致でやや図案化して表現したものであって、その図形自体としてそれほど独創性が高いものとはいえず、やや図案化されているとはいえ、それ以外に表しているとみるべき特徴は見いだせない。したがって、当該図形部分は、一見して、浮遊する3匹のクラゲを表してなるものと、これを見る者に容易に理解されるものである。
他方、本願商標を構成する文字部分は、「クラゲ」、「アイス」及び「Jelly Fish Gelato」の各文字を赤色で3段に配してなるものであって、当該各文字は、各文字列の横幅を同じくし、前後をそろえて、上記図形の右側中程に配してなるものである。そして、当該各文字のうち、上段の「クラゲ」及び中段の「アイス」の片仮名文字は、その文字の大きさ及び書体を共通にし、一際大きく表示されているものであるから、これらの文字部分は、ひとまとまりの「クラゲアイス」として認識するのが自然である。また、下段に小さく表示された「Jelly Fish Gelato」の欧文字は、その構成中の「Jelly Fish」が「クラゲ」を意味する英語であり(株式会社学習研究社発行「ジュニア・アンカー英和辞典第4版」)、「Gelato」(ジェラート)が「イタリア風のアイスクリーム・シャーベット」を意味するイタリア語である(株式会社岩波書店発行「広辞苑第5版」)ことから、その配置の仕方ともあいまって、上段及び中段の片仮名文字部分である「クラゲアイス」を欧文字表記したものと認識するのが自然である。
そうすると、本願商標を構成する図形と文字は、いずれも「鉢虫綱の刺胞動物の総称。ビゼンクラゲ・タコクラゲ・ミズクラゲなど。」(前掲「広辞苑第5版」)を意味する「クラゲ」に関するものを表示する標章であるということができる。
(2)ところで、本願商標の指定商品を取り扱う業界では、「アイス」(ice)ないし「ジェラート」(gelato)の語は、アイスクリームやシャーベット等の氷菓子を総称する語として取引上普通に使用されているものである。そして、当該アイスないしジェラートには、果物や野菜を始め、様々な素材を使ったものが製造・販売されていることは広く知られているところである。また、当該アイスないしジェラートは、「抹茶アイス」、「黒ごまアイス」、「チョコレートジェラート」及び「いちごジェラート」などのように、「アイス」や「ジェラート」の語に原材料として使用された素材名を冠して「○○アイス」や「○○ジェラート」と一般に称されていること、さらに、それら商品の容器や包装には、原材料として使用された素材を図形や写真でもって表示することもごく普通に行われているというのが実情である。これらのことは、例えば、以下のア〜カの新聞記事情報及びインターネット情報によっても裏付けられるところである。
ア 2004年4月23日付けのFujiSankei Business i.(31頁)には、「心弾むアイス博 牛タン、チューリップの味... 水族館の集客に一役 来月8日開幕」の見出しの下、「ある博覧会が若い女性たちの心をときめかせている。浜名湖花博でも、来年の愛知万博でもない。五月八日から大阪で開催される『天保山アイスクリーム博覧会』だ。バニラやメロンはもちろん、牛タンアイスやフカヒレラーメンアイスなど『えっ!?』という異色モノまで約百種類が大集合。・・・アイス博には、約百種類のご当地アイスなどが出品され、数量限定で販売される(価格は八十−六百三十円)。その内容をのぞいてみると、定番から変わりダネ、さらには“キワモノ”までさまざま。おなじみのバニラやメロン、イチゴのほか、とうもろこし、チーズ、ニンニク、米、牛タン、豆腐、チューリップ...と何でもござれだ。・・・『アイスクリーム水族館』コーナーにはカニ、さんま、イカ、タコ、うなぎ、あわび、コンブ、フカヒレなど十数種類の“驚きアイス”が並ぶ。・・・」との記載がある。
イ 「アイス処『あったか屋☆ほし』」のウェブページ(http://www.via-lactea.jp/ice-itiran.htm)には、「<アイス一覧>」の見出しの下、「いちごアイス」、「黒ごまアイス」、「わさびアイス」、「牛乳アイス」、「山桃アイス」、「ココナッツアイス」、「抹茶アイス」「チョコレートアイス」、「レアチーズアイス」及び「そばの実アイス」等の記載がある。
ウ 「北海道発の美味しいアイスクリーム|くりーむはうすメニュー」と題するウェブページ(http://www.cream-house.com/menu.html)には、「Gelate・Sherbet」の見出しの下、「チョコレートジェラート」、「いちごジェラート」、「ラムレーズンジェラート」、「ももジェラート」、「マンゴージェラート」「グレープフルーツジェラート」及び「オレンジジェラート」等の記載がある。
エ 「B級グルメ探偵 おもしろアイス特集」と題するウェブページ(http://www13.ocn.ne.jp/~fly/ice.html)には、「No,12 白エビいりジェラート」、「No,13 かにアイス」及び「No.14 あさりアイス」の各見出しの下、各カップアイスの上ぶた部分を写した写真が掲載されているが、それぞれ、「白エビ」、「かに」及び「あさり」の図形が表示されている。
オ 「桜えびアイス(サクラエビアイス)−かめぞう」と題するウェブページ(http://kamezo.cc/keyword/1772)には、「桜えびアイス」の写真が掲載されているが、商品の包装袋には、「桜えび」と「アイス」の文字が2段に表示され、その右横に「桜えび」の図形が表示されている。
カ 「すいかアイス」と題するウェブページ(http://www.japan-food.jp/goods_detail_290.html)には、「すいかアイス」の写真が掲載されているが、商品の包装容器には、「すいか」と「アイス」の文字が2段に表示され、その背景に「すいか」の図形が表示されている。
(3)そうすると、本願商標は、前記(1)のとおり、「クラゲ」に関するものを表示する標章(図形と文字)からなるところ、これをその指定商品である「クラゲ身入りのアイスクリーム,クラゲ身入りのアイスキャンディー,クラゲ身入りのシャーベット,クラゲ身入りの氷菓子」に使用する場合には、前記実情から、これに接する取引者・需要者は、本願商標を構成する文字については、その商品がクラゲを原材料に使用したアイスであるという商品の特性そのものを表示したものと理解するにすぎず、また、本願商標を構成する図形についても、その商品の原材料がクラゲであることを単に図示したものと理解するにすぎないというのが相当であるから、全体としても、単に商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(4)請求人は、本願商標は、種類を異にする3匹のクラゲが、デザイナーの高度なテクニックを発揮して独特のタッチとバランスとでイラスト化してなる図案をメーンに、その右側上下中程に「クラゲ」、「アイス」、「Jelly Fish Gelato」の文字を上下に3段書きに小さくまとめ、全体として品格とまとまりとを持たせて格調高くまとめたものであって、このように一種独特の雰囲気を醸し出し、通常には存在しない程に美的効果を兼ね備え、識別マークとして十分通用するようにした特徴ある標章である、というのが客観的な判断であるから、原査定の判断どおり「3つのくらげの図形は、写実的に描かれているもので」とするのは不当であり、このように「写実的に描かれている」(図案化したものではない)とする根拠、理由を示さずに、請求人が不当であると指摘した判断部分だけで拒絶査定に及んだのは違法である旨主張する。
しかし、原査定の拒絶の理由は、前記第2のとおり、「・・・3つのくらげの図形は、写実的に描かれているもので、自他商品の識別標識としての機能が弱いと認められ、・・・、本願商標全体としては、指定商品との関係において、『クラゲを加味したアイスクリーム・アイスキャンデー』程度の意味合いを理解、認識させるものであるから、これを本願の指定商品中、『前記に照応する商品』に使用するときは、単に、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。・・・」と判断したものであるから、請求人が不当であると指摘した判断部分だけで拒絶査定に及んだものでないことは明らかである。すなわち、本願商標を構成する図形部分については、自他商品の識別標識としての機能が弱いものと認定した上で、文字部分を含む本願商標全体としても、指定商品との関係では、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認定、判断していることは、その説示に照らして明らかであり、請求人の主張は、原査定を正解しないものであって、その前提において失当である。
2 商標法第4条第1項第16号の該当性について
原査定は、その拒絶の理由において、「本願商標全体としては、指定商品との関係において、『クラゲを加味したアイスクリーム・アイスキャンデー』程度の意味合いを理解、認識させるものであるから、本願商標を本願の指定商品中、『前記に照応する商品』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある」として、本願商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当する旨認定、判断しているが、本願商標を構成する「アイス」ないし「Gelato」の語は、前記1(2)のとおり、本願商標の指定商品を取り扱う業界では、アイスクリームやシャーベット等の氷菓子を総称する語として取引上普通に使用されているものであるから、本願商標を「クラゲを加味したアイスクリーム・アイスキャンデー」以外の指定商品に使用しても、格別、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあると認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
3 結語
以上のとおりであるから、本願を拒絶した原査定には、商標法第4条第1項第16号に係る判断部分に誤りがあるものの、同法第3条第1項第3号に係る判断部分に誤りはないのであるから、原査定は、その限りにおいて妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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