結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300280(T2007−300280/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4741709号商標(以下「本件商標」という。)は、「万理屋」の文字を標準文字で表してなり、平成14年12月10日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム,電子出版物」及び第42類「電子計算機の設計,電子計算機のデザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムに関する試験又は研究,電子計算機に関する試験又は研究,電子計算機の貸与」を指定商品及び指定役務として、同16年1月23日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
請求人の調査によれば、本件商標は、上記第1の指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないこと、及び本件商標を使用していないことについて、何ら正当な理由が存する事実も認められないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
また、本件商標は、商標登録原簿により明らかなように、平成19年3月12日現在、他人に専用使用権を設定又は通常使用権を許諾した形跡の記載もない。
(1)乙第1号証ないし乙第8号証を精査してみても、当該商品及び役務について、現実の使用を立証するものは見当たらず、また被請求人が「商標を採択した理由書」(乙第1号証)で自認するように、「登録しようとする商標『万理屋』は当社の社名のもうひとつの名前として使うのが目的であり、特定の商品や役務に対する名前として使うものではない」から、被請求人が、当該指定商品及び役務について本件商標を使用していないのは明らかである。
提出された証拠を個別に検討すると、取消審判の対象である役務のうち、「電子計算機の設計、電子計算機のデザインの考案、電子計算機に関する試験又は研究、電子計算機の貸与」については、使用を立証する証拠は全く見当たらない。
(2)次に、指定商品「電子計算機用プログラム、電子出版物」及び指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明、電子計算機のプログラムに関する試験又は研究」について、本件商標の使用の事実が立証されているかを、提出された各証拠について吟味する。
乙第1号証は、被請求人の社名に関連付けて商標の由来を説明した文書であって、上記商品及び役務の使用の事実を証する証拠でないことは明らかである。
乙第2号証は、被請求人の代表者の名刺であり、その表面上方に「有限会社万理屋」が「万理屋」をやや大きめの字体にして横書され、かつ「万理屋」の上部に小さく「よろずことわりや」とふり仮名が記されたものである。
商標法第50条に定める商標使用の要件の一つが、「登録商標を各指定商品又は指定役務について使用する」であるところ、本表示は明らかに社名を示したものであり、それと本件商標「万理屋」とは社会通念上同一といえないから、「本件商標」を使用したとはいい得ないし、単に名刺の裏側にサービス内容を箇条書するのみでは、「指定役務について」使用したともいえないから、当該要件も満たしておらず、結局、商標使用の事実を立証する証拠とはなり得ない。
乙第3号証は、CD−ROMであり、被請求人の会社紹介及び見本プログラムが掲載されていることが認められる。
しかしながら、そもそも本CD−ROMが商品なのかパンフレットなのか使用目的が不明であり、使用時期も分からず、また、CD−ROM本体には、名刺と同様の社名の表示しかなく、内容たる会社紹介及び見本プログラムの案内文には、名刺と同様の社名の表示と、一連に横書した「(有)万理屋よろずことわりや」が記されているのみで、社名の表示であることに変わりはなく、本件商標「万理屋」と社会通念上同一のものが使用されていないことは明らかであるから、商標使用の事実を立証する証拠とはいえない。
乙第4号証は、被請求人によれば、被請求人が製造・販売しているプログラム上に本件商標を表示しているとのことであるが、単にプログラムらしき文章の特定の行に「(有)万理屋よろずことわりや」と記されているにすぎない。
被請求人の製造・販売を示す裏づける証拠もなく、製造・販売の時期も不明であり、かつ、文章中に使用されている形態からして商標としての使用とはいえず、本願商標と社会通念上同一のものが使用されているわけでもないことから、本資料も、商標使用の事実を立証する証拠といえない。
乙第5号証及び第6号証は、被請求人の取引先から被請求人に宛てた文書の宛先に、被請求人の社名が記された事実を示すにすぎず、商標使用の事実を立証する証拠といえない。
乙第7号証及び第8号証は、被請求人の代表者個人に宛てた、校章の使用許諾書の様式でしかなく、本件商標の使用事実とは無関係である。
(3)以上のとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一とはいえない社名について、名刺など、本来の商品又は役務といえないものについての資料を提出するのみで、本件商標「万理屋」をその指定商品「電子計算機用プログラム、電子出版物」及び指定役務「電子計算機の設計、電子計算機のデザインの考案、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明、電子計算機のプログラムに関する試験又は研究、電子計算機に関する試験又は研究、電子計算機の貸与」について使用している事実をなんら立証していない。
被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
答弁の理由
(1)本件商標の商標権者である「有限会社よろずことわりや」(被請求人)は、乙第1号証の理由から明らかなように、本件商標を使用せざるをえない状況にあるから、被請求人の設立間もない頃から現在に至るまで、業務全般にわたって、本来の社名であるひらがな表記の「よろずことわりや」よりも、むしろ本件商標のほうを前面に出して使用している。
(2)その代表的なものとしては乙第2号証の名刺であり、また乙第3号証のCD−ROMに収録している被請求人紹介ウエブページも同様である。
(3)被請求人が製造・販売しているプログラムにおいても、乙第4号証のとおり、本件商標を表示するようにしている。乙第4号証で起動しているプログラムは乙第3号証のCD−ROMに収録されているものである。
(4)被請求人の取引先においても、本件商標によって被請求人を認識している。それは乙第5号証及び乙第6号証からも明らかである。
(5)乙第7号証及び乙第8号証は、2006年7月に被請求人の代表者である畑島浩二が、自身の小中学校の同窓会の写真を収録したCD−ROMを作成する際、そのCDジャケットに校章を印刷するために、その使用許可を得るときに小中学校と交わした書類のコピーである。この書類に記されている7月28日に畑島浩二が、小中学校へ出向き、その時に乙第2号証の名刺を学校側に渡している。つまり、件の小中学校には、校章の使用許諾書とともに乙第2号証の名刺が保管されているはずであり、これによって、乙第2号証の名刺が、2006年7月28日の時点で存在していたことを証明できると考えている。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、「商標を採択した理由書」とのことであるところ、「登録しようとする商標は、当社の社名である『よろずことわりや』を漢字表記したものです。社名の『ことわり』の部分を『断り』と誤解されることがあり、少しでも解消するためです。当社は情報処理システムに関する、あらゆる業務を行っております。そのため、システムという英語を日本古来のやまとことばで表し『理=ことわり』とし、あらゆるものという意味で『万=よろず』を使い、それを組み合わせて社名としました。理由は上述のとおりであり、登録しようとする商標『万理屋』は当社の社名のもうひとつの名前として使うのが目的であり、特定の商品や役務に対する名前として使うものではありません。〜以上」と記述されている。
そして、被請求人は、答弁書において、「乙第1号証の理由から明らかなように、本件商標を使用せざるをえない状況であるから、当社の設立間もない頃から現在に至るまで業務全般にわたって本来の社名であるひらがな表記の「よろずことわりや」よりもむしろ本件商標のほうを前面に出して使用している。」旨主張している。
そうすると、被請求人自身が認めているように、本件商標は、上記第1のとおり「万理屋」の漢字を標準文字をもって表してなるものであるところ、被請求人が本件商標の指定商品及び指定役務に使用している商標は「よろずことわりや」の平仮名文字であり、漢字の「万理屋」ではない。しかも、「万理屋」の漢字は、常に「ヨロズコトワリヤ」と称呼するとは限らず、漢字の音をそのまま表記した「マリヤ」或いは「バンリヤ」と称呼、指称する場合も少なくないといえるものであるから、被請求人(商標権者)が使用している商標「よろずことわりや」は、本件商標と社会通念上同一の使用とは認め難いものである。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、「被請求人の代表者の名刺とその表裏の写し」であるところ、単に「名刺の写し」のみをもって、本件商標の指定商品或いは指定役務に使用されていたことを立証するための具体的証拠とは認められないことは明らかである。
そして、該名刺は、その表面上方に「有限会社万理屋」が「万理屋」をやや大きめの字体にして横書され、かつ「万理屋」の上部に小さく「よろずことわりや」とふり振り仮名が記されたものであり、この名刺における表側の表示は、当然に社名そのものを示したものであって、本件商標「万理屋」を表示したものとはいい難いし、また、裏側にも個別の商品或いは役務について本件商標「万理屋」の表示は見当たらないから、「本件商標」を使用していたとはいい得ない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、「CD−ROM」とのことであるところ、上記乙第2号証と同様に「有限会社万理屋」が「万理屋」をやや大きめの字体にして横書され、かつ「万理屋」の上部に小さく「よろずことわりや」とふり振り仮名が記され、その右下に、※「音楽CDではありません」とあり、また、その下部に、「郵便番号」、「住所」、「電話番号」、「ホームページのアドレス」がそれぞれ記載されている。
しかしながら、該CD−ROMは、販売された時期は見当たらないし、内容としては被請求人会社の紹介であり、実際の取引が行われたことを証明する具体的裏付けになる証拠が、このCD−ROMと一緒に提出されているものでもない。
したがって、このCD−ROMによっては、本件商標の使用の事実を立証する証拠とはいえないものである。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、「被請求人会社製プログラムの起動画面のコピー」とのことであるところ、プログラムらしき文章の特定の行の間に社名と認められる「(有)万理屋よろずことわりや」と3カ所記されているにすぎないものであるから、この「被請求人会社製プログラムの起動画面のコピー」によっても、本件商標の使用の事実を立証する証拠といえないものである。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は、「資料送付のご案内」の表題のある被請求人を宛先とした、ある会社からの「案内状」であり、宛先として、「郵便番号」、「住所」、「会社名(有限株式会社 万理屋)と担当者名、がそれぞれ記載されているにすぎないものであるから、この「案内状」をもって、本件商標の使用の事実を立証する証拠といえないものである。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人の取引先からの「入金確認メールの写し」とのことであるところ、[入金日確認]として、「2006/09/07」の数字と、[受注番号]−...、[日時]−...、[購入者情報]として、「会社名:有限株式会社 万理屋(よろずことわりや)」と担当者名、「郵便番号」、「住所」、「電話番号」等の記載が認められるが、本件商標の指定商品或いは指定役務との関係を裏付ける記載は見当たらない。
したがって、この「入金確認メールの写し」をもって、本件商標の使用の事実を立証する証拠といえないものである。
(7)乙第7号証及び第8号証について
乙第7号証及び第8号証は、福岡の市立小学校校章の「使用許諾書」であり、「...校章のデザイン(意匠)の非独占的かつ無償の使用を許諾します。」等の記述は認められるが、本件商標の使用事実を立証するための証拠とはいえないものである。
その他、被請求人は、審判請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについて使用していた証拠の提出はない。また、本件商標の使用をしていなかったことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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