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Trademark Appeal Case

ルクサとラックスの称呼類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89163(T2006−89163/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4861991号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4861991号商標(以下「本件商標」という。)は、平成16年6月2日に登録出願され、「ルクサ」の片仮名文字と「LUXAA」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、第3類「スプレー式芳香剤,香料類,化粧品,せっけん類」を指定商品として、同17年5月13日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する請求人の所有に係る登録第675296号商標は、昭和37年3月26日登録出願、「LUX」の欧文字を横書きしてなり、第4類「せつけん類、歯みがき、薫料」を指定商品として、同40年5月11日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、平成17年7月20日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,薫料」とする指定商品の書換登録がされたものである。同じく登録第86965号商標は、大正6年5月25日登録出願、「ラックス」の片仮名文字を縦書きしてなり、第4類「石鹸」を指定商品として、同6年7月16日に設定登録されたものであり、その後、6回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。同じく登録第679790号商標は、昭和37年6月2日登録出願、「LUX」の欧文字と「ラックス」の片仮名文字とを上下2段に横書きしてなり、第4類「せつけん類、歯みがき」を指定商品として、同40年6月30日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、平成17年5月6日に指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き」とする指定商品の書換登録がされたものである。同じく登録第2128318号商標は、昭和61年12月15日登録出願、「LUX」の欧文字を横書きしてなり、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録されものであり、その後、平成11年2月2日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。同じく登録第4275540号商標は、平成10年3月17日登録出願、「LUX」の欧文字と「ラックス」の片仮名文字とを上下2段に横書きしてなり、第3類「シャンプー,その他のせっけん類,精油,その他の香料類,化粧水,クリーム,頭髪用化粧品,香水類,おしろい,紅,タルカムパウダー,バスオイル,バスソルト,制汗用化粧品,防臭性化粧品,歯磨き,口内洗浄剤(医療用のものを除く。)」を指定商品として、平成11年5月21日に設定登録されたものである(以下、一括して「引用商標」という。)。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第38号証(枝番を含む)を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に該当するものとして、同第46条第1項の規定によって、その登録を無効とすべきものである。以下、その理由を詳述する。

(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

本件商標の権利者と引用商標の権利者が異なること、本件商標は引用商標の後願に係るものであること、両者の指定商品が同ー又は類似であることについては明白であるので、以下、専ら両者の商標の類否について検討する。

特許庁又は裁判所における商標の類否判断については、一般的には、その商標の外観、称呼及び観念の三点からみて、総合的に判断するのが通例であることは、従来からの商標事件に於ける査定・審決及び判決に徴し明らかなところであるが、通常、文字より構成された商標の類否判断においては、その称呼における判断が最も重要視されているのは否めない事実である。

そこで、本件商標と引用商標の称呼上の類否について検討するに、

ア 本件商標について

本件商標は、上段に片仮名文字「ルクサ」、下段に欧文字「LUXAA」を書してなるところ、欧文字「LUXAA」と片仮名文字「ルクサ」との間はかなり離れて書されているので、両文字部分が視覚上分離して看取されるばかりでなく、かつ、欧文字「LUXAA」の一連の文字が既成の親しまれた特別な意味ある観念を有する一つの成語を表しているとは言えないものであって造語商標であるところより、本件商標中、欧文字「LUXAA」からは「ラックスア」「ラックスアア」の称呼が生じ、また、片仮名文字「ルクサ」からはその構成上当然に「ルクサ」の称呼が生ずる。

一方、引用商標は、照度の単位「ルクス」を意味するものであり、称呼としては、その構成上当然に「ラックス」の称呼を生ずる(甲第7号証)。

イ 本件商標と引用商標との類否判断について

本件商標から生ずる称呼中「ラックスア」と引用商標から生ずる「ラックス」の称呼とは、「ラックス」を共通の音とする全体として語調・語感が近似する相紛れやすい商標である。従って、両者は称呼上類似の商標である。

また、本件商標は、一見して引用商標「LUX」を容易に認識させる「LUX」の文字を主要部としているので、本件商標と引用商標とを時と処を違えて発音し又は看取した場合、彼此紛らわしい類似商標といえるものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標である。

請求人は、上記主張が正当な根拠に基づいたものであることを裏付ける証左として、甲第8号証ないし甲第15号証の審決例を示唆し、自己の主張に有利に援用することとする。

以上のとおり、本件商標は、先願に係る他人の引用商標と称呼上類似し、当該引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、他人の登録商標と類似する本件商標を引用商標権者以外の者に登録を認めることは、商品の出所混同を防止し、需要者の利益を保護することを趣旨とする商標法第4条第1項第11号の規定、ひいては商標法の法目的(第1条)にも反することになる。

(2)本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

ア 引用商標 LUX(ラックス)の歴史(甲第16号証)

1899年、英国に高貴で優美な香りの石けんが誕生した。これがトータルビューティーケアブランド「LUX(ラックス)」の始まりである。「LUX(ラックス)」の名前は、英語で『豪華な』『贅沢な』という意味のluxuryに由来し、誕生から100年を経た今、「LUX(ラックス)」は世界50ヶ国以上の方に愛されている。

日本では、1972年に「LUX(ラックス)」石けんを発売。クリームのように優しい泡立ちと、エレガントな香り、確かな品質で、日本人の女性の心を深くとらえ、贈答用石けんとして高く評価された。

1987年には、「LUX(ラックス)」からヘアケア製品が登場。「LUX SUPER RICH ラックス スーパーリッチ」(1989年発売)や「LUX STYLING ラックス スタイリング」(1989年発売)が、申立人の日本での子会社「ユニリーバ・ジャパン」の新しい顔になった。

さらに、2003年にはボディケアの「LUX SPA MOISTラックス スパモイスト」が誕生。ヨーロッパのスパ水や天然ミネラルを配合した石けん・ボディーソープは、素肌も心も美しくなりたいと願う女性たちに支持されている。

イ 請求人会社の概要(甲第17号証)

請求人は、商標「LUX(ラックス)」をメーンブランドとする会社であり、石けん類、化粧品、食品、飲み物、健康食品、医薬品等を製造・販売している世界的な企業である。また、商標「PONDS(ポンズ)」「LIPTON(リプトン)」をメーンブランドとして石けん類、化粧品、食品、飲み物、健康食品、医薬品等を製造・販売しているユニリバー エヌ ヴイ社(本社:オランダ国)と共にユニリバー・グループを形成している。ユニリバー・グループは、1964年に日本で同グループの子会社「ユニリバー・ジャパン株式会社」を豊年製油との共同出資で設立したが、現在では、同社はユニリバー・グループの100%出資の子会社であり、引用商標を付したせっけん、化粧品等を日本で販売している。

ウ 日本での商標「LUX(ラックス)」の登録(出願)のリスト

日本において、「LUX(ラックス)」商標としてすでに28件登録され、8件出願中である。古い商標としては、大正6年5月25日に出願され、大正6年7月17日に登録された「ラックス」、また、昭和37年3月26日に出願され、昭和40年5月11日に登録された「LUX」が見られる(甲第18号証)。

その他、「世界でのLUX商標の登録(出願)状況を示すリスト及び訳文」(甲第19号証の1及び甲第19号証の2)

「世界でのLUX商標の登録証のコピー」(甲第20号証)

「世界でのLUX商標のライセンシーのリスト及び訳文」(甲第21号証の1及び甲第21号証の2)を提出する。

世界中の国及び地域を併せて約90社ほどの企業が申立人からLUX商標の使用承諾を受けている。日本における「ユニリバー・ジャパン株式会社」は、ライセンシーの中の一つである。

エ 日本における商標「LUX(ラックス)」の広告宣伝費

日本において商標「LUX(ラックス)」を付した「せっけん、化粧品」の1996年から本件商標の出願日(2004年11月18日)までのテレビにおける広告宣伝費用は、以下のとおりである(甲第22号証)。

年度 単位(万円)

1996年 ¥587,087

1997年 ¥733,871

1998年 ¥539,153

1999年 ¥742,354

2000年 ¥1,173,739

2001年 ¥1,186,634

2002年 ¥1,040,808

2003年 ¥1,249,750

2004年 ¥787,611

この1996年から2004年までの9年間で、テレビでの広告宣伝費用は、合計約805億1007万円にも昇り、毎日朝から晩まで「LUX(ラックス)」製品のコマーシャルがテレビで放送されない日とて無く、その結果、本件商標の出願日以前においてすでに「LUX(ラックス)」商標は、世界は勿論日本全国津々浦々「石けん」と「化粧品」を表示する商標として老若男女によく知られた商標となっていた。このように、請求人は巨額の費用をかけて、商標「LUX(ラックス)」を著名にする為に日々努力し、また、「LUX(ラックス)」商標のブランドのイメージを希釈化させない努力をしているのである。

その他、「日本において、LUX製品の新聞における1996年から2004年まで広告宣伝費用」(甲第23号証)。

「日本において、LUX製品の雑誌における1996年から2004年までの広告宣伝費用」甲第24号証)。

「商標「LUX(ラックス)」製品のテレビにおける宣伝方法の例」(第25号証)。

「商標「LUX(ラックス)」製品の雑誌における宣伝方法の例」(甲第26号証)。

「子会社『ユニリバー・ジャパン株式会社』(元日本リーバ株式会社)の商標「LUX(ラックス)」を使用した粧業品製品一覧表

なお、日本リーバ社からユニリバー・ジャパン株式会社への社名変更は、2005年6月1日付でなされた(甲第27号証)。

「子会社『ユニリバー・ジャパン株式会社』(元日本リーバ株式会社)の商標「LUX(ラックス)」を使用した粧薬品製品一覧表(甲第28号証)。

「LUX商標の国内でのシェア」(甲第29号証)。

「インターネット使用状況」(甲第30号証)を提出する。

オ 以上のとおり、引用商標「LUX(ラックス)」は、本件商標の出願日である平成16年6月2日の遥か以前から、石けん、化粧品の業界において、極めて広く知られた商標となっていたことは周知の事実である。

本件商標と引用商標とが類似することは、上記で詳述したとおりであるが、「LUX(ラックス)」商標が周知著名な商標であること、本件商標の指定商品と請求人の業務にかかる商品との関連性が全く同じ分野であること、また、「LUX(ラックス)」商標を使用した各種商品が一般に広く宣伝広告されていることからすれば、本件商標がその指定商品に使用された場合に、本件商標の権利者は、請求人と何らかの関係がある者であると需要者・取引者に思わせ、その出所につき誤認・混同を生じさせることは明らかである。

なお、「レールデュタン」判決は、その趣旨からすれば、『混同を生ずるおそれ』の有無の判断要素について、以下の理由を挙げている。

(ア) 当該商標と他人の表示との類似性の程度、

(イ) 他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、

(ウ) 当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、 用途または目的における関連性の程度、

(エ) 商品等の取引者及び需要者の共通性、

(オ) その他取引の実状、という5つを拳

本件商標中には周知・著名性の高い引用商標「LUX(ラックス)」を含み商品が同一又は類似しており、その性質・用途又は目的における関連性の程度も一致し、また、引用商標は世界規模の著名商標であるところ、以上の最高裁の判断要素は、すべて本件商標と引用商標との関係に当てはまるので、本件商標は取引の実状からみて「混同を生ずるおそれ」があることは明らかであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

ア 引用商標が石けん、化粧品の業界において周知著名な商標であること、また本件商標の指定商品と請求人の業務にかかる商品との関連性が極めて強いこと、並びに、引用商標を使用した各種商品がテレビ、新聞、雑誌等で大々的に広く宣伝広告されていることは、上記したとおりである。このように全国的に著名な商標を含んだ本件商標の使用・登録を容認することは、請求人の著名な商標が有する出所表示機能を稀釈化するばかりでなく、請求人の著名商標に化体した業務上の信用に“ただ乗り“することを認めることとなり、健全な取引秩序の維持という商標法の目的に反することになる。

イ さらに、請求人のLUX商標には、これまで100年以上にもわたり培ってきた「ブランド」としての顧客吸引力が備わっている。したがって、本件商標が請求人の業務と同一の他社の商品について使用されると、請求人の商標の持つ「ブランド」としての顧客吸引力が損なわれ、これが、請求人の商標の標識としての品質保証機能の弱化につながる。このように、本件商標が請求人の商標「LUX(ラックス)」の顧客吸引力へ“ただ乗り”し、当該顧客吸引力を不当に利用するものであることは、諸般の事情を勘案すれば明白なことである。従って、本件商標は、取引秩序を乱すものというべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(4)本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

請求人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同ー又は類似の商標であって、「不正の目的」をもって使用するものである。

ア 企業経営の多角化の点については検討するまでもなく、本件商標の指定商品である「スプレー式芳香剤,香料類,化粧品,せっけん類」に属する商品は、引用商標の指定商品である「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」と同一の商品であり、共に、身体の清潔を保ち、また、皮膚や毛髪等を健やかに保つこと等を目的とし、併せて、病気を予防し、除菌・抗菌目的で使用される製品として共通にするものであって、同一の生産者の製造に係る商品であるばかりでなく、その販売場所も同じくするものであり、かつ、その流通系統等をも同じくする互いに密接な関連性を有する商品であるといえるものである。

イ してみれば、我国を含む、世界各国で商品「せっけん、シャンプー・ヘアリンス等」について周知、著名な商標「LUX(ラックス)」をその一部に包含する本件商標を請求人以外の者が、その指定商品について使用するときは、それだけの理由で「不正の目的」をもって使用するものであるとの認定がなされるべきである。

従って、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当するものである。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に該当するものである。したがって、請求人は、本件商標は商標法第46条第1項の規定によって、その登録を無効とすべき旨の審決を求めるものである。

2 弁駁の理由

(1)本件商標と引用商標とは類似する

被請求人は平成19年3月20日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において、本件商標から生じる称呼は「ルクサ」のみであり、また、「LUXAA」と「ルクサ」とは一体に結びついているので、引用商標とは非類似である旨主張する。

しかしながら、本件商標からは「ルクサ」の称呼のみが生じるものではない。先ず、引用商標「LUX」が日本において本件商標の指定商品との関係で周知著名商標であることは平成19年1月4日付け手続補正書及びそれに添付の証拠方法、特に甲第32号証ないし同第37号証から明らかである。 特許庁も過去の複数の異議事件の決定においてかかる引用商標「LUX」の周知著名性について認定している。

してみれば、本件商標に接した需要者は、本件商標中、周知著名商標と同一の「LUX」の部分に着目することについては多言を要しない。また、本件商標中の残余の部分「AA」は、同一の欧文字を二文字連記したものであり、また、「AA」の標記は種々の商品や役務の格付け、等級を表すのに常用されるものである(甲第38号証)。

しれみれば、本件商標の要部は「LUX」の部分にあり、該部分から「ラックス」の称呼も、全体から生じる称呼「ルクサ」に加えて生じる。

さらに、上述の引用商標「LUX」の周知著名性及び残余の部分「AA」の識別力の無さないしは微弱さに鑑みれば、外観においても本件商標は引用商標と相紛らわしいと言えるものである。

被請求人は、「LUXAA」と「ルクサ」とは一体に結びついている旨、上記答弁書において主張し、その根拠として Yahoo!社のビューティーニュースへの過去数回(2回)への掲載を挙げているが、単に過去数回、それも同一会社の運営するインターネットニュースへ掲載されたことを以って、日本の需要者が本件商標を認識するに際して「LUXAA」と「ルクサ」を一体不可分に認識するとすることはできない。

したがって、「LUX」を要部とする本件商標と引用商標「LUX」とは、時と処を違えて観察した場合、彼此相紛らわしいものであり、本件商標は引用商標「LUX」と称呼、外観において類似するものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)本件商標は引用商標とは混同のおそれがある

被請求人は上記答弁書において、本件商標をその指定商品に使用しても混同のおそれがない旨主張している。

しかしながら、以下述べるように本件商標をその指定商品に使用した時には、上記引用商標「LUX」の周知著名性により、被請求人と請求人とが何らかの関係を有するものと誤認し、ひいては商品の出所について混同を生じるおそれがある。

先ず、引用商標「LUX」が本件商標の指定商品である「せっけん類」等につき我が国需要者に広く認識されている、所謂周知著名商標である点については、平成19年1月4日付け手続補正書及びそれに添付の証拠方法、特に甲第32号証ないし同第37号証から明らかである。特許庁も過去の複数の異議事件の決定においてかかる引用商標「LUX」の周知著名性について認定している。

次に、被請求人は、本件商標を実際に使用している商品と引用商標が使用されている商品との価格の相違、顧客層の相違を根拠に商品の出所につき混同のおそれがない旨主張しているが、本件の指定商品にはかかる商品の価格帯についての限定は何らない。本件商標の登録が維持された場合には、被請求人は本件商標を請求人の現在使用している商品と同一の価格帯の商品に使用ないしは第三者に使用許諾することが可能となる。

また、請求人が将来その商品の価格帯のラインを拡大し、被請求人の商品の価格帯に参入することは昨今のせっけん類、化粧品類のビジネスの実状から需要者をして十分予想し得ることである。とすれば、現時点での市場での実際の混同は存在しないとしても、本件商標に接した需要者は、請求人会社を連想し、それと関係のある商品と誤認混同するものであり、「混同のおそれ」は否定することはできない。

さらに、被請求人は上記答弁書において、商品の流通・販売形態の相違(インターネット販売と店舗販売)を根拠に商品の出所に関し、混同のおそれがない旨主張している。しかしながら、せっけん類、化粧品類のみならず、種々の商品が店舗販売と併行してインターネットでの所謂オンライン販売が行われていることは顕著な事実である。してみれば、現時点では実際には請求人はインターネットでの所謂オンライン販売を行っていなくても、本件商標に接した需要者は、請求人会社がインターネットでの所謂オンライン販売に参入したものと誤認混同することは明らかである。

したがって、本件商標がその指定商品に使用されたときには、引用商標「LUX」の周知著名性により、被請求人と請求人とが何らかの関係を有するものと誤認し、ひいては商品の出所について混同を生じるおそれがある。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)不正の意思

被請求人は、上記答弁書において、不正の意思がない旨主張している。

さらに、被請求人はその根拠として「ルクサ」には「ラックス」の顧客吸引力へ“ただ乗り”するメリットがない旨主張している。その意味は不明だが、請求人は被請求人の引用商標「LUX」の顧客吸引力へ“ただ乗り”するメリットがないとの主張と捕らえて、以下反論する。

先ず、本件商標の構成だが、欧文字部分は一連に「LUXAA」と表記して成るものであり、周知著名の引用商標「LUX」と種々の商品や役務の格付け、等級を表すのに常用されている「AA」とを併記して成る。

被請求人から本件商標のネーミングの由来についての説明がないが、無数にある欧文字の表記からわざわざ、せっけん類といった同一の商品分野において世界的に周知著名であり長年使用されている引用商標と同一のLUXをその要部に採択し、識別力のない記述的なAAを目立たない語尾に付加した構成とする本件商標を採択した事実がある。

かかる事実に鑑みれば、被請求人が、請求人所有の世界的に周知著名であり長年使用されている引用商標の多大な顧客吸引力を利用し、ただ乗りする意図があることは容易に推認できる。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号

本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当することは、平成19年14日付け手続補正書及びそれに添付の証拠方法から明らかである。

(5)むすび

以上要するに、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第4条第1項第15号、同第4条第1項第19号、同第4条第1項第7号に該当し、その登録は商標法第46条第1項により無効とすべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む)を提出した。

(1)「LUXAA」から生じる称呼は「ルクサ」である。

請求人も述べているように、「通常、文字より構成された商標の類否判断においては、その称呼における判断が最も重用されているのは否めない事実である」。これは被請求人も認めるところである。

しかし、請求人が主張する「本件商標中、欧文字『LUXAA』からは『ラックスア』『ラックスアア』の称呼が生じ」については、事実としてラックスアと称呼されている実例や証拠が例示されてなく、根拠に乏しいものである。

「ラックス」という共通の音をもつ、「ラックスア」「ラックスアア」がもしも存在し、商標の類似性が問題になるほどに使われているとしたら、インターネット上のホームページやブログ、化粧品評価の口コミサイト等で「ラックスア」「ラックスアア」について、どこかで言及されているはずである。しかし、世界最大級の検索サイトGoogleで検索(2007年3月13日時点)したところ、「ラックスア」「ラックスアア」いずれもみつからなかった(乙第1号証の1,2)。これは「LUXAA」から「ラックスア」「ラックスアア」という称呼が、実際には生ずることはないことを意味する。事実、被請求人自身の経験上、ルクサを起業してから4年間に「ラックスア」もしくは「ラックスアア」と、数千人に及ぶ顧客や知人が話したりメールに書いたりしているのを、見聞きした記憶は一度としてない。

以上から、請求人が主張とする、「本件商標から生ずる称呼中『ラックスア』と引用商標から生ずる『ラックス』の呼称とは、『ラックス』を共通の音とする全体として語調・語感が近似する相紛れやすい商標である。従って、両者は称呼上類似の商標である」は、成り立たない。

(2)「ルクサ」と「LUXAA」は一体として結びついている。

ルクサでは、インターネットショップを開設した2003年2月1日の創業時より2007年3月現在まで一貫して、トップページ上部の中央に、大きく「Luxaa【ルクサ】」を表示してきた(乙第3号証)。インターネット専売のルクサ商品を購入する顧客は、このトップページを複数回見ることになり、「ルクサ」と「LUXAA」という和英2つの言葉は一体として、「ルクサ」という1つの称呼に結びついて認識されている。

さらに、トップページからリンクしている「ルクサとは?」ページ冒頭において、「ルクサ」は被請求人が居するマレーシアを拠点に、被請求人の独自企画から生まれた品々を通信販売する、インターネットショップの名前であることを明言している(乙第4号証)。同ページ右上には、Luxaaのロゴラベルを提示している(乙第4号証)。したがって、ルクサのインターネットショップで販売されている商品上に「Luxaa」のロゴラベルが表示されていれば、これを見て購入する顧客にとって、それは「ルクサ」と発音する独自の商品であることは明らかである。

既存顧客ばかりでなく、新規にルクサのインターネットショップを訪れる顧客にとっても、「ルクサ」と「LUXAA」が、「ルクサ」という称呼に結びついて、1つの独自ブランド(店名ならびに商品名)であると認識されている実例をあげる(乙第5号証)。これは、ルクササーバー上のアクセス記録(2007年2月15日の例)であるが、ルクサのホームページに検索ワードを通じてアクセスしてきた人のうち、1位として「ルクサ」が25回、16位として「Luxaa」が1回である。「LUXAA」「Luxaa」「luxaa」が、「ルクサ」と発音(称呼)され、かつ、インターネットショップのルクサが販売している独自商品であることが、広く浸透している証拠である。

インターネットニュースでの記事掲載として、Yahoo!社のビューティーニュースに、過去数回掲載された(乙第6号証の1,2)。インターネットの世界では、大きな認知力と信用をもつYahoo!社が、ルクサを「本物の香りと心地良さにこだわる、石鹸とスキンケアのインターネットブランド」「バリ島の手作り石鹸ブランドLuxaa(ルクサ)」として記事掲載したという事実は、独創性をもったオリジナルブランドとしての「ルクサ」が定着していることを意味する。バリ島で手作りされる石鹸、そしてローズオットーやジャスミンサンバックの天然精油を贅沢に使っていることが強調されている、これらの記事を読んだ読者が、TVの宣伝でさかんに流れてる「ラックス」石鹸と混同・混乱したりすることは、考えられない。

以上から、請求人が主張とする、「本件商標は、一見して引用商標「LUX」を容易に認識させる「LUX」を主要部としているので、本件商標と引用商標とを時と処を違えて発音し又は看取した場合、彼此紛らわし類似商標といえる」は、成り立たない。

(3)「ルクサ」には「ラックス」の顧客吸引力へ“ ただ乗り“するメリットがない

「ルクサ LUXAA」と「ラックス LUX」それぞれの商品の特徴ならびに価格、宣伝方法、そして流通販売形態には、根本に大きな違いがある。 そして「ルクサ」にとって、「ラックス」を真似たり、“ただ乗り”したりするメリットならびに動機が見いだせない。順に事実をあげながら、根拠を述べる。

「ルクサ」の石鹸は、トップページ(乙第3号証)に明示しているとおり、最上質の天然素材だけを使い、高価で稀少な精油(例、ローズオットー、ジャスミンサンバック)で香りづけをしていることが特徴である。人工香料(フレグランスオイル)や石油由来の素材を一切使わないことを顧客に訴求している。看板商品であるLuxaaローズオットー石鹸は、80グラムの通常サイズで販売価格が1個4000円である(乙第7号証の1)。最も安価な(2007年3月10日時点)Luxaaハーバルグレープフルーツ石鹸でも、1個が1300円である(乙第7号証の2)。バス用の固形石鹸としては、「ルクサ」はトップレベルの高額商品といえる。数百円の市販品(日用品)の石鹸では満足できない、本物の天然の香りにこだわる層をターゲットとした、贅沢な嗜好品としてのニッチな石鹸と位置づけられる。

一方で、(甲第27号証)内の子会社「ユニリバー・ジャパン株式会社」の製品一覧表によれば、固形石鹸(85g)の「DELUX ラックス デラックス」の希望小売価格は、120円である。量販店等に並ぶ日用品の一つであり、人工香料の香りである。

通常、悪意をもって類似商標の流布やコピー商品の販売をする場合、オリジナル品よりも、類似・コピー品の品がずっと安価か、少なくとも同程度の価格にする。なぜなら、オリジナル品のブランドが持つ顧客吸引力に”ただ乗り”して、類似商品やコピー商品を、安く売りさばけるからである。仮に請求人が主張するように、ルクサが「ラックス」の顧客吸引力へ”ただ乗り“するとしたら、ルクサの石鹸は100円以下の値段になるはずである。

しかし、事実として「ルクサ」では、「ラックス」よりも10倍〜30倍の高額な石鹸を販売している。これだけ価格帯が違う商品は、同じ「せっけん、化粧品」のカテゴリーであっても、商品の位置づけ(日用品か、贅沢嗜好品か)や、対象とする顧客層が大きく異なる。つまり嗜好品的な高額商品を販売する「ルクサ」にとっては、顧客にラックスとの類似性をイメージさせて呼び込むのではく、逆に「違い」を明確にし、ルクサの石鹸がラックスを代表とする市販品(日用品)の石鹸に比べてなぜ10〜30倍もの値段になるかを、丁寧に説明する必要がある。端的に言えば、ルクサがラックスと同類(または何らかの関係がある)と思われたい理由がない、同類と思ってもらっては困る、のである。

これほどに大きな価格差により、「ルクサ」と「ラックス」を顧客が混同し、取り違えて購入することはありえない。商品の販売対象となる顧客層も異なる。「ルクサ」と「ラックス」では、宣伝手法や宣伝費のかけかたも大きく異なる。ルクサの告知宣伝の場は、もっぱらインターネットと口コミが主であり、実費を払う広告宣伝としてはGoogle AdWordsのみで、1ヶ月の宣伝費は数千円から数万円程度である(乙第8号証)。

また、(2)でも述べたように、広告費をとらない無料の記事掲載による一般への告知を主眼とし、その例としてYahoo!社のビューティーニュースに掲載された(乙第6号証の1,2)。

これに対し「ラックス」は、「1996年から2004年までの9年間で、テレビの広告宣伝費用は、合計約805億1007万円にも昇り、毎日朝から晩まで「LUX(ラックス)」製品のコマーシャルがテレビで放送されない日とて無く、(補正書の11ページ18〜20行目)」という巨額な宣伝費が投じられている。

「ルクサ」は、「ラックス」のように巨大な宣伝費をかけることを是としない。真逆である。宣伝にかかるコストを極力抑えて、インターネット上での評判や口コミを重視し、その分商品そのものの素材にお金をかけて良い品を作ることで、ルクサはブランドとしての価値を高め、顧客の信用を積み上げてきた。だから巨額の宣伝費がかかる、TV、雑誌、新聞への広告宣伝は一切したことがない。もし、ルクサがTVコマーシャルをしたり、ハリウッドの有名スターのイメージを借りた「高級」をうたうことがあったら、ルクサのブランドに信頼を寄せる、本物志向の顧客の期待を裏切ることになる。

また、「ルクサ」と「ラックス」の違いとして、流通・販売形態がある。(2)でも述べたように、ルクサが販売する独自商品は、インターネットショップ専売であり、ウェブページから注文があったものを、注文者(個人)に直送するネット直販のみで販売している。ルクサの販売場所は、インターネット上である。卸業者を通じた流通系統は持たず、量販店や小売店を通じた実店舗販売はしていない(2007年3月時点)。卸先という取引先を持たないルクサにとって、需要者はすなわち個人の顧客その人を指す。一方で、「ラックス」の商品は、卸売りによる一般的・伝統的なな流通系統をもち、量販店や小売店という販売場所で売られている。

請求人が主張するには、ルクサとラックスとが「共に、身体の清潔を保ち、また、皮膚や毛髪等を健やかに保つことを目的とし、併せて、病気を予防し、除菌・抗菌目的で使用される製品として共通にするものであって、同一の生産者の製造に係る商品であるばかりでなく、その販売場所も同じくするものであり、かつ、その流通系統等をも同じくする互いに密接な関連性を有する商品であるといえるものである。」とのことであるが、後半部の販売場所や流通系統に関しては、明らかに事実誤認である。これは、請求人がルクサのホームページを精査することなく、記述を進めている証拠である。

以上のように、「ルクサ」と「ラックス」は、同じ「せっけん類、化粧品」のカテゴリーにある商品を販売しているものの、商品の位置づけ(日用品か、贅沢嗜好品か)、販売価格、宣伝方法、販売場所、流通系統、対象とする顧客層などあらゆる面にわたって異なっている。このような多面的な違いがある事実からも、互いの需要者(顧客・取引先)が「混同を生ずるおそれ」はないといえる。

「ルクサ」にとっては「ラックス」との違いを明確にすることが重要であり、「不正の目的」をもって「ラックス」を真似たり類似させたりすることには、何らメリットがない。異なる顧客層を対象とするのであるから、仮に「ラックス」の顧客吸引力へ”ただ乗り”できたとしても、意味がないことである。

(4)需要者のため、守られるべきものとしての本件商標

本件商標「ルクサ LUXAA」は、平成16年6月2日に出願され、平成17年5月13日に登録された。創業以来約4年、商標登録が成って約2年、「ルクサ LUXAA」を冠したインターネットショップならびに商品は、のべ数千名の熱心な顧客(日本ならびに海外に在住する日本人)に支えられ、育ってきた。「ルクサ LUXAA」の商標によりもたらされる多様で豊かなイメージは、ルクサの商品とそのブランドを愛する顧客全員のためのものである、と考える。

商標権者である被請求人は、ルクサブランドを愛する顧客(需要者)の利益を最優先とし、商品の出所混同を防止し、需要者の利益を保護することを趣旨とする商標法第4条第1項第11号を十分に理解するとともに、商標法の法目的(第1条)にのっとって、「ルクサ LUXAA」の商標を運用している。本件商標を悪意や「不正の目的」で、他の何らかの商標の商品と誤認・混同させるようなことは、一度として行っていない。

特許庁ならびに商標法は、需要者の利益保護のため、登録商標を守るべき立場にあると信じている。正しい手続により申請され、特許庁にて厳正なる判定を経て商標登録にいたった本件商標だからこそ、需要者(顧客)はルクサを信用し、そこから商品を購入し、愛着を持っている。ラックスに比すれば小規模ではあるが、ルクサはYahoo!ニュースに掲載されるほどに、一般にも認知され信用されている。いったん登録された本件商標は、正しく運用されているかぎり、需要者のためにも守られるべきものである。

もし仮に、登録商標が「取消」となる審判がくだされるとしたら、商標法に反するような悪意にもとづき、商品の出所混同を起こすような行為や事実があったことを、具体的な証拠をもって提示され証明されたときであるべきと考える。

請求人による膨大な「手続補正書」に繰り返し述べられているのは、請求人の商標「LUX ラックス」が百年以上の歴史をもつこと、ユニリバー社が、日本単独でも2000年以降に毎年100億円以上もの巨額のTV宣伝費をかけられるほどの強大な資本力があり、したがって、いかに著名であり力をもった世界的な大企業であるかを、誇示する資料が大半を占める。

一方で(3)で述べた、販売場所や流通系統に関して事実誤認があったことをに象徴されるように、請求人が「ルクサ」の商品や販売方法(インターネット専売)等を十分に調査し確認した上で、本件商標の取消申請をしているとは、とうてい思えない。「ルクサ」のブランドとその商品が独創性を持っていること、10倍以上高額の価格設定でターゲットとする顧客層が大きく異なること、インターネット専売の販売方法(2007年3月現在)であること、これらにより需要者(顧客)が混同するおそれがないことを、請求人は理解していない。

にもかかわらず、ルクサ(被請求人)に対して、「業務上の信用に”ただ乗り”」、「取引秩序を乱す」、「不正の目的」と、あたかも不正や悪意をもって類似商標を登録し運用していると一方的に断ずるばかりである。請求人の主張は、過去の類似商標の商標取消例(ハーブラックス、エルラックス、ピュアラックス等)を杓子定規になぞらえているばかりで、根拠が不十分であり、説得力をもたないものである。

以上の理由により、本件審判請求は成り立たない。

第5 当審の判断

(1)請求人より提出された甲各号証によれば、以下のことが認められる。

1899年、英国で「LUX(ラックス)」石けんが誕生。1972年、「LUX(ラックス)」石けんの輸入発売が開始されたこと、日本でも同年(昭和47年)に発売開始される。そして、石けん「LUX(ラックス)」は、その誕生以来、50カ国以上の人に利用され、100年以上に渡って販売されていること(甲第16号証・甲第17号証)。その間「LUX(ラックス)」商標は、約170の国と地域で出願・登録されてきたこと(甲第19号証の1及び2)。日本で「LUX(ラックス)」製品がテレビ・新聞・雑誌等の多くの宣伝媒体を通じて広告宣伝され、ちなみに1996年から本件商標の出願日(2004年11月18日)までのテレビにおける広告宣伝費用は合計、約805億1007万円を超えるものであること(甲第22号証ないし同第26号証)。さらに、「LUX(ラックス)」商標は、現在でも請求人の子会社である「ユニリバー・ジャパン株式会社」を通じて「せっけん」をはじめ「シャンプー、コンディショナー、ヘアケア製品、ボディソープ」等の多種多様な化粧品に付して使用・販売されていること(甲第16号証・甲第17号証)等を認めることができる。

これらの事実を総合すると、「LUX(ラックス)」商標は「せっけん」を表示する商標として、100年以上の長きに亘り、日本を含む世界各国で使用されてきたことが認められるものであり、本件商標の出願の時には、既に、取引者・需要者の間に広く知られるに至った著名商標となっていたと認め得るものである。

(2)しかるところ、本件商標は、前記したとおり、「ルクサ」の片仮名文字と「LUXAA」の欧文字とを上下2段に横書きしてなるものであるところ、その構成は片仮名文字と欧文字との間隔を2文字(2行)程離して表示しているので分離して看取されるものであり、かつ、「LUX」は、「ル(ッ)クス」又は「ラックス」と発音され、「照度の(国際)単位」を指称するものとして、広く一般に知られているといえるものであって、また、「AA」は、特定の意味合いを認識させるものではないが、ときに、該商品(役務)の品質(質)が優れたものであることを示すもの(誇称表示)として用いられていることを合わせ考慮すると、本件商標は、全体では特定の意味合いを有する既製語とは把握・認識し得ないものであり、むしろ、欧文字の前半部に位置する「LUX」が、照度の単位を指称する語であり、かつ、せっけん・化粧品を取り扱うこの種業界にあっては、著名な「LUX(ラックス)」商標を容易に理解・認識するとみるのが相当であり、本件商標の片仮名文字と欧文字とを常に不可分一体のものとして把握し、認識しなければならない特段の理由は見出せない。

してみれば、本件商標は、他人の著名商標を一部に有する商標であって、その主要部ともいえる「LUX」に「AA」の2文字を付加してなるものと容易に理解し把握されるものであり、かつ、「LUX(ラックス)」商標は、前記(1)のとおり、本件商標の登録出願時には、既に、請求人の業務に係る商品「せっけん」について、取引者・需要者の間に広く認識されていたものといわなければならない。

そうすると、「LUX(ラックス)」商標が付された商品「せっけん」と本件商標の指定商品「スプレー式芳香剤,香料類,化粧品,せっけん類」とは、共に、トイレタリー(商品)であって、密接な関連性がある商品であることからすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「LUX」の文字部分に着目し、周知・著名な「LUX(ラックス)」商標を容易に連想又は想起し、該商品が請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

そして、この混同を生ずるおそれは、本件商標の登録出願時はもとより、その登録査定時を含む現在においても継続していると認め得るものである。

なお、被請求人は、本件商標を付して使用する商品「石鹸」は、請求人の「LUX(ラックス)」商標を使用する商品「石鹸」とは、その価格帯が大きく異なり、販売場所や流通系統が相違するものであるから、被請求人は請求人の「LUX(ラックス)」商標の顧客吸引力に「ただ乗りする」メリットはない旨縷々主張している。

しかしながら、例え現時点での両商品の価格帯が異なり、販売場所や流通系統が相違するものであっても、これは将来的にも通用することではなく、加えて、商標に化体した業務上の信用は、商標権者の長年に亘る努力、広告宣伝等により、当該商標を長年に亘り使用してきた結果、真の信用が蓄積されていくことは経験則により認められるところであり、その使用期間・地域的範囲及び広告宣伝量等を総合的に勘案した場合には、前記の認定・判断を妥当とするところであるから、被請求人の主張は採用することができない。

(3)したがって、本件商標は、他の請求人の主張について言及するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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