sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標使用証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300145(T2007−300145/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4729047号商標(以下「本件商標」という。)は、「LFB」の欧文字を横書きしてなり、平成15年4月18日登録出願、第7類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」及び第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」を指定商品として、同15年11月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

商標法第50条第1項の規定により、本件商標の第7類全指定商品及び第12類全指定商品についての登録を取り消す、審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。と申し立て、その理由を次のように述べた。

(請求の理由)

本件商標は、平成15年11月28日以降、日本国内において、その第7類の全指定商品及びその第12類の全指定商品について使用されていない。

さらに、その専用使用権者又は通常使用権者によっても使用された事実はなく、本件商標が使用されないことについての正当な理由はないと解されるから、本件商標の全指定商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

(弁駁の理由)

(1)被請求人の答弁によっても、本件商標に係る指定商品についての登録商標「LFB」の使用は、証明されていない。

(2)被請求人は、「本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、商品『単列深溝玉軸受』について使用している。よって、本件審判の請求は成り立たない。」と主張するが、斯かる主張には、理由がなく、失当である。以下、説示する

(2ー1)販売の事実について

被請求人は、商品「単列深溝玉軸受」について、平成17年5月から平成18年9月の間に販売した分の、東京に存在する、ある企業1社分の「売上伝票」であるとして乙第3号証を提示する。

しかしながら、斯かる「売上伝票」は、原本でもない上に、それには売上先の欄と認められる部分に黒塗りが施されて売上先を確認できないのであるから、商品「単列深溝玉軸受」について、平成17年5月から平成18年9月の間に販売したことを証明したことにならない。

しかも、当該「売上伝票」には、「中村」の印影と共に、発行年月日、伝票No、品名、数量、単価、金額及び合計の欄に、「中村」が記載したと推定できる数字、アルファベット、漢字、符号が存在するが、ほぼ一年の期間に亘って作成されたものにも拘らず、伝票Noの数字を除いて、これらがほぼ同一の書体で記載されており、その字体や記入方法等に変化が殆ど認められない上に、「中村」の印影の傾きにも殆ど変化が認められないのであって、極めて不自然な記載及び押印である。

通常、日々の業務の繁忙の程度によって、個々の「売上伝票」への記入の字体や記入方法等並びに押印には変化があってしかるべきである。

また、被請求人は、商品「単列深溝玉軸受」について、平成17年5月から平成18年9月の間に販売したことが事実であるとするのであれば、それに対する入金が当然なされた筈にも拘らず、斯かる入金の事実も証明しないのである。

そうとすれば、被請求人も認めるように、「売上伝票」によって示される事実については、信憑性に疑義があり、被請求人がいう商品「単列深溝玉軸受」について、平成17年5月から平成18年9月の間に販売したかどうか極めて疑わしいのであって、結局、その事実を認めることが困難である。

(2−2)商標の使用の事実について

被請求人は、「乙第3号証の売上伝票は、被請求人が商品の取引に際して用いている4枚綴りの伝票の一枚目にあたり、2枚目は請求明細書、3枚目は納品書、4枚目は受領書であり各伝票はカーボンコピーにより1枚目の売上伝票の複写となる。... 商品の納品先に渡した納品書と受領書と請求明細書とには、当然に『LFB』の商標が記載されている。」と主張する。

しかしながら、被請求人のいう「伝票が4枚綴りである」とか、「各伝票がカーボンコピーにより1枚目の売上伝票の複写となる」とか、「商品の納品先に渡した納品書と受領書と請求明細書とには、当然に「LFB」の商標が記載されている」とかは、被請求人の単なる主観的な見解に過ぎないのであって、これらは、証拠によって客観的に証明されない限り、直ちに首肯できない。

したがって、乙第3号証の「売上伝票」のみによっては、本件商標「LFB」について商標として使用されていたことは、証明されていない。

商標法第50条は、「登録商標の使用をしていることを被請求人が『証明』しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定するのであるから、主張のみでは商標登録の取消しを免れないのである。

(2−3)売上伝票に記載の品名と本件商標「LFB」との関係

被請求人は、乙第4号証として商品カタログを提出するが、斯かる商品カタログがいつ頒布されたのであるか、また、売上伝票に記載の売上先に当該商品カタログがいつ頒布されたのであるか、加えて、売上先に当該商品カタログが頒布されたと仮定した場合にもいつ頒布されたのであるかが、当該商品カタログを精査するも明らかでない上に、はたまた、本商品カタログには、商標「LFB」の文字が一切記載されていないのであるから、「この商品カタログの2ページ目の2段目の商品である「単列深溝軸受」の欄には、「6800シリーズ、6900シリーズ、6000シリーズ、6200シリーズ、6300シリーズ、オープン、Z、ZZ、RS、2RS」といった記載がある。」また、8〜9ページには該商品の寸法表が掲載されている。」といってみても、斯かる乙第4号証に示された商品カタログは、乙第3号証の売上伝票の品名の欄中の記載及び商標「LFB」とは何ら関係のないものであって、被請求人が単に斯かる商品カタログを所持しているというにすぎず、本件商標「LFB」の使用の証明について全く意味のないものである。

逆に、乙第4号証として提出された商品カタログには、「LFB」の文字が一切記載されていない一方、売上伝票にのみ「LFB」が記載されていることは、極めて不自然であって、斯かる事実からも、「売上伝票」によって示される事実についての被請求人の主張の信憑性を疑わざるを得ない。

また、被請求人は、「乙第3号証の売上伝票の品名の欄中、例えば平成17年5月11日発行の売上伝票で説明すると、『LFB 6004ZZ』 と記載されているが、『6004ZZ』とはJIS規格B1513『転がり軸受の呼び番号』に定められている呼び番号であり、各数字と欧文字の記号は次のような意味合いを持つ。... すなわち、乙第3号証の売上伝票の品名の欄中『6004ZZ』などの数字と記号はJIS規格の呼び番号である。そして商標『LFB』の文字については、JIS規格の呼び番号とは無関係の、商品識別標識としての表示となっている。」というが、斯かる「LFB 6004ZZ」についての説明は、そのつもりで記載したという被請求人の主観的な意図を言うものであって、商標「LFB」の文字が商品識別標識の表示として認識される一方、「6004ZZ」がJIS規格の呼び番号の表示として認識されることについて、その客観性が何ら証明されていない。

そうとすれば、乙第3号証の売上伝票の品名の欄中に記載の例えば「LFB 6004ZZ」は、これを「LFB」と「6004ZZ」とに分離されなければならない格別な理由がない以上、これがして一連の一個の商品名として認識されるものであるから、被請求人の本件商標「LFB」と同一の商標ではなく、しかも、本件商標「LFB」と社会通念上同一と認められる商標でもない。

乙第3号証の他の売上伝票の品名の欄中の「LFB 6005ZZ」等その他の記載も同様のことがいえる。

被請求人は、「本件被請求人の取引先とは商標『LFB』と、JIS規格の呼び番号によって商品『単列深溝玉軸受』を取り引きしている。」というが、取引先の具体的な名称が不明であるが故にそれを確認することができない上に、取引先とそのような取り引きが行われていることが、何ら証明されていないから、売上伝票の品名の欄中に記載の「LFB 6004ZZ」をもって、「商標『LFB』と、JIS規格の呼び番号によって商品『単列深溝玉軸受』を取り引きしている」との被請求人主張には、直ちに首肯できない。

(3)まとめ

被請求人は、結局、商標法第50条で要求されるところの、指定商品について本件商標「LFB」の使用をしていることの証明を何らなしていないから、請求の趣旨のとおり、本件商標の第7類全指定商品及び第12類全指定商品についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求める。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める。と答弁し、その理由次のように述べ証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

(答弁の理由)

(1)理由の要点

本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、商品「単列深溝玉軸受」について使用している。

(2)答弁の理由の詳細

(2−1)本件商標「LFB」について

本件商標の構成は、乙第1号証に見える構成であり、欧文字横書きで「LFB」である。

(2−2)本件商標の使用について

乙第3号証に示す「売上伝票」は、商品「単列深溝玉軸受」について、平成17年5月から平成18年9月の間に販売した分の売上伝票であり、東京に存在する、ある企業1社分の売上伝票である。

尚、提出した売上伝票では、本件請求人の取扱商品と本件被請求人の取扱商品とは競合商品と成る可能性のあることから、秘密としたい部分については黒塗りしたが、証拠の信憑性について疑義が生じる場合には、特許庁にのみ開示する用意がある。

これらの乙第3号証の売上伝票には、その品名の欄に、6から始まる4桁の数字と欧文字が記載されており、それらの文字に冠して、商標「LFB」の文字が記載されている。

そこで、売上伝票の品名と商品との関係について述べる。

乙第4号証に示す商品カタログは、被請求人が中国で生産して日本に輸入して販売している商品についての商品カタログである。

この商品カタログの2ページ目の2段目の商品である「単列深溝玉軸受」の欄には、「6800シリーズ、6900シリーズ、6000シリーズ、6200シリーズ、6300シリーズ、オープン、Z、ZZ、RS、2RS」といった記載がある。

また、8〜9ページには該商品の寸法表が掲載されている。

乙第3号証の売上伝票の品名の欄中、例えば平成17年5月11日発行の売上伝票には、「LFB 6004ZZ」と記載されているが、「6004ZZ」とは、JIS規格B1513「転がり軸受の呼び番号」に定められている呼び番号であり、各数字と欧文字の記号はつぎのような意味合いを持つ。

「6(深溝玉軸受、単列、入れ溝なし、非分離型形)0(直径系列0)04(内径20ミリ)ZZ(両シールド付)」。

すなわち、乙第3号証の売上伝票の品名の欄中「6004ZZ」などの数字と記号はJIS規格の呼び番号である。そして商標「LFB」の文字については、JIS規格の呼び番号とは無関係の、商品識別標識としての表示となっている。本件被請求人の取引先とは商標「LFB」と、JIS規格の呼び番号によって商品「単列深溝玉軸受」を取り引きしている。

(2−3)次に、取引における「LFB」商標の取り扱いについて述べる。

乙第3号証の売上伝票は、被請求人が商品の取引に際して用いている4枚綴りの伝票の内の1枚目にあたり、2枚目は請求明細書、3枚目は納品書、4枚目は受領書であり各伝票はカーボンコピーにより1枚目の売上伝票の複写となる。

商品の納品時には納品書と受領書を納品先に渡し、月末などの請求時には請求明細書を請求書表紙に添付して納品先に送付することとなり、最終的に被請求人の手元には売上伝票が残る。

商品の納品先に渡した納品書と受領書と請求明細書とには、当然に「LFB」の商標が記載されている。

尚、受領書は形式的には、商品が納品先に受領されれば被請求人に返送されるべき伝票であるが、実際の取引では被請求人に返ってくることは希であるので、売上伝票を提出した次第である。

以上のように、被請求人は商品「単列深溝玉軸受」に商標「LFB」を使用して日本国内において取引をおこなっている。

(2−4)使用時期は、本件審判請求の登録前3年以内である。

そして、商品「単列深溝玉軸受」は、第7類の「軸受」または「ベアリング」に該当する商品である。

(2−5)乙第3号証の売上伝票は、上記述べたように東京に存在する、ある1社分の売上伝票であるが、他にも数社の取引先があり、そちらについても売上伝票が残っているので、追って上申書によって提出する予定である。

上述の如く、本件商標は商標法第50条第1項の規定に該当しないから、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断

被請求人より提出された乙第4号証は、被請求人発行の商品カタログ(カラー)と認められるところ、このカタログは表紙上に中国語で「中国軸承指南」と表題が表示され、また、表紙の最下部には被請求人の商号が表示されている。そして、第2頁をみると中国で生産された各種の軸受けが日本に納入(輸入)され販売されている商品についての商品カタログであることが認められる。同じく2頁には各種の軸受けが写真付きで掲載されており、その2段目には「単列深溝玉軸受」が掲載され、「6800シリーズ、6900シリーズ、6000シリーズ、6200シリーズ、6300シリーズ、オープン、Z、ZZ、RS、2RS」といった記載があり、更に、第8頁から9頁には「単列深みぞ玉軸受」の寸法表が掲載されている。

また、乙第3号証は10枚の売上伝票(写し)と認められるものであり、納品先、単価、金額等は被請求人の企業秘密の点から黒塗りされているものの、各伝票にはそれぞれ伝票No.が記載されている。そして、一枚目の売上伝票をみると、発行年月日は平成17年5月11日で、品名欄には「LFB 6004ZZ」と手書きで記載されており、伝票右上には被請求人の商号、住所、電話番号等が印刷され、担当者の押印がある。他の売上伝票(9枚)も発行日が平成17年6月1日から同18年9月1日までの伝票で、それぞれの品名欄には「LFB」の記載と共に別の品名番号が記載されており、各伝票は取引の実際で使用されたと認め得るものである。

しかして、一頁目の売上伝票の品名欄に記載されている品名番号「6004ZZ」及び他9枚の同じく伝票に記載されている各品名番号は、すべて商品カタログ(乙第4号証)の第8頁から9頁に掲載されている「単列深みぞ玉軸受」の寸法表の「呼び番号」に対応するものであることが認められる。

かつ、商品カタログ及び売上伝票の品名番号(呼び番号)によれば、被請求人が本件商標を使用しているとする「単列深溝(みぞ)玉軸受」は、本件指定商品中の第7類の「機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」に属する「軸受」と認め得るものであり、そして、売上伝票の該商品欄には本件商標と社会通念上同一と認められる商標「LFB」が表示されており、かつ、同じく売上伝票(10枚)に記載されている発行年月日の日付からすれば、本件審判請求の登録(平成19年2月28日)前3年以内に本件商標の指定商品に属する上記商品についての使用と認め得るものである。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品に含まれる第7類「軸受」について、使用されていたものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものではない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。