結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890044(T2007−890044/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4963345号商標(以下「本件商標」という。)は、「アリゼロ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成17年10月9日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同18年6月23日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3166975号商標(以下「引用商標」という。)は、「ゼロ」の片仮名文字と「ZERO」の欧文字とを二段に書してなり、平成5年3月18日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録され、その後、存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。
(1) 商標法第4条第1項第16号について
本件商標「アリゼロ」は、その構成中に「アリ」の文字を包含しているから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標から「蟻用殺虫剤,防蟻剤,蟻用忌避剤」を認識するものである。
そうとすれば、本件商標をその指定商品中「蟻用殺虫剤,防蟻剤,蟻用忌避剤」以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第3条第1項第3号又は同第6号について
本件商標「アリゼロ」は、「蟻をゼロにする」という意味合いを看取させる商標である。
そうとすれば、本件商標をその指定商品中「蟻用殺虫剤,防蟻剤,蟻用忌避剤」に使用するときは、本件商標は、単に、商品の薬効を表示するにすぎないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反して登録されたものである。
(3) 商標法第4条第1項第11号について
本件商標「アリゼロ」の「アリ」の文字部分は、「蟻用の」という商品の品質を表示しているにすぎないから、本件商標の要部は「ゼロ」の文字部分にあるといわなければならない。
そうとすれば、本件商標は、引用商標と類似することになる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号、同法第3条第1項第3号若しくは同第6号又は同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項により無効にされるべきである。
(1) 商標法第4条第1項第16号について
商標は、商標採択者の主観的意図に基づいて考えるべきではなく、商品の取引者、需要者(客観的な立場)に基づいて考えるべきであるところ(昭和38年(ワ)第1415号、昭和41年8月30日東京地裁民事第29部判決)、本件商標をその指定商品中「殺虫剤」に使用した場合、取引者、需要者は、その商品は「蟻用殺虫剤,防蟻剤,蟻用忌避剤」であると認識するというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第3条第1項第3号又は同第6号について
インターネットのホームページ上で、「蟻ゼロ」といった使用がなされている(甲第30号証及び甲第31号証)実情がある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反して登録されたものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
請求人は、「本件商標は、その構成中に『アリ』の文字を含むため、その指定商品中『蟻用殺虫剤、防蟻剤、蟻用忌避剤、その他の蟻用薬剤』以外の商品について使用する場合には、商品の品質の誤認を生ずる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。」と主張する。
しかしながら、本件商標の構成中の「アリ」の文字部分から直接導き出されるのは「アリ」という音のみであって、昆虫の「蟻」という意味までもが直ちに導き出されるものではない。
なぜなら、「アリ」は、昆虫の「蟻」かもしれないが、「在り」や「有り」かもしれないし、また、誰か外国人の名前であったり、既成の意味を有さない造語であるかもしれないからである。
また、請求人は、本件商標「アリゼロ」からは「蟻をゼロにする」という意味合いが看取されるとする。
しかしながら、「○○をゼロにすること」を「○○ゼロ」と表すという一般的な約束や慣習があるわけではなく、「アリゼロ」といわれても、ここから直ちに「蟻をゼロにする」などという意味が理解されるものではない。
そもそも、通常の日本語では、「蟻をゼロにする」という表現はしない。
通常の日本語では、「蟻を退治する」と表現する。
さらに、本件商標は、全てが片仮名文字で一連一体に表されるまとまりのある態様であるため、その全体を一目で把握することができるものであり、造語ととらえるのが自然である。
加えて、本件商標より生ずる「アリゼロ」の称呼にしても、僅か4音と短いものであり、このような短いフレーズにあっては、全体としての一体感がさらに強くなるため、説明的な表示からは遠く離れた所に位置することとなり、語呂やリズムのよい、より商標的な響きを持つものとして、需要者らには認識されるものである。
このように、「アリゼロ」という一体的な態様からなる本件商標は、その全体でひとつの造語と認識されるものであり、こうした新規なフレーズからは特定の意味合いが直感されることはない。
したがって、本件商標は、商品の品質の誤認を生ずることはないから、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。
請求人は、「本件商標は、『蟻用殺虫剤、防蟻剤、蟻用忌避剤』といった商品について、『蟻をゼロにする』という薬効の意味合いを看取させるため、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反して登録された商標である。」と主張する。
しかしながら、本件商標から特定の意味合いが直感されるものではないことは、上記1で述べたとおりであり、本件商標は、十分に自他商品の識別力を有する顕著な商標であるから、本件商標が商品の品質等の表示にあたるとする請求人の主張は理由のないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反して登録されたものではない。
請求人は、「本件商標は、『アリゼロ』の片仮名文字よりなるところ、『アリ』の文字部分は、『蟻用の』という意味を有する品質表示であるから、本件商標の要部は『ゼロ』の部分にあり、引用商標『ゼロ/ZERO』と類似する。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。」と主張する。
しかしながら、「アリゼロ」という一体的な態様からなる本件商標にあっては、たとえ蟻用の商品についてであっても、「アリ」の部分が無視されて「ゼロ」だけが独立した自他商品の識別標識と理解、認識されるという事態は起こり得ない。
称呼にしても、「アリゼロ」は短くコンパクトで、一息に発音できるものであるため、わざわざ語呂もリズムもよい「アリゼロ」から「ゼロ」の部分だけを取り出し、「ゼロ」の単独の称呼で取引に資されるということもあり得ない。
また、「0」を意味する引用商標は、それだけではさして自他商品識別力の強くない商標である。
商標審査基準によれば、もともと単なる数字は、原則的に商標法第3条第1項第5号に該当するとされており、1桁の数字を仮名で表した場合も同号に該当するものとされている。
引用商標が登録されているという事実を尊重するとしても、商標審査基準からは、引用商標の自他商品識別力を過大に評価することはできず、むしろ、識別力の弱い商標であるといい得るので、商標権の範囲もいきおい限定的なものと解さざるを得ない。
ましてや、本件商標「アリゼロ」のように、まとまりのよい結合商標にあっては、識別力の弱い「ゼロ」という言葉のみが注目されることはないのであり、仮に「蟻用殺虫剤」等の商品についてこれが使用されたとしても、単独の「ゼロ」としてこれが認識されることはないというべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、両商標を類似とする請求人の主張は失当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
本件商標は、「アリゼロ」の片仮名文字よりなるところ、それぞれの構成文字は、同じ書体、同じ大きさ及び同じ間隔で、外観上一体に表されている。
そして、本件商標の構成文字全体より生ずる「アリゼロ」の称呼は、4音と短く、一気一連に称呼し得るものである。
さらに、「アリゼロ」の「アリ」の文字(語)は、「蟻」、「有り」及び「在り」の意味合いで使用されている多義的な語であって、いずれの意味合いにおいても一般に使用されている用語であるから、取引者、需要者が、当該文字から、直ちに「蟻」の意味を連想、想起するとまではいい難い。
そして、他に、本件商標構成中の「アリ」の文字部分のみが独立して認識されるとすべき特段の事情は見いだせない。
そうとすれば、「アリゼロ」の文字部分は、「アリ」の語と「ゼロ」の語を連結した語として取引者、需要者に認識、把握されるというよりは、特定の意味合いを有さない一種の造語として取引者、需要者に認識、把握されるというのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用したとしても、商品の品質の誤認を生ずるおそれのないものというべきである。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第16号に該当するものとする請求人の主張は採用できない。
本件商標は、全体としては特定の意味合いを生じさせない一種の造語よりなるものとして把握されるとみるが相当であることは上記1で述べたとおりである。
請求人は、インターネットのホームページ上で、「蟻ゼロ」といった使用がなされている実例を挙げている(甲第30号証及び甲第31号証)が、この程度の実例によっては、本件商標が、その指定商品の効能、品質等を表示するものとして普通に使用されているという事実を認めることはできない。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、その商品の品質等を表示するものとはいえないものである。
また、被請求人が、本件商標をその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるとはいえない。
したがって、本件商標が商標法第3条第1項第3号又は同第6号に該当するものとする請求人の主張は採用できない。
本件商標は、全体としては特定の意味合いを生じさせない一種の造語よりなるものとして把握されるとみるが相当であることは上記1で述べたとおりである。
してみれば、本件商標からは、その構成文字全体に相応して、「アリゼロ」の称呼のみが生ずるものというのが相当である。
したがって、本件商標から「ゼロ」の称呼をも生ずるとし、その上で本件商標が引用商標と称呼上類似するとする請求人の主張は、その前提において認められない。
そして、他に、外観や観念において本件商標と引用商標とが相紛れるおそれがあるとすべき点は見いだせない。
してみると、本件商標は、外観、観念及び称呼のいずれからみても、引用商標と類似するということはできないから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする請求人の主張は採用できない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号、同法第3条第1項第3号若しくは同第6号又は同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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