結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89154(T2006−89154/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4949908号商標(以下「本件商標」という。)は、「FRAGILE」の文字を標準文字により表してなり、平成13年2月14日に登録出願、第18類「原革,原皮,なめし皮,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,愛玩動物用被服類」を指定商品として平成18年5月12日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第10号証を提出している。
ア 利害関係について
以下に主張するとおり、本件商標が使用されれば請求人の商品又は業務と混同を生ずるおそれが大きい。また、自らが有する登録商標の保全を図る必要もある。
よって、請求人は、その商品及び業務の保護、商標の保護のため本件無効審判を請求するにつき必要な利害関係を有する者である。
イ 無効理由について
(1)請求人による引用商標の使用の経緯
(ア)請求人は、日本国内で「Burberry」、「Paul Stuart」、「Scotch House」等の有名海外ブランド商品を初めとして、請求人自らが採択したオリジナルブランドである「Sanyo coat」、「Fragile」、「Epoca」、「To be chic」等の各種ファッション商品を扱う会社として周知著名なアパレルメ一カーであり、上場一部企業の会社である。そのために、日本の有名百貨店等からの信用も厚く、多くの百貨店・専門店において請求人が扱うブランド商品が店舗展開されている。
「Fragile」の商標もその一つであり、該商標を掲げて百貨店内で店舗展開されている店舗数は、現在約70店に及んでいる。
(イ)請求人は、平成9年(1997年)から「fragile」、「FRAGILE」 及び「フラジール」の各商標(以下、一括して「引用商標」という。)をそのオリジナルブランドとして使用を開始した。
その使用開始の事実は、1997年4月4日付「日本経済新聞」ほかの各新聞記事(甲第3号証 )及び1997年9月号「FIGARO」ほかの雑誌記事(甲第4号証)からも明らかである。
その後、引用商標は、請求人により婦人用被服、婦人用かばん類を初めとする多くのファッション関連商品に継続して使用されている。そして、引用商標は、現在においては非常に周知著名な商標として消費者・取引業者に認識されるに至っている。請求人が引用商標を採択した理由は、その称呼から生じる音のやわらかさ、優雅さから、女性用ファッション商品にはふさわしい名称と考えたためである。特に、女性用ファッション商品にはその高級感をイメージさせる商標が好まれる傾向にあり、引用商標も英語の「 Fragile」が音調からも、また「壊れやすい」といった意味から「大切なもの」というイメージを想起させることから高級感のイメージを醸し出す商標としてふさわしいと考えたからである。
(2)請求人による引用商標の登録状況
(ア)請求人は、引用商標を各種商品分類・役務分類に出願・登録済みである。特に、請求人をはじめとするアパレル企業においては、本件商標の指定商品である第18類の「かばん類、袋物」と第25類の「被服」とは密接に関連する商品であり、この両分類にまたがるこれら商品に商標登録をすることは極めて重要である。
そこで、請求人も第25類の「被服」(登録第4164959号として既に登録済み)については勿論のこと、第18類「かばん類、袋物」についても商標「fragile」の登録(登録第4704517号)を得ている。ちなみに、上記登録商標は本件審判請求の対象である本件商標より先願である。
しかし、登録第4704517号商標は、その後、本件審判の被請求人たるゴールメ社から登録異議申立(異議2003−90770号)を受け、その登録の一部(かばん類と袋物)が取消されている。その理由は、被請求人が第21類において「化粧用具ほか」につき商標「フラジャイル/FRAGILE」を登録第4186663号として登録していたために、いわゆる「備考類似」としてその登録の一部が取消されたものである。
一方、請求人もこれに対抗すべく、被請求人が登録異議申立において引用した商標登録第4186663号の指定商品「化粧用具入れ」のうち「洗面用具入れ」に対し、商標法第50条に基づく登録取消審判(取消2004−31629号)を請求し、これが認められその指定商品から「洗面用具入れ」は除かれることになった。しかし、その取消以前に請求人の所有する登録第4704517号の指定商品「かばん類、袋物」に対する被請求人の異議申立による取消が確定したため、結局のところ請求人は第18類の「かばん類、袋物」において商標「fragile」の登録は維持出来なかったのである。しかも、被請求人は商標「FRAGILE」を別途第18類に出願中であったため、請求人の上記登録第4704517号の「かばん類、袋物」の取消により当該出願は登録となったのである。その登録こそ本件審判の請求対象である本件商標である。
(イ)請求人は、上記のとおり、第25類に商標「fragile」を登録済み(商標登録第4164959号)であるが、これ以外に第14類、第18類、第24類、第35類、第43類及び第44類について登録済みである(甲第2号証)。
以上のとおり、請求人は、引用商標を約10年前から被服その他のファッション関連商品に使用しており、また各種商品・役務に商標登録済みであり、請求人の販売努力の結果、現在においては後述のとおり商標「fragile」・「フラジール」といえば請求人の商品(特に被服をはじめとするファッション関連商品)を指称するものとして取引者及び需要者に認識されているものである。
(ウ)なお、「FRAGILE」は「壊れやすい」という英語の意味から、一般的な品質表示としての側面をも有するものであるが、一方、商標は商品流通あるいは役務の提供に際し識別標識として機能する標識であって、商標が機能する場である現実の経済社会において、「fragile」が使用されれば、あたかも請求人の商品の商標であるごとく認識される可能性が高いものであり、商標としての登録適格性を充分に備えているものと思料する。
請求人は、請求人の商標として高い業務上の信用が化体している「fragile」の保護を図るため、本件審判の請求を行うものである。
(3)商標法第4条第1項第15号及び第10号の適用
(ア)本件商標は、甲第1号証に示されるとおり欧文字「FRAGILE」を左から横書きした構成からなる。
したがって、本件商標が請求人の周知・著名な商標である引用商標と同一又は類似する商標であることは明白である。
(イ)ここにおいて、「FRAGILE」といえば請求人の商標として本件商標が出願された平成13年(2001年)2月以前において広く知られていたことはいうまでもない。
即ち、上記のとおり平成9年(1997年)から請求人は引用商標を本件商標の指定商品である「かばん類、袋物」等のファッション関連商品に使用してきており、とりわけ被服については大々的に使用し、その売上高も相当な額に達しており、その後もこれら商品は好評を博し、順調に売上げを伸ばしてきている。その使用が継続された結果、現在においては引用商標は、日本の服飾業界の取引者や一般消費者・需要者の間において、請求人の商品を表示するものとして、広く認識されるものとなっており、著名な商標といえるものである。
ちなみに、本件商標の出願日の前年である2000年の引用商標を使用した各種商品の売上高合計は約21億6700万円に達しており、その広告宣伝費も約2億800万円に達している。
したがって、本件商標の出願日以前から引用商標は請求人の商標として周知・著名になっていたことは明らかである。
(ウ)請求人は、引用商標を使用した被服、かばん類その他各種ファッション商品を上述したとおり、一流百貨店(三越、高島屋、伊勢丹、大丸ほか)及び直営店で販売している。
百貨店は、首都圏(28店。本社管轄)、阪神地区(14店。大阪支店管轄)、中京地区(9店。名古屋支店管轄)、九州地区(9店。福岡支店管轄)、札幌周辺地区(4店。札幌支店管轄)及び静岡、新潟などのその他の地区(5店)であり、直営店は現在全部で5店に達しており、今後も本件商品を取り扱う百貨店・専門店は増加することが期待できるものである。現在、引用商標を使用した商品が販売されている店舗の詳細は甲第5号証の「FRAGILE売上実績推移表」の一番左の欄に記載された店舗名のとおりである。
(エ)請求人は、引用商標の広告宣伝のために、雑誌・新聞等の種々の媒体を通じて毎年相当な予算をもって販売促進活動を行っており、その広告宣伝に費やした費用はおよそ次のとおりである。
(広告宣伝費)
1997年 約3億6700万円 2001年 約2億2800万円
1998年 約5億700万円 2002年 約2億400万円
1999年 約1億5500万円 2003年 約2億7700万円
2000年 約2億800万円 2004年 約1億7500万円
(オ)引用商標が被服、かばん類、その他ファッション関連商品に具体的に使用されている事実は甲第6号証の写真が示すとおりである。
また、請求人の引用商標を使用した被服を中心とした商品の販売実績は次のとおりであって、その販売実績が示すとおり、その金額はかなりの額に達しており、これらの販売実績からも引用商標の周知・著名性が推測できるものである。毎年、その売上げは順調に伸びている。その売上実績推移表は甲第5号証の示すとおりである。
(引用商標を使用した商品の全体の売上実績)
1997年 約3億5900万円 2001年 約31億9300万円
1998年 約11億6700万円 2002年 約47億6900万円
1999年 約18億1600万円 2003年 約48億5500万円
2000年 約21億6700万円 2004年 約50億2800万円
上記のとおり、本件商標が出願された2001年以前からかなりの販売実績をあげていたものである。
なお、「かばん類」 の売上実績は次のとおりである。
(引用商標のかばん類における売上実績)
1998年 約800万円 2002年 約2億1000万円
1999年 約2000万円 2003年 約2億800万円
2000年 約3100万円 2004年 約1億9000万円
2001年 約8400万円
(カ)さらに、請求人は引用商標が本件商標の出願前において周知著名であることを証するために、次の資料を証拠として提出する。
a 請求人のブランドカタログ(1998年春夏コレクション)の写し(甲第7号証)。当該カタログは、本件商標の出願前に発行・頒布されたものである。
b 引用商標を使用した請求人の製造・販売に係る被服その他ファッション商品が掲載されている各種ファッション雑誌記事の写し(甲第8号証)
c 引用商標を使用した請求人の製造・販売に係る被服その他ファッション商品が掲載されている新聞記事(甲第9号証)
(キ)なお、Google又はYAHOOの検索サイトで「FRAGILE」、「fragile」及び「フラジール」のキーワードで検索すると、そこで抽出されるファッション関係のサイトのほとんどが請求人の引用商標を使用した商品に関するものであることが判明する。例えば、Googleの検索サイトで「fragile」及び「ファッション」のキーワードで検索した場合に抽出される1件目から20件目までのサイトは全部請求人の商品に関するものである(甲第10号証)。さらに、Googleで「FRAGILE」、「fragile」、「ファッション」 及び「三陽商会」というキーワードで入力すると全部で24,100件という大変な数のサイトが発見される。これらは引用商標が請求人の商標として周知・著名であることを裏付ける必要且つ充分な事実といえるものである。
(ク)本件商標の指定商品である「かばん類、袋物」と請求人が引用商標を使用している各種ファッション商品とを比較するに、とりわけ請求人が大々的に販売している「被服」との関係についてみると、両商品ともファッションブランド品として密接な関係にあり、上述したとおり「被服」のみのブランド展開はまずないといっても過言ではなく、当然に「かばん類」においても同一ブランドでの展開が行われているのである。
即ち、同一ブランドの被服とかばん類は同一の企業により製造され、同一の商品流通経路によって販売されて更に同一の店舗において販売されるのが一般化している。
この事実は大変重要であり、本件商標の権利者により本件商標を使用した「かばん類」その他の指定商品が販売されたときは、一般消費者及び取引業者はあたかもこれが請求人の商品であるかの如く誤認を生じさせ、若しくは請求人と何らかの関係を有する者の製造、販売に係るものと認識され、その出所について誤認混同を生ずるおそれが極めて大きいのである。
また、請求人と関係のない本件商標の権利者により本件商標が登録され、独占的に使用され、請求人の使用をも排除されるといった事態は、商標法の目的とする公正な競争秩序の維持といった観点よりしても好ましくないものである。
(ケ)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第10号に該当することは明白である。
(4)むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び第10号に該当し、その登録は同法第46条に基づき無効とされるべきものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
(1)先ず、請求人の請求人適格について検討するに、請求人は、本件商標の存在により不利益を被るおそれがあるとして本件商標の登録の無効を主張するものであるから、本件審判の請求をすることについて法律上の利害関係を有するものと認められる。この点については、被請求人も争っていない。
(2)次に、本案に入って審理するに、請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、平成9年(1997年)秋から婦人用被服について引用商標をオリジナルブランドとして使用を開始した。それに先立つ同年4月頃から、請求人の婦人用被服及び引用商標の採択について各種新聞にその旨が繰り返し報道された(甲第3号証)。また、同年秋に発行された各種雑誌にも引用商標を使用した請求人の婦人用被服が紹介されている(甲第4号証)。
(イ)その後も、引用商標は、婦人用被服のみならず婦人用かばん類、婦人用靴、アクセサリー等のいわゆるファッション関連商品についても継続して使用され、これらの商品は、首都圏28店、阪神地区14店、中京地区9店、九州地区9店、札幌周辺地区4店、その他5店に及ぶ三越、高島屋、伊勢丹、大丸、松屋等多くの百貨店をはじめ、5店に及ぶ専門店において取り扱われ、好評を博し、順調に売上を伸ばし、その売上高は本件商標の登録出願の前年である平成12年には既に約21億6700万円に達しており、登録査定前の平成16年には約50億2800万円に達している(甲第5及び第6号証)。
(ウ)引用商標を使用した請求人に係る婦人用被服、かばん類等のファッション関連商品については、請求人のブランドカタログに掲載されると共に、各種ファッション雑誌、各種新聞に繰り返し紹介されている(甲第7ないし第9号証)。これらのカタログ、雑誌及び新聞は、いずれも本件商標の登録出願前に発行されたものである。
(エ)インターネットの検索サイトにおいても、請求人の引用商標を使用した商品に関するものが多数検索される(甲第10号証)。
(3)以上の認定事実によれば、引用商標は、請求人が婦人用被服、かばん類等について使用する商標として、本件商標の登録出願時には既に取引者、需要者間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は登録査定時においても継続していたものと認められる。
(4)引用商標が使用されている婦人用被服と本件商標の指定商品に含まれる「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ」は、靴類、アクセサリー、帽子等と共に身に着けたり携帯するものであって、全体的に統一された装いであるトータルルックが行われたり、ファッション雑誌等においては一緒に掲載・紹介されることも多く、いずれもファッションに関連した商品といえるものであり、それぞれ密接な関連を有するものである。もとより、引用商標が使用されているかばん類と本件商標の指定商品に含まれる「かばん類、袋物」とは、同一又は類似の商品といえるものである。
また、昨今のペットブームにより、動物用のファッション商品が多数取引されていることからすると、上記婦人用被服のファッションが本件商標の指定商品に含まれる「愛玩動物用被服類」に影響を及ぼすことも少なくないものといえる。さらに、本件商標の指定商品に含まれる「原革、原皮、なめし皮」と引用商標が使用されている「婦人用被服、かばん類、袋物」とは材料と完成品の関係にあるといえる。
(5)本件商標は、上記1のとおり、「FRAGILE」の文字からなるものであって、引用商標中の「fragile」及び「FRAGILE」とは綴りを同じくし称呼、観念及び外観を共通にするものであり、同じく「フラジール」とは称呼を共通にするものであるから、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念を共通にする類似の商標といわなければならない。
(6)以上を総合すると、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品が請求人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「かばん類,袋物」については商標法第4条第1項第10号の規定に違反し、その余の商品については同項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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