結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300194(T2007−300194/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2702827号商標(以下「本件商標」という。)は、「GEMINI PC−1」の文字を横書きしてなり、平成2年5月18日に登録出願、第10類「医療機械器具、これらの部品および附属品」を指定商品として、同7年1月31日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、同17年11月16日に指定商品の書換登録がされ、第10類「薬剤の注入又は投与に用いる医療用容積式ポンプ,医療用機械器具」と書き換えられている。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(商標登録原簿及び商標公報の写し)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「薬剤の注入又は投与に用いる医療用容積式ポンプ,医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人が提出している証拠からは、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を、本件審判請求の登録前3年以内に、継続して使用していることは証明されない。
(ア)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用していることについて
専用使用権の設定登録はないので、専用使用権者が本件商標を使用していないことは明らかである(乙第1号証)。
被請求人は、被請求人の代理店である株式会社東機貿(以下「東機貿」という。)が本件商標を使用していた旨述べているが、東機貿が代理店であることを証明する証拠を一切提出していない。したがって、東機貿は、被請求人の代理店とは認められず、よって、東機貿が通常使用権を有することも証明されない。
被請求人は、東機貿の関連会社である株式会社佐多商会(以下「佐多商会」という。)が本件商標を付した商品を日本国内に輸入した旨を主張し、佐多商会宛のINVOICE(写)を提出している(乙第2号証及び同第3号証)。
しかしながら、被請求人は、東機貿と佐多商会の関連について一切説明しておらず、また、両社の関連性を明確に示す証拠を提出していない。したがって、佐多商会宛のINVOICE(写)によっては、通常使用権者が本件商標を使用したことは証明されない。
また、INVOICE(写)に記載されている商品が実際に日本に輸入されている事実は、商品代金の支払いを証明する書面、又は通関料、配達料、関税、輸入消費税及び航空運賃等の支払いを証明する書面等が提出できるはずであるが、同書面が提出されていないので、INVOICE(写)に記載されている商品が実際に日本に輸入されたかは疑わしい。
以上述べたとおり、被請求人の提出した証拠によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用していることは証明されない。
(イ)本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に、継続して使用されていることについて
被請求人は、乙第4号証ないし同第7号証を提出して、本件商標が本件審判の予告登録日以前の平成12年から平成18年にかけて使用された旨を主張している。
しかしながら、乙第4号証及び同第5号証は、日付の記載がないので、何時のインターネット画面なのか分からない。したがって、乙第4号証及び同第5号証によっては、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に継続して使用されていることは証明されない。
そして、乙第6号証は、2003年版の医科器械図録であり、年度毎に発行される図録(定期刊行物)は、その前年に発行されるのが一般的である。2003年版の図録は、前年である2002年に発行されたと考えられるから、上記証拠は、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されたことの証拠とはならない。
さらに、被請求人は、2000年から2006年まで本件商標に係る商品を納入した病院一覧リストと称して、乙第7号証を提出している。しかしながら、同証拠の作成者、作成時期を特定する記載は、同証拠上に一切ない。したがって、同証拠の信憑性は極めて低く、証明力は認められないから、同証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されたことは証明されない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)本件商標は、取消審判の予告登録日前3年以内に被請求人の代理店である東機貿(東京都港区東麻布2丁目3番4号所在)により、日本国内において、その指定商品中の「輸液ポンプ」に付されて使用されていたものであるから、取消の対象とはならないものである。
乙第2号証及び同第3号証は、東機貿の関連会社である佐多商会が本件商標が使用されている商品「輸液ポンプ」を日本国へ輸入した事実を示す英文INVOICE(写)であり、乙第4号証ないし同第7号証は、本件審判の予告登録日以前の平成12年から平成18年まで、本件商標「GEMINI PC−1」が商品「輸液ポンプ」に継続して使用されてきたことを示すものである。
(2)以上のとおり、本件商標に係る使用商標「GEMINI PC−1」は、「GEMINI」の部分が筆記体で表示されているとしても、これより生ずる称呼が「ジェミニ」のみであること及び「ジェミニ」の観念を生ずると理解されるところから、本件商標に係る使用商標は、社会通念上本件商標と同一と認められる商標の使用であることが明らかである。
(3)そうしてみると、本件商標が本件商標の指定商品中の商品「輸液ポンプ」に本件商標の通常使用権者である東機貿により、本件審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内で使用されていたことは明らかである。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第2号証及び同第3号証は、佐多商会が商品「輸液ポンプ」を日本国へ輸入した際、輸出業者であるTKB INTERNATIONAL,INC.が発行したインボイスの写しと認められるものであり、これらには、「Description」として「GEMINI PC−1 VOLUMETRIC PUMP」、「MANUFACTURER」として「ALARIS MEDICAL SYSTEMS,INC.」等の記載があり、「Date」として、乙第2号証には「02/06/04」、乙第3号証には「01/27/06」の日付が記載されている。
乙第4号証及び同第5号証は、アラリス社のホームーぺージにおける「輸液ポンプ」のページをプリントアウトしたと認められるものであり、乙第6号証に添付されている輸液ポンプの拡大図に表示されている「GeminiPC−1」と同じものと認められる「輸液ポンプ」の写真が掲載されているが、プリントアウトの日付は不明である。
乙第6号証は、日本医科器械学会発行の「JMI医科器械図録2003」であり、東機貿の取り扱いに係る「ジェミニシリーズ輸液ポンプPC−1/PC−2TX/PC−4」の製品が紹介されている。また、これに添付されている輸液ポンプの拡大図には、「ジェミニシリーズ輸液ポンプ」の表題が付けられており、その頁の左上には、「ALARIS/米国アラリス社」の表示があり、表題の下部には、筆記体で表された「Gemini」の文字とそれに続けて「PC−1・PC−2TX・PC−4/VolmetricPump/Controller」の表示がある。そして、各輸液ポンプの写真が掲載されており、PC−1の輸液ポンプには、筆記体で表された「Gemini」の文字と活字体で表された「PC−1」の文字を一連に表した商標が表示されており、最下部には「TOKIBO CO.,LTD.」の表示がなされている。
乙第7号証は、ジェミニシリーズの輸液ポンプを納品したとされる病院の一覧リストであり、「PC−1」、「PC−2TX」、「PC−4」等に係る輸液ポンプが2000年から2006年までに納品されたとされる各地の病院名が記載されている。
(2)上記のとおり認定した事実によれば、被請求人は、少なくとも、医療用機械器具である「輸液ポンプ」の製造を業とする企業であり(乙第2号証ないし同第6号証)、商標登録原簿(乙第1号証)の記載によれば、現在の被請求人の名称は「カーディナル ヘルス 303 インコーポレイテッド」であるが、平成18年1月23日に登録登録名義人の表示の変更登録がなされる前の名称は「アラリス メディカル システムズ インコーポレーテッド」であったことが認められる。
そして、被請求人と東機貿との関係については、乙第6号証(JMI医科器械図録2003)に、「アラリス メディカル システムズ」の表示のもとに掲載されている「ジェミニシリーズ輸液ポンプ」の販売元として「TOKIBO/CO.,LTD./株式会社東機貿」と記載されており、乙第6号証に添付されている商品の拡大図にも「ALARIS/米国アラリス社」の表示とともに「TOKIBO CO.,LTD.」の表示があること等からみれば、被請求人が主張しているように、東機貿は、被請求人の我が国における代理店であって、本商標権について通常使用権を許諾されていたものとみるのが自然である。
そして、乙第6号証には、「ジェミニシリーズ 輸液ポンプ」及び「PC−1/PC−2TX/PC−4」の表示があり、その下には「PC−1(1チャンネル)、PC−2TX(2チャンネル)、PC−4(4チャンネル)の各種があり、用途に応じてお選びいただけます。」と記載されている。
このことからみると、これらの表示は、いずれも、「GEMINI(ジェミニ)」シリーズの輸液ポンプであって、チャンネル数によって、「PC−1」、「PC−2TX」、「PC−4」のように表示されているものと認められる。そうとすれば、ジェミニシリーズの輸液ポンプにおける具体的な機種の特定には、「PC−1」、「PC−2TX」、「PC−4」等の表示が必要になるとしても、自他商品の識別標識(商標)として機能しているのは、「ジェミニ」の文字部分にあるものということができる。そして、本件商標構成中の「GEMINI」の欧文字からは「ジェミニ」以外の称呼は生じないものであり、ともに「双子座」等の観念を理解・認識させるものである。
してみれば、乙第6号証の当該部分に表されている「ジェミニ」の文字部分は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。加えて、乙第6号証に添付されている商品の拡大写真によれば、この「ジェミニ」シリーズの「PC−1」の輸液ポンプには、筆記体で表された「Gemini」の文字と活字体で表された「PC−1」の文字からなる商標が表示されており、これは正に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
また、乙第3号証(インボイスの写し)によれば、佐多商会は、TKB INTERNATIONAL,INC.から本件審判についての要証期間内である2006年(平成18年)1月27日に、「GEMINI PC−1」の輸液ポンプを日本へ輸入していたことが窺われる。この佐多商会と東機貿との関係については、乙第6号証には「(株)東機貿および(株)佐多商会は、医療機器の輸入販売に関する一貫業務について、1998年7月3日に国際規格ISO9002:1994の認証を受け、・・・」と記載されていること、乙第6号証に記載されている東機貿の本社住所と乙第3号証に記載されている「SATA CORPORATION」の住所が同じであること等をも併せみれば、被請求人が主張しているように、佐多商会は東機貿の関連会社である旨の被請求人の主張は首肯し得るものである。
更に、乙第7号証(病院の一覧リスト)によれば、ジェミニシリーズの輸液ポンプのうち、「Gemini PC−1」を購入していた病院は、2000年当時からあり、本件審判についての要証期間内のものだけをみても、2004年には「Aichi Central Hospital」と「National Saitama Hospital」、「Yamagata Central Hospital」の病院名が記載されており、また、2006年にも「Yamagata Central Hospital」の病院名が記載されていることが認められる。
(3)上記乙号証のうち、乙第2号証ないし同第7号証は、それらを個別にみた場合には、記載内容や使用時期などの点において、それら乙号証単独では、本件商標の使用の事実を証明するものとして必ずしも適確なものとはいえないとしても、各乙号証を総合してみれば、被請求人は、被請求人の我が国における代理店にして通常使用権者と推認し得る東機貿により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、輸液ポンプに関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示して取引に供するとともに、輸液ポンプ自体にも本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して販売していたものとみるのが相当である。
そして、該輸液ポンプは、取消請求に係る本件商標の指定商品である「薬剤の注入又は投与に用いる医療用容積式ポンプ,医療用機械器具」に属する商品と認められるものである。
(4)請求人の主な反論に対して
請求人は、東機貿が被請求人の代理店とは認められず、また、東機貿が通常使用権を有することも証明されていないこと、東機貿と佐多商会との関連性を明確に示す証拠が提出されていないこと、インボイスのみでは商品が実際に日本に輸入されている事実は明確に証明されないこと、インターネット画面には日付の記載がないこと、2003年版の医科器械図録は本件審判請求の登録前3年以内における使用の事実の証拠とはならないこと、2000年から2006年における本件商標に係る商品の納入病院一覧リストは作成者・作成時期を特定する記載もなく同証拠の信憑性は極めて低いことを挙げている。
確かに、インボイス(乙第2号証及び同第3号証)のみでは商品が実際に日本に輸入された事実までをも確認できるものではなく、アラリス社のホームーぺージ(乙第4号証及び同第5号証)にはプリントアウトした日付もなく、2003年版の医科器械図録(乙第6号証)は、本件審判事件における要証期間内のものではなく、更に、納入病院一覧リスト(乙第7号証)はリストの表題や作成年月日、作成責任者等の記載もないことから、書証としての信頼性にやゝ難点があることは請求人の主張のとおりである。
しかしながら、上記したとおり、提出された乙各号証を総合してみれば、それらが相互に補完し合うことにより、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が「輸液ポンプ」に使用されていた事実を認めることはできるものというべきである。
そして、請求人と東機貿との関係及び東機貿と佐多商会との関係については、上記したとおりであり、また、通常使用権の許諾は口頭ないしは黙示の意思表示でも足りるものと解されており、被請求人の答弁書における主張と乙各号証における記載等を併せみれば、被請求人は、東機貿に本商標権についての通常使用権を許諾していたものとみるのが相当である。
そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人の通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「輸液ポンプ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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