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Trademark Appeal Case

商標不正登録と品質誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89114(T2006−89114/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4889091号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4889091号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示した構成よりなり、平成16年10月8日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同17年8月19日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出している。

1 無効の理由の要点

請求人の登録出願に係る商標(商願2005−017479)は、先に商標登録された本件商標と類似するため、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、平成17年9月16日付けで拒絶理由通知を受けている。

しかしながら、本件商標には無効理由があり、本来登録されるべきではないものである。

このように、無効理由のある本件商標が存在するために、何ら不登録事由の存在しない正規の登録出願である商願2005−017479が登録不可能となったため、やむを得ず、本件商標の登録無効の審判請求に及んだ次第である。

本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであり、また、同第4条第1項第16号にも該当する。

2 無効とすべき理由

(1)本件商標の説明

本件商標は、S字状を縦長に伸ばした表示の右に、前記S字状の湾曲が抑制され、かつ、短めの表示を並べ、その右側にさらに湾曲が抑制され、さらに短めの表示を並べてなり、全体としてほぼ「川」の字状の表示の右側に、横書きの「久米島」なる漢字を表示してなる商標である。また、指定商品は、第3類「化粧品」である。

(2)証拠の説明

(ア)甲第1号証:平成12年5月22日付けの「久米島海洋深層水利用協同組合設立説明会」の参加者名簿

この名簿に記載の「薗田真理」は、(別件の)商標登録第4572967号(甲第5号証)の権利者であり、 商願2005−017479の譲り受け前の出願人でもある。

また、「大道敦」は、請求人の代表者であり、商願2005−017479を譲り受けた、同出願人の代表者でもある。

(イ)甲第2号証:久米島海洋深層水事業協同組合のロゴマーク

このロゴマークをほとんどそのまま使用して、商願2005−017479や商標登録第4572967号の出願に及んだところである。

(ウ)甲第3号証:前記甲第1号証に記載の参加者から成る組合設立発起人宛ての、前記甲第2号証「久米島海洋深層水事業協同組合ロゴマーク」デザインの納品書(写)

この納品書(写)によって、甲第2号証のロゴマークが前記名簿記載の「薗田真理」や「大道敦」らがデザインの制作を依頼したことが証明できる。

(エ)甲第4号証:化粧品製造業者である申請人(請求人)が化粧品に使用中の商標を表示した商品カタログ

(3)本件商標と甲第2号証に記載された商標との対比

(ア)本件商標は、甲第2号証の「川」の字状ロゴマークや、甲第4号証のように請求人が使用中の商標、甲第5号証である登録第4572967号商標並びに甲第6号証の商標と「川」の字状の図柄や「久米島」の漢字が全く同一であって、本件商標は、これらの表示の殆どを盗用して商標登録出願したものであることは明らかである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に規定する公序良俗違反に該当しており、違法に登録されたものである。

(イ)請求人は、沖縄県島尻郡久米島町で化粧品を製造販売しており、本件商標の出願人企業の代表者の別企業(後述の「オプション社」)と取引関係にあって、海洋深層水製品を納品していたが、その取引関係が円滑を欠いたため、取引を解消した。

このような事情から、化粧品については商標登録が漏れていることに付け込んで、甲第4号証のように請求人が使用中の商標を盗用し、無断で商標出願したものである。このような不正行為も、商標法第4条第1項第7号に規定する公序良俗違反に該当する。

(ウ)さらに、前記のように、本件商標の権利者は、久米島の業者とは取引が解消されており、沖縄県の久米島から海洋深層水などの原料を入手して使用しているという事実が存在しないにもかかわらず、登録商標の一部に「久米島」という地名を表示してあるのは、「久米島産」の原料を使用している化粧品であるかのように消費者に品質誤認を与えるものであって、商標法第4条第1項第16号にも該当する。

3 上申書における主張

(1)甲第8号証は、平成15年2月17日付けで株式会社オプション(以下「オプション社」という。)と本件請求人との間で締結した「O2Factory製品」(化粧品等)に関する売買等契約書の写しである(なお、オプション社の代表取締役は被請求人の取締役と同一人である。)。

また、甲第9号証は、平成15年4月2日付けで、オプション社が被請求人宛てに発行した発注書であり、甲第10号証は、平成15年6月30日付けで、被請求人からオプション社宛てに発行した見積書である。

そして、甲第11号証は、該見積書に従って納品した商品(液状洗顔石鹸)容器の外観であり、背面の下部に表示されている「川」の字状の商標は、本件請求人の商標と全く同一であって、被請求人の登録商標とも酷似しているものである。

(2)請求人が自然派化粧品に使用中の商標と本件商標は極めて類似するため、本件商標を他人が使用すると請求人の商品と出所の混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。

第3 被請求人の主張

被請求人は、請求人の主張に対して、何ら答弁していない。

第4 当審の判断

1 請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。

(1)平成12年5月22日、久米島の仲里村改善センターにおいて、久米島海洋深層水利用(事業)協同組合設立説明会が開かれ、請求人の代表者を始め、12の会社の関係者が出席したこと(甲第1号証)。

(2)久米島海洋深層水事業協同組合の設立発起人会は、同組合のロゴマークのデザインを「有限会社NATURAL FACTORY」に依頼し、平成12年9月11日に同有限会社から設立発起人会に納品がなされたこと(甲第3号証)。

そして、別掲(2)に掲げる標章が納品されたロゴマークであると推認されること(甲第2号証)。

(3)請求人は、自己の業務に係る化粧品に関して、前記ロゴマーク(図形部分には色彩を施していない。)を現に使用していることが窺われること(甲第4号証)。

(4)上記(1)の出席者中の「薗田真理」は、前記ロゴマークを商標として、平成14年7月2日に登録出願し、第30類「海洋深層水を使用したコーヒー及びココア」ほかの指定商品、第32類「海洋深層水を使用したビール」ほかの指定商品及び第33類「海洋深層水を使用した日本酒」ほかの指定商品について、登録第4572967号として商標登録を得たこと(甲第5号証)。

(5)本件商標の出願前、被請求人の代表者が経営する会社(オプション社)は、請求人との間で化粧品等について取引関係があったこと(甲第8号証)。

そして、別掲(2)に記載の商標が表示された商品(液状洗顔石鹸)がオプション社に納品されたことが窺われるから、被請求人は、本件商標の出願前に別掲(2)に記載の商標を知り得たものと推認されるものである。

2 商標法第4条第1項第7号について

商標法第4条第1項第7号でいう公序良俗に反する商標とは、商標の構成そのものが矯激卑猥のものだけでなく、登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録をすることが商標法の予定する秩序に反すると認められる場合には、同条項(第7号)に該当するものと解される。

しかして、本件商標は、別掲のとおり、図形と「久米島」の文字からなるものであるところ、前記1(1)によれば、請求人らを設立発起人として、「久米島海洋深層水事業協同組合」が設立され、そのシンボルマーク(ロゴマーク)として、別掲(2)の標章が採択されたことが認められる。

そこで、本件商標の図形と前記ロゴマークにおける図形とを比較するに、前者には後者に施された色彩がない点で相違はするが、いずれも、S字状を縦長に伸ばした表示の右に、湾曲が抑制された短めの表示を並べ、その右側にさらに湾曲が抑制された短めの表示を並べてなる構図を採用するものであり、両者の図形部分は、色彩の有無を除けば、同一のものといい得る程度に極めて酷似したものというのが相当である。

そして、前記構図の図形が、標章の採択において、極めて容易に案出され得るありふれた類のものとは到底認め難いものである。

してみると、本件商標のかかる構図の図形が、前記ロゴマークの図形部分とは無関係のものであって、その採択において偶然に一致をみたとは言い難く、「久米島」の文字を配した構成をも併せてみれば、本件商標は、前記ロゴマークに依拠して採択されたと推認せざるを得ないものである。

さらに、被請求人の代表者が同じ代表者である企業(オプション社)は、請求人と取引関係にあり、請求人が同社に海洋深層水製品を納品していたこと、その後、取引を解消した経緯があること、被請求人は前記協同組合と関係ある者とは認められないこと等を併せて勘案すれば、被請求人は、久米島の海洋深層水事業協同組合又は同組合員が上記ロゴマークを採用していることを知りつつ、これが商標登録されていないことを奇貨として、出願し登録を得たといわざるを得ないものである。

そうとすれば、本件商標の出願の経緯において、著しく社会的妥当性を欠くものがあったと判断せざるを得ないから、本件商標は公序良俗を害するおそれがあるものであり、商標法第4条第1項第7号に該当するものと認められる。

なお、請求人は、上申書において、本件商標が商標法第4条第1項第15号にも該当する旨主張しているが、これは新たに無効理由を追加し、請求の理由の要旨を変更するものであるから、同法第56条第1項で準用する特許法第131条の2第1項本文の規定により認められない。

3 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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