Trademark Appeal Case
地名と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−16583(T2006−16583/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「出雲織」の文字を横書きしてなり、第24類「織物,反物,織物製テーブルナプキン,織物製壁掛け,テーブル掛け,布製身の回り品」を指定商品として、平成17年7月13日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同18年10月11日付け手続補正書により、第24類「織物,反物」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、旧国名の一つである島根県の東部にあたる『出雲』の文字と、布などを織ること。また織ったものの意味を有する『織』の文字とを一連に『出雲織』と普通に用いられる方法で書してなるところ、これを指定する商品について使用しても『出雲で生産又は販売される織物』、『出雲で生産又は販売される織物を原料とした商品』程度の意味合いを認識させるにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。また、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものとは認めることができないから、同法第3条第2項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、「出雲織」の文字を書してなるところ、構成中の「出雲」の文字は、「旧国名。今の島根県の東部。雲州」の意味を、「織」の文字は、「織ること。また、その物。織りぐあい」の意味を有する語(いずれも、株式会社岩波書店 広辞苑第五版)として普通に使用されているものであるから、これを補正後の指定商品である「織物,反物」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、その商品が「出雲(島根県の東部)で生産又は販売される織物,出雲(島根県の東部)で生産又は販売される1反に仕上げてある織物」であると理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというのが相当である。
(2)使用による識別力の獲得について
請求人は、「本願商標を付した商品は、機械織りとは云え出願人の主として個人的努力により伝統的な技法を伝承しながら開発され、限られた門弟によって共に受け継がれているものであるため、性質上その生産量及び販売量等には限りがあるものである。このため販売数量や販売高、広告宣伝量等による本願商標の周知性を立証することは困難である。しかし、本願商標『出雲織』を付した商品は、伝統的なその織り方や模様のオリジナリティーによって島根県の伝統工芸品に指定され、マスコミにも多く取り上げられることによって広く周知著名になったものである。そしてこのことは出願人自身の本願指定商品の地道で継続的な製造、販売活動に由来し、その結果『需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの』(商標法第3条第2項)となったものであると解されるべきである。」旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲10号証(枝番を含む)を提出している。
しかし、商標法第3条第2項は、本来的には自他商品識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり、実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないから、出願に係る商標が、同条項の要件を具備し、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、出願に係る商標と同一の商標がその指定商品と同一の商品について使用されている場合に限られると解される(参考:知財高裁平成18年(行ケ)第10054号、平成18年6月12日判決)ところ、請求人の提出に係る証拠(甲第5号証2、3、5、6)は、いずれも商品「出雲絣」に関するものであって、本願商標「出雲織」と同一の商標がその指定商品と同一の商品について使用されている事実を示すものではない。また、「出雲織」が島根県ふるさと伝統工芸品として認定され、その後雑誌等に「出雲織」が紹介されていることは窺われるが、本願商標を使用した指定商品の具体的な販売高、販売数量、販売地域、広告宣伝の方法、回数及び内容等を示す証拠はなく、他に請求人が本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が本願商標を何人かの業務に係る商品であると認識するに至ったと認めるに足りる証拠はない。
してみれば、本願商標「出雲織」がその指定商品「織物,反物」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできないから、本願商標が使用により識別力を獲得したものであるとする請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当し、かつ同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、これを理由に本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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