Trademark Appeal Case
称呼類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900151(T2007−900151/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5012224号商標(以下「本件商標」という。)は、平成18年6月29日に登録出願され、「CRAZY BOY」の欧文字を横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同18年12月22日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立の理由の要点
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標
登録異議申立人「オンリー ザ ベスト,インコーポレーテッド」(以下「申立人」という。)は、下記の4件の登録商標を引用している(以下、これらの商標をまとめていうときは、「引用各商標」という。)。
ア 登録第694363号商標(以下「引用商標1」という。)は、「CRAZY」の欧文字と「クレージー」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなり、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和39年3月12日に登録出願、同41年1月8日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成18年4月19日に指定商品を第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものである。
イ 登録第2561049号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月17日に登録出願、同5年7月30日に設定登録され、その後、同15年8月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年9月8日に指定商品を第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものである。
ウ 登録第2561050号商標(以下「引用商標3」という。)は、「CRAZY SHIRTS」の欧文字を横書きしてなり、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年5月17日に登録出願、同5年7月30日に設定登録され、その後、同15年8月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年9月8日に、指定商品を第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものである。
エ 登録第4050102号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年2月26日に登録出願、同9年8月29日に設定登録され、その後、同19年7月31日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(2)本件商標と引用各商標の類似性について
本件商標は、ほぼ二つの欧文文字部に相当する間隔を隔てて横書きされた「CRAZY」の欧文文字部と「BOY」の欧文文字部とにより成るものであり、そのような商標構成と簡易迅速を尊ぶ昨今の商取引の実情とに鑑みるとき、本件商標は、単に「CRAZY」と略して認識され且つ単に「クレージー」と略称されるものとみるのが相当である。
他方、引用商標1は、「CRAZY」の欧文文字部と「クレージー」の片仮名文字部又とを上下二段に配して成り、これより「クレージー」の称呼が生ずる。
更に、引用商標2ないし4は、「CRAZY SHIRTS」の欧文文字、又は「crazy」の欧文文字と「shirts」の欧文文字とを上下二段に配してなるものであり、これら商標中の「SHIRTS」又は「shirts」の文字部分が「シャツ」を意味するものであることから、これら商標も単に「CRAZY」又は「crazy」と略して認識され且つ単に「クレージー」と略称される。
してみれば、本件商標は、引用各商標と称呼、観念を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品中の「被服」と引用各商標の指定商品とは同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
「Crazy Shirts」なる商標(甲第7号証及び甲第8号証)、又は上下二段に配され且つ水平方向で互いに若干ずらされた「crazy」の欧文文字と「shirts」の欧文文字とを波形状の線で連結してなる商標(甲第6号証及び甲第9号証)は、1966年3月以来現在に至るまで、申立人によって「シャツ」に広く用いられ、周知著名となっている。そして、その構成中の「Shirts」又は「shirts」の文字部分は「シャツ」を意味するものであるから、該商標は単に「CRAZY」又は「crazy」と略して認識され且つ「クレージー」と略称されることは明らかである(甲第6号証ないし甲第9号証)。
以上の事実から、申立人の該商標と称呼及び観念を共通にする本件商標がその指定商品に使用された場合には、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、その構成中に「男児」を意味する「BOY」の文字を有すること明らかであるから、これを「男児用の商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により取消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり「CRAZY BOY」の文字よりなるところ、構成各文字は、「CRAZY」と「BOY」の間に1文字分の空間があるとしても、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生ずると認められる「クレージーボーイ」の称呼も、よどみなく一気に称呼し得るものである。
その上、構成中の「CRAZY」の文字が「常軌を逸しているさま、熱狂的なさま」を、「BOY」が「少年」を意味する語として一般によく知られていることから、構成文字全体で「常軌を逸した少年」程の意味合いを容易に看取させるとみるのが相当である。
そして、他に本件商標の構成中の「CRAZY」の文字部分のみを分離して称呼、観念しなければならない特段の理由も見出せない。
そうすると、本件商標は、構成文字全体に相応して「常軌を逸した少年」程の意味合いを看取させる一体不可分の商標であり、「クレージーボーイ」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。
一方、引用商標1は、「CRAZY」の欧文字と「クレージー」の欧文字とを上下二段に配してなるものであるから、各段の構成文字に相応して「クレージー」の称呼が生ずるものであり、また、引用商標2ないし4は、「CRAZY SHIRTS」の欧文字、又は「crazy」の欧文字と「shirts」の欧文字とを上下二段に配してなるものであるところ、構成中の「SHIRTS」又は「shirts」の文字部分が「シャツ」を意味することから、単に「CRAZY」又は「crazy」と略して認識され単に「クレージー」と略称される場合も決して少なくないとみるのが相当である。
そうすると引用各商標は、構成文字全体から生ずる「クレージーシャツ」の称呼のほか、構成中の「CRAZY」及び「crazy」の構成文字に相応して「クレージー」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標より「クレージー」の称呼をも生ずるとし、その上で本件商標と引用各商標とが称呼及び観念において類似するとして本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)使用各標章
申立人が自己の業務に係る商品を表示するためのものとして一般に広く知られていると主張して引用するのは、「Crazy Shirts」(以下「使用標章1」という。)、及び別掲(3)のとおり上下二段に配置され且つ水平方向で互いに若干ずらされた「crazy」の欧文字と「shirts」の欧文字とを波形状の線で連結して紺色、オレンジ色及び黄色の3色で表しなるもの(以下「使用標章2」という。)(以下これらの商標をまとめていうときは、「使用各標章」という。)である。
(2)本件商標と使用各標章との類似性について
使用標章1は、「Crazy Shirts」の文字よりなるものであり、また、使用標章2は、上下二段に配置され且つ水平方向で互いに若干ずらされた「crazy」の欧文字と「shirts」の欧文字とを波形状の線で連結した構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「クレージー」又は「クレージーシャツ」の称呼を生じ、「常軌を逸した」又は「常軌を逸したシャツ」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
一方、本件商標は、前記1で認定・判断したとおり、構成文字全体に相応して「クレージーボーイ」の称呼のみを生じ、「クレージー」のみの称呼は生じないから、使用各標章とは非類似の商標といわなければならない。
(3)使用各標章の著名性について
申立人から提出された甲第6号証ないし甲第9号証によれば、本件商標の登録出願日以前から、アメリカ合衆国のハワイ州において、申立人は、使用各標章を使用してTシャツを販売していたことが認められる。
しかしながら、本件商標の登録出願日以前における使用各標章の使用期間、販売量、宣伝広告回数等、使用各標章の著名性の裏付けとなり得る事実を具体的に示した証拠は見当たらない。
してみれば、申立人の提出したいずれの証拠によっても、使用各標章が、本件商標の登録出願時(2006年6月29日)において、既に、申立人の業務に係る商品を表示するためのものとして、我が国の需要者の間に広く知られるに至っていたと認めることはできない。
(4)まとめ
以上(1)及び(2)のとおり、本件商標は、使用各標章と非類似のものであり、また、使用各標章は、我が国の需要者の間に広く知られるに至っていたと認められないものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が、使用各標章を連想又は想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記(1)で認定・判断したとおり、構成文字全体で一体不可分の造語よりなるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中のいずれの商品に使用しても、その商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しないものである。
4 まとめ
以上(1)ないし(3)のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第16号に違反してなされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
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