Trademark Appeal Case
称呼の類否と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900237(T2007−900237/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5026430号商標(以下「本件商標」という。)は、「eSPORTS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年4月5日に登録出願、第9類「耳栓,測定機械器具,電池,電気磁気測定器,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同19年2月16日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第4044205号商標(以下「引用商標1」という。)は、「EA SPORTS」の欧文字を横書きしてなり、平成7年8月8日に登録出願、第9類原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同9年8月15日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4473773号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年7月13日に登録出願、第9類、第16類、第28類及び第41類に属する原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同13年5月11日に設定登録されたものである。
以下、これらを一括して「引用商標」という。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標1及び引用商標2と類似しており、本件商標の指定商品中の申立に係る指定商品と引用商標の指定商品とは、同一・類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、1982年の設立以来、本拠である北米は勿論、日本を始めとするアジア諸国や欧州など世界規模で事業を展開しており、業界のリーディングカンパニーとして、ゲームソフトの一大市場である日本は勿論、世界的に広く知られた大企業である。
甲第4号証は、インターネットのプリントアウトであるが、「2000年代前半EAは世界最大のゲームソフト販売会社になり、2005年3月31日の会計では、純利益は31.29億ドルにもなる。1990年代前半はセガと、後半よりSCE(ソニーコンピュータエンターテインメント)と蜜月の関係を築き、北米コンシューマ市場で圧倒的な市場占有率を占めるようになる。」といった紹介記述もあり、申立人の著名性を物語っている。2005年の純利益を日本円に換算すると、およそ3,700億円もの莫大な金額になる。
そのような大々的且つ世界的な販売実績と使用の結果、申立人の統一ブランドである引用商標は、既に高い信用が化体した業界のトップブランドとして、その使用に係るゲームソフト関連の需要者・取引者等の間において、我が国でも広く知られるに至っていることは、疑いようのないところである。 そして、引用商標と本件商標の数々の共通点にかんがみると、現実の取引の際、周知・著名な引用商標とかれこれ混同されることは、十分に想定されるところであるが、さらに付言すると、問題にしている商品であるゲームソフトの需要者には、社会経験の全くない小中高生の需要者が圧倒的に多く、取引の際必ずしも慎重な考慮がなされているとは言い難い。このような取引の実情をも勘案して両商標を隔離的に観察するとき、児童や学生を主とする一般需要者が、両商標の微妙な相違を直ちに把握して区別することは難しいと判断するのが妥当である。もし仮に区別ができたとしても、EAの子会社や何らかの関連会社により製作・販売されたゲームソフトである、などといった広義の混同を生じるおそれは、十分に想定し得るところである。
したがって、引用商標の著名性やゲームソフトに係る取引事情などにかんがみると、本件商標の使用が、申立人の業務との関係で出所の混同を生ずるおそれがあることは疑いようのないところであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定にも該当するものである。
(4)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1項の規定により、申立てに係る指定商品、第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」について、その登録を取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり「eSPORTS」の欧文字を標準文字でまとまりよく表してなるものであるから、その構成文字全体に相応し「イースポーツ」の称呼を生じ、格別の観念の生じない造語よりなるものと認められる。
これに対し、引用商標1は、前記のとおり「EA SPORTS」の文字を同書、同大にまとまりよく表してなるから、その構成文字全体に相応し「イーエースポーツ」の称呼を生じ、格別の観念の生じない造語よりなるものというべきであり、また、引用商標2は、別掲のとおりの構成よりなるところ、上段の「E」と「A」と思しきアルファベット文字をモノグラム化した部分からは、特定の称呼又は格別の観念を生じるものとはいえないから、下段の「SPORTS」の文字部分より、「スポーツ」の称呼及び観念を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「イースポーツ」の称呼と引用商標より生ずる「イーエースポーツ」、「スポーツ」の称呼を比較するに、両称呼は、その構成音及び構成音数が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、両商標とも比較すべきところがなく、外観は、前記のとおり明らかに相違するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念の何れより見ても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、甲第4号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出し、引用商標が申立人の業務にかかる商品「ゲーム用ソフトウエア」について、需要者・取引者等の間において、我が国でも周知・著名である旨述べるが、上記書証は、インターネット上の百科事典サイトでの申立人に関する検索結果及び、同じく商品の通販サイト「amazon.co.jp」での、「エレクトロニック.アーツ:ソフトウエア」及び「NHL 07(輸入盤):ソフトウエア」をキーワードにした検索結果及び申立人の公式サイト(英文)であり、他に、引用商標を付した商品について、我が国における販売量、販売時期、販売場所等を客観的及び具体的に示す資料の提出がなされていないものである。
そうとすると、かかる証拠によっては、引用商標が、「ゲーム用ソフトウエア」について、申立人により使用されている事実は確認できるものの、本件商標の出願時及び登録時に、我が国の取引者、需要者に広く知られていたものと認めるに足らない。
そして、前記(1)で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない別異の商標である。
以上のとおり、本件商標は、これを申立てに係る指定商品、第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」について使用した場合であっても、申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
(3)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に違反して登録されたものではないから、その指定商品中第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」について、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。
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