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Trademark Appeal Case

要部抽出と外観・称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2006−68008(T2006−68008/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第470951号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第470951号商標(以下「本件商標」という。)は、2005年(平成17年)4月20日を事後指定の日とし、「V.GANDIA」の文字を横書きしてなり、第33類「Wines,spirits and liqueurs.」を指定商品として、2006年(平成18年)2月24日に設定登録がされたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標

(ア)登録第512405号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、昭和32年2月15日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同33年1月18日に設定登録、同53年7月3日、同63年6月22日及び平成10年2月3日の三回にわたる商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(イ)同じく登録第1773763号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、昭和57年10月15日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年5月30日に設定登録、平成7年10月30日及び同17年3月22日の二回にわたる商標権存続期間の更新登録、その後、同年11月30日に商品及び役務の区分並びに指定商品を第33類「イタリア産の発泡性ぶどう酒」とする書換の登録がされたものである。

(ウ)同じく登録第3106492号商標(以下「引用商標3」という。)は、「CASTELLO GANCIA」の文字を横書きしてなり、平成5年6月1日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年12月26日に設定登録、同17年11月29日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(エ)同じく登録第3340321号商標(以下「引用商標4」という。)は、「EXTRAVAGANCIA」の文字を横書きしてなり、平成7年3月20日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年8月15日に設定登録、同19年7月24日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(オ)同じく登録第4250313号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、平成9年11月11日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年3月12日に設定登録がされたものである。

以下、これらをまとめて、単に「引用商標」、あるいは「各引用商標」という場合がある。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、以下のとおり、引用商標1と外観及び称呼において類似する商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(ア)外観上の類似性

本件商標は、「V.GANDIA」の文字よりなるところ、その構成中、欧文字「V」と「GANDIA」との間にはピリオド(欧文の終りに打つ点)があることから、「V」と「GANDIA」に分離して認識されるものであり、しかも、ローマ文字の1字は、商品の型番等、記号・符号として用いられることが多いので、本件商標に接する者は、その構成中より「V」の文字部分を省略し、「GANDIA」の文字部分をもって、本件商標を認識する。

したがって、本件商標の構成中、自他商品識別力を有する部分は、「GANDIA」にある。

これに対し、引用商標1は、長方形の枠中に「Gancia」の欧文字を書した構成よりなる。

そこで、本件商標の構成中の「GANDIA」の文字部分と引用商標1とを比較すると、両者の差異は、「D」と「c」のわずか一文字のみであって、他の構成文字はすべて同じであり、しかも、その差異は、一見してわかりにくい中間の4文字目が異なるのみである。

したがって、本件商標と引用商標1とは、外観上極めて類似する。

(イ)称呼上の類似性

本件商標な、上記のとおり、「GANDIA」の文字部分を主要部とするところ、該文字部分に相応して、「ガンディア」、「ガンヂア」又は「ガンジア」の称呼を生ずる。

他方、引用商標1の構成中の「Gancia」については、「ガンチア」の称呼を生じ、他の称呼は生じない。

そこで、本件商標から生ずる「ガンディア」、「ガンヂア」及び「ガンジア」の称呼と引用商標1から生ずる「ガンチア」の称呼とを比較すると、両者は、「ディ」、「ヂ(ジ)」と「チ」との音のみが相違するにすぎない。

そして、「ディ」と「チ」の音及び「ヂ(ジ)」と「チ」の音は、それぞれ称呼上極めて近似する。

したがって、本件商標から生ずる「ガンディア」、「ガンヂア」及び「ガンジア」の称呼と引用商標1から生ずる「ガンチア」の称呼とは相紛らわしいので、本件商標と引用商標1とは、称呼上類似する商標である。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標1ないし5及びその主要部を構成する商標「Gancia」は、次のとおり、酒類について、その取引者、需要者に広く知られており、これと類似する本件商標「V.GANDIA」がその指定商品に使用された場合は、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(ア)申立人である「ガンチア社」は、1850年に、創業者「カルロ・ガンチア(Carlo Gancia)」により、北イタリアのピエモンテ州カネリに設立された150年余の伝統を持つイタリアを代表する名門ワイナリーである。同氏は、1865年に、アスティ地方のモスカート種(マスカット種)から、「モスカート・シャンパーニュ」と呼ばれるイタリア初のスパークリングワインを製造し販売を開始した。やがて、このスパークリングワインは、「アスティ・スプマンテ」と呼ばれるようになり、そのふくよかなマスカットの香りと甘く爽やかな口当たりで多くの人々から人気を集め、「ガンチア(Gancia)」は、広くその名が知られるようになった。

ガンチア(Gancia)社が生産する上記アスティは、1993年にイタリアワイン法で定められたDOCG(統制保証付原産地呼称)へと昇格し、イタリア全土で28ブランドしか指定を受けていない最上級ランクへの仲間入りを果たした。また、同社は、イタリアの代表的なスパークリングワイン「アスティ・スプマンテ」の創始会社として広く認識されているだけでなく、4大ヴェルモット生産者の一としても知られている。現在の5代目当主「ヴァラリーノ・ガンチア」は、創業以来続く家族経営の伝統を貫きつつも、「アスティ・スプマンテ」をはじめとするスパークリングワイン及び品質の高いスティルワインやヴェルモットを製造し、世界中に販売しており、世界的なトップブランドとしての地位をさらに強固なものとしている。同社による2003年のスパークリングワインの世界総販売実績は220万箱であり、世界的にもトップクラスの評価を得る程のブランドとなっている(甲第9号証ないし甲第12号証、甲第22号証)。

(イ)申立人は、「Gancia」の欧文字をその構成要素に含む商標を日本でも多数登録している(甲第2号証ないし甲第4号証、甲第30号証及び甲第31号証)。

(ウ)申立人は、我が国においては、昭和39年(1964年)2月20日にサントリー株式会社と販売契約を締結し(甲第5号証)、平成16年(2004年)4月22日には、アサヒビール株式会社と販売契約を締結し(甲第7号証)、主として「ワイン」に商標「GANCIA」及び「GANCIA」の文字を含む商標を付して、日本で販売してきている(甲第5号証ないし甲第12号証)。実際に日本で販売されているスパークリングワインに付された下げ札には、「イタリアNo.1 スパークリングワイン!」「アスティ・スプマンテを生んだイタリアの名門ワイナリー ガンチア」と表示されており、また、「ガンチア社は2005年10月16日までの52週間におけるイタリア国内でのスパークリングワイン販売量でNo.1です。」との説明もされている(甲第28号証)。

したがって、「Gancia(ガンチア)」が、イタリアNo.1のスパークリングワインであることは、日本の需要者・取引者には周知の事実である。

(エ)「Gancia」は、「英和商品名辞典」(甲第23号証)や「新版世界の酒事典」に掲載され(甲第24号証)、また、「世界の名酒事典」(甲第15号証ないし甲第21号証)では、昭和53年版から2006年版までに継続して掲載されている。さらに、インターネットの検索エンジン「グーグル(Google)」で「ガンチア」を検索すると、抽出された約1万1500件のほとんどが申立人に関するものとなっている(甲第26号証)。

(オ)以上のように、申立人の商標「GANCIA(ガンチア)」は、日本でも、昭和39年(1964年)以来長年にわたりワインに使用され、イタリアNo.1のスパークリングワインであることが、日本の需要者・取引者に広く知られている。

したがって、引用商標1ないし5は、本件商標の事後指定日である平成17年(2005年)7月21日はもとより、そのはるか以前より「酒類」の商標として周知・著名であったことは明白である。

(カ)他方、本件商標の指定商品は、「Wines,spirits and liqueurs.」であり、申立人の商標「GANCIA」が使用されてきたワインと同一又は類似の流通・販売系統により、需要者・取引者に対して提供されるものであって、同ー又は類似の商品である。

このような状況下において、申立人の著名商標「GANCIA」に類似する本件商標が、その指定商品「Wines,spirits and liqueurs.」に使用された場合、当該商品が、あたかも申立人又はそれと何らかの関連を有する企業によって製造・販売された商品であるかのように、その出所について誤認・混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)むすび

以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号の規定に該当するから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「V.GANDIA」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成各文字は、同書、同大に外観上まとまりよく一体に表されており、その全体構成から生ずる「ブイガンディア」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。

また、本件商標は、冒頭の「V」に「.」が付されているからといって、該「V.」を商品の型式、品番等を表示する記号、符号として認識されるものとは直ちにいい難く、「GANDIA」の文字部分のみをもって、取引に資されるとみるべき特別な理由も見いだせないので、その構成文字の全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握されるというのが相当である。

してみると、本件商標は、その構成文字の全体に相応して、「ブイガンディア」の称呼のみを生ずるものというべきであって、特定の観念を想起させない造語よりなるものといわなければならない。

これに対し、引用商標1は、別掲(1)に示すとおり、黒塗りの横長長方形中に「Gancia」の欧文字を横書きしてなるところ、これよりは、該文字部分に相応して、「ガンチア」の称呼のみを生ずるものである。

そして、引用商標1は、直ちに特定の親しまれた意味合いを看取できないことから、特定の観念を想起させない一種の造語とみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標より生ずる「ブイガンディア」の称呼と引用商標1より生ずる「ガンチア」の称呼とは、その構成音数において明らかな差異を有し、音感、音調を異にするものであるから、称呼上充分に区別し得るものである。

また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては、比較できないものである。

したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

(ア)申立人提出の甲各号証によれば、「GANCIA」又は「Gancia」及び「ガンチア」の文字は、我が国において、申立人の業務に係る商品「ベルモット、スパークリングワイン」を表示する商標として、相当程度知られているということができる。

しかしながら、本件商標と引用商標1とは、上記(1)のとおり、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない別異の商標であって、たとえ、「GANCIA」等の文字が相当程度知られていたとしても、当該差異を有する両商標に接する取引者、需要者は、それぞれより全く異なる印象等を感得するものというべきである。

(イ)また、申立人は、「GANCIA」の文字が申立人の業務に係る商品を表示する商標として我が国において広く知られているとの前提に立って、該文字を含む引用商標2ないし5を挙げ、本件商標が、これらの引用商標との関係においても、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張している。

しかしながら、申立人提出の各証拠を見るも、引用商標3ないし5については、その使用事実を見いだせないから、これらをもって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとはいえない。

さらに、引用商標2については、その使用事実は認めるにしても、これから直ちに「GANCIA」の文字部分が分離して看取され、該文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認め難いから、結局、本件商標と引用商標2とは、その全体構成の対比における場合はもとより、仮に、引用商標2から「GANCIA」の文字部分が分離独立して認識される場合があったとしても、これと本件商標とは、その外観、称呼及び観念上互いに紛れるおそれのない別異の商標であって、取引者、需要者が、それらより全く異なる印象等を感得するものというべきことは、上記(ア)に述べたとおりである。

(ウ)してみると、たとえ、「Gancia」、「GANCIA」及び「ガンチア」の文字が、我が国において、申立人の業務に係る商品「ベルモット、スパークリングワイン」を表示する商標として使用されてきた結果、本件商標の事後指定日[2005(平成17)年7月21日]の時点において、我が国の取引者・需要者の間に相当程度知られるに至っていたとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用する場合、これに接する取引者・需要者が前記各引用商標を連想又は想起するとはいえないものであって、該商品が申立人又はそれと経済的若しくは組織的に何らかの関連を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について、混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

(3)むすび

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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