結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890043(T2007−890043/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4995076号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成18年2月13日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同年10月13日に設定登録されたものである。
請求人は、請求の趣旨を「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」とし、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第57号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)登録第2117987号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和60年7月16日に登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成元年2月21日に設定登録、その後、同11年1月26日商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4168259号(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成9年2月10日に登録出願、第3類「シャンプー,リンス,トリートメント」を指定商品として、同10年7月17日に設定登録されたものである。
(3)登録第4530759号商標(以下「引用商標3」という。)は、「エッセンシャル」の片仮名文字を横書きしてなり、平成9年3月5日に登録出願、第3類「シャンプー,リンス,トリートメント」を指定商品として、同13年12月21日に設定登録されたものである。
(4)登録第4668079号商標(以下「引用商標4」という。)は、「エッセンシャル」の片仮名文字と「Essential」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成13年12月5日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」、第11類「化学物質を充てんした保温保冷具」及び第21類化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、同15年5月2日に設定登録されたものである。
以下、これらを一括して「引用商標」という。
(1)「エッセンシャル」が指定商品について広く知られていることについて
引用各商標は、指定商品中せっけん類、化粧品に使用されて広く需要者や取引者に知られている。
「エッセンシャル」「Essential」の文字は、シャンプー、リンス、トリートメント等に長期にわたってずっと使用し続けている。ちなみに、1976年からは、片仮名「エッセンシャル」を「カオーフェザー」とともに、1980年からは、片仮名「エッセンシャル」を「花王」とともに、1984年からは、片仮名「エッセンシャル」のみを、1989年からは、英文字「Essential」を多少の変更はあるがデザイン化して長期間にわたって使用してきた。
また、この「エッセンシャル」や「Essential」の文字から生ずる称呼は、コマーシャルメッセージとしてテレビやラジオで長年にわたって流されてきた。
このコマーシャルメッセージに投入した広告料は、例えば、甲第19号証ないし甲第22号証に示す「広告取扱証明書」に示すとおり、株式会社電通において1997年ないし2004年度までの間に約84億1千万円、株式会社博報堂において1997年10月から2005年7月までの間に32億1千万円、株式会社I&S BBDOにおいて1996年4月ないし2005年7月までの間に26億2千万円、株式会社大広において1999年4月ないし2005年3月までの間に3億3千万円となっている。
その後も途切れることなく、テレビや雑誌においてコマーシャルメッセージは流されており、以降の広告料は、甲第23号証ないし甲第27号証に示すとおり、株式会社アサツーディ・ケイにおいて2005年4月ないし2007年2月までの間に7千万円、株式会社電通において2005年4月ないし2007年2月までの間に24億8千万円、株式会社博報堂において2005年4月ないし2007年2月までの間に9億1千万円、株式会社I&S BBDOにおいて2005年4月ないし2007年2月までの間に8億2千万円、株式会社大広において2005年4月ないし2007年2月までの間に6千万円となっている。
ちなみに、テレビにおける宣伝投入の具体的なCF例を甲第15号証ないし甲第41号証に示す。これらのCFでは、商品とともに「Essential」の文字が放映され、「エッセンシャル」の音声が流されている。
上述の広告例から明らかなように、テレビにおける広告料とその宣伝投入量は、実に驚くべきものがあり、そのため特定の文字によらなくてもテレビによる音声から知得した知識が、当該商品との関係で「エッセンシャル」と表示さえすれば、需要者はその当該商品はある出所からの商品を指称するものと理解するようになっているのである。
このことは、甲第44号証として提出する株式会社マーケティング・リサーチ・サービスが行った株式会社消費生活研究所宛の1996年1月19日付のインバス(シャンプー・リンス・トリートメント)に関するベンチマーク調査結果数表に、「エッセンシャル」の助成知名率が82.6%となっていることからもうなづける。
また、甲第45号証に示すように2004年11月の調査においては、その助成知名率は、さらに上昇し、86.2%となっている。さらに、甲第46号証に示すように、2006年11月の調査においても助成知名率は、エッセンシャルダメージケアにおいて88%となっている。同時に、甲第47号証として提出する「06年度バナー出稿の結果報告」の出稿バナ一別の結果一覧によれば、短期間でのクリック数の多さは、驚くものがあり、需要者の関心の深さをも知ることができるのである。
これらの結果、甲第48号証として提出する「日本有名商標集」にも掲載され、商標界においても有名商標としてお墨付きを得ているのである。
このような状況をかんがみると、「エッセンシャル」「Essential」は、古くから需要者や取引者に広く知られていることまことにもって明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
両商標は、上述の構成からなるので、本件商標からは「エッセンシャルエナジー」の外「エッセンシャル」の称呼が生じ、引用商標からは「エッセンシャル」の称呼をそれぞれ生じる。
結合商標は、二つ以上の語からなるので、その結合の強弱によっては、一方のみからも称呼を生じるからである(甲第49号証)。
してみれば、本件商標と引用商標とは、共通の「エッセンシャル」の称呼において、類似する商標である。
そして、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似である。
したがって、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、引用商標に係る指定商品と同ー又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述したように、引用商標は、シャンプー、リンス、トリートメント等の商標として古くから使用し、本件商標の出願前から現在に至るも請求人の商品を示すものとして需要者や取引者に広く認識されている。
需要者や取引者の間に広く知られた商標は、強い指標力を有するため、本件商標のように商標の一部構成であったとしてもそれ自身の持つ強い出所表示力で独自の出所表示の機能を果たす。
そのため、仮に本件商標が、引用商標に類似するものでないとしても、本件商標は、需要者や取引者の間に広く知られた「ESSENTIAL」の文字を有し、「エッセンシャル」の称呼を含むが故に、需要者や取引者は、すでに馴染み親しんでいる引用商標と同一の文字及びその称呼の部分に注意が引かれ、その指定商品との関係において、その出所を請求人又は請求人と何らかの関係のあるものと誤認し、混同をする。
してみると、本件商標は、その指定商品に使用すると他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するか又は他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、同第15号に該当し、その登録は、無効とされるべきものである。
よって、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
請求人は、被請求人の答弁に対してつぎの弁駁をする。
(1)商標法第4条第1項第11号について
被請求人の答弁要旨は、「ESSENTIAL」は、形容詞であることから全体の内の形容詞「ESSENTIAL」部分を分離して商標として把握することは、無理がある。
その理由として植物性香料、天然精油を「エッセンシャルオイル」というように記して「エッセンシャル」を含む語があるとか、「ESSENTIAL」は、「スーパーライオン」、「銀座小判」、「レデイグリーン」の「スーパー」、「銀座」、「グリーン」 に相当する語であると述べているが、「エッセンシャルオイル」は、全体で植物性香料、天然精油を指称するものであって、既成語としての観念を有するものであり、それぞれの単語を切り離して観念することのできないものである。また、本件商標の「ESSENTIAL」の部分は、上記した「スーパーライオン」、「銀座小判」、「レディグリーン」の「スーパー」、「銀座」、「グリーン」に相当するものではない。
さらに、「エッセンシャル」も「ESSENTIAL」も自他商品識別標識としての機能を有するものとして登録されていることにかんがみれば、「ESSENTIAL」や「エッセンシャル」が自他商品識別標識としての機能を有さないがごとき主張は、いささか牽強付会といわざるを得ない。
被請求人は、「請求人は、既成語だから強弱で一方の称呼が生じると述べている。」とするが、請求人は、全体として既成語ではなく、「ESSENTIAL ENERGY」は、二つの既成語が結合した結合商標である。結合商標は、二つ以上の語からなるので、その結合商標の強弱によっては、一方の語のみからも称呼を生じる、と述べたものであり、まさに、商標審査基準の意とするところを述べたのである。
先に提出した甲第2号証ないし甲第4号証及び今回提出した甲第57号証に見られるように、「エッセンシャル」も「ESSENTIAL」もいずれも自他商品識別力の機能を有するものとして商標登録されているのであるから、これのみをもってしても本件商標は、引用商標に類似する商標なのである。
その上、本件商標は、請求書で述べたとおり、指定商品との関係で需要者や取引者の間で広く知られた商標なのである。
また、引用商標が指定商品に使用されて、需要者や取引者の間で広く知られていることは、請求書で詳述したとおりである。
よって、本件商標は引用商標に類似する商標であることは明らかであり、また、本件商標に係る指定商品もまた引用商標に係る指定商品と同一又は類似であることは、明らかである。
(2)引用商標が、指定商品について請求人の商標として世人に広く知られていることについての答弁に対して
被請求人の答弁の要旨は、請求人が「エッセンシャル」、「Essential」の文字をいろいろな表現で組み合わせて使用をしてきたこと、変化させ使用してきたこと、から請求人自身が「エッセンシャル」、「Essential」を識別力の薄いことを認識している、そして、その使用に当っては「エッセンシャルダメージケア」、「花王のエッセンシャルシャンプー」としているので、「エッセンシャル」や「Essential」が商標として認識されているとは、いい難い、というものである。
たしかに、被請求人の指摘のとおり、「エッセンシャル」、「Essential」については、請求人においてこれまで幾通りかの態様による使用を試みてきた。
しかしながら、出所である企業をもアピールするために、いわゆるハウスマークを併記したり、時代の要請に応えるべく、書体を変化させたり、ブランドが使用されている商品が何であるかを表現するために商品の普通名称を併記することは、商取引における余りにも常識的なことである。例えば、標準文字による登録商標をそのまま使用することの方がどちらかというと普通ではないのである。請求人は、この常識に則って、これまで同一性を失わない範囲で商標の使用をし続けてきているのである。
被請求人の指摘する二つの商標について見てみると、「エッセンシャルダメージケア」にあっては「エッセンシャル」は、商標名、「ダメージケア」は、品質、「花王のエッセンシャルシャンプー」にあっては、「花王」は、企業名の要部、「エッセンシャル」は、商標名、「シャンプー」は、普通名称であって、「エッセンシャル」は商標であるとすることに何の抵抗もない。
このことは、多くのこの種需要者は、知っている。先に提出した甲第44号証ないし甲第46号証に示すように「インバス」に関するベンチマーク調査の結果、「エッセンシャル」の助成知名率がいずれの年においても80%を超えることからうなづけるのである。この調査に対して、被請求人は助成知名率が82.6%であることを示しているにすぎず広く知られていることの具体的主張はない」と述べるが、ベンチマーク調査の結果である助成知名率を数値で表しているのであるから、きわめて具体性がある。言い替えると「インバス」に関する商品「エッセンシャル」について、調査対象者の80%以上の人が知っていると答えているのであるから、広く知られていることに疑う余地は、ないのである。
よって、「エッセンシャル」、「Essential」が指定商品に使用されて需要者の間に広く知られていることに寸疑の余地もない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、「まとめ」の項で結論的に触れてはいるが、具体的な答弁ではない。
そうすると「エッセンシャル」、「Essential」が指定商品に使用されて需要者の間に広く知られていることにかんがみ、本件商標は、請求書記載のとおり、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であること自明である。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
請求人は、本件商標から「ESSENTIAL ENERGY」を分離し、さらに「ESSENTIAL」が把握され、「エッセンシャル」の称呼を生ずるとしている。
そこで、「ESSENTIAL」と「ENERGY」についてみるに、我が国において英和辞典として利用されているジーニアス英和辞典によれば、「ESSENTIAL」は、基本語の約4800語に属する語として位置づけられ、「不可欠の」「本質的な」等の意味の英語であるのに対し、「ENERGY」は、「精力」「活力」を意味する高校生基本語である。
そして、岩波書店発行広辞苑第五版297頁には、「エッセンシャル(ESSENTIAL)」が「本質的。必須の。」と記されている。
また、「最近化粧品科学 394頁」、「化粧品事典 175頁、613頁」によれば、植物性香料、天然精油を「エッセンシャルオイル」というと記しているように「エッセンシャル」を含む語が存在する。
以上のとおり、「ESSENTIAL」と「ENERGY」は既成語であり、基礎英語として意味が理解されていて、外来語として我が国で使われており、化粧品分野においては、他の語と結合した語が存在する。
そして、「ESSENTIAL」と「ENERGY」が前記意味の形容詞と名詞であることからすれば、「ESSENTIAL ENERGY」全体が、「不可欠なエネルギー」との意味合いを表現していると理解することが自然である。
そうとすれば、本件商標の構成文字中「ESSENTIAL」部分を分離し、商標として把握されるとすることは、無理があるというべきである。
したがって、「ESSENTIAL ENERGY」は、文字構成上から全体が一体のものとして把握されるものであって、かつ、全体において固有の観念を有する商標であるから、本件商標と引用商標との類似関係は、発生しないから、本件商標、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるとの請求人の主張は、成り立たない。
請求人は、請求書5頁で、「エッセンシャル」、「Essential」の文字は、シャンプー、リンス、トリートメント等に長期にわたって継続して使用している。1976年からは片仮名「エッセンシャル」を「カオーフェザー」とともに、1980年からは片仮名「エッセンシャル」を「花王」とともに、1984年からは片仮名「エッセンシャル」のみを、1989年からは、英文字「Essential」を多少の変更はあるがデザイン化して長期間にわたって使用してきた。したがって、引用商標は、その指定商品について、請求人の商標として広く世人に知られていると主張している。
しかし、請求人は、「エッセンシャル」、「Essential」の文字を、いろいろな表現で組み合わせて使用をし、変化させ使用してきたのであって、かかる使用によって「エッセンシャル」、「Essential」が商標として認識されていることを証明したものとはいえない。
また、請求人は、「エッセンシャル」「Essential」が、識別力が薄いことを認識していたから、識別力のある語と「エッセンシャル」、「Essential」とを組み合わせて使用し、また、組み合わせを変化させて使用してきたとみるのが自然である。
したがって、「エッセンシャル」「Essential」は、商標として広く知らているものということはできない。
さらに、「『エッセンシャル』や『Essential』の文字から生ずる称呼は、コマーシャルメッセージとしてテレビやラジオで長年にわたって流されてきた。」(請求書6頁)とし、投入した広告料を示し、その具体例として、第15号証から第41号証で示している。
そこで、第15号証から第41号証を見ると、各書証の商品名欄に示された商品名は、「エッセンシャルダメージケア」ないし「エッセンシャルダメージケアS」であり、そして、各書証の音声部分と記す欄に記された内容が、「エッセンシャルダメージケア」と記されている。書証の商品名、音声欄に同じ「エッセンシャルダメージケア」と記されていることからすれば、「エッセンシャルダメージケア」と称呼されたのであるから、これをもって「エッセンシャル」や「Essential」が、商標として認識されたとはいい難い。
さらに、雑誌による広告宣伝を行っているとし、甲第42号証、甲第43号証を示している。
しかしながら、甲第42号証の2頁目の上部分に示されているものも「エッセンシャルダメージケア」であって、「エッセンシャル」や「Essential」ではない。
また、甲第43号証も「花王のエッセンシャルシャンプー」と記されているから、商標として認識されるのは「花王」であって「エッセンシャル」や「Essential」ではない。
さらに、甲第44号証から甲第46号証を示し、助成知名率について請求書7頁以降で主張している。助成知名率がいかなるものかを請求人は説明をしていないが、助成知名率が82.6%であることを示しているにすぎず広く知られていることの具体的主張はない。
また、甲第47号証を示し、請求書8頁で「クリック数の多さは驚く」と主張しているが、書証のどの部分がそれを示すのか明らかでない。
したがって、上記証拠をもって「エッセンシャル」や「Essential」が広く知られていることを証明したことにはならない。
また、「これらの結果、日本有名商標集に掲載された」と主張するが、日本有名商標集に「これらの結果掲載された」ことを示す記述はない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものではないから、請求人の審判請求は、成り立たない。
よって、請求の趣旨のとおりの審決を求めるものである。
本件商標は、上記第1のとおりオールドスタイルローマン体で表した「ESSENTIAL ENERGY」の欧文字と、ややレタリングしてなる「SHISEIDO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるものであるところ、下段の「SHISEIDO」の文字は、商標権者の代表的出所標識であると認められる。
しかして、かかる構成において、構成中上段の「ESSENTIAL ENERGY」の文字部分も、商品毎の個別の商標と理解され、該字部分をもって取引に資される場合も少なくないとみるのが相当である。
そこで、該「ESSENTIAL ENERGY」の文字部分についてみるに、その構成各語は、バランスよく、同じ書体、同じ大きさで、組み合わされてなるものであるところ、「ESSENTIAL」及び「ENERGY」も、それぞれ「不可欠な、本質的な、不可欠の要素」、「活力、エネルギー」等を表す英語であり、本件商標の指定商品を取り扱う化粧品業界においては、「ESSENTIAL」が他の語と結合され、商品名等に使用されていることよりすれば、「ESSENTIAL ENERGY」の文字部分は、その構成全体として「不可欠なエネルギー」程の意味合いを有する一連一体の造語というべきであるから、該文字部分に相応し「エッセンシャルエナジー」の称呼のみを生ずるものである。
してみれば、本件商標は、前記のとおり構成中の「ESSENTIAL ENERGY」の文字部分に相応し「エッセンシャルエナジー」称呼を生ずる他、その構成文字全体に相応し「エッセンシャルエナジーシセイドウ」の称呼を生じ、同じく「SHISEIDO」の部分に相応し「シセイドウ」を生ずるものである。
一方、引用各商標は、上記第2、2(1)ないし(4)のとおりの構成よりなるものであり、その構成文字より「エッセンシャル」の称呼が生じるものである。
そうとすると、本件商標より「エッセンシャル」の称呼をも生ずるとした上で、本件商標と引用商標とが称呼において類似するとの請求人の主張は、理由がないものといわざるを得ない。
さらに、本件商標と引用商標とは、外観が明らかに相違し、本件商標が「ESSENTIAL ENERGY」部分より、「不可欠なエネルギー」程の意味合いを生ずるのに対し、引用各商標からは、単に「不可欠なもの、本質的なもの」の観念を生ずるから、観念においても相違するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念の何れより見ても、相紛れるおそれのない非類似の商標であるといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたといういうことはできないものである。
請求人の提出に係る甲各号証及び主張によれば、引用商標は、請求人により長年にわたって、その業務に係る商品「シャンプー、リンス、トリートメント」について使用され、また、盛大に広告、宣伝されたことにより、当該商品について広く知られた商標であることが認められる。
しかしながら、本件商標は、前記第4の1で判断したとおり、引用商標と相紛れるおそれがない非類似の商標であるばかりでなく、本件商標の構成中には、商標権者の代表的出所標識である「SHISEIDO」の文字を有することと相俟って、商標権者の業務に係る商品であることを認識できるものであるから、これをその指定商品について使用した場合に、請求人又は請求人と何らかの経済的、組織的に関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。
してみれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。