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Trademark Appeal Case

薬剤の称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89156(T2006−89156/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4954252号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジェルケア Gelcare」の文字を標準文字で表してなり、平成17年1月7日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同18年5月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が引用する国際登録第800449号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GELCLAIR」の欧文字を横書きしてなり、第5類「Pharmaceutical preparations and substances for use in the oncological sector; pharmaceutical preparations and substances for the treatment of oncological conditions or side effects thereof, pharmaceutical preparations and substances in liquid solution form for use in the oncological sector; liquid solutions for use in the oncological sector.」を指定商品として、2003年(平成15年)4月3日に国際登録されたものである。

同じく、国際登録第845373号商標(以下「引用商標2」という。)は、「GELCLAIR」の欧文字を横書きしてなり、第5類「Pharmaceutical preparations and substances.」を指定商品として、2004年(平成16年)12月7日に国際登録されたものである。

以下、まとめて「引用商標」という。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証を提出した。

(1)請求の理由

ア 本件無効審判の根拠条文

本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず登録されたものであり、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

イ 無効理由

(ア)商標の類否

A 商標の特定

甲第1号証に見られるように、本件商標は、片仮名「ジェルケア」欧文字「Gelcare」を一連に書してなる。一方、甲第2号証及び同第3号証に見られるように、引用商標は、欧文字「GELCLAIR」を書してなる。

B 称呼について

片仮名文字の存在とも相俟って、本件商標から生じる称呼は、「ジェルケア」である。

一方、引用商標から生じる称呼は、「ジェルクレア」である。

両称呼を比較すると、両称呼は語頭における「ジェル」と語尾における「ア」とが共通しており、第4音において「クレ」と「ケ」との差異のみを有する。

語頭は、商標の類否を決する上で重要な部位であり、かかる部位において「ジェル」の3音を共通とすることは両商標の称呼の類否に大きな影響を与える。

そして、引用商標の称呼中の「クレ(cl)」の「l」の音は一般的に弱い音であることから、引用商標は全体として「ジェルクエア」のように聴取され、本件商標の称呼「ジェルケア」と比較してその語調、語感は極めて相紛らわしく聞き誤るおそれがある。

また、本件商標の称呼「ジェルケア」及び引用商標の称呼「ジェルクレア」は、共に語頭にアクセントを有することから、相対的に「ケ」及び「クレ」の語は弱く発音されるため、かかる差異は両商標の称呼の類否に大きな影響を与えるものではない。

よって、本件商標の称呼「ジェルケア」は、引用商標の称呼「ジェルクレア」と称呼上類似する。

本件と類似の事例として「ADQUAT(アドクアット)」と「ADECUT(アデカット)」とが類似とされた事例(甲第4号証)、及び「KOR LOK(コーロック)」 と 「QUOLAC(クオーラック)」とが類似とされた事例(甲第5号証)が挙げられる。これらの審決においては、2音違いであっても比較的近似した音の相違である場合は全体として語調、語感を同じくして聞き誤るおそれのある商標が類似とされており、商品「薬剤」等との関係で慎重な類否判断がなされたものである。よって、これらの審決における判断は本件でも妥当する。

さらに、後述するように、本件商標及び引用商標は、いずれも「薬剤」について使用するものであることも、商標の類否に大きな影響を与えるものと思料する。つまり、昨今、医療の現場における相紛らわしい名称の医薬品の取り違えが大きな社会問題となっており、相紛らわしい名称の医薬品の使用は単なる経済活動の問題ではなく人命に関わる問題となっている。

かかる状況下、医薬品の名称の類否判断は取引市場のみならず、多忙を極め多種多量の医薬品を取り扱う医療現場における取り違えの可能性も考慮して判断されるべきである。

そこで、本件商標についてみると、引用商標は来年から日本において使用される予定であり(甲第6号証)、医療現場における混乱が生じることが予想され得る。つまり、医療現場において引用商標の称呼「ジェルクレア」と本件商標の称呼「ジェルケア」とが取り違えられるおそれがあるため、かかる商標の採択及び使用は許されるべきではない。

以上より、本件商標は、引用商標と称呼上類似する。

(イ)商品の類否

本件商標は、第5類「薬剤」等に使用するものである。

一方、引用商標1は、第5類「腫瘍分野で使用される薬剤」等に使用するものであり、引用商標2も、第5類「薬剤及び製薬剤」に使用するものである。

したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商品に使用するものである。

(ウ)まとめ

上記において述べたように、本件商標は、その出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品又はこれらに類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)弁駁

ア 被請求人は、答弁書において、理由(a)ないし(e)を挙げて本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないので無効にされるべきではない旨を主張している。しかし、被請求人の主張は妥当ではなく、本件商標はその登録を無効にされるべきである。

以下、理由(a)ないし(e)のそれぞれにつき検討する。

イ 理由(a)について

被請求人が(a)において問題としているのは、語頭において「ジェル」が共通しているか否かという点であり、この点、被請求人は「語頭の『ジェル』が共通している」と認めるところとなっており、この点については争いがなく問題とならない。

また、被請求人が「語頭が共通していてもその後の称呼が相違することによって、2つの商標の称呼が非類似と判断されている事例」として「バッケス」と「バックス」、及び「マリーケイ」と「マリーレイ」とを挙げているが、本件とは何ら関連性がなく、採用すべきではない。

つまり、被請求人の挙げる事例は、語頭に存する「ジェル」を共通の構成要素とする2つの商標の類否に関するものではない。また、中間音又は語尾に「ケア」と「クレア」の相違を有する2つの商標の類否に関するものでもない。

このような併存事例は、被請求人が挙げるまでもなく、登録第2464367号「ケミコート/CHEMICOAT」と登録第3226138号「ケミアスコート」とが非類似の商標として併存登録されている事例等多数存在する。しかし、これらの併存事例から本件商標と引用商標との類否について何ら判断基準を見いだせるものではない。

よって、被請求人の挙げる事例は、いずれも本件商標と引用商標とが非類似であるとする被請求人の主張の根拠となるものではない。

ウ 理由(b)について

被請求人は、「クレア」は「クレア」と聴取されるのが一般的であり、「クエア」と聴取されるおそれはない旨主張しているが、請求人の主張に十分反論したとは言えない。

つまり、請求人は、引用商標が「ジェルクエア」と聴取されるおそれがあることを主張しているのであり、「クレア」単体が「クエア」と聴取される旨主張しているものではない。

引用商標を全体として観察した場合、語頭における「ジェル」が強く認識及び称呼されるため、語尾における「クレア」は相対的に弱く認識及び称呼される。

また、引用商標の称呼中の「レ(re)」における子音「r」は、中間又は語尾に存在する場合には弱く発音される傾向にある。この例として「ケア(care)」、「ヒア(here)」、「ピュア(pure)」、「スクエア(square)」等が挙げられる。

よって、引用商標を全体としてみた場合、「ジェルクエア」のように聴取されるおそれがないとすることはできない。

エ 理由(c)について

被請求人は、本件商標及び引用商標は共に第2音節の頭に位置する文字(「ケ」と「クレ」)が比較的強く発音されると主張するが妥当ではない。

まず、特許庁商標課編「商標審査基準」(甲第7号証)において「中間音、語尾音は比較的弱く聴覚されることが多い」とされている。

さらに、本件商標及び引用商標の発音において特に中間音にアクセントが存するといった特段の事情もない。

また、被請求人の挙げる「マリーケイ」と「マリーレイ」の事例は、本件に関して何ら基準を示すものではないばかりか、何ら関連性を有さないので採用すべきではない。

よって、本件商標及び引用商標において2つ目の音節の頭にアクセントが存するという被請求人の主張は妥当ではない。

オ 理由(d)について

被請求人は、「ケ」と「ク」の発音の相違が大きいとしているが、妥当ではない。

つまり、「商標審査基準」においては、「相違する音の子音を共通にしているか」が判断基準として挙げられている。この点、「ケ」と「ク」は子音「k」を共通にすることから、「ケ」と「ク」とは近似する音であると考えられる。

また、被請求人は「バッケス」と「バックス」とが非類似とされた事例を挙げているが、かかる事例は、3音と非常に短い構成音である上に語尾の「ス」は通常複数形を表すものとして使用されているものであって比較的軽く見られるものであることから、単純に本件にあてはめることはできない。

次に、「ケロリン」と「クロリン」及び「ケアハウス」と「クアハウス」とが非類似とされた事例は、商標の類否を決する上で重要な位置である語頭における差異を取り扱ったものであり、中間音に差異を有する本件にあてはめること自体失当である。

さらに、被請求人は、「ケ」と「ク」又は「ケ」と「レ」の1音違いの場合に称呼が類似であるとする判断をしている審決を見つけることができなかったことをその主張の根拠としているが、多数の出願人が拒絶理由通知を受けた段階で諦めて審判請求をしなかった場合も考えられることから、そもそも「ケ」と「ク」又は「ケ」と「レ」とを類似と判断した審決が存在しないことと本件商標と引用商標とが非類似であることとの間には、何ら関連性がないというべきである。

また、被請求人は、「ケア」と「クレア」とを比較して2音と3音で音数が相違するので称呼が類似するとは言えないと主張するが、本件商標及び引用商標の称呼はそれぞれ4音(ジェルケア)と5音(ジェルクエア)であり、2音と3音とする被請求人の主張は妥当ではない。

カ 理由(e)について

被請求人は、医薬品の分野では特に慎重に類否判断がなされるべきであることを認めるに足る証拠が存在しない旨述べるが、妥当ではない。

「商標審査基準」(甲第7号証)においては、「商標の類否の判断は、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品又は役務の取引の実状を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない」と定める。

この点、不服2003−22522号審決(甲第8号証)及び無効2001−35406号審決(甲第9号証)において、医薬品に関する商標の類否に関して取引状況の特殊性について以下の要素が考慮されている。

・近時、医療現場において名称の誤認による薬剤の取り違えで患者が重症に陥ったり死亡するに至る事故が相次いでいること。(影響の重大性及び深刻性)

・厚生労働省においてもバーコードの付与や薬品の名称の統一化を検討していること。(行政レベルでの対応の必要性)

・医薬品は病院、薬局等に販売され、最終需要者が医師のみならず一般の人々であること(需要者の多様性)

・出願人の業務が共に医薬品の流通経路において競合する可能性があり、耳からの情報によって取引をする場合が少なくないこと(出所の混同の可能性)

以上に照らすと、医薬品の分野において特に慎重に類否判断がなされるべきであることを認めるに足る証拠が存在しないとする被請求人の主張には根拠がない。

4 被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証を提出した。

(1)請求人は、本件商標の「ジェルケア」という称呼と、引用商標の「ジェルクレア」という称呼が類似すると述べている。その理由として、

(a)語頭の「ジェル」が共通していること、

(b)「ジェルクレア」が「ジェルクエア」と聴取される可能性があり、その場合は「ジエルケア」 に聞き間違えられるおそれがあること、

(c)「ジェルケア」と「ジェルクレア」は共に語頭にアクセントがあり、それと比べると「ケ」と「クレ」は弱く発音されるために、その相違点は称呼の類否に大きな影響を与えないこと、

(d)2音が異なる場合でも類似と判断された2つの審決(甲第4号証と甲第5号証)の判断は、本件においても適用できる妥当なものであること、及び

(e)医薬品の分野では医薬品の取り違えの可能性があるから、類否判断が特に慎重になされるべきであることを挙げている。

(2)上記の(a)について

確かに、本件商標と引用商標は、語頭の「ジェル」が共通している。しかし、語頭が共通しているが、その後の称呼が相違することによって、2つの商標の称呼が非類似と判断されている事例は多数存在する。例えば、昭和59年審判第2986号(乙第1号証)では、「バッケス」と「バックス」は称呼が非類似であるという判断がなされている。

また、例えば、異議2000−90094号(乙第2号証)では、「マリーケイ」と「マリーレイ」は称呼が非類似であるという判断がなされている。

本件の場合、語頭の「ジェル」の後の「ケア」と「クレア」が全く異なる称呼である。それにもかかわらず、語頭のみが共通しているからとって、両商標の称呼が類似するという結論にはならない。

(3)上記の(b)について

「ジェルクレア」が「ジェルクエア」と聴取されることを認めるに足る証拠が存在しない。このために、請求人の主張は受け入れられない。「クレア」は「クレア」と聴取されるのが一般的であり、「クレア」は「クエア」と聴取されるおそれはない。

(4)上記の(c)について

「ジェルケア」と「ジェルクレア」は、共に語頭にアクセントがあることを認めるに足る証拠が存在しない。「ジェルケア」は、造語であり、アクセントの位置は決まっていない。「ジェル」にアクセントが付けられて発音されるかもしれないし、「ケア」にアクセントが付けられて発音されるかもしれない。「ジェルクレア」も、おそらくは造語であり、アクセントの位置は決まっていない。「ジェル」にアクセントが付けられて発音されるかもしれないし、「クレア」にアクセントが付けられて発音されるかもしれない。

「ジェルケア(Gelcare)」は、「ジェル(Gel)」と「ケア(care)」の2つの音節からなる。このために、「ケ」は、2つ目の音節の頭に位置する。また、「ジェルクレア(GELCLAIR)」は、「ジェル(GEL)」と「クレア(CLAIR)」の2つの音節からなる。「クレ」は、2つ目の音節の頭に位置する。音節の頭に位置する文字(「ケ」と「クレ」)は、比較的に強く発音されるものである。このことからも、「ケ」と「クレ」は弱く発音されるという主張は受け入れられない。なお、上記の異議2000−90094号(乙第2号証)では、「マリーケイ」の「ケ」と「マリーレイ」の「レ」は、音節の頭に位置するものであり、強くアクセントをおいて発音されるという判断がなされている。

(5)上記の(d)について

2音が異なる場合でも類似と判断された事例を2つ挙げているが、それらの事例が本件のように「ケア」と「クレア」の差異にも適用できることを認めるに足る証拠は存在しない。

「ケ」と「ク」の発音の相違は大きい。例えば、上記の昭和59年審判第2986号(乙第1号証)では、「バッケス」の「ケ」と「バックス」の「ク」の1音が異なるだけにもかかわらず、称呼が非類似であるという判断がなされている。また、昭和56年審判第1587号(乙第3号証)では、「ケロリン」と「クロリン」は称呼が非類似であるという判断がなされている。さらに、平成1年審判第15761号(乙第4号証)では、「ケアハウス」と「クアハウス」は称呼が非類似であるという判断がなされている。これらのいずれの審判でも、「ケ」と「ク」の1音違いの場合に称呼が非類似であると結論づけている。逆に「ケ」と「ク」の1音違いの場合に称呼が類似であるとする判断をしている審決は見つけることができなかった。これらの事実から、「ケ」と「ク」の発音の相違が大きいことは明らかである。したがって、本件のように「ケ」と「ク」の相違を含む2音違いの場合、明らかに称呼が非類似である。

また、「ケ」と「レ」の発音の相違も大きい。例えば、上記の異議2000−90094号(乙第2号証)では、「マリーケイ」の「ケ」と「マリーレイ」の 「レ」の1音が異なるだけにもかかわらず、称呼が非類似であるという判断がなされている。逆に「ケ」と「レ」の1音違いの場合に称呼が類似であるとする判断をしている審決は見つけることができなかった。これらの事実から、「ケ」と「レ」の発音の相違が大きいことは明らかである。したがって、本件のように「ケ」と「レ」の相違を含む2音違いの場合、明らかに称呼が非類似である。

また、本件の場合、「ケア」と「クレア」を対比すると、母音の数も相違する。2音と3音で相違し、称呼が類似するとは言えない。

(6)上記の(e)について

医薬品の分野では特に慎重に類否判断がなされるべきであることを認めるに足る証拠が存在しない。甲第4号証及び甲第5号証の審決においても、商品が「薬剤」であるから慎重に判断されるべきであるということは一切述べられていない。

(7)以上に述べたように、請求人の主張はいずれも失当であり、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるという理由は存在せず、本件商標に無効理由は存在しない。

なお、被請求人は、本件商標を来年に使用する予定である(乙第5号証)。

5 当審の判断

(1)本件商標と引用商標の類否について

ア 本件商標は、「ジェルケア Gelcare」の文字からなるものであるところ、「ジェルケア」の文字は、「Gelcare」の欧文字の読みを片仮名文字で表したものと理解されるものであるから、これよりは「ジェルケア」の称呼を生じ、特定の観念を生じさせることのない造語からなるものとして看取されるというのが相当である。

一方、引用商標は、いずれも、当該文字に相応して「ジェルクレア」の称呼が生じ、特定の観念を生じさせることのない造語からなるものとして看取されるというのが相当である。

しかして、本件商標の称呼「ジェルケア」と引用商標の称呼「ジェルクレア」とを対比すると、両者は、第1音「ジェ」、第2音「ル」及び語尾音「ア」を共通にし、中間で「ケ」と「ク」「レ」の音の差異を有するものである。

そして、この差異についてみると、「ケ」と「ク」とを比較すれば確かに子音「k」を同じにするが、それとても、母音「e」と母音「u」を異にするものであるうえ、一方の「ク」には「レ」の音が後続するものであり、かつ、中間に位置するとはいえ、「ケ」及び「クレ」のいずれの音もはっきりと発音・聴取されるものである。

してみると、斯かる差異が称呼の全体の音感に与える影響は決して小さいとはいえないから、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく充分に区別し得るというのが相当である。

したがって、本件商標と引用商標とは称呼において相紛らわしいものとは認められない。

イ 請求人は、アクセントが語頭部の「ジェル」にかかり、相対的に「ケ」及び「クレ」の語は弱く発音されるため、かかる差異は両商標の称呼の類否に大きな影響を与えるものではないと主張する。

しかしながら、アクセントの置かれる位置は必ずしも定かとはいえないものであり、それ故に「ケ」及び「クレ」の語が弱く発音されると断ずることはできない。むしろ、上記のとおりはっきりと発音・聴取されるものというべきであるから、当該差異が微差ということはできない。

また、引用商標の称呼について、請求人は、「ジェルクレア」が「ジェルクエア」と聴取される可能性があるから「ジェルケア」と比較してその語調、語感は極めて相紛らわしく聞き誤るおそれがあると主張する。

しかし、引用商標の称呼「ジェルクレア」は、その構成文字に相応して自然なものであるうえ、「ジェルクレア」が「ジェルクエア」と聴取されるものとしなければならない格別の理由及び証左はない。

ウ また、本件商標と引用商標とは外観構成において著しく相違しており、外観から受ける印象は明らかに異なるものであり、さらに、両商標は、観念において比較することができない。

エ してみると、外観、称呼及び観念のいずれからみても、本件商標と引用商標とが類似する商標であるとすることはできない。

(2)請求人は、本件が「薬剤」に使用される商標に係る事案であることに鑑みて、「医薬品の名称の類否判断は取引市場のみならず、多忙を極め多種多量の医薬品を取り扱う医療現場における取り違えの可能性も考慮して判断されるべきである」旨主張している。

確かに、請求人指摘の医療現場における取り違えが問題視されていることは公知の事柄に属するといえるものである。そして、商標の類否判断は、医家向けの医薬品及び一般大衆向けの医薬品を含む指定商品「薬剤」に関する取引の実情に照らしつつ、医者等の医療に従事する専門的な者に限らず、一般的な需要者を含む需要者の通常の注意力を基準として、これを行うべきものである。

しかして、被請求人の上記主張を勘案したとしても、本件商標と引用商標とを同一又は類似の商品(薬剤)に使用した場合に需要者が商品の出所を混同するおそれがあるか否かの観点にたって判断すると、上記のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標とは認められないというべきである。

(3)以上のとおり、本件商標は、外観、称呼及び観念を総合してみた場合に、引用商標に類似する商標と判断することができないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しない。

(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものではないから、同法第46条第1項の規定によって、これを無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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