結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成9年審判第1734号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2582004号商標(以下、「本件商標」という。)は、下記に表示したとおりの構成よりなり、平成2年6月6日に登録出願、第26類「新聞」を指定商品として、平成5年9月30日に登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録は、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対し次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。
(1)請求人は、「東京経済新聞」の文字よりなる商標について、第16類の「新聞」を指定商品として商標登録出願したところ(商願平6−126344、甲第3号証)、当該出願について、本件商標を引用しての拒絶理由通知を受けている(甲第4号証)。
したがって、請求人は、本件審判を請求することについて利害関係を有する。
(2)本件商標は、3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品である「新聞」について使用されていないものであるから、その登録は、取り消されるべきである。
(3)被請求人提出の乙第1号証、2号証(本件商標権者の登記簿謄本、会社案内)によってはむろんのこと、第3号証(枝番号を含む。新聞「東京経済新聞」の写真」)によっても、本件商標の使用の事実は立証されていない。
ア.乙第3号証は、「東京経済新聞」の文字を標題に使用した新聞の写真であるところ、これらによっては、当該新聞の発行所、発行人が不明である。
イ.新聞等の定期刊行物の頒布には、その経済性からみて、第三種郵便物認可」を受けているのが通常であるところ、乙第3号証によっては、この認可の有無も不明である。
ウ.乙第3号証によると、「東京経済新聞」は毎週木曜日発行の週間新聞であって、発行期間は約2年8月であるから、発行号数は、160号を超えない。しかるに、乙第3号証の発行号数は、それぞれ972号、990号、1005号である。以上の事実から、972号、990号、1005号の発行号数は、被請求人発行の新聞「ぐんま経済新聞」(甲6号証)の発行号数ではないかと推察せざるを得ない。そうすると、乙第3号証の各新聞は、基本的には、「ぐんま経済新聞」題字のみを変更したというレベルのものではなく、同新聞と全く同一の記事内容の新聞に、「東京経済新聞」の標題を使用していたということに帰着する。その結果として、被請求人は、「ぐんま経済新聞」と「東京経済新聞」という異なる二種の新聞を同一内容かつ同一号数で発行していたということになるが、このようなことは、「群馬県の経済事情」をその記事内容とする新聞を、「東京の経済事情をその記事内容とする新聞」としか理解されない「東京経済新聞」の標題で発行するという不可解さとともに、新聞という出版物の発行形態としては極めて異常なことといわざるを得ない。因みに、例えば、国立国会図書館所蔵の「96年版雑誌新聞総かたろぐ」(甲第6号証)によるも、被請求人が「東京経済新聞」なる新聞を発行しているとの記事はなく、同じく、国立国会図書館所蔵の新聞を網羅した同館発行の1996年版「新聞目録」にも、「東京経済新聞」なる新聞名は収録されていない(甲第7号証)。
(4)仮に乙第3号証が真正に成立した場合であっても、被請求人が発行していたとする「東京経済新聞」は、群馬県出身のうちの希望者に、善意、無償で頒布されていたものであって、商標法上の商品といえないものであったと推測をせざるを得ない。
しかして、商標法上の商品とはいえないものであったと推測せざるを得ない新聞である前記新聞に、「東京経済新聞」の文字が使用されていたとしても、これをもって、商標法第50条でいう本件商標の指定商品についての使用ということができないことは明らかである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対し次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)請求人は、果たして「利害関係」を有するか甚だ疑問である。また、請求人は、「何人」に該当するのか、疑問である。何故なら、請求人の住所は、写真(乙第4号証)で明らかな如く更地であって、住居がなく、したがって、その住所に人が住んでいる事実はない。仮に実在しないとすれば、法の規定する「何人」にも該当しない事例であり、請求人適格は否定せざるを得ない。
(2)商標権者「群馬経済新聞社」は、「ぐんま(群馬)経済新聞」なる新聞を発行する新聞社であるが、その購読者は群馬県に限らず、例えば、東京在住の購読者には「群馬の経済事情を載せたもの」を、「東京経済新聞」とし、群馬経済新聞の姉妹紙として発行した。現在は使用していないも、その使用期間は平成6年4月〜平成8年12月の約3年である(乙第2号証「会社案内」参照)。よってここに示すことのできるものは平成7年(1995年)11月6日発行のもの、平成8年(1996年)4月4日発行のもの、そして同年7月25日のそれである(乙第3号証の1ないし3)。
これらによれば、発行所は群馬経済新聞社すなわち本件商標権者である。そして、「東京経済新聞」はあくまで、群馬経済新聞の姉妹紙であり、かつ一貫性及び経済性を考えて、基本的には題字のみを変更したものとしている。このことは通算発行号数からも明らかである。因みに乙第3号証の1は第972号、同2は第990号、同第3は第1005号である。このようなわけで、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に指定商品である「新聞」に付して継続的に使用されていたことは事実である。
(3)弁駁書に対して答弁する。
ア.乙第3号証の新聞が「第三種郵便物認可」を受けていない云々についてであるが、必ずしも受ける必要はなく、事実認可を受けていない。
イ.乙第3号証は新聞の写真であり、極めて不自然とのことであるが、被請求人は写真で十分と考えて提出したのであって、写真では不自然だとする決め付けこそ不自然である。乙号証の信憑性の判断は特許庁が行うべきものである。
ウ.「東京経済新聞」がその内容との関係において極めて不可解、不自然だとするが、新聞の題字と内容が如何なる関係、関連にあろうと、発行人の考え方であり、第三者である請求人に兎や角いわれる筋合いはない。
エ.乙第3号証の発行号数についてであるが、全国紙乃至はいわゆる大手の新聞によるものであればいざ知らず、零細新聞社の発行に係るものである乙第3号証の新聞は、親新聞である「ぐんま経済新聞」のその都度のものをベースにしたものであるため、指摘のようなことがあり、かつ「雑誌新聞かたろぐ」にも、「新聞目録」にも収録されるものではない。
以上の如く、乙第3号証に示す新聞は日刊でもなければ全国紙でもなく、また、その類でもない、最小限の、最低限の新聞であるも新聞、すなわち「社会の出来事の報道、批判をすばやく、かつ広く伝えるための定期的刊行物である」ことには変わりなく、最低条件を満たすところのミニコミ紙的「新聞」である。
(1)まず、本件審判請求が、適法になされたものであるか否かについて検討する。
被請求人は、「請求人は果たして『利害関係』を有するか甚だ疑問である」旨主張している。また、乙第4号証(請求人住所地の写真)を提出し、「請求人の住所は写真で明らかな如く更地であって、住居がなく、仮に請求人が実在しないとすれば、法の規定する『何人』に該当しないので、請求人適格は否定せざるを得ない」旨主張している。
しかしながら、請求人提出の甲第9号証(請求人の住民票)に徴すれば、住民票の「氏名・住所」の表示は、本件審判請求書に表示された請求人の「氏名・住所」に一致することが認められる。また、請求人の登録出願に係る平成6年商標登録願第126344号(甲第4号証)は、本件商標を引用した拒絶理由通知を受け、現在審査に係属中であることが職権により調査して確認し得た。
したがって、請求人は、実在する者であり、本件審判を請求することについて請求人適格を有するとともに、利害関係があるものと認められるから、本件審判請求は適法になされたものというべきである。
(2)次に、本案に入り判断する。
被請求人が本件商標を新聞に使用していることを証明する証拠として提出した乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)をみるに、乙第1号証は被請求人の登記簿謄本であり、乙第2号証は被請求人の会社案内であるが、これらによっては、本件商標を新聞に使用したとする事実を具体的に証明し得るものとは認められない。
乙第3号証は、平成7年(1995年)11月16日、平成8年(1996年)4月4日及び平成8年(1996年)7月25日発行の「東京経済新聞」の写真であって、いずれも現物ではないために、請求人も指摘しているように、発行所、発行人等を確認することができないので、乙第3号証のみをもって本件商標の使用を具体的に証明し得る証左とするのは些か不十分といわざるを得ない。加えるに、国立国会図書館法第25条第1項は、「・・・出版物を発行したときは、・・・発行の日から30日以内に、最良版の完全なもの1部を国立国会図書館に納入しなければならない。・・・」と規定している(甲第8号証参照)。しかるところ、請求人が提出した甲第6号証(国立国会図書館所蔵のメディア・リサーチ・センター株式会社発行「96年版 雑誌新聞総かたろぐ」)に「『ぐんま経済新聞』 創1983.4.7 週間新聞 発行=(株)群馬経済新聞社」(1317頁)と収録されており、また、甲第7号証(国立国会図書館作成の1996年版「新聞目録」)に「ぐんま経済新聞 前橋 群馬経済新聞 週2回刊 昭59.1.2〜」と収録されていることが認められるにもかかわらず、「東京経済新聞」については、いずれにも収録されていることが認められない。
そこで、乙第1号証ないし乙第3号証をもっては、本件商標を「新聞」に使用した事実を確認するには十分ではないと判断し、審判長は、被請求人に対して、
「下記の資料を添付した物件提出書を本書発送の日から40日以内に提出されたい。
記
1.平成9年4月30日付答弁書に添付した乙第3号証の1(「東京経済新聞」の写真)ないし乙第3号証の3(「東京経済新聞」の写真)の現物
2.上記新聞を販売した事実が確認できる資料 例えば、購買契約書」
旨を記載した審尋書を送付した。
この審尋書に対し、被請求人は、「先ず新聞の現物であるが、たまたま後日のために撮り置いた写真があったために提出したのであって、今回の写真の現物は存在しない。」、「『購買契約書』であるが、現在存在しないため、提出要求に応じることができない」旨を述べ、新聞の現物を提出しないばかりでなく、新聞を販売した事実を確認できる資料を何ら提出していない。
そうとすると、被請求人は、本件商標の使用を証明し得なかったものといわざるを得ないから、本件商標は、取消請求に係る指定商品「新聞」について、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人により日本国内において使用されたものということはできない。
したがって、本件商標は、平成8年法律第68号による改正前の商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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