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Trademark Appeal Case

NEW付加による商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300524(T2007−300524/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1903734号商標(以下「本件商標」という。)は、「サワフロート」の片仮名文字と「SAWAFLOAT」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和55年5月22日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)、薬剤、医療補助品」を指定商品として、同61年10月28日に設定登録、その後、平成9年7月25日及び同18年10月31日の二回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

なお、本件商標は、本件審判の請求後である平成19年5月23日に商標登録原簿記載のとおりの指定商品に書換登録がなされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、請求の趣旨を「本件商標の指定商品中、第1類『薬剤、医療補助品』の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める」とし、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を以下のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判請求日前3年以内に日本国内において、その指定商品中の、第1類「薬剤、医療補助品」について使用されていないことが判明した。

2 答弁に対する弁駁

(1)使用商標について

(ア)被請求人は、「本件商標の商標権について、被請求人が代表取締役を務める東西化学産業株式会社及び東西工業株式会社に対して通常使用権の許諾をしている。」、「通常使用権者は、本審判請求予告登録日前3年以内に、本件商標を『抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤』について、使用している。」、「使用商品の包装パッケージ表面には本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。」等と主張している。しかしながら、使用商品の包装パッケージ表面に表示された商標は、「NEW SAWAFLOAT」「ニューサワフロート」(乙第4号証)であり、商品の広告(パンフレット)に表示された商標は「ニューサワフロートL」(乙第5号証)であり、抗レジオネラ用空調水処理剤協議会登録薬剤として登録された名称も「ニューサワフロートL」であって、いずれも本件商標とは同一でなく、かつ、社会通念上同一性を有するとは言い難い。

(イ)本件商標は、「サワフロート」の片仮名文字と「SAWAFLOAT」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるものであるから、使用商標は、登録商標とその構成が明らかに異なるものであって、登録商標と同一とはいえない。

次に、使用商標が本件商標と社会通念上同一性を有するか否かについて見ると、「NEW」(ニュー)を付加した文字(言葉)が、付加されていない文字(言葉)とは、全く異なる意味の文字(言葉)として使用されていることは、広く知られているところである。

その事例の一部を挙げると次のとおりである。

ウェーブ[wave](波) → ニューウェーブ[new wave](思想や芸術などの新しい傾向)、

カマー[comer](来る人) → ニューカマー[newcomer](新人、初心者)、

ガラス[glass](ガラス) → ニューガラス[new glass](高機能ガラス)、

サイエンス[science](化学) → ニューサイエンス[new science](1970年代のアメリカに起こった反近代主義運動)、

ライト[right](正しい、正義、権利) → ニューライト[new right](新保守主義)、

ハーフ[half](半分、混血) → ニューハーフ[new half](女性に性転換した者)、

フェース[face](顔) → ニューフェース[new face](新人、新顔)、

モード[mode](方法、様式) → ニューモード[new mode](最新流行)

これらの事例は、ほんの一部にすぎず、「ニュー」(NEW)を付加した文字(言葉)が付加されていない文字(言葉)とは、全く異なる意味の文字(言葉)として使用されている事例が多々あることからすれば、使用商標「NEW SAWAFLOAT」、「ニューサワフロート」、「ニューサワフロートL」が「サワフロート」の片仮名文字と「SAWAFLOAT」の欧文字とを上下二段に横書きした構成よりなる本件商標と社会通念上同一性を有するとはいえず、使用商標に接する取引者、需要者をして、本件商標と同一性を有する商標とは、認識されないというべきものである。

(ウ)以上を総合してみると、使用商標は、本件商標とは同一でなく、かつ、社会通念上同一性を有するとはいえない。したがって、本件商標を使用しているとはいえない。

(2)使用証拠について

(ア)乙第1号証ないし乙第3号証は、本件商標が被請求人が代表取締役を務める東西化学産業株式会社及び東西工業株式会社に対して通常使用権の許諾をしたことを示すものであるとしても、これをもって、被許諾者(使用権者)が本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用した証拠とはなしえない。

(イ)乙第4号証に表示された商品には、製造年月日が表示されていないから、本件審判請求の予告登録日(平成19年5月16日)(以下「予告登録日」という。)前3年以内に本件商標が使用されたとする証拠とはなしえない。

(ウ)商品の広告(パンフレット)(乙第5号証)には、「ニューサワフロートL」が掲載されてはいるが、パンフレットの作成年月日が記載されていないので、予告登録日前3年以内に本件商標が使用されたとする証拠とはなしえない。

(エ)乙第6号証は、抗レジオネラ用空調水処理剤協議会の登録薬剤として「ニューサワフロートL」が掲載されてはいるが、掲載されていることをもって、予告登録日前3年以内に、本件商標がその指定商品中「薬剤」の「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について使用されたことの証拠となるものではない。

また、商品の表示は、「パック剤」と表示されているので、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について使用されたことの証拠となるものではない。

(オ)乙第7号証は、商品名として「ニューサワフロートL」と記載されてはいるが、具体的な商品名「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」がないことからすれば、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について本件商標が使用されたことの証拠となるものではない。

また、その請求書(乙第8号証)は、「品名」欄、「形状・寸法・単位 規格・品質・仕様」欄、「金額」欄、「請求者名」欄、「口座振替先、口座番号」欄、「口座名義」欄が全て手書きされているというように、通常の取引書類(会計書類)と異なり、本件審判の請求を受けてあわてて作成したかのごとき体裁となっており、かつ、請求日すら記載されていないものである。そして、品名欄には、「ニューサワフロートL」と記載されてはいるが、具体的な商品名「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」がないことからすれば、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について、予告登録日前3年以内に本件商標が使用されたことの証拠となるものではない。

さらに、代金振り込みの証拠として提出した乙第9号証には、商品名も商標も表示されていないから、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について、予告登録日前3年以内に本件商標が使用されたことの証拠となるものではない。

(カ)被請求人が平成19年7月24日付けで提出した上申書は、商標法第56条において準用する特許法第134条第1項の規定に基づき審判長が指定した期間の経過後に提出されたものであるから、該上申書に添付の証拠は、本件審判事件における使用の証拠とはなし得ない。

そして、乙第10号証ないし乙第15号証は、商品名として「ニューサワフロートL」と記載されてはいるが、具体的な商品名「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」がないことからすれば、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について、本件商標が使用されたことの証拠となるものではない。

また、乙第12号証、乙第15号証は、商品名「ニューサワフロートL」も具体的な商品名「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」も記載されておらず、かつ、乙第12号証にあっては、「お支払金額」欄が手書きされているというように、通常の取引書類(会計書類)と異なる体裁となっているものであるから、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」について本件商標が使用されたことの証拠となるものではない。

(3)結論

以上詳述したとおり、本件商標と同一若しくは社会通念上同一性を有する商標が使用されているとはいえず、かつ、予告登録日前3年以内に本件商標をその指定商品中の「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」(抗レジオネラ用空調水処理剤)について使用しているとはいえない。

したがって、本件商標は、予告登録日前3年以内にその指定商品中の「薬剤、医療補助品」について使用されていない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、答弁の趣旨を「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める」とし、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。

1 答弁の理由

(1)請求人の主張について

請求人は、平成19年4月25日付けの審判請求書において、被請求人の所有にかかる本件商標が、本件審判請求日前3年以内に日本国内において、その指定商品中の、第1類「薬剤、医療補助品」 について使用されていない旨主張する。

しかしながら、本件商標は、下記に示すとおり、本審判請求の予告登録日(平成19年5月18日)前3年以内において、日本国内において、被請求人から通常使用権の許諾を受けた通常使用権者によって、本審判請求にかかる指定商品中、「薬剤」について使用されているのである。

(2)本件商標権の通常使用権の許諾

本件商標の商標権は、被請求人から、被請求人が代表取締役を務める東西化学産業株式会社(住所:大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号)及び東西工業株式会社(住所:大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号)(以下、合せて「通常使用権者」という)に対して、遅くとも平成9年6月項には、その指定商品の全てについての通常使用権の許諾がなされている(乙第1号証ないし第3号証)。

(3)本件商標の「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」への使用

本件商標は、通常使用権者によって、本審判請求予告登録日前3年以内において、日本国内で、「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」 に使用されている(乙第4号証)。

「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」とは、空調冷却水中のレジオネラ菌及びその他の菌類の殺菌に使用される殺菌剤(レジオネラ菌用殺菌剤)であり、「薬剤」(第5類)に含まれるものである。通常使用権者は2006年6月に該商品の広告(パンフレット)を取引先等に配布している(乙第5号証)。

そして、乙第4号証の写真のとおり、該商品の包装パッケージ表面において、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されているのである。

また、該商品は、抗レジオネラ用空調水処理剤協議会登録薬剤として登録されており(乙第6号証)、有効かつ安全性の高い抗レジオネラ薬剤として認定されているものである。

(4)本件商標の販売実績

東西化学産業株式会社の大阪支店は、2007年4月18日、本件商標が付された商品「NEW SAWAFLOAT L」を、京都市上京区河原町広小路梶井町465番地に所在の京都府立医科大学に対して10個販売し(乙第7号証)、2007年4月19日付けの請求書を同大学に対して発行し(乙第8号証)、2007年5月31日に同大学より代金の振込を受けている(乙第9号証)。

なお、通常使用権者の場合、請求書の様式は、販売先から指定された様式によることが多く、乙第8号証の請求書は京都府立医科大学から指定された様式によるものである。

また、乙第7号証にかかる東西化学産業株式会社の売上管理表中、京都府立医科大学以外の得意先名・納入先名は隠されているが、これは得意先がどのようなレジオネラ菌用殺菌剤を使用しているのか第三者に対して明らかになることを避けるためのものであり、公的機関である京都府立医科大学については、このような懸念がないことから、明示したものである。

(5)結語

上述した次第であり、本件商標は、本審判請求の予告登録日(平成19年5月18日)前3年以内において、日本国内において、通常使用権者によって、本審判請求にかかる指定商品中、「薬剤」 に含まれるレジオネラ菌用殺菌剤について使用されており、本審判請求は棄却されるべきである。

なお、被請求人は、京都府立医科大学への販売以外の本件商標に係る商品の販売実績を証明するための証拠を、追って提出する予定であることを附言する。

2 平成19年7月26日付提出の上申書の内容

(1)先の答弁書において述べた「京都府立大学」以外の販売実績を証明するための証拠を提出する。

(2)被請求人から本件商標の通常使用権の許諾を受けている東西化学産業株式会社の滋賀営業所は、滋賀県高島市勝野1667の公立高島総合病院から2006年(平成18年)6月6日付けで「NEW SAWAFLOAT L」を受注し、同年6月26日付けで納品している(乙第10号証)。

その後、同年7月20日付けで請求書を発行し(乙第11号証)、同年8月30日付けで当月請求額についての振込を受けている(乙第12号証)。

なお、乙第10号証及び同第11号証において販売個数、受注単価、発注単価及び発注金額が隠されているのは、受注単価、発注単価及び発注金額が顧客ごとに異なっているため、営業上の秘密を保持する必要があるからである。

(3)また、東西化学産業株式会社の神戸営業所は、兵庫県西宮市六湛寺町13−9の兵庫県立西宮病院から2006年(平成18年)5月17日付けで「NEW SAWAFLOAT L」を受注し(乙第13号証)、同年5月18日付けで納品の上、該購入者に対する請求書を発行している(乙第14号証)。

その後、同年6月30日付けで該購入者から入金を受けている(乙第15号証)。

なお、上記(2)で述べた理由と同じ理由により、乙第13号証及び同14号証において販売個数、受注単価、発注単価及び発注金額は、隠されている。

第4 当審の判断

1 本件商標は、「サワフロート」の片仮名文字と「SAWAFLOAT」の欧文字よりなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)、薬剤、医療補助品」を指定商品とするものであるが、本件取消しの審判に係る商品は、その指定商品中、「薬剤、医療補助品」とするものである。

2 被請求人提出の証拠

(1)乙第1号証ないし乙第3号証は、請求外「東西化学産業株式会社」及び「東西工業株式会社」への被請求人が通常使用権を許諾していることを内容とする陳述書である。

(2)乙第4号証は、使用商品の似姿写真である。

(3)乙第5号証は、2006年5月発行の商品パンフレットであるがそこには、独立して看取される「サワフロート」の文字及び内容物を示す「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」の文字が認められる。

(4)乙第6号証は、抗レジオネラ用空調水処理剤協議会登録薬剤一覧表の写しである。

(5)乙第7号証及び乙第8号証は、「受注控」と請求外「京都府立医科大学」へ請求書写しである。

(6)乙第10号証ないし乙第12号証は、請求外「公立高島総合病院」からの受注伝票(原票)、請求書控、入金明細書であり、これらは全て本件審判の請求の登録前(平成19年5月18日)3年以内に該当するものである。

(7)乙第13号証ないし乙第15号証は、請求外「兵庫県立西宮病院」からの受注伝票(原票)、請求書控、入出金明細照会であり、これらは全て本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものである。

3 被請求人の使用商標

乙第4号証の使用商品の似姿写真及び乙第5号証の2006年5月発行の商品パンフレットを徴するに、被請求人商標の使用態様は、「NEW」「SAWAFLOAT」「L」の欧文字及び「ニュー」「サワフロート」の片仮名文字と「L」の欧文字よりなるものであるところ、いずれも「SAWAFLOAT」「サワフロート」の文字を顕著に表してなるものであり、本件商標の使用であると認めるに十分なものである。

なお、請求人は、「NEW」(ニュー)を付加した文字(言葉)が付加されていない文字(言葉)とは、全く異なる意味の文字(言葉)として使用されていることは、広く知られていると述べ、その事例を挙げているが、それらは全て新たな観念の語を形成してるものであるから、本件の場合と同様に論ずることはできないものである。

4 被請求人の使用商品

被請求人が使用しているとする商品「抗レジオネラ小型空調冷却水殺菌剤」は、取消しに係る指定商品中の「薬剤」に属するものであることについては、争いがない。

5 結び

以上の事実を総合すれば、本件商標は、被請求人の通常使用権者によって本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されたものと認められるから、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る第1類「薬剤、医療補助品」についての登録を取り消すべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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