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Trademark Appeal Case

商標使用と品質表示の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300446(T2007−300446/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2509817号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2509817号商標(以下「本件商標」という。)は、「サワヤカ」の文字を横書きしてなり、平成2年5月23日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年2月26日に設定登録され、その後、平成16年6月16日に、指定商品を第3類「せっけん類」とする指定商品の書換の登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。また、本審判請求の登録は、平成19年5月1日になされている。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、本件商標の商標登録原簿及び商標公報(いずれも写し)を提出した。

1 請求の理由

被請求人は、本件審判請求前に継続して3年以上日本国内において、本件商標を自他商品の識別標識として使用していない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項により、取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

「さわやか」なる語は、日常様々な場面で感じる人の普通の感情であって、通常は商品等の識別標識になるとは考えにくいものである。にもかかわらず、本件商標が商標登録を認められたということは、その使用態様いかんでは十分に自他商品識別機能を有する商標と判断されたからと思料する。

しかし、本件商標の持つ意味合いを考慮すれば、本件商標が自他商品の識別標識として機能する態様というのは、極めて限定的に解釈すべきであって、使用態様によっては単なる品質表示に該当する場面が多数存在するというべきである。

被請求人は、使用に係る商標(以下「使用商標」という。)が乙第1号証(製品総合カタログ)に掲載された商品(以下「使用商品」という。)の表面に表示されているから、本件商標の使用と認定できる旨主張する。

しかし、使用商品は、「パワーズ/香りクリーナー」という商品群の中の「おふろ用」の一商品であり、使用商品の表面表示には、「さわやかピーチ/香りクリーナー/おふろ用」と大きく記載されており、「さわやか」という語も、やや小さいながら一応は記載されているが、その説明書きには、「ピーチのさわやかな香りが、お掃除中や洗い上がりのバスルームに広がります。」と記載されている。

つまり、使用商品の表面表示の「さわやか」の文字は、本件商標を使用したものではなく、単に「ピーチのさわやかな香り」を有することを説明したにすぎないと考えることができ、これは単なる品質表示に該当するものである。使用商品における識別標識は、「パワーズ/香りクリーナー」であって、「さわやか」の表示を商標と理解する人はいないと考える。

なお、このような品質表示と考えてよい商標に対し登録を認めたがために、洗浄剤を取り扱う日本全国の事業者は、自己の商品に「さわやか」、「爽やか」等の表示を品質表示の認識で使用することができない状況にある。

したがって、洗浄剤を取り扱う全事業者の苦痛を解除するためにも、本件商標の商標登録の取消を希求する。

第3 被請求人の答弁の要点

1 請求に対する第1答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証の3を提出した。

(1)商標使用者

乙第1号証(製品総合カタログ)及び乙第3号証の1ないし3(売掛伝票)には、商標権者である「エステー化学株式会社」が表示されており、本件商標の使用者が商標権者であることが認められる。

(2)使用商品

乙第1号証28頁には、請求に係る指定商品「せっけん類」である「クリーナー」の品名「香りクリーナー」及びその品番(JANコード)「4901070906758」が記載され、乙第3号証の1ないし3には、乙第1号証に記載された品名の表音を片仮名表記した「カオリクリーナ」及び品番が記載されている。

(3)使用商標

乙第1号証には、「さわやか」が記載されており、本件商標の使用と認定できる。

(4)使用時期

乙第1号証には、その表紙に「2005年.春/製品総合カタログ」と、また、裏表紙の下に「2004.12 H−46604−72000−4」と記載されている。

乙第2号証の1ないし3(物品受領書)には、印刷会社名として「共立印刷株式会社」が記載され、納入年月日欄に「05 01 14」と、品名欄に「2005春総合カタログ」及び品目コード欄に、乙第1号証に記載された数字「H46604720004」が記載されており、カタログが、共立印刷株式会社において2004年12月に印刷され、2005年1月14日に、商標権者の名古屋支店、福岡支店、金沢営業所にそれぞれ納入されたことが認められる。

乙第3号証の1ないし3には、発注日・出荷日の「06.06.01」〜「06.06.20」及び請求日の「06.06.20」〜「06.06.30」が記載され、2006年6月1日から2006年6月20日に商品の発注・出荷がなされ、2006年6月20日から2006年6月30日に請求されたことを認めることができる。

(5)むすび

以上より、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、指定商品について使用されていることが明らかである。

2 弁駁に対する第2答弁

(1)本件商標は、「サワヤカ」とカタカナを横書きしてなるものである。

審判弁駁書によれば、使用証拠として提出した乙第1号証に「さわやか」の平仮名文字が使用されている事実、及びその表示が、品質表示に該当するか否かは別にして、本件商標の使用であること、並びに品質表示に該当しないことについては争いがないものと判断する。

(2)「さわやか」の表示が品質表示であるかについて

ア. 請求人は、「石鹸やシャンプーで身体や頭を洗えば、すっきりとし、『さわやか』な気分になることは誰もが実感することである。」と主張している。

しかしながら、この主張では、わざわざ形容詞を連呼し「すっきりとし」、「さわやか」な気分になると述べている。しかし通常では「すっきりする」あるいは「さっぱりする」であり、「さわやかになる」とは言わない。

この主張は、独断的で認められない。

イ. 請求人は、「『さわやか』の語と『香り』との関係で品質表示であること」を主張しているが、本件商品は「せっけん類」であるから、請求人の主張はそのまま本件指定商品にはあてはまらない。

また、商品における表示は「さわやか」が上段に、そしてその下に「ピーチ」であり、商品の説明書き部分とは使用方法が相違するから、その説明書きをもって、直ちに、商品における表示を品質表示と結論することは誤りである。

なお、被請求人は、「ピーチのさわやかな香りが、お掃除中や洗い上がりのバスルームに広がります。」のフレーズの使用についてまで、本件商標の使用であると主張するものではなく、侵害になるとも考えていない。商標法第26条の規定に該当する蓋然性が高いと考えている。商標に通じている人であれば、当然、同様に考える。

ましてや、本件審判請求対象の商標は、「サワヤカ」である。「さわやか」の表示についての言及において、商標法第26条の規定にまで言及し、「大変な苦痛である」とまで話が展開することは、請求人の勝手な危惧である。本件審判事件とは無関係な主張と思われる。

(3)被請求人の製品「パワーズ 香りクリーナー」は、シリーズ商品になっている。「さわやか」の語は、そのシリーズ間における識別表示となっており、商標の使用である。このことは、商品のラベル中に、識別表示となるべきその他の表示を有しないところに鑑みれば、当然に肯定できるところと思料する。

以上述べたところにより、請求人の弁駁の理由は、本件取消審判請求の理由とはならないものである。

第4 当審の判断

1 乙第1号証ないし乙第3号証の3によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、商標権者の取扱いに係る商品を掲載した「2005年.春/製品総合カタログ」との表題のあるカタログと認められるところ、その目次には、「ホームケア」商品として、「フィニッシュ」、「米唐番」、「パワーズ」、「ウルトラパワーズ」の名称が並び、さらに、「ホームケア」の項目(28頁)によれば、下段に掲載され、JANコードを「4901070906758」とする商品(使用商品)には、赤色の横長楕円輪郭内に配された赤塗り横長楕円形の中に、白抜きで「パワーズ」の文字が表され、その下に、緑色で「香りクリーナー」の文字が大きく表され、さらに、その下に、桃色塗り矩形内に白抜きで「おふろ用」の文字が表されており、その商品説明として、「ピーチのさわやかな香りが、お掃除中や洗い上がりのバスルームに広がります。特長/フル一ツ酸(弱酸性)が、カビの原因である皮脂や湯垢をしっかり落とします。浴槽や洗面器、タイル等の汚れを泡が包み込んで落とします。除菌剤配合で、バスル一ムを清潔に保ちます。」と記載されている。また、商品の包装容器には、上段から「香りで美しく/お風呂そうじ」、「パワーズ」の各文字が記載され、その下に、「さわやか」の文字が小さく記載され、その下に「ピーチ」の文字が大きく記載され、該「ピーチ」の文字の右下に、「の」の文字が小さく記載され、さらにその下に、「香りクリーナー」、「おふろ用」などの文字が記載されている。

そして、カタログの裏表紙の右下には、「2004.12 H−46604−72000−4」の文字が記載されている。

(2)乙第2号証の1ないし3は、「物品受領書」であるところ、いずれもその「納入者名」欄には「共立印刷株式会社」が記載され、「品名・規格」欄には「2005春総合カタログ」と、「品目コード」欄には「H46604720004」と記載され、さらに、「受領印」欄には、それぞれ「受領済/’05.1.19/エステー化学(株)名古屋支店」(乙第2号証の1)、「受領印/17.1.18/エステー化学 福岡支店」(乙第2号証の2)、「受領/エステー化学(株)/’05.1.14/金沢営業所」(乙第2号証の3)と記載されており、これより、乙第1号証(2005年.春/製品総合カタログ)は、2005年(平成17年)1月14日から同19日にかけて、商標権者の名古屋支店、福岡支店及び金沢営業所が共立印刷株式会社より受領したことが推認される(この点については当事者間に争いはない。)。

(3)乙第3号証の1ないし3は、商標権者が顧客に発行した2006年(平成18年)6月2日付け、同年同月13日付け及び同年同月21日付けの「売掛伝票」であり、これらの「商品コード/品名」欄には、「4901070906758/PカオリクリーナーフロカエNピーチV2」と記載されている(但し、乙第3号証の3の「品名」欄は、「PカオリクリーナーフロカエN(Bピーチ」と記載されている。)。

2 前記1で認定した事実によれば、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成19年5月1日)前3年以内に日本国内において、自社のカタログをもって、使用商品について広告し、かつ、使用商品を市場において取引に資していたものと推認することができる(この点については当事者間に争いはない。)。

3 そこで、カタログ(乙第1号証)に表示された「さわやか」の文字が使用商品について、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る態様で使用されているか否かについて検討する。

商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と他の商品又は役務とを区別するための標識となることにある、すなわち、自他商品又は自他役務の識別機能にあると解するのが相当であるから、商標の使用といい得るためには、当該商標の具体的な使用方法や表示の態様からみて、それが出所を表示し自他商品又は自他役務を識別するために使用されていることが客観的に認められることが必要である。

ところで、使用商品は、前記認定のとおり、カタログ中の「ホームケア」の項目において、「パワーズ」、「香りクリーナー」、「おふろ用」と紹介され、その説明書きには、「ピーチのさわやかな香りが、お掃除中や洗い上がりのバスルームに広がります。」(説明書きについて、以下「使用態様1」という。)と記載され、また、その包装容器には、上段から「香りで美しく/お風呂そうじ」、「パワーズ」の各文字、その下に、小さく「さわやか」の文字、その下に、大きく「ピーチ」の文字、その下に、小さく「の」の文字、さらにその下に、「香りクリーナー」、「おふろ用」などの文字が記載されている(包装容器の表示について、以下「使用態様2」という。)ところ、「香りクリーナー」、「ピーチのさわやかな香りが、お掃除中や洗い上がりのバスルームに広がります。」、「香りで美しく/お風呂そうじ」などの文字から、これに接する需要者は、“香り”を売り物にしたクリーナー(ふろ用洗浄剤)であると直ちに認識するものと認められる。

そして、「さわやか」の語は、使用態様1にみられるように、「香り」の語と密接に結びついて、「すがすがしく快い香り」などの意味を表すものとして、日常的に使用されているものであって、せっけん類を取り扱う分野においてのみ例外であると認めるに足る証拠は見出せない。

そうすると、使用態様1及び使用態様2における「さわやか」の文字部分は、需要者をして、香りの主体である「ピーチの香り」が“さわやか”であることの意味をもって、単に「ピーチの香り」を修飾する品質表示語であると理解させるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る商標であると認識させることはないというべきである。

したがって、使用商品に使用される「さわやか」の表示は、自他商品の識別機能を果たす商標として使用されているものと認めることはできないから、登録商標の使用ということはできない。

そして、他に本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用商品に使用していることを証明する何らの書証の提出もないものである。

4 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成19年5月1日)前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、登録商標を使用していたことを証明したということはできないし、使用していなかったことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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