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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第17812号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3292468号商標の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3292468号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙のとおりの構成よりなり、平成5年3月4日に登録出願、第26類「編物針」を指定商品として、平成9年4月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第1884302号商標(以下「引用A商標」という)は、別紙のとおりの構成よりなり、第19類「日用品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年3月5日に登録出願、昭和61年8月28日に設定の登録がなされたものであり、その後、指定商品中「家庭用浄水器」については、その登録を取り消す旨の審決がなされ、その確定審決の登録が、平成10年4月15日になされたものであり、さらに指定商品中「調理用具 その他の台所用品(流し台、調理台を除く)清掃または洗たく用具」については、その登録を取り消す旨の審決がなされ、その確定審決の登録が平成11年2月10日になされているものである。同じく、登録第1884303号商標(以下「引用B商標」という)は、別紙のとおりの構成よりなり、第19類「日用品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年3月5日に登録出願、昭和61年8月28日に設定の登録がなされたものであるが、指定商品中「家庭用浄水器」については、その登録を取り消す旨の審決がなされ、その確定審決の登録が、平成10年4月15日になされたものであり、さらに指定商品中「調理用具 その他の台所用品(流し台、調理台を除く)清掃または洗たく用具」については、その登録を取り消す旨の審決がなされ、その確定審決の登録が平成11年2月10日になされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第14号証を提出している。

(1)本件商標と引用A商標及び引用B商標との類否判断

本件商標は、甲第1号証の如く、上段に漢字で 「極」、下段に欧文字で「CLOVER」と書してなり、上段の「極」の文字が下段の「CLOVER」の文字よりも際立って大きく書されている。これに対し、引用A商標は甲第4号証の如く、漢字により「極」と書されており、「きわみ」、「きょく」、「きわめ」等の称呼が生じる。引用B商標は甲第5号証の如く、平仮名文字により「きわみ」と書されており、「きわみ」の称呼が生じる。

本件商標は「極」部分、「CLOVER」部分が、漢字及び欧文字で、上下二段にそれぞれ分けて書されていることにより、視覚的に分離して看取される。また、「極」の文字が「CLOVER」の文字よりも際立って大きく書されていることから、特に「極」の文字が印象付けられる。このような構成である本件商標は、「極」の文字部分のみからも称呼される場合があり、「極」の文字からは、「きわみ」、「きょく」、「きわめ」等の称呼が生じる。

よって、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、称呼において類似するものである。

(2)本件商標と引用A商標及び引用B商標の指定商品の類否判断

本件商標の指定商品は新第26類「編物針」である。一方、引用A商標、引用B商標の指定商品、旧第19類「日用品,その他本類に属する商品」のうち、裁縫用貝には、「編み棒」が含まれている。商標法における商品区分に関して、旧第19類は「台所用品」と「日用品」に大別され、日用品中の「裁縫用具」の項に「編み棒」が例示されている。一方、新第26類は主として裁縫用貝を含む類であり、「針類」の項に「編物針」が例示されている。同じ新第26類には「編物針」と短冊を違えて「編み棒」が例示されており、この「編み棒」は旧第19類から移行したものである。「編物針」と「編み棒」は類似商品審査基準上では非類似とされてはいる。しかし、商標法第6条第3項に規定しているように、商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。本件審判請求人は、本件商標の指定商品「編物針」と引用A商標及び引用B商標の指定商品中「編み棒」は、その商品概念、商品の用途、取引事情等から考察すると、互いに類似する商品であると考える。 まず、商品区分における新第26類「編物針」とはどのような商品であるかを具体的にする必要がある。

本件審判請求人のみならず、編み物に関する製品を取り扱う業界全体においては、「編物針」が果たしていかなる商品であるのか明確には把握できてはいない。

以下は文献における「編物針」と「編み棒」等の語義である。岩波書店「広辞苑 第四版」(甲第8号証)については、「編物針」は該当する見出しなし、「編針」は「編み棒に同じ」、「編み棒」は「編み物に用いる細い棒。金属・角・竹などで作り、一端が鉤状のものと、まっすぐなものとがある。」としている。 文化出版局「服飾辞典」(甲第9号証)については、「編物針」は該当する見出しなし、「編み針」は「『編み針』は『編み目を作り出すための針の総称であり、ニードル(needle)とも言う、技法別にそれぞれ適した針があり、かぎ針編みにはかぎ針、棒針編みには棒針、手編み機と機械編みにはべら針、ひげ針、両頭針、コンパウンド針、パイプ針などが用いられている。』」、「編み棒」は「棒針編みに用いる編み針で棒針のことを言う。」、「棒針」は「棒針編みに用いられる棒の先がとがったもので、片方に玉の付いた2本組のものと両端のとがった4本または5本組のものがある。玉の付いた針は平編みに用い両端のとがった針は輪編みに用いられる。素材には竹、プラスチック、金属、などがあり、太さは0号から20号までで、号数が大きくなるほど太くなる。他にジャンボ針と言われる直径8mm、10mmの太さのものもある。又、輪編みの専用の針で、2本の棒針をナイロンコードでつないだ輪針も棒針の一種である。」としている。

雄鶏社「棒針あみの基礎 図解式」(甲第10号証)については「針について」として「棒針」、「かぎ針」が紹介されており、「特殊な編み針」として「輪針」、「なわ編み針」が紹介されている。「針について」...「棒針」は「...材質は従来から竹製のものが多く使われていますが、最近では軽金属製のものやプラスチック製のものなどが市販されています。......。」、「かぎ針」は「先がかぎ型になった針で軽金属製のものが多く市販されていますが、かぎの部分がなめらかですべりのよいもの、持ちやすいものを選びましょう。針の太さの規格は針軸の太さが2ミリのものが0/0号で、2/0〜10/0号(6ミリのもの)、更に太いものは7ミリ、8ミリ、10ミリ、12ミリと太さで表示されています。2/0号より太いものを『かぎ針』 、0号より細いものを『レース針』と呼びます。......。」としている。

これらのことから「編物針」という商品名は、少なくとも国語辞典類、編み物関連の文献では使用されていないことが分かる。実際のところ、編み物関連商品の業界や一般需要者においても「編物針」という商品名は使用されていない。商標法施行規則別表には存在しないが「編み針」という商品名は国語辞典類、編み物関連文献において広く使用されている。

「編み針」は上記のように 「金属・プラスチック・木竹などで作られた編み棒、かぎ針、レース針」等をいうものとして一般に理解され、通用している。つまり国語辞典類、編み物関連文献においては、「編み針」は「編み棒」と同じもの、或いは「編み棒」の上位概念、つまり「編み目を作り出すための針の総称」としており、編み物関連商品の業界や一般需要者においても、そのように理解されている。

これらのことから、新第26類の「編物針」の具体的商品に関して、次の3つのことが考えられる。

(a)「編物針」と「編み針」が同義語であるとすれば、「編物針」は「編み棒」と同じ商品である。

(b)「編物針」は「編み棒」の上位概念、つまり「編み目を作り出すための針の総称」であり、敢えて商品を特定するなら「編み目を作り出すための針(編み針)」のうち、商標法施行規則別表に例示されていない商品である。

(c)「編物針」と「編み針」が同義語でないとすれば、「編物針」を文言通り解釈して「編物針」は「編み物に用いる針(編物針)」のうち、商標法施行規則別表に例示されていない商品である。

前記(a)、のごとく「編物針」と「編み棒」が同じ商品であるとすれば、両者は互いに類似の商品である。

前記(b)、と(c)、は結果的には同じ内容である。商標法施行規則別表では、「かぎ針」、「レース針」、「メリヤス機械用編針」、「編み棒」が例示されているので、「編み目を作り出すための針(編み針)」或いは「編み物に用いる針(編物針)」のうち、商品区分に例示されていない商品とは、具体的には「とじ針」、「輪針」、「なわ編み針」である。

以下、「とじ針」、「輪針」、「なわ編み針」の各商品を説明する。

「とじ針」は「編み地を閉じ合わせる場合や糸端の始末、毛糸刺しゅうなどに使います。...針先は丸みのある物が使いよく、毛糸の太さに応じた太さの針を選びましょう。」、「輪針」は「棒の部分が軽金属性(木竹製も有り)でビニールコードにつながっている針です。......。」、「なわ編み針」は「中央にくぼみが付いているプラスチック製、または金属製の針で、なわ編みなど交差編みをする場合に目を取り目しておくのに使います。......。」(「雄鶏社 棒針編みの基礎 図解式」甲第10号証参照)と記載されている。 上述の如く、「編物針」と「編み棒」が同じ商品であるとすれば、両者は互いに類似の商品であるので、以下は本件商標の指定商品第26類「編物針」が「編み目を作り出すための針(編み針)」或いは「編み物に用いる針(編物針)」のうち、商標法施行規則別表に例示されていない商品であって、具体的には「とじ針」、「輪針」、「なわ編み針」の何れかであるとして、さらに意見を述べる。

商標の指定商品の類否判断においては、商品の生産部門、販売部門の同一性、材料の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性等の関連性を総合的に考慮することが一般的基準であり、根本的には商品取引の実情によるべきものである。

そこで、この点に関して引用A商標及び引用B商標の指定商品中の「編み棒」と本件商標の指定商品「編物針(具体的にはとじ針、輪針、なわ編み針の何れか)」を比較する。

(a)商品の生産部門

本件審判請求人日本編物工業株式会社は編み物関連商品を生産販売する企業である。「編み棒」、「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」に関して、それぞれの商品は、選択する材質、形状、生産方法の違いから、すべてを一手に生産することは難しいというのが現状である。「編み棒」、「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」に関して生産部門においては、同一とは言えないが、以下に述べる販売部門の同一性、材料の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性からすると、それらの同一性は、生産部門のみの非同一性を凌駕するものである。

(b)販売部門の同一性

「編み棒」と「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」は何れも手芸用品店の編み物関連コーナーで陳列され、一般需要者に販売されるものである。甲第11号証の1〜3は本件審判請求人日本編物工業株式会社の販売する編み物関連商品の商品陳列棚が掲載されているカタログである。これらの商品陳列棚は手芸用品店の編み物関連コーナーなどに設置されるものであり、商品陳列棚には「編み棒」、「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」がディスプレイされているのが見える。また、甲第12号証は編み物関連商品を扱う内藤商事株式会社のカ夕ログである。カタログ中には、「編み棒」、「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」が共に掲載されている。両商品の販売部門は同一である。

(c)材料の同一性

「編み棒」 の材料としては木竹製、金属製、プラスチック製などが挙げられる。このことは上述の文化出版局「服飾辞典」(甲第9号証)、雄鶏社「棒針あみの基礎 図解式」(甲第10号証)に記載されている。「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」の材料としては、「とじ針」は金属製、「輪針」 は棒の部分が木竹製、または金属製でビニルコードにつながっている、「なわ編み針」はプラスチック製、または金属製である。(「雄鶏社 棒針あみの基礎 図解式」(甲第10号証)参照)。両商品の材料は金属製ということでは同一である。

(d)用途の同一性

「編み棒」と「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」は何れも編み物およびこれと密接に関連した用途に使用される。需要者は編み物の織り方によって、その織り方に適したもの、「編み棒」や、「輪針」や、「なわ編み針」を選択する。そして、いずれの織り方であっても編み目をとじ合わせる場合や糸端の始末をする場合には「とじ針」が使用される。また、甲第12号証の内藤商事株式会社のカタログには編み針「セット(キット)商品」も掲載されているが、「編み棒」には「とじ針」が必ずといって良い程セットとして含まれている。両商品の用途は編み物に使用する点において同一である。

(e)需要者の範囲の同一性

編み物関連商品の業界において、商標の使用は主として消費者に直接結びつく段階で使用される。「編み棒」と「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」は何れも編み物に使用され、主として女性が需要者の大部分を占めている。両商品の需要者の範囲は同一である。

上述の如く、引用A商標及び引用B商標の指定商品中の「編み棒」と本件商標の指定商品「編物針(とじ針、輪針、なわ編み針)」はその商品の販売部門、材料、用途、需要者の範囲において同一である。

よって、本件商標の指定商品第26類「編物針」が「とじ針」、「輪針」、「なわ編み針」の何れであるとしても、「編物針」と引用A商標及び引用B商標の指定商品中の「編み棒」とは類似の商品であると考える。

(3)以上のとおり、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは称呼において類似し、本件商標の指定商品(新)第26類の「編物針」と引用A商標及び引用B商標の指定商品(旧)第19類のうちの「編み棒」 は互いに類似の商品であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効にするべきものである。

4 被請求人の主張

これに対して、被請求人は「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を概略次のように述べた。

(1)被請求人は、前記項番の1、2、3、についてその全てを認める。

(2)「編物針」と「編み棒」を類似とし、本件審判請求が容認されるのであれば、現行類似商品審査基準は『誤り』ということになる。対して、「編物針」と「編み棒」は非類似であり、現行類似商品審査基準が『正しい』のであれば、当然ながら、本件審判請求は棄却されることになる。

5 当審の判断

本件商標と引用各商標とは称呼において相紛らわしい類似する商標であり、これについては、当事者間にも争いがない。

次に、本件商標と引用A商標及び引用B商標の指定商品の類否についてみるに、本件商標の指定商品「編物針」については、請求人の提出した甲第8号証の「広辞苑」にはその語義についての記載はないが、「編物」については、「毛糸やその他の糸で衣服・シャツ・靴下・手袋 などを編んでつくること。また、その物。手編みと機械編みとがあり、毛糸・レース糸・絹糸・刺繍糸・リリヤンなどを用いる。」と記載されていることからすれば、「編物針」は、前記「編物」に用いる「針」と認識・理解するのが相当である。

さらに、請求人の提出した前記「広辞苑」及び編み物関連の文献をみるに、「編物針」についての掲載はないが、「編針」「編み針」「編み棒」「棒針」についてはそれぞれ記載されており、「編針」は「編棒に同じ。」、「編棒」は「編物に用いる細い棒。金属・角・竹などで作り、一端が鉤状のものと、まっすぐなものとがある。編針。」(「広辞苑」甲第8号証)とされているものである。

また、文化出版局の「服飾辞典」(甲第9号証)においては、「編み針」は、「『編み針』は『編み目を作り出すための針の総称であり、ニードル(needle)とも言う、技法別にそれぞれ適した針があり、かぎ針編みにはかぎ針、棒針編みには棒針、手編み機と機械編みにはべら針、ひげ針、両頭針、コンパウンド針、パイプ針などが用いられている。』」、同じく「編み棒」は 「棒針編みに用いる編み針で棒針のことを言う。」、同じく「棒針」は「棒針編みに用いられる棒の先がとがった針で、片方の端に玉のついた2本組みのものと両端のとがった4本または5本組みのものがある。玉のついた針は平編みに用い、両端のとがった針は輪編みに用いられる。素材には竹、プラスチック、金属などがあり、太さは0号から20号までで、号数が大きくなるほど太くなる。他にジャンボ針といわれる直径8mm、10mmの太さのものもある。また、輪編みの専用の針で、2本の棒針をナイロン・コードでつないだ輪針も棒針の一種である。」と記載されているものである。

これらのことから、「編物針」と「編み針」とは同義のものであって、「編物針」と「編み針」は「編み棒」を含み「編み目を作り出すための針の総称」と推認されるものである。

そうすると、本件商標の指定商品「編物針」の中には引用A商標及び引用B商標の指定商品中の「編み棒」が含まれるものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、引用各商標と類似するものであり、引用各商標の指定商品と同一のものを含むものについて使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであって、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。

なお、被請求人は、「『編物針』と『編み棒』を類似とし、本件審判請求が容認されるのであれば、現行類似商品審査基準は『誤り』ということになる。」旨主張しているが、現行類似商品審査基準は旧類似商品審査基準を踏襲しており、この中の「第二『類似商品審査基準』運用上の諸問題と実施に伴う処置について」の項において、「即ち、本審査基準は全審査官の統一的基準ではあるが、具体的、個別的に商品の類否を審査する際において、あるいは商取引、経済界等の実情の推移から、本基準で、『類似』と推定したものでも『非類似』と認められる場合、またはその逆の場合が存することを認めざるを得ないのである。」(「類似商品審査基準[改訂版]」昭和61年3月28日社団法人発明協会発行)と記載されており、本件のように、個別具体的な商品の類否について、類似商品審査基準と異なる判断をしてもなんら違法ではなく、被請求人の主張は採用できない。

よって、結論のとおり審決する。

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