結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2006−31599(T2006−31599/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2024942号商標(以下「本件商標」という。)は、「SELENE」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年6月3日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同63年2月22日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
請求人が調査したところでは、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、その全指定商品について使用されている事実を見いだすことができない。
したがって、本件商標登録は、全指定商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(ア)乙第4号証の「商標使用許諾契約書」によれば、被請求人が株式会社セレンと平成14年7月26日の時点で使用許諾契約を締結していることは認められるが、契約期間の1ヵ年が更新され続けていることまでは確認できない。
(イ)本件商標は、昭和60年6月3日に出願されており、指定商品の法区分としては、昭和34年法が採用されている。一方、被請求人が使用を主張する「カラー監視カメラ」は、本審判請求登録時の国際分類第8版上は「映像周波機械器具」の概念に含まれると考えられるが、「特許庁商標課編 商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン〔国際分類第8版〕」を参照しても、この「映像周波機械器具」に当たる昭和34年法上の商品は存在しない。
また、「カラー監視カメラ」以外の商品について、乙第1号証を参照すると、「防犯ブザー」「各種センサー」が掲載されているが、いずれも、本請求にかかる「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」に該当しない。
(ウ)被請求人は、「乙第2号証の発注商品の内訳の欄には、乙第1号証に記載された型番及びその商品コードが記載されている」旨主張しているが、乙第1号証と乙第2号証との関連性は不明である。
(エ)本件商標は「SELENE」のゴシック調の英文字を横書きした構成からなるところ、特許電子図書館(IPDL)の商標出願・登録情報によると、本件商標からは、「サリーニー,セレン,セレネ」といった複数の称呼が生じる。
一方、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が乙第1号証に記載されている旨主張しているが、乙第1号証のカタログに掲載されている商標の構成をみると、黒塗りの三角形の中に「セレン」の白抜き片仮名文字を配してその下に複数本の横線を背景に「Selene」と特殊字体で構成された英文字を配してなる文字と図形の結合商標となっている。また、商品に付されている商標を見ると、黒塗りの三角形の中に「Security」の白抜きの特殊字体の英文字を配してその下に複数本の横線を背景に「Selene」と特殊文字で構成された文字を配してなる文字と図形の結合商標が認められる。すなわち、かかる構成を見ても明らかなように、本件商標と使用商標とは、商標法第50条第1項にいう「社会通念上同一」の商標とはいえないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証を提出した。
本件商標の通常使用権者である被請求人の関係会社「株式会社セレン」は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国において、その請求に係る指定商品中の「電気通信機器」について本件商標を使用している。
乙第1号証「商品カタログ」、乙第2号証「発注書」及び乙第3号証「納品伝票」には、「株式会社セレン/東京都豊島区東池袋1−11−6 相馬ビル」と表示されており、乙第4号証「商標使用許諾契約書」には、被請求人(商標権者)が株式会社セレンに本件商標と同一及び社会通念上同一と認められる商標の使用を商品「電気機械器具、電気通信機械機具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)及び電気材料」について許諾した旨の記載がされている。
そして、乙第1号証には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載されており、請求に係る指定商品「電気通信機器」に属する通信機能を有するカラー監視カメラ等の型番及びその品番が記載され、また、乙第2号証の発注商品の内訳の欄には、乙第1号証に記載された型番及びその商品コードが記載されている。
乙第1号証には、「このカタログの内容は平成16年8月現在のものです。」と記載され、乙第2号証の発注日の欄には、「04年11月11日」と記載されている。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第4号証は、商標権者である株式会社ビックカメラ(甲)と株式会社セレン(乙)との間で締結された平成14年7月26日付の「商標使用許諾契約書」であり、これによれば、被請求人である商標権者は、株式会社セレンに対して、本商標権についての通常使用権を許諾したものと認められる。
乙第1号証は、通常使用権者である株式会社セレンが発行したものと認められる「セレン セキュリティ総合カタログ」と題するカタログであり、これによれば、表紙の右上部分には、別掲(1)のとおり、「防犯機器の/セレン/Selene(「セレン」と「Selene」の文字は抽象化された家屋と思しき図形の中に表されている)」の商標が表示されており、また、表紙の下部には、取り扱い製品である監視カメラの写真が掲載され、該写真の下部に「SEC−315(50Hz)屋内外用カラーカメラ」と表示されているものもある。そして、該監視カメラには別掲(2)のとおり、「Security/Selene(「Security」と「Selene」の文字は抽象化された家屋と思しき図形の中に表されている)」の商標が表示されている。さらに、同カタログの8頁から9頁にも、「カラー監視カメラ」の標題のもと、「屋内外用カラーカメラ SEC−315(50Hz)/SEC−306(60Hz)」等の監視カメラの詳細が紹介されており、巻末には「このカタログの内容は平成16年8月現在のものです。」と記載されている。
乙第2号証及び乙第3号証は、取引書類であり、取引先の住所・名称等の箇所は黒塗りにされているが、乙第2号証は、発注日を「04/11/11」、発注番号を「8967964」、商品コードを「4560131680985」とするセレンに宛てた「発注書(自動発注分)」であり、型番の欄には「SEC315 室外用 50Hz」と記載されている。また、乙第3号証は、出荷年月日を「16/11/16」、発注No.を「8967964」、商品コードを「4560131680985」とする株式会社セレンが発行した「納品書」であり、商品名/型番の欄には「SEC−315」と記載されている。
(2)上記乙第1号証及び乙第4号証によれば、被請求人の通常使用権者と認められる株式会社セレンは、平成16年8月頃には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した「セレン セキュリティ総合カタログ」(乙第1号証)を発行していたものと認められ、該カタログには、「カラー監視カメラ(屋内外用カラーカメラ SEC−315)」等の商品が掲載されていたことを認めることができる。
そして、乙第2号証の発注書及び乙第3号証の納品書によれば、それらの取引書類の型番の欄には「SEC315」の表示があり、これは、乙第1号証のカタログに掲載されている「屋内外用カラーカメラ」の品番である「SEC−315」と符合するものである。そしてまた、乙第2号証の発注書に記載されている発注番号「8967964」及び商品コード「4560131680985」は、乙第3号証の納品書に記載されている発注番号及び商品コードとも符号しているものである。
そうとすれば、株式会社セレンは、具体的な納品先は明らかにされていないものの、平成16年(2004年)11月16日に、乙第1号証に掲載されている型番「SEC−315」の「監視カメラ」を顧客に販売したものとみるのが相当である。
してみれば、乙第1号証ないし乙第4号証を総合してみれば、被請求人の通常使用権者である株式会社セレンは、本件審判の請求の登録(平成19年1月22日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」の範疇に属する「監視カメラ」について使用していたものということができる。
(3)請求人の主な反論について
(ア)被請求人と株式会社セレンが、平成14年7月26日の時点で使用許諾契約を締結していることは認められるが、契約期間が更新され続けていることまでは確認できない旨の主張について
乙第4号証の商標使用許諾契約書は、平成14年7月26日に締結されており、その第3条(契約期間)の項目には、「本契約の有効期間は、本契約を締結した日から1カ年とします。ただし、期間満了の1カ月前までに甲乙のいずれからも書面による特段の意思表示がなされないときは、本契約は同一条件で更に1カ年更新されるものとし、以降も同様とします。」と記載されている。そして、乙第1号証の「セレン セキュリティ総合カタログ」は、巻末に「このカタログの内容は平成16年8月現在のものです。」と記載されていることからみれば、この時点においても、商標権者と株式会社セレンとの間においては、特段の意思表示がなされることなく、該契約が同一の条件で引き続き更新されていたものとみるのが自然であり、これを否定するに足る証拠も提出されていない。
(イ)被請求人が使用を主張している「カラー監視カメラ」は、本審判請求登録時の国際分類第8版上は「映像周波機械器具」の概念に含まれると考えられるが、本件商標が出願された昭和60年6月3日当時に採用されていた昭和34年法には「映像周波機械器具」に当たる商品は存在しない旨の主張について
確かに、昭和34年法の商標法施行令別表中の第11類には「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」と記載されており、商標法施行令を受けて定められている商標法施行規則別表中の第11類の「電気通信機械器具」の中には、「映像周波機械器具」という概念表示は見当たらない。しかながら、商標法施行規則別表に掲げられている商品は、市場で流通する膨大な種類の商品を商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類されている例示的なものであり、ある商品の表示が商標法施行規則別表に存在しないからといって、直ちに、該商品の存在自体が否定されるものでもなければ、その当時に、商標法施行令に掲げられている商品表示(政令表示)をもって設定登録された商標権の指定商品中に、該商品が包含されていないということにもならない。
しかして、「監視カメラ」という商品は、昭和28年当時から既に存在していた商品である(例えば、セキュリティ産業新聞社社長三林和美「マスコミから見た防犯環境」講演レジメ中の「監視カメラの歴史」http://www.secu354.co.jp/kiji/kiji0503250801.htm 参照)。また、請求人が述べている国際分類第8版上の「映像周波機械器具」の概念に表示されている、例えば、「ビデオカメラ」にしても、昭和55年当時には既に存在していた商品である(東洋経済新報社発行「現代商品大辞典 新商品版(昭和61年10月18日発行)」参照)。
そうとすれば、本件商標が出願された昭和60年6月3日当時に採用されていた昭和34年法に基づく商標法施行規則別表中に「映像周波機械器具」の表示がなかったとしても、上記した商標法施行規則別表の性格からみれば、政令表示をもって指定されている本件商標の指定商品中には、「監視カメラ」や「ビデオカメラ」等の商品も「電気通信機械器具」の概念に含まれる商品として包含されているものと解すべきである。
また、請求人は、乙第1号証には、「カラー監視カメラ」以外の商品について、「防犯ブザー、各種センサー」が掲載されているが、いずれも、取消請求に係る商品に該当しない旨主張している。
しかしながら、乙第1号証のカタログには、「カラー監視カメラ」以外にも、例えば、「電池、ケーブル関連、接続コネクター」等の商品も掲載されており、これらの商品は、取消請求に係る商品に含まれる「電気機械器具」の範疇に属する商品であるから、この点からみても、本件商標の使用の事実は認められるものである。
(ウ)使用に係る商標は、その構成からみて、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない旨の主張について
確かに、該カタログに表示されている商標は、抽象化された家屋と思しき図形の中に「防犯機器の/セレン/Selene」の文字を表した構成からなるものであり、また、カタログに掲載されている監視カメラに表示されている商標も、抽象化された家屋と思しき図形の中に「Security/Selene」の文字を表した構成からなるものであって、これらは、本件商標と同一の構成からなるものとはいえない。
しかしながら、上記した構成のうち、抽象化された家屋と思しき図形部分は、装飾的な背景図形という程度のものであり、「防犯機器の」の文字部分は、通常使用権者の取り扱い製品が「防犯機器」であることを示しているにすぎないものである。また、「セレン」の文字部分は、通常使用権者の商号の略称を表したものと解されるか、あるいは、商標の表示である「Selene」の読みを表したものとも解されるものである。そしてまた、監視カメラに表示されている「Security」の文字は、該商品が「防犯対策用」のものであることを示しているにすぎないものである。
そうとすれば、使用に係る商標構成中、「Selene」の文字部分が要部と認められるものであり、「Selene」の文字部分をもって、自他商品の識別標識としての機能を果たしているものといわなければならない。
しかして、「Selene」の構成からなる使用商標は、「SELENE」の欧文字からなる本件商標と同一の構成からなるものとはいえない。
しかしながら、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、大文字と小文字の差異を含めて、その書体に差異があるとしても、いずれも同じ綴り字からなるものであり、いずれも「セレン」の自然称呼を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
(エ)そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「監視カメラ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。