結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300040(T2007−300040/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1995460号商標(以下「本件商標」という。)は、「エスパ」及び「espa」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和59年3月29日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として昭和62年10月27日に設定登録され、その後、平成9年11月11日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べている。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。
(1)本件商標は、以下のとおり、取消を求められている指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」のすべてについて専用使用権者により使用されている。よって、本件審判の請求は成り立たない。
(2)専用使用権
乙第1号証として提出する本件商標の登録原簿(写)に示すように、本件商標登録に対しては、株式会社イトーヨーカ堂(以下「イトーヨーカ堂」という。)を専用使用権者とする専用使用権が設定登録されている。
乙第1号証が証するように、被請求人株式会社ヤクルト本社は、昭和63年2月3日付け専用使用権許諾証書をもって、イトーヨーカ堂に対して範囲を全部とする専用使用権を設定し、当該専用使用権は昭和63年3月28日付けにて設定登録された。
専用使用権の期間は、当時の商標権存続期間満了日である昭和72年10月27日であったが、専用使用権の変更により、期間が平成19年10月27日まで更新され、その旨が平成9年12月1日付けにて登録された。
よって、本件審判請求の予告登録時である平成19年2月2日の時点において、イトーヨーカ堂は本件商標の専用使用権者である。
専用使用権者であるイトーヨーカ堂による本件商標の使用の事実は以下に示すとおりである。
(3)本件商標の使用
本件商標は、イトーヨーカ堂が従来から展開していた業態であるスーパーマーケット「イトーヨーカドー」のグレードを一段高めに設定した業態「アップグレードGMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)」の店舗の名称として使用されている商標である。
そして、乙第2号証(「イトーヨーカ堂店舗のご案内」)に示すように、2007年3月現在、このような業態の店舗としては、エスパ昭島店(東京都昭島市)、エスパ我孫子店(千葉県我孫子市)、エスパ川崎店(神奈川県川崎市)、エスパ松本店(長野県松本市)の4店舗が営業展開されている。また、各店舗の営業開始時期は下記のとおりである。
・エスパ昭島店 1984年(昭和59年)4月
・工スパ我孫子店 1994年(平成6年)10月
・工スパ松本店 1996年(平成8年)10月
・エスパ川崎店 2000年(平成12年)6月
したがって、本件商標は、これら4店舗のすべてにおいて営業開始当時より現在まで使用されているのである。
(4)エスパ昭島店における使用
以上のように、本件商標は専用使用権者であるイトーヨーカ堂が営業展開する4店舗の名称として使用されているが、その中のエスパ昭島店(以下「昭島店」という。)を例にとり、本件商標の具体的な使用状況を立証する。
(ア)乙第3号証は、専用使用権者であるイトーヨーカ堂企画室法務担当社員である北村精司が、平成19年2月27日に昭島店を訪れ、写真撮影した報告書である。
昭島店は、JR青梅線昭島駅北側正面に立地し、Yahoo地図にもその名称「エスパ」と共に位置が明記されている。
乙第3号証中の図1及び2の写真のとおり、昭島店はJR昭島駅北口から見える場所に位置し、建物の上部に「espa」の英文字が目立つように高い位置に大きく表示されていることが見て取れる。
その他店舗の外観写真では、JR昭島駅側の入口自動ドア中央部分(図3)、店舗北側の入口上部(図4)に「espa」の英文字が大きく表示されていることがわかる。これらも昭島店を目指して訪れる人のみならず、日ごろ昭島駅を利用する人にも十分に目に留まるものであることはいうまでもない。
店舗内部においては、エスパに隣接するモリタウン専門店街からの入口上部に「espa」の英文字(図5)が、またモリタウン専門店街からの入口に立てられている看板(図6)には「エスパ昭島のご案内」、「エスパの営業時間」のように「エスパ」のカタカナ文字が表示されている。
続いて、1階エレベータ前の時計下(図7)、その下に置かれたフロアガイド(図8及び9)にもそれぞれ「espa」の英文字が示されている。
さらに、エスパ昭島店に訪れる需要者が手にする買物かごの側面(図10及び11)及びショッピングカート(図12ないし15)にはそれぞれ「エスパ」が表示されている。
また、幼児連れの顧客のために用意されたベビーカーの持ち手下部に「エスパ」のボードが掛けられており(図16及び17)、幼児をベビーカーに乗せる際に必ず目に触れるようになっている。
さらに、ギフトボックスの裏面(図18及び19)、一般用及び仏事用の包装紙(図20及び21、報告書別紙1及び2)、キャラクターの描かれた包装紙(図22及び23、別紙3)にも「espa」は表示されている。このようなギフトボックス、包装紙などは贈り物をする時など特別な機会に使用されるものであるから、そのような贈り物を買い求める需要者、贈られる人にとっても「エスパ/espa」で購入された贈り物であることがわかるようになっているものである。
そして、もちろん特別な場合だけではなく日常的に需要者が商品を買い求めた際に包装に使用される梱包用の紙(図24)、紙袋(図25)、手提げ紙袋(図26)、手提げ袋(図27)についても本件商標「espa」は表示されているのである。
これら包装資材への使用態様は、商標法第2条第3項第1号が規定する「商品の包装に標章を付する行為」に該当する。
(イ)乙第4号証は、昭島店で顧客に対して発行されている領収証の写しであるが、上段の購入商品の明細が入った縦長の領収証には、最上部にカタカナ文字の「エスパ」が表示され、下段の横長の領収証には、下方にカタカナ文字の「エスパ」が表示されている。
これらの領収証が「取引書類」であることは疑いないので、かかる使用行為は商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
(ウ)以上より、需要者である顧客らは、店舗外部に表示された本件商標を目印にエスパ昭島店を訪れ、店舗内部においても、本件商標が示されたショッピングカートで買物し、レジで購入した商品を本件商標の示された包装に包んでもらい、本件商標が表示された領収証を受け取るなどして様々な場面で本件商標を目にしていることが分かる。このような状況が、他の3店舗においても同様であることはいうまでもない。
(5)本件商標の使用に係る商品
専用使用権者であるイトーヨーカ堂が営業展開する「エスパ」においては、他のスーパーマーケットと同様に、食料品はもちろんのこと、衣料品、はき物類、家電製品、おもちゃ、寝具類、そして本件取消審判請求の対象となっているせっけん類、化粧品、歯みがき、室内・トイレ用芳香剤や線香等の香料類など生活用品全般が販売されている。
そして、乙第5号証は平成18年10月に新聞折込み広告として配布されたエスパ川崎店のチラシ広告であり、10月4日から9日までの特売商品を案内するものである。
なお、本件商標「エスパ」は、当該チラシ1ページ左上、同ページ右下枠内、各見開きページの左上、最終ページ左上、同右下枠内に表示されている。
そして、当該チラシ広告5ページ下段には、以下の商品が写真と共に掲載され、エスパ川崎店において販売されたことが証される。
ア P&G ヴィダルサスーン プロフェッショナル シャンプー・コンディショナー
イ 大日本除虫菊(キンチョー) カラーフローアート(消臭芳香剤)
ウ 小林製薬 洗いたて消臭シャボン(芳香消臭剤)
エ カネボウ ナイーブ ボディーソープ
オ 牛乳石鹸 青箱
カ P&G ジョイ(台所用洗剤)
キ 花王 アジエンス ポンプペア(シャンプー・コンディショナー)
ク サロンドプロ 無香料クリーム 無香料乳液
ケ エフティ資生堂 洗顔専科パーフェクト
コ ユニリーバ ダヴ 洗顔フォーム
サ ロゼット スーパーうるおい(洗顔フォーム)
シ コーセー ソフティモ スーパー メイク落としシート
ス 花王 エマール(衣料用洗剤)
また、乙第3号証報告書に示すように、エスパ昭島店では、以下の商品が販売されていることが証されている。
セ 花王 クリアクリーン(歯磨き)(図30)
ソ ライオン デンターシステマ エチケット PCクリニカ(歯磨き)(図30)
タ リップスティック・マニキュア等の化粧品(図31ないし33)
そして、以上の商品を、本件商標の指定商品である昭和34年法の類似商品審査基準に合わせて整理すると以下のとおりとなる。
【1】せっけん類
ア P&G ヴィダルサスーン プロフェッショナル シャンプー
エ カネボウ ナイーブ ボディーソープ
オ 牛乳石鹸 青箱
カ P&G ジョイ(台所用洗剤)
キ 花王 アジエンス ポンプペア(シャンプー)
ス 花王 エマール(衣料用洗剤)
【2】歯みがき
セ 花王 クリアクリーン(歯磨き)
ソ ライオン デンターシステマ エチケット PCクリニカ(歯磨き)
【3】化粧品
ア P&G ヴィダルサスーン プロフェッショナル コンディショナー
キ 花王 アジエンス ポンプペア(コンディショナー)
ク サロンドプロ 無香料クリーム 無香料乳液
ケ エフティ資生堂 洗顔専科パーフェクト
コ ユニリーバ ダヴ 洗顔フォーム
サ ロゼット スーパーうるおい(洗顔フォーム)
シ コーセー ソフティモ スーパー メイク落としシート
タ リップスティック・マニキュア等の化粧品
【4】香料類
イ 大日本除虫菊(キンチョー) カラーフローアート(消臭芳香剤)
ウ 小林製薬 洗いたて消臭シャボン(芳香消臭剤)
もちろん、「エスパ」各店舗において販売されている商品は、上記に限られるものではなく、「せっけん類」では「クレンザー、ガラス用洗浄剤」などが、「化粧品」では、「おしろい、化粧水、クリーム、頭髪用化粧品、浴用化粧品、香水、ベビーパウダー」などほぼすべての化粧品類が、「香料類」では「植物性香料、線香」などが販売されている。
以上のように、本件商標は、その指定商品の類似商品群のすべてにおいて使用されているのである。
(6)本件商標の使用時期
上記のように、本件商標は、専用使用権者イトーヨーカ堂によって、設定登録の時期である昭和63年3月28日以降、今日までイトーヨーカ堂が営業展開する店舗の名称として使用され、同店舗において「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」に属する種々の商品が販売されているので、既に商標法第50条1項の要件を満たすものではなく、その登録は取り消されるべきものではないが、念のため、以下の証拠方法によって、本件審判請求日より3年以内の使用の事実を立証する。
(ア)日常、我々が購読する新聞にイトーヨーカ堂の折り込みチラシが度々入っていることから経験的にわかるように、イトーヨーカ堂では新聞折込みチラシによる広告を頻繁に繰り返して実施している。乙第6号証及び乙第7号証は、イトーヨーカ堂が新聞折込みチラシ広告を依託している株式会社朝日オリコミ(東京都中央区築地)のチラシ配布実績に関する証明書である。そして、これらのチラシ広告は、乙第5号証同様、本件商標「エスパ」が表示されているものである。
(イ)乙第6号証では、平成18年1月11日から同月15日までの売り出し期間に関するチラシ約27000枚が、東京都昭島地区において配達された平成18年1月11日付け朝日新聞に折り込み、配布された事実が証されている。
この証明書に添付されたエスパ昭島店の折込みチラシには、「売出し期間 1/11(水)→15(日)」と明記されており、「花王フェア」として「アタック(衣料用洗剤)、ホワイト石鹸、クリアクリーンハミガキ、ファミリーキュキュット(台所用洗剤)、ビオレU(ボディシャンプー)」が掲載され、その他「FT資生堂 スーパーマイルド シャンプー・コンディショナー」などの「せっけん類、化粧品」が掲載されている。
(ウ)乙第7号証においても、平成18年9月29日から同年10月1日までの売り出し期間に関するチラシ約22000枚が、東京都昭島地区において配達された平成18年9月29日付け朝日新聞に折り込み、配布された事実が証されている。
この証明書に添付されたエスパ昭島店の折込みチラシにも、「売出し期間9/29(金)→10/1(日)」と明記されており、本件審判請求の対象商品に属する「花王バスマジックリン(浴室用洗剤)トイレマジックリン(トイレ用洗剤)キッチンハイター(台所用洗剤)」、「ユニリーバ ラックスシャインシャンプー・コンディショナー」、「ラックススーパーリッチトリートメント」などの「せっけん類、化粧品」が掲載されている。
(エ)以上により、乙第6号証及び乙第7号証に添付のチラシが、本件審判請求の予告登録日である平成19年2月2日より3年以内の平成18年1月11日及び同年9月29日に需要者らに配布されたことが証されるのである。
これらのチラシによる広告の配布は、商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
(7)結語
以上のように、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類」について専用使用権者であるイトーヨーカ堂により使用されており、その使用形態は、商標法第2条第3項第1号及び同8号の規定に該当するものである。
被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第7号証(本件商標登録原簿の写し、イトーヨーカドーのホームページの写し、エスパ昭島店に関する報告書、エスパ昭島店で発行された領収書の写し、エスパ川崎店のチラシ広告、平成18年1月11日配付及び同年9月29日配付のチラシ広告の証明書)を総合して判断すれば、専用使用権者であるイトーヨーカ堂は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品について使用をしていたものと認められる。
一方、請求人は、上記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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