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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と末尾音の近似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−27334(T2006−27334/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月14日に登録出願、その後、指定商品については、同年10月31日付け及び同年12月4日付けの手続補正書をもって、最終的に当審において、第9類「設計・生産情報管理用コンピュータプログラム」に補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第1742825号商標(以下「引用商標」という。)は、「LFB」の欧文字を書してなり、昭和57年5月13日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同60年1月23日に設定登録され、その後、平成7年5月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年12月15日に第7類、第9類及び第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標と引用商標の類否について

本願商標は、別掲のとおり、紫色で塗られた長方形内の左半分に白抜きで「M‐Draf」の文字を書し、右半分に該長方形の2倍の高さの大きさで、「LFP」の文字を赤色の太文字で書し、また、「L」の文字部分の下部に、白抜きで「Light」の文字を、「F」の文字の右側下部に、赤色で「for」の文字を、「P」の文字の右側下部に、「PDM」の文字を、それぞれ書してなり、さらに、該長方形の下に該長方形と同じ長さの赤色の横線を配してなるところ、各文字の大きさ、文字の書体、色彩が異なることから、外観上の一体感が乏しく、それぞれが分離されて把握される場合が十分あると認められる。

そして、その構成中の「LFP」の文字は、本願商標全体としてみた場合において、他の文字部分に比べて大きく書かれていることから、視覚上分離して認識されるものといえ、簡易迅速を尊ぶ商取引の場においては、該文字部分に着目し、これより生ずる「エルエフピー」の称呼によって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。

そうすると、本願商標の文字部分を一体として発音した「エムドラフエルエフピー」及び「エムドラフライトフォーピイデイエム」の称呼は冗長といえるものであるから、称呼上、分離して認識されるものであり、そのため、本願商標のうち、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと考えられる「LFP」の文字部分に相応して、「エルエフピー」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

他方、引用商標は、「LFB」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「エルエフビー」の称呼を生ずるものである。

そこで、本願商標から生ずる「エルエフピー」と引用商標から生ずる「エルエフビー」の両称呼を比較すると、両称呼はいずれも5音構成よりなり、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含め「エルエフ」を共通にし、称呼の識別上印象の弱い末尾音において「ピー」と「ビー」の音の差異があるのみである。

しかして、該差異音の「ピー」は、両唇を合わせて破裂させる無声子音「p」と母音「i」との結合した音で、音の末を長く引きのばして発する長音であり、また、「ビー」は、両唇を合わせて破裂させる有声子音「b」と母音「i」との結合した音で、音の末を長く引きのばして発する長音であり、該差異音はその音質が極めて近似した音である。

そうすると、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある称呼上類似の商標といわなければならない。

そして、両商標は、いずれもアルファベット3文字より構成されて、特定の語義も生じないものと認められることから、これらが取引において用いられるときには、その称呼の果たす役割が大きいものというべきである。

また、本願商標は、「LFP」の文字をもって取引にあたる場合のあること上述したとおりであり、引用商標も「LFB」の文字をもって取引に資されるものといえるから、取引者、需要者が時と処を異にしてこれらに接する場合には、外観上近似した印象、記憶等を生じさせるおそれがあることも否定できない。

(2)請求人の主張について

(A)請求人は、本願商標が使用されるのは、専門的な分野の商品であるため、商取引は商品提供側と購入側との間で慎重に行われることから、本願商標構成中の「LFP」と引用商標「LFB」とは、いずれも実質3音構成で一音一音はっきりと区別して発音され、語尾音「ピー」と「ビー」と間違えることはない旨主張しているが、主張するのみで、それを裏付ける証拠は見当たらない。

商標の類否判断は、両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきものであり、ここでいう取引の実情とは、主に当該指定商品の取引分野における一般的な取引実情であり、個別事情は、商標の類否判断に当たって必ずしも重視することを要しないというべきであり、そして、コンピュータプログラムのソフトウェアの商取引分野においてのみ、これを特化すべき事由があるということはできない。

また、商標の類否判断における基準の一つとして用いられる商標の称呼は、当該商標が付された商品の取引において、取引者、需要者が当該商標をどのように称呼するのが通常であるかという観点から決せられるべきである。

そして、この観点からみた場合、商標の構成においてアルファベットが羅列してあるからといって、常に一文字一文字区切って、これから生ずる称呼を一音一音明確な意思をもって、明瞭に発音しなければならない理由は存在せず、むしろ、簡易迅速を尊ぶ取引の実情を考えれば、これを一文字一文字区別って明瞭に発音する者ばかりでなく、これを一気一連に発音する者も少なくないこと、及びこれを聴取する者も慎重に注意深く聴取する者ばかりではないことは、想像するに難しくないところである。

さらに、本願商標が一音ずつ区切って発音されるものとして一般に知られているというような特別の事情も認められず、本願商標と引用商標のそれぞれから生ずることが明らかな「エルエフピー」と「エルエフビー」の称呼も、殊更これを区切って発音しなければならないというほどのものではないことは、既に認定したところから明らかというべきである。

(B)請求人は、過去の既登録例を挙げて本願商標も登録されるべきであると主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例等の判断に拘束されることなく、本件の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、このことによって左右されるものではない。

したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。

(3)むすび

以上、(1)及び(2)のことから、本願商標と引用商標とは、観念において比較すべきところがないとしても、その称呼において類似する商標というべきであり、外観においても、本願商標が付された商品の取引において、取引者、需要者が当該商標構成中、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと考えられる「LFP」の文字部分と引用商標の「LFB」の文字とを比較した場合に、ある程度近似した印象を与えるものであるから、全体として類似の商標といわざるを得ず、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものに含まれるものであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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